後がない。
警察署内の散策に当たっていたクレア・レッドフィールドは、弾を一発も残していない状態で、手元に振り回せる武器もなく、何本かはあったナイフも、とっくに他のゾンビに突き刺したまま、回収の暇もなく手放す流れとなっている。
「最悪…………」
丸腰の状況でクレアを密室に追い詰めたのは、女とみるなりズボンを脱ぎ捨て、ヨダレを垂らして迫るゾンビであった。
ゾンビには二種類いる。
噛みついて、肉を喰らおうとしてくるものと、女を見るたび性的に襲おうとしてくるものである。狭い空間に追い込まれ、出口はゾンビの向こう側ともなってしまうと、もはや相手が男性器をぶらぶらと揺らしているのを不幸中の幸いと思うしかなくなった。
食欲タイプと、性欲タイプとでも呼べばいいだろうか。
「仕方がないっていうの……?」
真っ平なのは違いない。
望みもしない性交に、当然のように心は傷つく。まして普通の生きた男性ですらない、元は人間とはいえ怪物でしかなくなった相手と交わるなど、そうしなければ死ぬ状況でもない限り、あり得ない話なのだった。
そして、今がまさしくその状況だ。
今まで何度となくゾンビと対峙して、逃げるか、殺すかを繰り返すうち、いつかはしくじる時が来る。いかにミスの少ない人間でも、同じ作業の繰り返しを、いつか一度は間違える時が来る。命懸けの状況かでは、そんな不運なミスが生死に関わるのだ。
いつしか押し倒される羽目になり、死の恐怖に戦慄した。大きな悲鳴を上げ、必死に抵抗したものの、クレアはあえなく犯された。
そう、犯されたのだ。
レイプされ、そういうゾンビもいると、そうなって初めて初めて知った。
最初はショックで放心したが、ゾンビだらけの署内で泣いているわけにもいかず、立って進んでいくしかなかった。二度、三度と追い詰められ、危機に陥った経験から、性欲ゾンビには素直に身体を差し出す方が、少しはマシだと学んでいる。抵抗すれば肉に食らいつき、爪を突き立て、残忍な暴力によって動きを封じようとしてくるのだ。
「死ぬよりマシね」
後ずさっていくにつれ、背中を壁にぶつけたクレアは、迫るゾンビを前にジーパンの留め具を外し、下着もろとも膝まで下げる。壁に両手を当てたバック挿入の体位により、クレアは剥き出しの尻を差し出した。
「助かるため……助かるためよ…………」
普通なら決して受け入れるわけがないセックスを、他に道がないから受け入れる。
フラフラとした足取りで、一歩ずつ迫って来たゾンビが、おもむろに尻を撫で回し、クレアの膣内に容赦なく挿入した。
「あぐぅぅ…………!」
まともな準備などしていない、愛撫もなければローションもない挿入に、湿り気の足りない膣壁に痛みが走る。
「グゥゥゥウ……ワッグァァ……!」
ゾンビは獣でしかない呻りを上げ、本能の赴くままにクレアの腰を掴んでいる。
肉棒の太さに合わせ、大きく開いている膣口で、ピストンによって生じる摩擦が痛い。まるで中身を擦り下ろすかのようだったが、痛みに応じて徐々に分泌液が滲み出る。それは膣壁を保護するための、愛液とは異なるものなのだが、しかし確かに肉棒の滑りは良くなった。
スムーズになった腰振りで、クレアの尻はパンパンと、パツパツと、良い音をリズミカルに鳴らしている。
「ああもう……どうしてこんな……!」
ゾンビなんかと交わることの嫌悪感に、クレアはいっそ泣きたくなる。弾さえあれば決してこんな真似はさせないのに、せめてナイフの一本でも、たかが一匹なら殺してみせる。対処できてもいい相手との性交なのが、歯がゆさを強めていた。
清潔とはほど遠い相手の肉棒が入っているのも、人並みの乙女心の持ち主には辛すぎた。
それに、経験からしてクレアは知っていた。
「そろそろね」
弾切れ、切れていなくても節約。
生き延びることを考えて、泣く泣く肉体を捧げた過去の性交から、まるで汗でも出るかのように、肉棒の表面にある種の体液が浮かぶことを知っていた。それが女の身体に染みついて、浸透すれば、どういう効果をもたらすかも。
「あう……!」
声が出そうになり、クレアは咄嗟に裾を噛み締め、少しでも喘ぎ声を出さないように努力を始めた。
「んぅ……んっ、ん、ん、んん……! ん、んぅ……!」
歯を食い縛ることに懸命になった。
クレアは気づいている。この狭い部屋に追い込まれた際、今このゾンビの後ろにあるドアは開いたまま、いつ他のゾンビが入って来るかがわからない。それが性欲のゾンビなら、よくはないが、死の危険が増すよりはマシだ。
この状況で人肉喰らいに来られるなど恐怖でしかない。
「んっ、んっ、んっ、んっ、んぅ……ん……ん……んん……んんぅっ、んっ、ん…………」
相手の顔も見えない体位で、クレアは深く目を瞑り、顎の力が抜けないようにと意識を強く保ちながら突かれている。快楽がほとばしり、甘い電流が背筋を駆け上がり、脳まで達して思考が染まりそうになっているのを、懸命に懸命に保っている。
「グォア――グゥゥ……!」
垂れるヨダレがポタポタと、尻を濡らして鳥肌が立つ。
ぱん、パンッ、ぱっ、パツ、ぱつん、ぱつ、ぱっ、パ、パッ、ぱつ――――。
ピストンの腰が尻にぶつかるちょっとした衝撃で、クレアの身体はわずかに前後に揺れ続けて、ポニーテールにもかすかながらの振動が届いている。
ぱっ、ぱつ、パツっ、ぱつん、ぱつ、ぱっ、パ、パッ、ぱつ、ぱちゅ、ぱつッ――――。
「んっ、んん、ん、んんん……んぁ……ん……くぅ……んっ、んぅ……んぅ……」
始まってから、何分経ったかもわからない。
おそらくは十分近く、こうしてゾンビは動いている。クレアも快楽に耐え続け、歯を食い縛ったまま必要以上の喘ぎ声は出していない。
クレアは耐えきった。
――ドクゥゥゥ……びゅくっ、びゅるるん!
何の予兆もなく、前触れのない急な射精に驚きつつも、膣内に広がる白濁の熱気に、行為が済まされたことにひとまずは安心する。肉棒を引き抜いたゾンビは、満足したとばかりに背中を向け、ヨロヨロと、ヨタヨタと、時に大きくふらついて、一人で勝手に壁やテーブルにぶつかりそうな足取りで去って行く。
ぐったりとうずくまり、息を整えるクレアは、すぐに開きかけのドアを気にした。
「閉めなきゃ……」
ゾンビが出入り出来ないようにして、少し休んで体力を回復させたい。どうにも上手く立たない足腰で、仕方なく四つん這いで進むクレアは、ドアに手を伸ばして触れかけた。
「嘘でしょ!?」
その瞬間、驚愕していた。
先ほどとは服装も肌も異なる次の性欲ゾンビが現れて、たまたまここまで歩いた風に、思いがけず女を見つけて嬉しいように、始めからズボンなど穿いていなかった下半身の逸物を一瞬にして固くしていた。
「続けてするなんて……冗談じゃないわ……」
クレアに選択の余地はない。
「ああもう……こんな真似するなんて……」
手早く犯してもらうため、どうぞとばかりに仰向けに、足を開いてやるクレアは、獣の勢いで飛びつくゾンビの挿入を受け入れた。
「あぁぁ……! ダメっ、声――んんん――んんっ、んんぅぅ…………!」
やはり声を必死に抑え、三匹目や四匹目が来ないことを切に願う。
「ウゥゥグガァァウッ! グゥゥゥ……ググゥァァ……!」
始末の悪いことに、このゾンビは上手かった。
人間だった頃のテクニックをゾンビになっても発揮するのか知らないが、ケダモノのくせにクレアの膣内をよく探り、ギラついた欲望の視線で感じている様子を確かめる。垂れるヨダレは頬を濡らし、次の瞬間に喰らいつく。
「――ッ!?!?!?」
本気で血肉を喰われるかと思って、眼球が飛び出しかねない勢いでクレアは目を大きく見開いていた。しかし、食い千切ったものは肉ではなく、クレアの赤いジャケットと、その内側に来ていたシャツであった。
たちまちブラジャーの繊維まで引き千切られ、上半身の衣服は布の千切れた残骸でしかなくなって、丸裸も同然となっていく。無事なのは膝に下ろしたジーパンと、その内側にあるパンツのみで、それだけは既に挿入をしているせいか見逃された。
「んんんっ、ぬっ、んんぅ……!」
ピストンと共に、ゾンビの指が乳房を這う。
「んん……! んっ、ンッ、んッ、んぅ……!」
最悪だった。
皮膚の表面を軽やかに撫で回す乳揉みの技巧は、猛獣の呻きを上げるくせに、嫌に優しく女のこともわかっている。たちまち乳首は突起して、甘い痺れが乳房の内側に生じてくる。
「ガァァァウッ!」
肉を貪りそうにしか見えないような、ヨダレを散らして歯も剥き出す食らいつきで、やはりそのくせ吸い方さえも心得ている。暴れる芋虫よりも活発に、元気に元気にベロベロと、口に含んで舐め回し、舌先と乳首のあいだに糸を引かせる。
「ガァァ……! ジュッ、ジュブブッ、ヂュルブゥ――ジュジュゥゥ……!」
汚らしい唾液の音を激しく立て、もう片方の乳房も貪り尽くす。吸引力に引っ張られ、何度となく伸びた乳房は、存分に濡らされていた。
(ああッ、ダメ……! こんなに上手いなんて……!)
スムーズに出入りしている肉棒は、最初のゾンビで出てきたばかりの愛液と、中に出された精液をかき混ぜる――じゅぅっ、チュプ、チュク、じゅぷっ、ズッぷっ、と、まるで舌でヨダレの汚い音を立てているような、そんな水音もアソコから響いていた。
「グゥゥウアアア……! れじゅっ、レロレロレロレロォォォ!」
そして、あまりのおいしさにとり憑かれでもしているように、夢中になってベロベロと、クレアの乳首を右も左も舐め尽くす。乳首どころか乳房全体にかけてさえ、余すことなく唾液を塗りつけて、クレアの乳肌にはゾンビのヨダレが浸透しきっていた。
唾液を吸った皮膚の上に、さらに何度も、何度も何度も、しゃぶっては舐め、しゃぶっては舐める乳攻めに、もはやローションをまぶしたものと変わらない、濡れた輝きさえ放ち始めていた。
気持ち良すぎた。
「んんんんんんんんんん! んんっ、ンッ! ん! んぁ、んあぁぁ……! あッ、だ、だめッ、声ッ、んんん! ん――あぁ……!」
活発なピストンが、あたかもそういう発電であるように電気を生み、足のつま先にかけて電気が走る。痙攣じみて足首が反り上がり、太ももの筋肉もピクピクと、肉棒の動きに応じて反応している。
飽きる気配の見えない乳攻めも、舌を伸ばしすぎたあまりに根元が千切れても構わないかの勢いで、限界を超えて長く長く伸ばして舐めてくる。
(ま、まずい――このままじゃ本当に……!)
クレアが抱く危機感の通りに、歯を食い縛るための筋肉も疲弊してきた。どれだけ唇を引き締めても、それでも外に出ようとしている声が、抑えていても「ん! ん!」と、始めよりも明らかに大きく漏れていた。
ただでさえ、このゾンビ自体が五月蠅く動物の鳴き声を上げている。ドアを閉めることも叶っていない。それで喘ぎ声まで上げてしまえば、騒音を聞きつけた何匹のゾンビが、ここに向かって来ることか。
ここに来るまでの道中、弾の節約のためにやり過ごし、殺さずにいたゾンビはいくらでもいるのだ。
(絶対っ、絶対に耐え抜くわ!)
クレアは両手を使ってまで、全力で口を塞いだ。声を出さないことに力を尽くし、だから口を押さえるためだけに、腕力の限りを尽くしていた。
だが、その瞬間だ。
「ガァアアアアアアアアウ!」
(そんな!)
それを見たゾンビは、おもむろにクレアの両手を掴み、力ずくで床の上に押さえつけ、顎や唇の力だけで我慢するしかなくなった。
「ガゥゥウ! ガッ、グゥゥゥウ!」
ゾンビは大胆に顔を近づけ、キスするつもりのような至近距離から、クレアの表情をあらゆる角度で眺め尽くす。
(……ゾンビなのに楽しんでるの?)
肉体的な反応の快楽はわかるが、目で見て楽しむという行為は、果たして知性がなくてもありえることか。クレアにはそんなことはわからないが、少なくともこのゾンビは、まともな人間時代には、思う存分に感じさせ、喘がせながら、じっくりと表情を眺めてやる性癖の持ち主だった。
ゾンビとなっても、本能の中にその行動が残っていた。
あるいは生きていた頃の行動を再現しているだけかもしれないが、どちらにせよクレアには、心なしか目の前のゾンビの顔が、ニタニタといやらしく微笑んで見えているのだった。
「ん! ん! ん! ん! ん! ん! ん! ん! ん! ん! ん!」
気持ち良さに耐えるということが、本当に命懸けだった。それが生死に関わることの必死さで、顎の骨がどうにかなろうと、歯が折れようとも耐え抜きたいかのように、クレアは顔を力ませ我慢に我慢を重ねていた。
(――こんな――こんなに激しく――こんなにイイなんて――どうしてよ!)
クレアは完全に焦っていた。
アソコに何か予兆がある。ピストンの一突きごとに蓄積して、やがては弾けそうな予感のする何かが、股へ股へと寄り集まり、未知の予感に焦燥した。
――イカされる!
ゾンビなんかに、こんなところで、絶頂などしてしまっては、抑えきれずに大きな声が出かねない。
(まずい! まずいわ!)
本当に必死に耐えていた。
イった時点で運命は決まってしまうかのように、クレアは首を振りたくり、意味もなく目を瞑るまぶたの力も極限まで、全力を尽くしての我慢を行っていた。
「――んんんんんんん! んんぅ――んんんんんぅ!」
何も状況を知らずに声だけ聞けば、まともな人は女性が何の苦痛を味わわされているのかと、きっと凍りつくだろう。
(イってはダメ! イってはダメよ!)
快楽との、必死の戦いだった。
「ガァァァグゥゥウウッ!」
ピストンは活発化して、摩擦で発火でもしそうなほどに激しく出入りする。それほどの熱さに膣は蠢き、全身がくねってしまう。
「ん! ん! ん! ん!」
限界は近づいていた。
声を封じるための口の力が、顎や唇の筋肉が、出よう出ようとしている声に逆らいきれず、喉の中身を解き放ちそうになっている。叩き続けた扉がいつかは壊れるかのように、声を我慢する力も決壊しかけていた。
長らく出入りしているのだ。
自分がイクより、ゾンビの射精の方が早ければ、満足したゾンビはクレアを置いて去っていくことだろう。それだけに期待を寄せ、あと一分でもいいから耐えきれば、きっと切り抜けられると信じて願う。
だめ……だめぇ……!
しかし、クレアは耐えきれなかった。
ゾンビが行うおびただしい射精量の、子宮から膣の入り口にかけて、一瞬にして満杯になるほどの白濁が放出され、勢いのあまりに肉棒の入った隙間から飛沫が飛び出る。
それと同時であった。
「アァァああぁぁああああああああああぁぁあああ!!!!!!」
クレアは激しく絶頂していた。
全身がビクビクと弾けるように、電流でも流されているように、足腰から両腕が反応して、頭の中まで白く弾けてショートしていた。
「グゥゥゥゥアゥウゥゥ!」
ゾンビが肉棒を抜いていく。
今までクレアの膣内にフィットしていたものが、精液だけを残して去った時、まだ弾を残していた亀頭から、ビュク、ピュクっと、あと何度かの射精がされ、下から上へと、クレアの腹から胸にかけ、顎下にかけても白濁に汚していた。
「あっ、あぁ……そんな…………」
満足したゾンビは起き上がり、フラフラと去って行く。
それと入れ替わるようにして、入って来るのは二匹のゾンビであった。
今の喘ぎ声で、絶頂の声で呼び寄せてしまったのだ。
「あぁ……なんてこと……アレを見てホっとすることになるなんて…………」
二匹の警官ゾンビは、二匹ともが股間の部分を破り散らかし、その内側から勃起した逸物を突き出していた。
ホっとしながら、これから始まる三回目の時間について諦めてもいた。
「んっ、んぐっ、んんん! んんん!」
苦しげな喘ぎ声。
二匹同時に相手をする羽目になったクレアは、四つん這いで両手を突き、バック挿入に加えてフェラチオまで行っていた。
パンパンと尻を打ち鳴らす一方で、後ろからのピストンで揺らされる勢いを使って、クレアは顔を前後に動かす。頬張っているものの太さに苦しみ、どうにか鼻息をしながら耐え、何分続いたかもわからない、二本の肉棒の出入りの中で、尻に精液をかけられつつ、口内の中にも白濁を注ぎ込まれた。
そして、去って行く二匹と入れ替わり、四匹の警備員や警察に、どこからか紛れ込んだ一般男性のゾンビが現れて、いずれも肉棒を見せびらかしていた。
「今日は地獄ね……」
四本の肉棒を同時に捌くため、四つん這いの体位は変えず、手も使っての性行為に、慣れない態勢の辛さに苦しみつつも励んでいた。四つん這いというより、もっと膝立ちに近いくらいに上半身は高めているか。そうすることで両腕を左右にやり、両手とも手コキのために使っているのだった。
尻をプルプルと揺らすピストンに、身体が前後に揺れる勢いを使うのは、今さっきと変わらない。加えて手コキまでこなす大変さに、どうして自分がこんな淫らなテクニックを磨かなくてはいけないのか、運命が呪わしいやら悲しいやらだ。
「ガァァアア!」
バック挿入のゾンビが射精して、それが背中にかかって来た時、これで相手が減って負担が減るかと思いきや、新しいゾンビの気配と共に、見えない相手に腰を掴まれ、持ち上げられ、またしても挿入されてしまった。
左右からの射精に手が濡れて、顔への射精で顔も汚れて、また新しいゾンビが来る。
いつ終わるとも知れない行為に、射精という射精の雨に濡らされ、髪にかかった精液の乾燥で、髪がところどころ固まっていた。頬や額で精液が乾き、その上からまたかけられ、手の平もヌメヌメとして気持ち悪い。
こんな地獄にも終わりはあった。
もう一匹のゾンビも来なくなり、輪姦の嵐の中でいつの間にジーパンも下着も引き裂かれ、白濁濡れの全裸でクレアは横たわった。疲れた身体でぼーっと天井を眺め、ドアを閉めてゾンビの侵入を防ぎたかったことを思い出し、そのために立ち上がり、やっと閉め、次の瞬間にぐったりと倒れて休みに入る。
「なんて地獄だったのかしら。すっかり穢されたわ」
おまけにシャワーも浴びられない。
衣服も無し。
生きた男は、ホールで怪我を抱えたマービンと、どこかで生存しているはずのレオンくらいのものであるが、丸裸で歩き回るのは、それでも心許ない話だ。
「あいつら、弾さえ合ったら全員ぶち抜いてやるわ」
腹の立つ気持ちを声に出し、どうにか心を保って、クレアは静かに身体を休めていた。
そして、地獄は再び――。
「ちょっと! 嘘でしょ!?」
そのまま眠ってしまっていたクレアは、扉を叩く大きな音と、その向こう側にいるゾンビの群れという群れの鳴き声に戦慄していた。
未だ弾を補充する機会もなく、丸腰でこの数は……。
死を覚悟しなければならない状況を前に、そうであれば助かるからと、ここに来ようとしている全てのゾンビが性欲タイプであることを願っていた。
「グゥゥゥウ!」「グガァ!」「アアアゥ!」
「ガアアアウ!」「ギァアアア!」「ギャァ! ギャァ! ガア!」
「キィィィイイガアアア!」
両手でがむしゃらにバンバンと、ドアノブを掴んで普通に開けるという知性もなく、ただただ叩き続けているのだろう。
それがやっとのことでドアノブにぶつかって、腕がドアにあたり続ければいつかは起こる偶然によって、出入り口は開け放たれた。
見覚えのある顔をいくつか見て、クレアは悟った。
雪崩れ込むゾンビの群れの全員が、クレアを犯した快楽に味を占め、抜き取った性欲が再び膨れ上がってからここに来たのだ。ここにクレアがいることを、知性がなくとも記憶して、もう一度来ればまたヤれると、これほどの人数で迫って来たのだ。
確かに、性欲ゾンビなら食い殺されはしないと、命惜しさの期待はあった。
実際に群れの人数を見てしまうと、そんなクレアにしても、さすがに青ざめざるを得ないのだった。
「いやっ、やめて! 来ないで!」
後ずさるが、しかし逃げ場はない。
「やっ、やめ――いやぁぁ……!!!」
群れの中に飲み込まれ、押し倒され、クレアはこの集団の慰み者となった。
我先にと挿入したがるゾンビ達が、こぞって膣に挿入しようと、クレアの股に肉棒を近づける。本番行為の取り合いに、とても入り込めない他のゾンビは、ならば他の箇所で楽しもうと迫って来た。
ずぶりと正面のゾンビに挿入され、正常位で犯され始めたクレアの足に、M字となって広がる左右の足に、本番に入れなかったゾンビが亀頭をこすりつけている。太ももにも、ふくらはぎに、足の裏側にも、亀頭を当てて擦ってくる感触があった。
下半身だけに留まらず、肉棒で顔を挟み撃ちに、頬をつつかれていた。乳房をつついてくるゾンビもいた。腕のどこでもいいから、とにかくクレアの肌に肉棒を接触させ、擦って来ようとしてくるゾンビもいた。
肉棒に包囲されたとしか言いようがなかった。
身体のどこに意識をやっても、必ずそこには肉棒の生暖かさが擦り付けられ、額の上にまで乗せられている。脇腹にすりすりと擦りついてくる亀頭から精液が弾け飛び、太ももにもかかってきて、手にも足にも白濁はへばりつく。
肉棒地獄の中で、数分おきにどこかで精液が放出され、それは必ず身体にかかっている。ただでさえ全身についた汚れに、さらに上乗せが行われて、いつしかクレアの顔面は表面を精液でコーティングしたようになっていた。
乳房も、腹も、性器のワレメや手足の指も、白濁を浴びに浴びて、表面が白濁によってパッキングされ、髪も完全に汚され尽くした。
これだけ大勢が満足して立ち去る頃の、クレアの酷い有様は言うまでもない。
膣には一体何本が出入りしたかは数えきれず、右手も左手も、もう何百本も握ってきたような気さえしている。仰向けだから背中にはかかっていない以外、浴びうる場所の全てに精液が染み込んで、皮膚の半分以上を精液に漬け込んでから取り出したかのような状態だった。
皮膚の感触も、臭いも、気分も、何もかも酷い。
あまりの、本当にあまりの酷さに打ちひしがれ、それでも生きているだけマシと、そう思うことで立ち上がった。
「雨でもいいから、水を浴びたいわね……」
ここにいては、またヤりたくなったゾンビが来る。精気が低下している隙に、性欲タイプの脇を通り抜け、ひとまず安全なホールへ逃れるしかない。マービンにこんな姿を見せるのは嫌だったが、戻らないわけにはいかないのだった。
「ただでやられはしないわ。あいつら……!」
クレアは拳銃を握っていた。
警官ゾンビの腰には、銃の収まったホルスターがあったのだ。どうにかして手を伸ばし、努力して取り出して、床に滑り落ちていき、地獄の去った後にはそうして拳銃が残されることとなった。
弾は少ない。一丁限りの銃。
わかりきった武器の不足に、果たしてクレアは最後まで生きているのか……。
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