第4話 催眠解除?
その男はほくそ笑んでいた。
思い通りに事が進んで、面白くないわけがない。順調にお宝が溜まっていく愉快さといったらなく、もはや上手くいきすぎて笑いが止まらないくらいである。
『今日はアナルオナニーをやってみまぁす!』
男は大きな画面で動画を視聴していた。
アナルパールを握ったサリアが画面にお尻を差し向けて、尻尾に隠れた肛門を見せびらかす。肩越しに振り向いて、恍惚とした表情を披露しながら、その棒状の器具で自分自身を辱める映像に、男はハァハァと息を荒げて前のめりとなっていた。
『あぁん! やっばぁ! サリアさぁ、こんなこと初めてやったけど、思ったより気持ちいいねぇ!』
あのサリアがこんな事を口走る。
その姿に、男は興奮していた。
クルビア出身である彼は、かつてライン生命と関わった事がある。その際にサリアの顔に惚れ、さらには武装集団を撃退してのける場面にまで居合わせて、彼女の存在がすっかり頭から離れなくなっていた。
好みの顔に、あの実力。
他者の脳に催眠暗示を埋め込んで、自在に操るアーツの使い手としては、是非ともサリアを辱めたいと、以来妄想の日々を送っていた。
だが、その後はライン生命と関わる機会がなく、お目に掛かる機会がなかった。いくら妄想を働かせ、鼻の下を伸ばして計画を作ってみても、会えなければ実行の機会がない。ただ温めるばかりのプロジェクトを作るばかりとなった男は、やがてそれを半ば趣味としていた。
計画を立て、その通りに辱める妄想をして、それによる自慰行為で発散する。それが男の性癖と化し、パソコンの中には何十もの作戦ファイルが蓄積していた。
たとえ実行する機会がなくとも、頭の中でサリアを犯すこと自体が楽しいので、どのように催眠をかける機会を発生させ、どのように彼女の行動を監視するのか、そういった手立てをいくつもいくつも捻り出し、妄想の中で作戦を成功させながらの自慰行為で気持ち良く射精してきた。
そんな彼に、唐突にチャンスが訪れた。
なんとサリアがこの移動都市を訪問して、何か調査活動を始めたのだ。たまたま、その動向を見守っていられる立場にあった男は、すぐに今までの計画ファイルを見返して、最も現実的な作戦を選び出す。現状に合わせて内容を調整して、根回しにより実行可能な環境を作り出し、やがて彼はオナニーショーの映像を送り付けてやったのだ。
サリアは一体、どんな顔で驚いただろう。
あのサリアが仰天したり、慌てふためいたとしたら面白い。
『んぁっあぁぁぁぁぁぁ――――――――!』
面白いといったら、これもだろう。
アナルパールの出し入れの果て、ビクっと背中を反らし上げながら、愛液を噴き出したのだ。ぴちゃっと音でも聞こえそうな勢いで、膝の間に滴を撒いたその直後、長い透明な糸がぷらぷらと揺れていた。
ああ、なんていい映像だ。
普段のサリアからは決して想像のつかない、ありえないはずの姿を拝む。
こんなに面白い事があるだろうか。
さて、このあたりで発散しておこうかと、男はそこで肉棒を出そうとして――。
「随分な真似をしてくれたな」
突如、背後からかかってくる女の声に仰天した。
「うわっ!」
驚きのあまり高く大きく肩を跳ね上げ、勢い余って椅子の上から尻まで浮かせ、床に転げてしまった今の自分も、きっと随分と面白い有様と言えただろう。
倒れた男が見上げた先に彼女はいた。
「さ、サリア……!」
男は戦慄した。
彼女の冷たく鋭い眼差しが、まるで汚らしい虫でも見下ろすように向いてくる。その見下げ果てたものに対する目つきを前に、男は慌てふためいていた。
いつ? どの時点で?
一体どこに彼女が自分を突き止める機会があったか、頭の中で振り返ろうとしてみるも、パニック気味の彼には考えがまとまらない。
「ロドスの人間を操ったな?」
そんな彼へとサリアは核心を突いてきた。
「知っての通り、移動都市から外への通信は困難だ。そこでお前が私に、あのふざけたショーの映像を送った方法は、同じロドスに勤める人間を操り送信させるものだった」
サリアが迫る。
ずっと憧れてきた彼女だが、この状況とあっては恐怖の対象である。一歩近づかれただけで心臓が跳ね上がり、男は腰を抜かしたまま、踵で床を押し返して後退した。
我ながらみっともなかった。
だが、この状況で助かるには、どうにか懇願して命だけは見逃してもらうより他にない。
「お前が当時操ったメンバーが再びこの移動都市に現れる。となれば、彼の脳にかかったお前のアーツは、おそらく仕掛けた機械のように使い回しが効いたのだろう」
後退する男へ向かって、それ以上の速さでサリアは迫り、そして胸倉を掴んで来た。
「仲間には私自身を監視させる事も考えた。だが、お前がそれを悟る可能性も私は危惧した。そこで別の方法、仲間に仲間を監視させる事を思いついた。そう、お前が私に動画を送信させた男の事だ」
サリアの腕力は男の体をみるみるうちに持ち上げて、もう爪先が床を離れていた。
「そ、それじゃあ……」
「お前が私を監視させる方法は、周囲に人員を配置するだけではなかった。内部からさえ目を光らせるため、お前はロドスの人間を操作した。だが彼には操られている自覚がなく、自分がスパイをしている事に気づいていない――記憶を飛ばす芸当がお前には可能だからな」
こうなる事など男は想像していなかった。
バレるはずがない。
彼女は永遠に犯人に辿り着くことなく、ただ延々とこの手に弄ばれて終わるのだと、男はそう疑いもなく信じていた。
だが、彼女の拳に胸倉が掴まれて、この体が今こうして宙に浮いている。
今すぐに男を始末するのは、サリアにとって容易いだろう。
……死ぬ。
ああまで辱めてきた以上、きっとこの場で殺される。
「今すぐ催眠を解いてもらうぞ」
「……え?」
「当然だろう。解かないつもりなら、それ相応の措置を取らせてもらうが、果たしてどのような措置が適当か。お前自身の意見を聞いてみようか」
「と、解く! 解くから! 殺さないでくれ!」
男は必死であった。
果たして彼女に、男を殺す気はないのか。その確信を持てているわけではない以上、命乞いには必死になった。
「では解いてもらうぞ」
サリアの拳がパーへと変わる。
瞬間、体が床に落下して、腰を強打した痛みに呻く。
「うっぐっ……」
催眠……そうだ、催眠だ……。
男は催眠を解くために、アーツユニットである銀色のスティックを握り締める。それをサリアへ突きつけて、そして当然のように解いてもらう気でいる彼女は、ただその瞬間をじっと待ち侘びているのであった。
心臓がバクバクする。
いいや、大丈夫だ。
――出来る。
きっと殺されはしない。
自分のアーツがもたらす結果について、不安と緊張と恐怖を抱くが、やがて彼は決意する。催眠をただ解くと思っているサリアに向け、男はアーツを発動して――。
「ひっあっ! くぅ……!」
その瞬間、サリアは喘ぎ声を出しながら膝を突き、胸とアソコを手で押さえた。
「んっあっ! くぅぅぅ!」
だが、その反射的な動作がまた――まずいのだ。そんな真似をすれば、着衣による摩擦が皮膚へ行く。乳首に、アソコに、微細な刺激が及ぶだろう。
「確かに、解かせてもらったよ。サリアさん」
状況があっさりと逆転した。
今度はサリアが地べたにしゃがみ込み、それを男が見下ろしているのだ。
「おっ、お前……何を……!」
鋭い目つきでサリアは男を見上げてくる。
たったそれだけだった。
ただ人を見上げる動作を取るだけでも、着衣と肌の摩擦は起こるのだ。
「ぬっぐぅぅ!」
必死の形相で歯を食い縛るサリアの有様が、こうなると滑稽でたまらない。たった今まで、サリアこそが男の胸倉を掴んで持ち上げていたというのに、ただの一瞬にしてこの変わりようが面白くなければ何だろう。
恐怖していた男は、たちまち己の優位を確信して、打って変わってニヤニヤしていた。
「僕のアーツは基本的に脳へ影響を及ぼす。催眠系のアーツとなるよう訓練をしているから、暗示を擦り込むのが僕にとって一番簡単な使い方だ。ただ他にも、様々な応用が利いて、例えば感度をどこまでも上昇できるし、敏感に育った感覚にロックをかけることもできる」
「まさか、ロックを……」
「そう、僕が解いたのはロックだ。暗示効果から成り立つロックを解いた。確かに僕は――催眠を解いた」
サリアはそれだけ感度の高い女になっていたのだ。
初めて催眠をかけた時から、今回の日々の積み重ねで、肉体に快楽を覚え込ませた。脳が刺激を覚えるように誘導して、まるで鍛えれば鍛えるほど感じやすくなるように仕掛けを作り、それによりサリアは感度を磨いた。
普通ではありえない、尋常でない成長ぶりで感度は上昇していくが、するとやがては日常生活に支障をきたす程に敏感な体になる。着替えるだけで乳首が突起して、ショーツを穿き替えるだけで濡れるくらいならまだ可愛い。
サリアはもっとそれ以上に、着衣の摩擦程度でいちいち絶頂しそうになるのだ。
そうまで感度が育っては身動きが取れまい。
そこで男は逆にロックのかかるような暗示をかけ、サリアの感度を制限した。
ロックを解除した結果がこれだ。
「僕はね。そんじゃそこらの女を操る事に飽きていた。以前はコントロールが下手だったから、操るうちに反応がなくなって、それで退屈するってこともあったね。そんな時にサリアさんの姿を見て恋い焦がれたよ」
男は余裕の態度で彼女へ向かって膝を突き、頬へ手を伸ばしてやる。
サリアはいかにも警戒していた。
ただ指先で頬に触れようというだけで、まるで刃物で刻まれる直前にように緊張していた。
頬くらいで、どれほど気持ち良くなってしまうか。
サリアはそれを恐れているのだ。
かといって、着衣の摩擦が必要以上の刺激となる今、腕で振り払うことすらまずい。下手な身動きを取るわけにはいかず、しかし抵抗しなければそのまま触られる。
どう転んでも喘ぐことになるサリアは、どうやら抵抗の道を選んだらしい。
あと数センチまで指先を近づけた時、サリアは急に腕を振り上げ、男の右手を弾いていた。打たれた痛みで手首が痺れ、男はその赤らみを押さえることになるのだが、きっとサリア自身の方が重傷だろう。
「んぅぅぅぅ! くっ、くぅぅぅ!」
ビクビクと痙攣のように肩が上下していた。
「イったようだね」
「き、貴様……!」
悠然とした男に対して、サリアは頬の赤らんだ顔で睨み返してきた。股を微妙に引き締めて、何となくアソコを気にした素振りがあるのは、きっと今のでショーツが濡れてしまったせいだろう。
「服を脱いだ方がいいかもね? その方が、着衣の摩擦にやられることはない。ああもっとも、脱ぐ最中にいくらでも気持ち良くなってしまうか」
わざとらしく肩を竦めて語って見せると、サリアはより目つきを鋭くしながら問うてくる。
「言え、どうすれば元に戻してくれる」
「そうだねぇ? 少なくとも、僕のこの望みを叶えてくれたら少しは調整してあげるよ」
男はスラックスを脱ぎ始めた。
みるみるうちに顔を顰めるサリアの前で、穿いていた着衣を下ろし、トランクスまで脱ぎ捨てる。解き放った逸物を誇示するように近づけて、自分を見上げるサリアへと、その唇の近くへと突きつけていた。
「……それを、しろというのか」
「まずはキスだ。そうしたら、多少の調整をしよう。ああもちろん、途中で噛んだり、下手な抵抗の素振りを見せたら、一瞬にして今以上の状態に堕とす。僕は怖がりだから、君自身に抵抗の意思がなくても、素振りに見えた時点でビビって堕としてしまうと思うから、せいぜい気をつけて欲しいところだね」
ああ、自分はなんという勝者だろう。
面白いほど悔しげな、屈辱に満ち溢れた顔のサリアが、キスの形に窄めた唇をだんだんと近づける。ただ体を前へ傾けているだけで、じわじわと気持ち良くなっているだろう彼女の、小さな小さな震えを見て取りつつ、男は唇の接近を見守った。
……来る。
正常な意識を保った状態の、今のサリアの唇が亀頭に触れようとしている。
……………………ちゅっ。
サリアのキスが鈴口を癒やした。
柔らかな唇との接触は、芯に熱気を通したような快感をもたらすのだった。
「いいよ? 調整、してあげよう」
男はアーツユニットを見せびらかし、その力の行使によって調整を行った。先ほど彼女自身が説明した通り、まるで仕掛けた機械を遠隔操作するような感覚で、植えつけた複雑な暗示を起動する。
脳にチップでも埋め込んで、その力で書き換える気持ちというのが、感覚としては近いだろうか。
男はサリアの感度を調整した。
少なくとも、日常生活には支障が出ない程度に抑えるが、着衣の摩擦だけで気持ちいい事は変わらない。身じろぎを繰り返せば、それでいつかは愛液が出る程度のレベルへ下げた。
「続けてもらうよ」
そう告げると、サリアは険しい顔で前に進んで、唇の中に肉棒を収めていく。
素晴らしい光景だ。
彼女の頭がこちらへ迫れば迫るほど、その口の中へと自分に生えたものが収まっていく。唇が輪のように大きく広がり、竿の周りにぴったりと沿い合わさっている感覚と、舌のねっとりした感触が触れているのが気持ちいい。
サリアは頭を前後に動かした。
じゅぽっ、じゅぽっ、じゅぽっ、じゅぽっ、
大地と平行な肉棒へと、頭を淡々とスライドさせて、そんな唇の往復から竿は見え隠れを繰り返す。見える際には唾液の付着で輝いて、隠れる際には包み込まれる面積の広がりが気持ちいい。
「ずぅ……ずむぅぅ……ずっ、ずぅぅぅ…………」
眉間に皺を寄せ、睨め上げてくるサリアと、すっかり余裕の気持ちに浸る男で見つめ合う。
やがて達する時、彼は飲ませた。
口内に射精した上、飲むように告げた時のより険しい表情といったらなく、たとえ自分が優位とわかっていても、少しは心臓が冷えるくらいであった。
だが、サリアは飲んだ。
喉をこくこく鳴らして嚥下して、やっとフェラチオを終えた途端に肉棒を吐き出すと、唇との間に濁った糸を引かせていた。
そして、フェラだけでは済ませなかった。
さらに続けて、サリアには全裸を求めた。
彼女が目の前で脱いでいく光景を楽しむと、ブラジャーから現れる乳首は突起しており、下着が白いおかげでショーツが愛液を吸っているのがわかりやすくて愉快であった。
その濡れたショーツが下がる時、股の間で糸が引く。
クロッチとアソコの間に粘っこいものが何本も何本も、しばしのあいだ伸びていく。
生まれたままの姿となったサリアへと、男がやらせようと考えていたのはこれだった。
――土下座だ。
丸裸で正座をして、さらに地べたに頭を当てる。額と床が触れ合うほど、深く下がった頭を立って見下ろし、姿勢のために突き出て見える尻を眺めて楽しんだ。
そればかりか背後に回った。
「お尻の穴が丸見えだよ。サリアさん」
まるでタンスの下でも覗くような姿勢となって、足の上へと置かれたお尻を真っ直ぐに視姦する。肛門の皺をニヤニヤ見つめ、黒ずみの具合やその真下にあるワレメを目に焼き付け、弄ればどんなに面白いかと思って手を伸ばす。
肛門に指を置いた時、腰がビクっと浮き上がり、足と尻の間に一瞬の隙間が生まれた。
「おやおや、随分気持ちよさそうな反応じゃないか」
男はそのまま肛門をこねた。
指を押しつけ、指圧でぐにぐにと揉むようにしてやる刺激を施すと、サリアは喘ぎながら腰を振り、面白いほど活発に反応を示してくれる。
「くあっ! あっ! やっあっ、あぁ……!」
反射的に腰が浮くばかりか、筋肉のビクっと弾けるような反応で、左右に振られもしているのだ。そんな上下左右の動きにぴったりと指を着いて行かせて、ひとしきり肛門を責めた挙げ句にこう求める。
「謝罪しろ」
男は言った。
「そろそろイクはずだ。絶頂しながら謝罪しろ。でなければ逆らった罰を与える」
そう告げた直後、より活発にアナルを責めた。指先で素早くくすぐり、その刺激でサリアはぴくぴくと腰を震わせ――。
「くっ……! ど、どうも、申し訳ありま――あっ、ああああああっ! ありま……せ……! あぁ…………!」
腰を痙攣させながら、肛門を必要以上にヒクヒクさせ、そしてアソコからは潮を噴く。絶頂のタイミングが言葉の上に重なるために、最後まで言い切ることが出来ずに、サリアは果てているのであった。