第11話 そして陵辱

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 杏子への運命の罰ゲームが確定した。
 その後、闇の力に包み込まれて、全身を漆黒の霧に覆われたかと思いきや、次に杏子が立っていたのは浴室だった。
 力で転送されたわけだった。
『ほら、シャワーを浴びていいんだよ?』
 音声が届いて来て、その直後に杏子は気づく。
「いやぁ! なによこれ! 服はどこにいったのよ!」
 体表の白濁だけを残して、体操着もスパッツも、さらにはショーツも消えている。杏子はとうとう丸裸となり、周囲には裸を隠してくれるものが何もない。あるのは湯船とシャワーのみ、タオルがあるとしたら外の脱衣場だった。
『綺麗になるまで出られないよ? 僕の力で、戸は開かないようにしておくから、しっかり綺麗にしてきてね?』
「あ、アンタ……!」
『シャワーが済んだら、僕と愛し合う時間の始まりだ。杏子ちゃん? 君はもう僕から逃げられないから、覚悟を決めておこうね?』
「くぅ……!」
 少年の持つ途方もない魔力に対して、杏子には逆らう手段がない。
 向こうがそう言ったからには、シャワーを無視して外に出ることすら、決してできないわけなのだろう。
 杏子はノズルを回し、シャワーを浴びた。
(いいわよ! どっちみち、こんなままじゃいられないもの!)
 怒りを帯びた眼差しで、全身を熱いシャワーで濡らす。
 気持ち悪い粘液が流れ落ち、排水溝の中へと消えていく。身体の表面から白濁のコーティングは流れ落ち、髪の隙間に詰まっていたのも薄れていく。これだけ気持ち悪かったのに対し、しだいしだいに清潔になっていくのは、それに関して言えば心地良い。
 もっとも、シャワーを済ませ、脱衣所のタオルを借りて身体を拭いた後、出て行く先で待っているのはベッドルームだ。

「やあ、杏子ちゃん」

 体にタオルを巻いた杏子の前で、少年の方は全裸でベッドに座っている。
「……最低よ。アンタ」
「闇の生け贄になるのと、僕のペットとして飼われるのと、どっちがいい?」
「どっちも願い下げよ!」
「それは駄目だね。君は負けたんだから、きちんとどちらかを選ばないと――っといっても、オススメはペットの方だよ? ほら、生きてさえいれば、またいつかチャンスがあるかもしれないんだから」
 用意された選択肢から、嫌でもどちらかを選ばざるを得なくさせ、マシな方と最悪な方を提示する。それは選ぶなどというものでなく、ただの強制でしかない。
「さあ、タオルを外してごらん?」
「……嫌よ」
「じゃあ、魂を僕に吸収されてみる?」
「……っ!」
 杏子は怒りと屈辱に歯を噛み締め、少年を鋭く睨む。
「ほら、タオルを外そうね」
「…………わかったわよ」
 恥辱に震えた指先で、杏子は胸元からタオルを外す。白いタオルがばっさりと、足下に広がり落ちた時、少年の前には杏子の裸体が立っていた。
 張りの良い乳房の先で、乳首が突起しきっている。
 ささやかな陰毛の下では、ワレメが愛液を分泌しつつ、クリトリスもやはり突起している。
(なんでよ……なんでこんな奴なんかに…………)
 途方もなく膨らむ屈辱感で、頭が内側から壊れそうだ。
 杏子はベッドへ上がっていき、鋭く睨む視線を変えないままに横たわる。これから自分が何をされ、どう扱われるか。わかっていながら、それを避ける道が存在しない。この気色悪い男に身を差し出し、抱かれるより他はないのだ。

「杏子ちゅわぁぁぁぁん!」

 少年は食いついてきた。
「やっ! ちょっ、ちょっと! いきなり……!」
 餓えた猛獣の勢いで、少年は襲いかかった。
 その凄まじさに杏子は反射的に手で押し退け、抵抗をしてしまうが、暴れたせいで闇の力を行使されたら、などという計算は頭にない。勢いよくやって来られた驚きで抵抗に夢中になり、杏子はひたすら腕力で押し返そうとしているのだった。
 だが、少年の小太りした体重は押し返せない。
「ちゅーしようね! ちゅー!」
 分厚くねっとりとした唇が迫る。
「いぃぃ……!」
 杏子は引き切った戦慄の顔で、必死になって力を込めるが、少年の顔はそれでも接近し続ける。着実に距離の詰まってくる野獣をとうとう食い止められず、杏子にできる抵抗は、せめて唇だけは奪わせず、顔を背けることだけだった。
 頬に唇が乗せられる。

 ぞわぁぁぁぁ…………!

 鳥肌が広がっていた。
(いやぁぁ……気持ち悪い……本当にキモイ……こんなの……耐えきれるわけないじゃない……)
「へへへっ、杏子ちゃんにチューしちゃった。嬉しいなー」
 今度は唇を奪おうと、両手で頬を包んで来る。強制的に前を向かせてくる腕に対して、杏子はそれを引き離そうと手首を掴む。しかし、どんなに力を込めたとしても、やはり抵抗はしきれない。
「やめて! やめなさい! 嫌ってば!」
「だーめっ、チュー!」
 ついに唇は重ねられ、杏子のファーストキスは奪われた。
(なんでよ! なんでこんな奴なんかに!)
 唇が離れていくと、杏子は恨めしくてたまらない気持ちを視線に宿し、少年を鋭く睨みつける。呪いたい思いでいっぱいの杏子に対し、少年は何かを得てやった満足感で大いにニヤけ、今度は乳房を揉み始める。
「ほらほら、僕に身を委ねないと!」
「だ、だめ……! んんぅぅ……! んっ、んぁ…………!」
「おっぱいが気持ちいいねぇ? いっぱいもんであげるからね?」
「やぁ……やめっ、あぁっ、あぁぁ……!」
 乳首をやられることで、激しい快楽電流が迸る。
「媚薬がよく効いているねぇ?」
「び、媚薬って……」
「ほら、水を飲んでもらったでしょう? あれだよ。あれ」
 体操着やスパッツに着替える直前の、あの時に出されたコップらしい。
 嫌でも感じる状態に貶められ、少年の思い通りに喘ぐ体にされたとわかるなり、杏子はますます屈辱を感じていた。
(人の体になにしてくれてるのよ!)
 その憤りも、乳首への刺激一つでかき消される。
「んあっ、やぁっ、やん!」
 つままれ、弾かれるだけで、こんなにも声が出るのだ。
「じゃあ、アソコを触ったらどうなるのかな?」
「だめ……!」
 杏子は少年の手首を掴み、必死に食い止めようとしていた。胸だけでも驚くほど気持ち良く、声が上がってしまう状態で、それ以上に敏感な性器をやられたら、もう正気ではいられない恐怖があった。
(だめ! だめだめ! そこだけは触らせられないわ!)
 右手を下に移そうとする少年と、それを食い止めようとする競り合いで、杏子はさらに太ももを閉じ合わせる。脚の力でぎゅっと封じ込めることで、手を差し込める隙間さえなくそうとしていた。
「しょうがないなぁ? なら、こうしてみよっか」
 少年は指をパチンと鳴らす。
「きゃあ! なによこれ!」
 その瞬間、杏子は開脚していた。
 M字開脚が出来上がり、そのポーズを杏子自身の意思で変えられない。足首に闇のリングが生み出され、空間に固定されているのだ。
 両手だけが自由だった。
 杏子は大慌てで両手をアソコに被せて覆い隠し、力を込めて、頑としてその下は見せまいと意思を固める。鋭い視線で睨み付け、未だに意思の強さや怒りをあらわにしてくるが、目尻からはさすがに涙が流れ始めている。
「杏子ちゃん? ここから先は、そうだね。両手だけが自由に使えるっていうルールにしようか。アソコを最後まで守り切れれば本番は勘弁しよう。でもね? 気持ち良すぎて手から力が抜けたり、おチンチンが欲しくなっちゃったりしたら杏子ちゃんの負けってことだ」
「なんなのよ……どうしてそんなゲームを思いつけるのよ……」
「じゃあ、スタート!」
 少年は杏子の意思など確認せず、そうだと決めたらやり始め、まず真っ先に狙うのは乳房であった。ガードのない乳房を揉みしだき、乳首も含めて攻め始めると、杏子はその快感に髪を振り乱す。
「やっ! あぁっ、やっ、やんっ、だめ……!」
「駄目じゃないよ? ほらほら、ほらほら!」
「やぁぁ……! あっ、あくっ、うんっ、んぅっ、んっ!」
 杏子は喘ぎながらも右手を動かし、右手だけで手首を掴んで抵抗するが、その腕力では少年の腕を引き離すことは敵わない。
「ほーら、乳首を集中攻撃だ」
「やぁぁぁぁ……! やっ、あっ、あぁっ、あっ、あぁつ、だめぇ……!」
 少年は乳首を上下に転がした。
 指で擦り続けることで、まるでレバーを動かし続けているように、乳首は上下に角度を変え続ける。そのタッチが快楽電流を生み出して、乳房どころかその周囲にも拡散していく。背骨を伝った快楽信号が腰にまでやって来て、やられているのは乳首なのに、アソコさえもがウズウズと熱を上げ、体の方は触って欲しさで愛液を垂れ流す。
(なんで! こんなキモイので気持ち良くなんなきゃいけないのよ!)
 左手に覆い隠したその下で、愛液はみるみるうちに量を増やして、まだ触れてもいないうちからシーツに染みを広げている。
「今ならどうかな?」
 少年はおもむろに左手首を掴んでいた。力任せに引き離し、杏子の手の平と性器のあいだに糸が引く。
 急にガードを溶かされて、慌てた杏子はすぐさま右手をアソコにやるが、それよりも先に少年の指が触れ、ワレメを撫で上げているのだった。

「――――――――っ!?!?」

 想像を絶する快楽で、まるで背骨が弾けたように身体が弾んでいた。
(え……なにっ、いまの…………)
 放心しているあいだにも、少年の指は遠慮無しに侵入する。隙だらけとなった一瞬のうちに穴へと潜り、中指がピストンを開始していた。

「あぁああああ! あっ! やぁぁあっ! やあっ、やめて! やめっ、あっ! あん! んんんんんん!」

 甲高い喘ぎであった。
 杏子は無意識のうちにピストンを食い止めようと、どうにか手だけは下にやる。少年の手首を掴み、愛撫を停止させようと力をかけるが、感じすぎた体に上手く力が入らない。ただ掴んでいるだけの、弱々しい握力にお構いなく、少年は杏子を責め続けた。
「あっ! やっ、やん! やん! やん! やっ、あぁぁっ、あん! あふっ、はっ、はぁっ、はふっ、んんんん!」
 激しく髪を振り乱し、体中をビクビクと弾ませている。背中がしきりに浮き上がり、そのたびに落下でシーツに叩きつけ、それが乳房に振動を与えてプルプル揺らす。
「ではそろそろ」
 少年は肉棒を構えていた。
 杏子のワレメに亀頭をぶつけ、そのまま押し込み――――

「いやぁあああ! やめて! 駄目! それだけは! やっ、あぁ……あぁぁあああああああああああああああああ!」

 杏子は絶叫していた。
 それだけは阻止したかった必死さも虚しく、呆気なく肉棒が収まることで、あとは快楽に飲まれるだけだった。
「あぁああああ! あん! あぁぁっ、あぁぁぁっ!」
 少年は腰を振り、快楽に浸った顔で杏子を見下ろす。
 ピストンをぶつけることで、突き上げるように身体を揺らす形となり、それが乳房を上下に震わせている。
「おおおっ、ほほっ、気持ちいいなぁ! 杏子ちゃんの中は!」
「嫌! 嫌っ! 抜いて! 早く抜きなさいよ! あぁぁぁああ!」
「焦らなくても、たっぷり出してあげるからね?」
「いやあああ! あぁぁっ、あああん! あっ、あぁ……あぁぁああ……!」
 少年の射精感が高まった時、杏子はぬるま湯のような温度を膣内に感じていた。

「あ……あぁ……なんで……中に出すのよ…………」

 少年は肉棒を引き抜く。
 すると、注がれた精液がこっぽりと溢れ出し、シーツへと伝って流れ落ちていた。

     *

 その後、杏子と不良五人組は行方不明となる。
 男達は魂を生け贄にされ、少年が生き長らえるための糧となる。
 そして、杏子が辿る末路は性奴隷だ。
 誰も知らない空間で、杏子は今日も明日も少年に抱かれ続ける。