第5話 羞恥の面談
いっそ殺して欲しい。
そう思うのは有希ばかりでなく、綾乃の心の中にも当然のようにして、殺せ、死にたい、などと浮かんでいる。
二人はM字開脚を披露していた。
椅子の上に乗せられて、有希と綾乃は二人揃って、足を大きく左右に広げ、性器に視線を集めている。背もたれに背中を預け、その背もたれを少しだけ沈めてやる事で、肛門が見えるようにと角度の調整まで行われている。
つまり二人は今、乳房、アソコ、肛門の、全ての恥部を公開している。しかも肉貝には透明なテープが張られ、ワレメが左右に広がって、綺麗な綺麗な肉ヒダさえもが外気に晒され、恥部の全てで男達の視線を受け止めている状況だ。
男は最初の五人だけではない。
面談の時間になると、さらにぞろぞろと何人もの男が入り込み、実に十人以上の視線が有希と綾乃を好きに眺めている。
二人から見て、並び立つ男達の背後では、プロジェクタースクリーンへのが投影されていた。学校でも見かけるような、白い幕へと映像を映す設備によって、作られたばかりの二人分の資料が並び、アソコと肛門が本人達へと突きつけられているのだ。
上段にアソコの写真、下段に肛門の写真。
中身を開いた肉ヒダと、皺の窄まりの拡大の、二つの写真を上下に並べたその隣に、性器のワレメの長さや肛門の皺の本数など、恥部の計測データが表示されている。写真とセットで本人に見せつける形のスクリーンを背にしながら、男達はニヤニヤと有希や綾乃を視姦している。
この状況だけでも、人を恥ずかしさで殺す気なのか、恥辱や惨めさで泣かす気なのかと問いたくなるのに、さらにもう一つだけ羞恥心を煽る要素がある。
カメラのセットだ。
有希と綾乃の座った席の前には、椅子の高さに合わせるように三脚の高さを調整して、デジタルカメラがセットされている。それはどうやら、主にアソコに向けられているらしく、テープで開いた中身がこうしている今にも動画に収まり続けているというわけだ。
そんな中、面談は始まるのだ。
「し、私立征嶺学園高等部……。一年C組の周防有希です」
まずは自己紹介だった。
「三月十二日生まれの十五歳、学校では生徒会広報の役職を務めており、胸の大きさはCカップ。性感帯はこれといってどこが一番という事はありませんが、乳首、アソコ、それに肛門も……全て一通り、愛撫を受ければ気持ち良くなってしまいます。そしてご覧の通り……処女、です…………」
こんな説明をM字開脚などという、恥ずかしいポーズの上でやらされて、しかもテープでアソコが開いているのだ。処女の肉ヒダを公開しながら、男からすれば振り向く事でスクリーンの写真も確認できる、そうした中で声に出し、処女である事を改めて発表するのだ。
「……同じく、私立征嶺学園高等部の君嶋綾乃です。有希様には以前から仕えさせて頂いており、このたびはご主人様の試練に付き添うため、馳せ参じたしだいです。胸の大きさはDカップ、わたくしの性感帯も、どこが一番感じるかについては、自分でも考えた事がありません。しかし、乳首、アソコ、肛門、わたくしもすべて感じます。そして、処女……です……」
乳房に、肉ヒダに、肛門に、恥部への視線を一身に受け止めながら、綾乃もまた自己紹介を行った。
「さて、君達二人の目的は、ちょっとした弱みを握られ困っていて、我々に協力を求めるものだったね」
「はい、その通りです」
と、有希が答える。
「では有希さん。話に聞く少年によって、今までに受けた仕打ちを全て簡潔に説明して下さい」
「まず、わたくしと綾乃の二人で話をしていたところ、弱みとなるネタを突きつけられ、逆らうわけにはいかない立場となって、スカートをたくし上げるように命令されました。その時は下着を見せた他、ショーツの写真を撮られ、お尻を触られています。日を同じくして、屋上への呼び出しを受け、とあるゲームを持ちかけられました」
「そのゲームとは?」
「十五分間愛撫を受け、最後までオシッコを我慢できたら放尿をしなくていい。しかし、限界を迎えたら屋上で放尿せよ、というものでした。元々、彼はわたくしにオシッコをさせ、それを鑑賞したがっていたのでしょう。それをわたくしが嫌がったところ、何を面白がってかゲームを思いつき、わたくしは手すりを掴みながら愛撫を受け……そして、その……性器を触られることで尿意に刺激を受け、やがて我慢が出来なくなり、屋上での放尿を余儀なくされました」
「なるほど? それは酷い。他には?」
「デパードで買い物を行っていたところ、急に誰かにお尻を触られて、驚いて後ろを見れば彼がいました。その時は綾乃も一緒にいて、わたくし達は二人同時にショーツの中へ手を入れられ、アソコを指で刺激されたのです」
「それは気持ち良かったのかな?」
「……いいえ」
有希は嘘を吐いていた。
(言えるか! 言えるもんか!)
あの少年によって快楽を感じたなど、そう認めることの屈辱といったらない。放尿させられた旨を明かすにも、性器を触られたからオシッコが出たとは言っても、気持ち良かったとは言っていない。
(なにが嘘発見の薬だありえんわ!)
こうして受けた仕打ちの説明をさせられたり、気持ち良かったかなどと質問をされたりするわけだが、有希と綾乃はこの直前に、どうも怪しげな錠剤を飲まされている。
時間を少々遡り……。
――これは実験中の薬でね?
椅子でM字開脚をさせられる少し前、何やら急に薬を渡され実験に付き合うように頼まれたのだ。妙な薬だったら嫌だと思い、それをついつい顔に出してしまったが、気持ちを察した男はこう言い添えてた。
――大丈夫、安全は確認済みだよ。
――人体への害がないかは確かめてあってね。
――その上での実験だから、危険はないよ?
有希の抱く警戒には、睡眠薬を飲まされて……と、そういった事も含まれていたので、それで完全に安心できるわけではなかったが、そちらの条件を呑むから助けて欲しいと、こちらから頼んでいる立場である。断るわけにはいかず、綾乃と共にその錠剤を飲み下した。
嘘を吐いたら性器が反応する薬らしい。
(馬鹿馬鹿しいっつーの!)
などと、さすがにそこまで顔には出していないのだが、腹の底では効果をまったく信じていない。それ故、有希は少年に受けた仕打ちについて、感じていない風に答えていた。
「先ほど性感帯として、乳首、性器、肛門、いずれも一通り感じると仰っていますが?」
「はい、それはその通りです。ですが、彼から受ける仕打ちでは不快感が強く、弱い部分を触られている最中でも、拒否感が働くばかりで、ほとんど感じることはありませんでした」
「本当に?」
「はい、本当です」
「オナニーの経験は?」
「恥ずかしながら、経験は……あります…………」
そう答えておくのは計算だ。
恥ずかしいが、それを肯定するのは本当に恥ずかしいが、乳首やアソコで感じる事にはしてあるのだ。自慰行為の経験を皆無とするのはまずいと考え、そこは少しだけ正直になった。
(清純設定で行き過ぎると逆にリアリティがないもんな)
そういった思考の元で、自慰行為の経験は有りとしつつも。
「では頻度は? 週、あるいは月に何度致しますか?」
「月に一度か二度ほどです」
「一番最近のオナニーは?」
「二週間ほど前になります」
本当はもっとしている。
最近のオナニーも、たった数日前の話だったりするのだが、そこは誤魔化しを入れていた。
(ただでさえハズいんだからな、オナニーやってること自体は吐いてるんだし、頻度くらいは嘘を吐かせてもらおうか)
「さて、肛門検査はどうでしたか?」
「恥ずかし……かったです…………」
「快楽はありましたか?」
それも本当は嘘を吐き、気持ち良くなどなかった事にしたいのだが、愛液で濡れた肉貝を見られているのだ。さすがに誤魔化しようがなく、この質問については真実を答えるより他はない。
「……感じ、ました」
頬が熱で疼いた。
指が皺の内側で蠢いて、抜かれても余韻が続き、未だに挿入されたままであるような感覚を思い出す。下手に記憶を刺激されたせいなのか、薄らいだはずの余韻が蘇り、また指の埋まった違和感や、それによる刺激さえも肉体に再生され、有希は頭を沸騰させていた。
「なるほど、肛門検査は気持ち良かったと」
「はい」
「どう気持ち良かったか、詳しく説明できますか?」
「く、詳しくですか? そう、ですね。ジェルの塗られた指が押しつけられて、だんだんと入ってくる最中の、指と皺の部分で擦れ合う感覚でしょうか。その時の摩擦のために、お尻の穴が気持ちいいような、そんな気がして……。そして、気づいた時には濡れていて、それを指摘されてしまって、非常に恥ずかしくなりました……」
「しかし、件の少年の指では感じていないと」
「はい、彼については、痴漢されている感覚というか、気持ち悪さといいますか、不快感がどうしても勝りますので、感じる事はありませんでした」
「なるほど?」
これで一旦、有希への質問を切り上げてか、今度は綾乃に矛先が向けられる。有希が「感じていない」としている以上、それに話を合わせた綾乃も、デパートでアソコをやられた時、それに肛門まで触られた事については、快楽の事実はなかったものとしていた。
綾乃が受け答えを行う時には、有希が先ほど言いそびれた内容、男の子に対するクイズの件にも触れていたが、濡れていない設定を通すため、クイズの正解はマッサージ、肩揉みと同じことをアソコにしていただけだ、という答えだったものとして改変していた。
(ナイス改変!)
と、有希は綾乃に、心の中で称賛を送った。
「肛門検査はどうでしたか? 気持ち良かったですか?」
だが、誤魔化しようのない質問がきた。
「……はい。感じてしまい、恥ずかしかったです」
「どのように恥ずかしかったと思いますか?」
「お尻を高く突き出して、性器も肛門も見えてしまう形で、あのいかにも無防備に弱点を曝け出すといった感覚が、非常に恥ずかしくてたまりませんでした。視線に晒される事もそうですが、指を入れられている最中も、頭が沸騰するかのようだったと思います」
「今も恥ずかしいですか?」
「はい………………。とても、恥ずかしい、です…………」
だから許して欲しいかのような、消え入りそうな声だった。
(ったりめーだ! 今も絶賛、恥ずかしさで死にそうな最中に決まってんだろうが!)
全ての恥部をまとめて公開しているのだ。
テープで中身を開かされ、肉ヒダの奥まで視線が刺さってくるのだ。
スクリーンで自分自身の二つの穴が突きつけられているのだ。
この状況が恥ずかしくなければ何なのか。
ショーツを脱いだ時から今の今まで、ずっと耳まで真っ赤のはずではないだろうか。
「ところで周防さん」
「はい、なんでしょう」
「あなたはここまで、大変よく協力してくれました。それには感謝していますが……」
(いますが?)
何やら不穏なものを感じる。
まさか、嘘がバレたか?
いや、そんなはずはない。
嘘を吐いたらアソコが反応するなどという、馬鹿げたファンタジーの薬など存在してたまるものか。
「嘘を吐いていますね?」
「んな!?」
「具体的には、件の少年による愛撫について、感じたにもかかわらず感じていないと答えています」
「いえ、そんな事は……」
「膣口が反応していましたよ? 実際に確認してみましょう」
その時、一人の男が三脚台からカメラを取り外し、そのモニター部分を見せつけてきた。今の今まで撮られ続けたアソコの映像を前に息を呑み、恥ずかしさで今にも目を背けそうな有希の目の前で、その小さな画面の中で――。
『それは気持ち良かったのかな?』
『……いいえ』
ヒクっと、膣口が収縮していた。
(こ、こいつは……!)
アソコの中身を撮るためだけのカメラの中身は、延々と肉ヒダを映し続けた動画である。体に身じろぎが起こったり、足腰の仕草があった時ぐらいにしか、これといって動きらしい動きはない。
だが確かに、その瞬間だけはヒクっと、膣口が収縮をしていた。
『では頻度は? 週、あるいは月に何度致しますか?』
『月に一度か二度ほどです』
――ヒクッ!
オナニーの頻度を答えた時も、有希自身には何も自覚がなかったのに、こうして動画で見れば確かに蠢きがあった。
『一番最近のオナニーは?』
『二週間ほど前になります』
――ヒクッ!
『しかし、件の少年の指では感じていないと』
『はい』
――ヒクッ!
嘘を暴かれる動揺と共に、自分自身の性器の蠢きを突きつけられる恥ずかしさを顔に浮かべて、有希の表情は完全に歪み尽くしていた。焦りが滲み、羞恥心で耳も真っ赤に、滑稽と化した有希へと注目が集まっていた。
「あなたは嘘を吐きましたね?」
(ちょっと待てマジかあの薬マジか!)
「これは誠意に欠ける行動です」
(や、やっべぇ! ここまで耐えてきて、これで何の成果もなかったりしたら――)
「ですが、チャンスを与えましょう」
(っし! 助かった! 助かったけど、いったい何やらされんだ? まさかヤらせろとかないよな?)
「クンニさせて下さい」
(く、クンニだとぉ? 舌で舐めさせんのか? 口でやられんのかよ! けどヤらせろってなるよりは……)
有希はコクコクと頷いた。
すると一人の男が前に現れ膝を突き、直ちに顔を埋めてきたかと思いきや、舌を突き出す動作によって、膣へのピストンを始めるのだった。
「うおっ!」
強烈な刺激が背中に走る。
じゅくじゅくと、唾液の音を惜しげもなく鳴らした口技で、性器がみるみるうちに快感に満たされる。下腹部を通じて背骨を電流が駆け巡り、頭にまで甘い感覚が届いてくるような、強烈なものに見舞われて、有希は激しく喘いでいた。
「あぁ……あっ、うおぉ!」
その刺激に狼狽していた。
(やばいって、マジでなんだコレは! なにこんな、コイツ絶対テクニシャンじゃねーかよ! どうなってんだオイ! これって、やべぇ、エロ漫画の状況――い、イクイク! イクゥゥゥゥゥゥ!)
頭が真っ白に染まり変わって、気づいた時には背中がビクビクと震えていた。何秒もかけて方針して、ハっと気づいて目覚めたように目を見開けば、肩で息をしている自分がいた。
そして椅子や床を見てみれば、大胆にも愛液が噴き出しているではないか。
(オイ、こいつは……)
有希は確信した。
頭が真っ白な感覚を思い出し、ビクビクとした体の感じも思い出し――。
マジでエロ同人みてーな体験をしちまった!
イク、イク!
と、声に出したわけでこそないが、心の中では叫んだその上での絶頂など、エロ漫画でなければ何なのか。
その後、本当は感じたことについての真実を白状させられ、また改めて恥ずかしい思いをしたのは言うまでもなく……。