連続絶頂

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 あああああ! なに! なに!?
 なにをどこまでされた!?

 堀は頭を抱えていた。
 あまりの様子を見てなのか、しばしの休憩を与えられ、身体にタオルまでかけてもらっていた堀は、ふっと正気に返って起き上がるなり、本当に両手で頭を抱え始めた。このままのたうち回ってもおかしくない。壁に頭を打ちつけ始めてもおかしくない。
 先ほどまでは、半ばパニックに近い状態にさえ陥って、まともな記憶がないほどだが、それでも性器と肛門を調べられ、観察されたことだけはわかっている。
「堀さん」
「いっそ殺してくれる!?」
 声をかけられ、堀は真っ先にそう言って、大声のあまりにその場の誰もを驚かせた。
「殺すだなんてまたそんな」
「生きていけるとでも!?」
 自分が教師相手に敬語を忘れていることさえ、堀は自覚していない。
「まだ少しあるんだけどなー」
「死後まで!? 地獄行き!?」
「いや死んですらいないでしょ」
 さしもの教師が呆れ、医師は肩を竦め、職員同士で顔を見合わせ、ヒソヒソとした相談まで始まっている。
 この調子ではやりにくいと判断され、あと少しばかりのクールダウンの時間を与えることとなり、一度は退室していた男達が十分後に戻って来て、やっとのことで真っ当な会話が成立することになる。
「改めて言うけど、最後にいくつかの質問をするからね」
「服は……」
「終わったらね」
 心底、最悪だと感じるが、やっとのことで終わりが見えてきた。一刻も早く解放されたい思いから、どんな質問でも答えてやろうと覚悟を決めて待ち構える。
「まずはもう一度さっきのポーズを」
「なんで……………………」
 かくして、堀は改めてテーブルに乗り、同じように開脚を行った。左右にしっかり、平らになりそうなまでに広げた上に、腰の下に敷いたタオルで、肛門が見えやすいよう角度まで調整されている。
 先ほどまでの羞恥が蘇り、自分の顔がいかに恥じらいを浮かべているか。どんなに歪みきっているのか。どれほど赤いのか。様々な想像がよぎって、堀は直ちに両手で表情を覆い隠すのだった。
(待って、さっきはこんなこと――顔、隠してなくて……)
 パニックめいていた時の自分は、どんなに滑稽だったかもわからない、羞恥の炎にまみれた表情を隠さずに晒していたのではないか。その事実に気づいてしまい、両手の内側で頬も顎も強張らせた。
「現在のお気持ちは」
「殺して欲しいです」
「オナニーの経験は?」
「それは……」
 おいそれと答えるものではなく、言葉を濁す堀であるが、かえって追求されることになり、教師によってオナニーを白状させられる。
「…………あります」
 と、そう答えさせられ、初めてした年齢も、週にどれほどの頻度でするかも、丸ごと明らかにされていく。
 陰毛の生えた時期を聞かれた。初潮の年齢を聞かれた。ブラジャーを着けた年齢を聞かれた。あらゆる発育関連の質問に答えていき、胸が小さいことを悩んでいるか、そんなことさえ質問に上がってくる。

「じゃあ、あとは性的刺激に対する反応を見て終わろうか」

 聞くに血の気が引いた。
 さーっと、今にも青ざめていく感覚がありながら、それでも赤面の色合いが変わるわけではない。しかし、その心境は確かに人が青ざめる際のものだった。
「それって……もしかして……」
「胸も薄いことだし、ついでに育乳マッサージを教えてあげるよ」
「それはあの……遠慮しようかと……」
 触診というわけでもない、性的接触と言われれば、いくらなんでも拒もうとする言葉が口を突いて出てきていた。
「はい、動かないで」
「しっかり受けて下さいね」
 だが、ここに来て職員が動き、二人がかりで左右の脚をそれぞれ掴む。仰向けの姿勢に対して、医師も頭上に回り込み、上から両手を掴んで押さえ込む。

(えっ……なに、これ…………)

 堀は呆然としていた。
 これでは、まるでレイプでも始まるようだ。そんな切実な恐怖が浮かび、迫り来る教師の両手にひどく引き攣る。
「ほれ」
 堀の胸は揉まれた。
「んんぅ……!」
「しかし、本当に薄いねぇ?」
 教師は真正面から覆い被さり、正常位であるかのように、ズボン越しの膨らみが当たっている。五指が巧みに這い回り、堀の乳房に甘い痺れを生み出して、早くも感じさせつつあった。
「あっ、んぅ……」
「気持ちいいかな?」
「うっ、あぁ……そんな…………こと…………」
「これはどうかな?」
「んんっ!?」
 急に乳首を刺激され、肩がかすかに弾み上がった。
「はははっ、良いみたいだねぇ?」
「んっ、んぅ……んぅ……んぅぅ…………」
 唇をきつく閉ざして、喘ぐことを拒む堀へと、容赦のない愛撫が施される。教師の行うタッチは実に技工に満ち溢れ、産毛に触れるか触れないかの、微妙な加減から皮膚をくすぐり、神経を刺激しながら揉んでくる。
 堀の薄らかな膨らみには、甘い痺れが飛び交っていた。
 指先で乳輪をなぞり、乳首をつまんで転がすと、堀の肩はモゾモゾと動いてしまっている。性感帯にスイッチが入り、皮膚が感じやすくなり、乳房の周りにある肋骨や鎖骨のあたりでさえ、指が擦れると気持ちがいい。
「あっ、んぅ……やめてくだ……さ……!」
「下の方はどうかな?」
「……っ!? や、だめ! 本当に――――」
 堀はもはや懇願の気持ちを込め、心の底から叫びかけていた。やめて欲しいと、懸命な叫びを上げようとしていた。
 教師は容赦しなかった。
「ツン」
 楽しげに、意地悪げに、指でワレメの皮膚を突く。
「んんっ!?!?」
 そして、想像した以上の、予想外の快感に堀は驚愕で目を見開いていた。
「なるほど? 堀京子はこの状況に興奮して、マゾっ気で感じやすくなっているみたいだね」
「ちがいます! そんなわけ――んぅぅぅぅ…………!」
 ワレメをなぞる愛撫が始まり、反論などしている余裕もなく、堀は喘ぎ声を抑えて歯を強く食い縛る。
「んぅ……! んっ、んんぅぅぅ……! んんぅ……!」
 表面を軽やかに、産毛だけを指先に捉えたタッチでくすぐるうちに、しだいしだいに女の蜜が気配を醸し出す。皮膚がしっとりと水気を帯び、ついには触れれば糸が引くまでになった時、教師は膣に指を挿入していた。
「んんんんん! んっ、んぅ……!」
「オナニー経験があるだけあって、指一本で痛がる様子はないみたいだね」
 教師はニタニタと指を動かし、ピストンによって堀のアソコはいじめ抜かれる。
「んっ! んぅぅぅ……!」
「こっちはどうだろうね」
 遊び道具を試すかのように、教師はクリトリスに目を付けた。突起していた肉芽に左手をやるなり、優しくクリクリと虐め始めると、堀の披露する腰のモゾモゾとした動きは活発さを増していた。
「んんんぅ……! んっ、んっ、んぁぁ……!」
「いい感じっぷりだ。堀さん? その様子、みんな記録として書かれてるからね?」
「んぅ……! やっ、そんなの……か、書かないでぇ……!」
「書くんだよ。で、記録として保管され、学者さん達が好きな時に堀さんのデータを確かめるんだ」
「んんぅ……!」
「ここで何を言ったって、それが消えることはないんだよ」
「んぅぅぅ……! んっ、んんんぅぅぅ…………!」
 言葉によっても責められて、堀の太ももが強張っていた。足首が、指が、妙に力んで反り返り、愛液の量も増えている。指のピストンからクチュクチュと水音が聞こえてきて、広がる水気でテーブルが汚れ始めていた。
 堀のアソコには何かが集まっている。
 具体的な正体のわからない、『何か』としか言いようのないものが、神経の内側を泳いでアソコに集合を始めている。全身の至るところから、電流を伝ってみるみるうちに集まるうちに、見えない何かが風船のように膨らんでいる。
 決して目に見えるわけではない。
 ただ、そう例えるべき何かが膨らんで――。

 ぴたり、

 と、教師は愛撫を停止した。
「え………………」
 そして、このまま自分はどうなってしまうのかと、どこに連れていかれてしまうのかと、未知の運命に対する予感に駆られていた堀は、かえって困惑していた。
 どうして、今このタイミングで愛撫をやめたのか。
「どうしたのかな?」
「…………いえ」
「続けて欲しそうだったね?」
「ちがいます!」
「本当に?」
「ちがいます! 絶対、違いますから……」
 ムキになって否定して、どこか自信のなさそうな気配を残す堀へと、教師はピストンを再開する。
「んぅ…………」
 声は小さなものだった。
 しかし、続けるうちに喘ぐ様子は活発に、つい先ほどまでの様子に立ち戻る。
「んんんぅ! んぅ……! んぅぅぅ……!」
 意識的に唇を閉ざし、歯も食い縛っていなければ、もっと大きく喘いでいるであろう様子で、手足も激しくもぞついている。周囲の男達が手で掴み、固定していなかったら、より激しいよがり方をしていただろう。
 再び、何かが弾けそうな予感が来る。
 目には見えない風船が極限まで膨らんで、アソコの内側で破裂寸前となっているような、これ以上はいけない予感だ。

 ぴたり、

 またしても、愛撫が停止する。
「なんで……」
「どうかしたのかな?」
「なんでもないです」
 きっぱりと答えてみせるが、ピストンが再び始まり、やはり極限を迎えようとした瞬間、同じように愛撫が止まる。
 これが何度も繰り返された。
「んんっ、んんんぅぅぅぅ…………!」
 もう少し、あと少しという予感を迎えるたびに、それまでアソコに出入りしていた指と、クリトリスを弄っていた指が、狙い澄ましたように停止する。
「んぅ……さっきから、先生…………」
「何か言いたいことがあるのかな」
「それは……ないです…………」
 あるとしたら、どうしてこんな目に遭わなくてはいけないのか。この仕打ちについてだけである。
 屈辱感に堀は教師を睨み返し、ピストンで中身を貫かれれば、快感に目を伏せる。
(あぁぁ……! やばい、今度こそ――――)
 次こそ来る。
 何か、初めての感覚が来る。
 今度こそだ。
 そう何度もぴったりと止まるわけ――

 ぴたり、

「先生……!」
「もしかして、絶頂がしたいのかな?」
 そう尋ねてくる教師の顔は、邪悪に満ち溢れていた。罠を張り巡らせた悪魔が、獲物のかかる瞬間を楽しみに待ち侘びているような、ぞっとする表情だった。
「……ちがいます。もうやめて下さい」
「もうちょっと我慢してね」
「んんぅ……!」
 教師のピストンはとにかく上手い。
 まるで何年もかけて堀の性器を知り尽くしているように、出し入れの速度や力の入れ方をわかっている。指で膣壁を引っ掻く際の、狙うべきポイントをわかっている。
(なんでこんな……先生に思い通りにされなきゃ…………!)
 もう何度目かもわからない絶頂の予感を前にして、

 ぴたり、

 もはや、それこそが予想通りの展開だった。
「先生……いったい、いつまで…………」
「もうちょっとかな」
 聞けば答えは「もうちょっと」で、具体的な返事はない。あと何分か、はたまたは何を達成したら終了するのか。それは何も伝えてこない。
「んっ! んっ! んっ! んっ! んっ! んっ!」
 次にピストンが始まる時、教師の腕を動かすリズムに乗って、一定の間隔で同じような声を上げ続けた。
「楽器みたいだね」
 そう言われた瞬間に、この反応は教師によってコントロールされたものだと悟り、堀はすぐさま抗った。思い通りの反応などしてやらない、もっと声を抑えたり、リズムを崩してやろうと苦心するが、何故だかどうにもならなかった。
「んっ! んっ! んっ! んっ! んっ! んっ!」
 悲しいほど何も変わらず、またしても絶頂の予感を迎える。
 当然、ピストンは止まった。
「せ、せんせい…………」
 もう堀は泣きかけていた。
「望みを言ってもらえたら叶えるかもしれないけど?」
(言わせる気なんだ…………)
 絶頂したい、イカせて欲しい。
 快楽の懇願を堀自身にさせるつもりだ。
 もしかしたら、そうなる時までこの寸止め地獄は続くのだろうか。
「んっ! んっ! んっ! んっ! んっ! んっ!」
 ピストンがまた始まる。
 それはやがて、狙い澄ましたタイミングで停止する。
「んっ! んっ! んっ! んっ! んっ! んっ!」
 また始まる。
 数分後にはまた止まる。
 焦らし尽くされた肉体には、我慢の限界が近づいていた。時間をかけて、じっくりと忍耐力を削り取られて、それと入れ替わるようにイキたい気持ちは育っていく。
(イキたい…………)
 いいや、思い通りになりたくない。
 だが、イキたい。
 このままでは、ずっとイカせてもらえない。
 もしかしたら、イクことができないまま終了して、帰らされるかもしれない。悶々としたまま家に帰って、持て余した体をどうすればいいのだろうか。宮村とはまだ一度もしていない。経験がないであろう宮村を頼っても、経験豊富な指遣いには勝てないだろう。
 ここでスッキリしないとまずい。
 そんな危機感が芽生えていき、いつしか堀は懇願した。

「……イカせて、ください」

 堀はとうとう折れていた。
(こんな奴に頼むなんて……でも…………)
 屈辱で堪らない。
 しかし、他にどうしようもない。
「イキたいのかな」
「イキたいです。イカせて下さい……」
 恥を忍んでお願いしていた。
 こんな惨めな願いを口にして、教師をいい気にさせなくてはならないのが、悔しくて堪らない。それでも屈辱を抑えて頼まなくてはならないほど、堀は快感によって追い詰められ、削られてしまっていた。
「もう一度、大きな声でお願いしてもらえるかな?」
 教師は見るからに調子に乗っていた。
 周りの男達も、堀がどんな言葉で快感を強請り、絶頂を求めるのか、いかにも楽しみそうにしているのだった。
 ぐっ、と。
 堀は一度、歯をきつく食い縛り、無念を堪えるために目を瞑る。まぶたを固く閉ざして目尻を震わせ、やがて再び目を開く。

「……お願いします、先生。もう、我慢が出来ません。私をイカせて欲しいです」

 心の中で無念がひどく厚みを増す。
 久しく指のピストンが行われ、クリトリスへの指摘も始まり、今まで滞っていた快感が改めて吹き荒れる。
「あぁああ……!」
 もう声を抑えられない。

「あっ! あ! あ! あぁぁ――――――!」

 あっという間だった。
 一分もせず、堀は限界に達して足腰を痙攣させ、指の刺さった穴の隙間から潮を吹き、ぐったりと四肢をだらけさせていた。
(ほんとにイカされた……)
 求めた通りのことが起こって、肉体に溜まった悶々としたものは晴らされた。その一方で、やはり肉体を思い通りにコントロールされている屈辱に、もう何も言葉が出ない。
「もっとイってみるかい?」
 教師はニタリと笑いながら、またしても指攻めを開始する。
「え? そんなっ、先生! もう――んっ! んぁぁぁ……!」
 堀は喘いだ。
 髪を激しく振り乱し、いとも感嘆に快楽に飲み込まれ、ひとしきり喘ぎ続けてから、数分後には足首を反らして背中も浮き上げ、二度目の絶頂に入っていた。
 そして、二度もイったのに教師は指を止めない。
「ほんとに――もう、これ以上――あぁぁ……!」
 三回目の絶頂へ連れていかれた。
 ぐったりとしている暇もなく、四回目の絶頂をさせようと、教師は飽きることなくピストンを繰り返し、クリトリスにも丁寧な刺激を与える。

「またイキましたね」

 数分後の職員の台詞がこれだった。
 その手元では、バインダー留めの書類に絶頂の回数を書き込んでいる。

「ううん。これで十回目か」

 それが数十分後の台詞。
 職員が書き込む内容には、一度イってからもう一度イクまでに、何分何秒かかったかの時間さえもが書かれていた。

「失神しましたね」
「これで限界か」
「では終了ということで、後の始末は任せてもよろしいのでしょうか」

 三人の職員達は、それぞれ書類の荷物をまとめ、揃って教室を出ていった。
 教師と医師は後始末を自ら引き受け、悪巧みの顔を浮かべて堀を見る。
 今の堀は気を失い、裸のままみっともなくヨダレを垂らし、アソコからはお漏らしのように愛液を広げている。決して人様には見せられない姿に向け、二人そろってカメラを取り出し、撮影を行った。

「では抜いておこうか」
「そうだねぇ? 我々も、処理しないとねぇ?」

 教師と医師はそれぞれのペニスを取り出し、堀の裸を見下ろしながらしごき始めた。
 単に見てネタにしているだけではない。二人して切っ先で頬を突き、カウパーを擦りつけ、透明な糸を引かせている。顔を挟み撃ちにした状態で、まず一度目の射精を行うと、二人分の精液が顔を存分に汚していた。
 二度目の射精をしようと、二人は次に手を使った。
 堀の手だ。
 意識のない堀の手首を取って、どうにか指に絡めさせ、握らせて、二人は己のペニスをしごく。
 こうして、二人は堀に精液をかけ続けた。
 乳房を汚し、腹を汚し、股の周囲にも精液を付着させ、存分に汚し尽くした堀の姿は、成人向けの漫画やイラストで見る輪姦後の少女そのものだった。ひとしきり、好き勝手に体を使われ、体中を精液で汚された挙げ句にその場にヤリ捨てられていく。それそのものの光景が出来上がっていた。

 パシャ! パシャ!

 二人して、満足した後も撮影を繰り返す。
 全身が収まるように、顔や胸だけをアップしたものも忘れず、何十枚もの画像をデータ容量の中に納めて、ようやく本当に後始末を開始する。
 清掃を行い、近くに着替えを置いてやる。
 実に数十分後に目を覚ますこととなる堀を下校させ、仕事が完了となるまでのあいだ、思い出したようにアソコの中身を写したり、肛門をアップにしたりと、暇つぶしを続けていた。