第5話 クロエの罰ゲーム
罰ゲームの内容はナーファ側へのチャンネル出演だった。
濡れているか、いないかのクイズが不正解となり、その配信のうちに出演予告は行われた。
「次回のナーファさんの配信では!」
と、男は高らかに宣言していた。
その上で迎える翌日、配信用の映写魔法装置を前にして、クロエはナーファと共に並び立つ。
二人とも、全裸であった。
一糸纏わぬ姿で配信を開始して、クロエは視聴者に向けて視線を投げかける。
「どもども、ナーファでーす!」
ナーファはやはり、配信中はキャラ付けを行っているらしい。自らやっているのか、やらされているのかはわからないが、クロエとしてはやらされているものと踏んでいる。
「ども、クロエです」
「昨日のクロエちゃんのところの配信は見てくれたかな? 事情を知っている人も多いと思うけど、知らない人のためにおさらいするね?」
と、ナーファが台詞を述べたところで、映写魔法の石版に映る映像が切り替わる。昨日の配信内容を一部切り抜き、クイズが不正解だったためという理由を視聴者に伝えた所で、元の映像に戻るのだった。
このあたりの流れは事前に脚本で決まっている。台詞を一字一句というわけではないが、始めに決めた流れに沿っている。
「ま、そゆことです」
「ということなので、今日はクロエちゃんとアタシで一緒に配信するんだけどぉ、これからどーんなことをしちゃうと思う? アタシ達ほら、早速ハダカだけど、どうなっちゃうのかな?」
ナーファが視聴者に問いかけることで、コメントには様々な内容が流れて来る。
視聴者から見た映像は、自分達の方にも石版を設置して、確認が出来るようにしてあるので、そのコメント欄に書かれた言葉の数々はクロエの目にそのまま飛び込む。
『犯される!』
『連続奉仕してくれ』
『快楽拷問だろ』
コメントを書いた本人の願望とも、予想ともつかないものがいくらでも流れて来る。
「うーん。そこまで刺激的じゃないんだよね? クロエちゃんにはこれから痴漢リポートをやってもらいまーす」
『はい?』
『なにそれ』
『つまんな』
などと、いくらかは辛辣なコメントが流れるものの、ナーファはそれを一切気にせず、次へ次へと内容を進めていく。
『期待』
『いいんじゃない』
打って変わって、好意的なコメントが流れてくるまで、そう時間はかからなかった。
覆面を被った一人の少女が現れた。
痴漢グループのうち誰かなのだろう。
(あー……。はいはい)
クロエは改めて思い出す。
このナーファという子は、痴漢グループにとっては何度狙っても餌食に出来ず、繰り返し食い損ねてきた獲物である。この機会を利用して、今まで楽しめなかったナーファの体をたっぷりと味わおうというわけだ。
背後から抱きついて、覆面少女はナーファの乳房を揉む。
(んで、リポート?)
その様子を横から眺め、リポーターのように喋ることがクロエには求められている。
「えっと? 胸、揉んでますね」
上手い言葉は出て来ないので、ひとまずは見たままのことを口にする。
「あ、もう一人」
別の覆面少女が現れた。
背後から胸を揉んでいるのは赤い覆面、対する青の覆面少女は真正面にしゃがみ込み、性器に顔を近づけ縦筋をなぞり始めている。
胸とアソコ、二箇所への同時の愛撫だ。
「あー、えっと? 上も下も両方? ああ、はいはい。アソコの穴に指が入って、出し入れするやつ、始まりましたねー」
クロエは淡々と実況する。
そのうち質問のコメントが流れて来た。
『濡れてますか?』
「ませんね」
コメントへの反応をクロエは返す。
『息遣いは?』
『感じてそう?』
「息遣い? いや知らんし。ってか、あんまり感じにくいんじゃなかったっけ? 別に今んとこ感じてそうではないけど……あ、まあ少しは濡れたみたいです」
喋っている途中で青の覆面少女が指を抜き、愛液をまとった様子をクロエに示す。それを見たクロエは、そのまま濡れた事実を淡々と、ボソボソと、視聴者に伝えているのだった。
「んぅ……んっ、んぅ…………」
そして、ナーファの息遣いが乱れ始める。
「あ、えっと? エロい息遣い? みたいなことには、なんかなり始めてるっぽい感じっすかね」
どんなリポーターらしい言葉を紡げばいいかもわからずに、クロエは見たままを実況する。
感じにくいという話と、実際に濡れるまで時間がかかったり、濡れたとしてもあの細い糸だけだった昨日を思うと、今の彼女は随分と気持ちよさそうだ。
痴漢が上手いからだろうか。
過去何人もの少女達を餌食にして、楽しみ続けた痴漢師ならば、ナーファだろうと感じさせることが出来るのだろうと、クロエはそう考えた。
「汁の匂いもまあしてきて、結構な感じ方になってきてるんじゃないですか?」
見ているうちに、赤の覆面少女が乳房から手を離す。妙に目配せしてくるので、胸に注目して欲しい合図と読んで、クロエは胸に視線をやった。
「乳首もまあ硬いんじゃないですかね」
覆面の少女二人は、随分とまあ楽しそうなものである。念願のナーファに触れて、よほど嬉しいわけなのだろう。
(っつかさ)
この実況行為を続けるうち、クロエは密かに興奮していた。
(意味わかんな)
元々、好きで配信に出ているわけでも何でもない。こんな風に裸で映って、視聴者に胸やアソコを晒すのも、不本意の極みである。
だというのに、どうしてナーファが痴漢される姿を見て、少しは興奮しているのか。クロエは密かに、本当に微かながらに、太ももを擦り合わせているのだった。