第4話 さらなる検査
だが、身体測定など完全に序の口だった。
(わかっちゃいたよ? わかってたよ? んなもん、事前に条件出されてるもんなぁ?)
そして、それ呑み込みここにいて、だから本当は何か言いたいセクハラも、ぐっと堪え続けているわけだが……。
「はい、お二人とも。次の身体検査では、ショーツを脱いで頂きます」
いよいよ、その時が来てしまった。
(腹を括るか)
五人の男が見ている前で、有希と綾乃の二人は並び、それぞれ自分のショーツに指を差し込む。腰の両側に滑り込ませた指により、下へ下へと布をずらして、お尻を徐々に露出していく。
尻の上をゴムが滑っていけばいくほど、この布を手放さなくてはならない心細さで、今すぐに穿き直したい気持ちに駆られるものの、二人はそれを抑えてさらに下へと脱いでいく。
太ももを通り抜け、膝に至って片足ずつを持ち上げて、穴の中から両足を取り出した。
二人は全裸となった。
有希は、綾乃は、右手にショーツをぶら下げて、顔を今まで以上に赤く染め上げ瞼を閉ざし、苦悶ながらに気をつけの姿勢を保っていた。
そして、それを五人の男が囲んでいる。
一様にニヤニヤと、有希の控え目な乳房や、綾乃のそれよりも大きな膨らみを視姦して、アソコの見栄えも確かめている。後ろへと回り込み、お尻を眺める者もいた。
二人はどちらも、それら視線をひしひしと感じている。
ジィィィィ…………。
と、瞳から照射されたレーザーで、皮膚に熱が染み込んでくるような、ありもしない温度を胸やアソコやお尻に錯覚して、視線が気になって気になって仕方がない。五人の男に囲まれながら、全裸でいることが恥ずかしくてたまらない。
「ではね、只今からノギスを使って、お二人の乳首やアソコ、肛門などをそれぞれ計測していきます。さっきよりも恥ずかしいと思うけど、どうかにか我慢して下さいね」
(簡単に言ってくれるわ)
こうしている今にも頬から火が噴き出している真っ最中だというのに、ノギスを握った男が迫り、乳首の計測を始めるのだ。アームのスライドによって物を挟んで、その長さを計測する器具が乳房へ添えられ、その時にや綾乃の胸でも動揺に、乳首の計測は始まっていた。
乳首の直径が、乳輪の直径が測られた。
知ってどうするのか、測る意味は何かあるのか、理解出来ないデータが取られ、次に計測の対象になるのはアソコである。
「では二人とも姿勢を変えて、足は肩幅ほどに開いて前屈をして下さい。そして、自分で自分の足首を掴んで下さい」
そんな指示に従い、尻を高らかにするポーズを取れば、下半身がまったくの無防備だ。お尻の割れ目は左右に広がり肛門が丸見えに、そしてアソコも隠す事の出来ない、極めて恥ずかしい状況に、有希と綾乃は同時に陥る。
そして五人は見た。
高らかになった尻が二つ並んで、放射状の皺の窄まりを惜しげもなく公開したポーズの、汚れ一つない清潔な肛門へと視線を注ぎ、ノギスを握った二人の男は、それぞれ有希と綾乃の尻を図った。
二人は金属を感じていた。
皮膚へ添えられた固い感触で、今まさにお尻の穴を測られている真っ最中だと肌に伝わり、ならば当然、肛門へと視線が注がれているはずと思って、頭を激しく沸騰させている。
「はーい、肛門の直径は――」
と、そんな数値が声に出されて書類の中に書き込まれるという、地獄のように恥ずかしい時間の中で、有希が思っている事はこうだった。
(死ぬわ! 恥ずかしさで死ぬわ!)
とにかく心で叫んでいた。
(もし羞恥地獄があったら、それはここ……)
地獄には種類があるが、ならば羞恥地獄というものが存在すれば、それはこういった具合ではないかと、綾乃は激しい苦悶の中で感じていた。
「ええ、肛門の皺の本数はですね。一本、二本、三、四……」
と、そんなものまで数えられ、そして次にノギスが触れて来た際に測られたのは、性器と肛門までの距離だった。また次にノギスが肌に当たった時は、性器のワレメの長さが計測され、大陰唇の横幅が測られた。
指で中身が開かれた。
男の指が性器に触れた瞬間に、二人のどちらもぐっと背中を硬くして、強烈な緊張感に駆られながらに、肉ヒダを覗き見られる死ぬほどの羞恥を味わっていた。首から上が燃え盛り、いつか脳や頭蓋骨が炭に変わる日が来るのではないかと、そんな想像が頭を掠めるほどの羞恥の熱に煽られて、それほどまでに恥ずかしい中、膣口の幅が測られた。小陰唇――ビラビラとした部分が測られた。クリトリスが測られた。性器を計測するだけで、縦の幅や横幅も含め、本当に様々な箇所のデータが採集され、何もかも採り尽くされてしまった気分だ。
そして、しまいには……。
肛門に指が挿入された。
それを担当する二人の男は、それぞれ医療用のビニール手袋を手に嵌めて、ジェルをまぶした指先を肛門に突き立てた。皺の窄まりに押し込んで、徐々に埋め込み根元まで挿入すると、肛門の内側を探ったのだ。
(ぐっ、やべぇ……! 死ぬっ、死ぬ死ぬ! 今日死ぬ! 今死ぬ! ま、ま、マニアックすぎるわ!)
本来、出す場所であって入れる場所ではない、その穴に異物が侵入してきた違和感に、有希は顔中を歪めていた。指の太さの分だけ皺が広がり、だから皺の部分と指の周囲で触れ合っている感触と、腸壁が指でなぞられる感覚の、全てが有希を辱めていた。
(死にます……わたくしも、恥ずかしさで…………)
頭の沸騰を激しいものとしているのは、当然綾乃も同じ話である。何が見つかるわけでもないであろう穴が探られ、その肛門をほじくる光景が、さらに周りの男達に見られている。その壮絶な恥ずかしさは、頭から蒸気が噴き出しかねないものだった。
しばし肛門が探られる。
有希と綾乃は二人して、その異物感や恥ずかしさに苛まれ、しかもそうして肛門検査を受けている間中、尻たぶにぺたりと手の平が置かれている。
すりすりと、撫でられていた。
肛門検査を行う男は二人とも、それぞれ自分の担当する女の子のお尻へと、右手では穴への挿入を行って、左手は尻たぶにセットしている。その左手では不必要に撫で回し、たまに指に強弱を付けて揉むような動きまで見せている。
それら恥辱の時間が過ぎ去り、ようやく肛門から指が抜けても、二人のお尻には余韻があった。左手で触られた尻たぶには、皮膚の奥まで浸透するような、濃い手形でも残されたような感覚が残り、そして穴にはいつまでも、いつまでも、指が収まったままであるような、未だに肛門が広がっているかのような気持ちがしてたまらない。
さらに追い打ちがあった。
ここまで恥ずかしい思いをした二人に、まだ次の辱めが残っていたのだ。
「うーん、ちょっと濡れちゃったかな?」
と、有希のお尻を担当した男が言う。
「ははっ、こっちも出てるねぇ? 愛液」
綾乃のお尻を担った男も、肛門のすぐ下に控えた肉貝に目をやって、その表面にぬかるみが広がっている事への、言及をわざわざ行ったのだ。
「ということは、アナルで感じる素質有りだね」
「では肛門も性感帯と記録して――」
「処女膜は?」
「うん、二人とも処女だね」
二人の周囲でそうした言葉が言い交わされ、しかも今度はカメラの用意がされている。
「次は写真撮影の時間ですよー?」
地獄はまだまだ終わらない。
スーツの男がニコニコとカメラを握り、その前に立たされる二人の少女は、売りに出された奴隷のように暗い顔で、もちろん頬は真っ赤なまま、未だに火が噴き出し続けている。肛門検査の余韻が続き、仕草などの様子を見れば、腕でお尻を気にかけている。
「気をつけ」
そんな二人の姿勢を正させ、スーツの男はレンズ越しに二人の全裸を見た。直立不動の姿がしっかりと収まるように、まずは右側に立つ有希に向け、シャッターを押し込みパシャっと鳴らし、横へとずれて綾乃の裸も撮影する。
「はーい、横向きね」
撮るたび、体の向きを変えさせていた。
側面からの写真がそれぞれ撮られ、すると今度は後ろ向きの指示がされ、後ろ姿がパシャッパシャッと、有希と綾乃で順々に撮られていく。そんな三面写真に飽き足らず、今度は距離を縮めて乳房のアップも、正面と真横の二つのアングルで撮影され、お尻も同様に二回も撮られ、そうやって何枚も、二人の体はカメラのメモリに収まっていく。
「じゃあさっきの、肛門検査のポーズをお願いね」
またしても、二人は自分で自分の足首を掴む。
するとカメラの迫った箇所は肛門で、始めは有希の皺がパシャリと撮られ、その気配に大いに苦悶したのは言うまでもない。後ろに立たれる感覚、肛門から数センチの距離までレンズが近づく気配から、パシャッ、と聞こえるシャッターの音、それら一つ一つに羞恥を煽られ、もはや頭からさえ火を吹き出す勢いで恥じらっていた。。
「指でアソコを開いて下さい」
まさに地獄だ。
片方の腕だけをアソコに運び、せっかく性器に近づけた手の平の使い道は、恥ずかしい部分を隠すのでなく、むしろワレメを左右に広げた肉ヒダの公開なのだ。
パシャッ!
カメラのレンズが迫るだけ迫り、桃色の肉ヒダが撮られた瞬間の、綾乃の激しい苦悶といったらない。顔面に存在する筋肉の全てが硬く強張り、頬に至ってはぷるぷると痙攣するほど力んだ表情は、いっそ滑稽な域にすら到達していた。
(くぅ……! 殺して欲しい……。ホント、マジ、なんなんだよこの……ホント……いっそ殺せって、いまマジに思いまくってるわ……!)
こんなにまで恥ずかしさを味わい尽くして、もうこれ以上はないだろうと思えるようで、ところがまだ続きがある。
それら写真を利用して、資料の作成が行われる。
身長は何センチで、スリーサイズはいくつで何カップで、乳輪の直径や性器のデータ、肛門の皺の数すら記した資料に写真が添付されるのだ。
その上で、面談調査がある。
もしかしたら、それこそが一番の羞恥地獄なのかもしれない。