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  目の前に横たわった美人に、どのように手をつけても構わない。
 下須井ヒロマサにとって、それどころか世の男にとって、これほど楽しくてワクワクすることはない。
 特に自分に一敗食わせたことのある女というのがいい。沙織自身は覚えていないだろうが、下須井がクラスメイトをいじめたとき、正義ぶって助けに入った沙織の手で、完膚なきまでの喧嘩の敗北を味わった。
 どこから調査してきたのか。その仕返しをしないかとテレビ局から誘いを受け、あの恥辱のリングショーとなったわけだが、さらに沙織のコーチからさえ、どん底を味わってもらうために汚してくれと頼まれた。
 本来なら勝ち目のない女に突っ込める――最高だ。
「さーて、どんどん楽しませてもらうぜ?」
 胸を鷲掴みにして返ってくるのは、パンパンに膨れたゴムが指を押し返すような力強さだ。
「……ふん」
 好きに揉めばいいとばかりに一瞥して、すぐに下須井から目を逸らす。これだけ澄ました顔でも頬は朱色で、どこか強張った表情なのが面白い。
 さて、乳首はどうだろう。
 つまんでやると、少しだけ身をくねらすが、まだまだ出来上がりの感度にはほど遠い。突起を口に含んで舐め込むも、そうそう変化は訪れなかった。
 秘所に手をやる。
 決して濡れてはいなかったが、触れた途端にピクっと眉間に皺がより、いかにも我慢している様子が見てとれた。それは快楽の我慢ではなく、体にナメクジがくっついても、気持ち悪いものが付着してきても動じずにいるような、不快感に耐えている表情だ。
 素直でない身体を感じさせるには時間がかかったが、やがては甘い蜜の感触で指が濡れ、ようやく割れ目に糸が引く。
「そういやリングでも濡れてたなァ?」
 耳元に囁いてやる。
「――っ! 黙れ!」
 思い出し笑いなどあるものだが、ならば今の沙織の反応は、思い出しの恥じらいと屈辱に他ならない。
「気持ちよかったんだろ? 何万人に見られて、アソコをパシャパシャやられて、雌穴がヒクヒクと疼いちまったんだろ?」
 煽る言葉を投げかけながら、指を活発に動かしていく。
「勝手なことを! 私は……」
「んなこと言って、今もお前は感じ始めてんだよ!」
 証明せんとばかりにクリトリスに刺激を与える。
「んくぅ――――」
 内股を引き締め、痙攣じみてブルっと震えた。
「ほらほら、試練なんだろ? 精神鍛錬なんだろ?」
 長く伸ばした中指を挿入して、活発な出し入れを行った。
「――くっ! くぅぅぅ!」
 ズプズプと音が鳴り、沙織は強く歯を食い縛る。そのいかにも涙ぐんだ悔しそうな顔つきは、アソコが気持ちよくて仕方のない証拠といえる。
「おら」
 弱点を見つけ、指腹でくいっと引っかく。
「――あっ!」
 沙織は首で仰け反った。
 そして、振り乱した顔を戻すと、一層屈辱に濡れた表情でこちらを睨む。この世の全てが気に食わない勢いの不機嫌ぶりで、指のピストンを懸命に堪えるが、ともすれば声が漏れ、そのたびに悔やんでいる。

 ――ずぷっ、ずぷっ、ずぷっ、ずぷっ、

 下唇を噛みながら、恨めしそうな視線を向けてくる。その睨む目つきが少しずつ大きく開かれていき、しだいに驚愕のそれに変わっていくのは、絶頂の予感に対する不安か焦燥か。これからイクのだということがよくわかった。
「――んっ! くあぁぁん!」
 背中をビクっと反らし上げ、果てた沙織は肩を上下に動かした。
「どうだ? 気持ちよかっただろう?」
「ふん。どうということはない」
「お? そうかそうか」
 ならばと、下須井は再びピストンを開始する。ヒクヒクと力の入る膣口が、指を何度も締め付ける。
「んっ、んぅぅ――」
 声の我慢が始まった。
 今度こそ堪え抜いてみせると言わんばかりに下須井を睨み、両手で口を閉ざして漏れ息だけを吐いている。
「んんっ、んんふぅ――ふぅぅ…………」
 ピストンを早めていくほど、それは焦り交じりのものに変わってた。
 やがて――。
「――くっ、くふぅぅ!」
 肩を小さく縮めるように、ビクビクと震えて絶頂した。
「またイっちまったなァ?」
「……黙れ」
「お前はエロいんだよ。俺にヤられてイクくらいにな」
「ふざけたことを……」
「神谷ァ、色々と乗り越える気のようだけどな。気持ちよすぎてアヒアヒになるのも、時間の問題かもしれないなァ?」
 そういって下須井は、鈴口の濡れた亀頭を塗りつける。
「……うぅっ」
 見るからに表情が変わった。
 さながら凶器でも突きつけられ、どうしようもなく戦慄の汗を浮かべて固まっているような姿は、本番行為に対する緊張感をよく現している。
 これから、入ってくるんだ。
 今からするんだ。
 そんな心の声が聞こえるかのようだ。
「どうした? イクのが怖いか?」
「誰が! 挿れるなら挿れてみろ!」
「はいよ」
 ズプゥゥゥゥゥ――。
 狭い処女の膣口にねじ込んでいく。亀頭から根元にかけて、肉棒はだんだんと熱い膣壁の狭間に包まれて、生まれて初めて挿入される沙織の顔は、力んだ頬が痙攣じみてピクピクと震えていた。
「かっ、くあぁぁぁ……!」
 亀頭が最奥まで到達すると、よく搾られた低い喘ぎが上がってきた。
「へへっ、もらったぜ? 神谷の処女」
 下須井は腰を振り始め、存分に打ち鳴らして快楽を味わう。
 そこにあるのは勝者感だった。
 沙織が下須井を良く思っていないことなど承知も承知。この手でリングを恥辱のショー会場に変えたのだから、きっと後ろから背中を刺したいほどには恨まれているだろう。自分を憎んでいるはずの女に挿入して、楽しく腰を振ってやるのは、自分が絶対的な王様であることを強く実感させてくれる。
「――くっ! うぅぅぅッ」
 自分は王様、相手は貧民。
 決定的な身分差が自分達のあいだにはあって、沙織のことをどのように突き回しても、喘がせても構わないような気がしてくる。
「――くっ! くぅっ、んくっ!」
 腰を小刻みに動かせば、律動に合わせて肉壁が小さくぞよめく。汗ばんだ額の下には鋭い眼差しが光っており、猛犬が獲物に噛み付きたがっているようにも見えた。
「気持ちいいなァ? そうだろ? 神谷ァ?」
「だ、黙れ!」
「イキたいんだろ? 俺の精液が欲しいんだろ?」
 打ち込んだ腰を後ろへ引くたび、根元の陰毛と秘所のまわりで糸が引き、ニチュニチュと汚い粘液の音が鳴っている。
「貴様こそ! こんな機会でもなければ絶対に抱けない女だ。泣いて詫びるほどの感謝の顔でも見せたらどうだ?」
 快楽に負けまいと、勝ち誇った顔ばかりさせまいと、沙織は強気に言い返す。
「悪いなァ? そんなさぞかし貴重なマンコを大衆に晒しちまって」
「……貴様ァ」
「ははっ、さしずめ百億の価値でもあったんだろうな。この神谷沙織様の激レアおマンコ様にはよォ」
 肉棒を差し込むたび、穴から愛液が溢れ出ていた。それは満杯のコップにゆっくりゆっくりと物を入れ、容量が足りずに滝となって溢れているようでもある。
「くふぅ……くぅぅう……ぬぅぅぅ…………」
 素直に喘ぐことを恥じてだろう。歯を硬く食い縛り、頑として乱れ狂った淫乱の顔は見せまいと堪えている。
「我慢しちゃってよォ」
「が、我慢など……」
「そうやって耐えていること自体が、気持ちよくて仕方のない証拠だよなァ?」
「調子のいいことを……。おぞましいから耐えているんだ。ナメクジに触るのに、気持ち悪さを我慢するのと同じ話だ」
「強がっちゃって、可愛いねぇ?」
 腰振りのペースを上げていく。
「…………ぐっ……ぐぅっ……うぅっ!」
 両手はシーツを鷲掴みに、背けた顔は左右に振り乱れ、長い黒髪がベッドシーツに散らかっていく。横顔を枕に押し付けた沙織の視線は、恨みがましい非難を浴びせる目つきで、その瞳はグラインドに合わせて震えている。
「ほらほら、喘げよ。認めろよ。お前は俺のチンコで濡れてんだ。感じてんだ。アヒアヒとだらしなく乱れちまいな」
「だ、誰が――! くっ――!」
 シーツを掴んでいた両手の片方が、右手が口元に運ばれて、またもや声を封じ込める。突けば突くだけ息漏れの音は聞こえるものの、決定的な喘ぎ声は出てこない。
 またイカせてやろう。
 壁の弱点に亀頭が摺れるようにと意識的に腰を動かし、くびれをがっしりと掴みながら膣内を突きまわす。
「――んっ! ふくぁっ、んっ、んくっ!」
 喘ぎ混じりの息漏れが、口を塞ぐ手の隙間から聞こえてくる。
「おらおら、神谷ァ! お前のイキ顔をよく見せなァ!」
 顔面を両手で掴み、強制的にこちらを向かせた。
「――んんんっ! くっ……のっ……きさ……まァ…………!」
 なかなかの凄い目つきだ。
 視線だけで殺しにかかってくる勢いの凶眼が、しかしながら快楽に震えているのは、普通に生きていれば決して見る機会など存在しない。凶悪な猛獣を追い詰め、手も足も出せない状態に落とせばこうなるだろうかというような、静かに快感を堪える姿は、耐え忍びながらも心の中では反撃の爪と牙を研いでいる気がしなくもない。
 ――じゅぷ! じゅぷ! じゅぷ! じゅぷ! じゅぷ!
 腰振りのペースを上げるにつれ、水音がよく響くようになっていくと、そんな目尻に涙の粒が溜まっていた。真っ赤な顔の涙目から、やがて左右で一滴ずつが垂れ落ちて、また粒が大きく膨らんでいく。
「泣くほど気持ちいいか? あん? そうなんだろ?」
 沙織の股には、何かが集まっていく感覚があるはずだ。尿意によく似たものが強まり、それがだんだん我慢できなくなっていき、しまいには今ここで自分がお漏らしをするのではという動揺に囚われる。
 鋭い目つきが、大きく開くのがその合図だった。
「ふぶぅぅ……! んん……んぁ……ッぁぅう……んくん……!」
 沙織はイっていた。
 肩が内側に寄り、頭も高く持ち上がる。太ももも内にしまって、身体が全体的に丸く縮まるようになって震えているのが、沙織が絶頂している姿である。肉棒を包む膣壁も、ヒクヒクとした脈動で刺激を送り込んできた。
「――んっ! んくぅっ」
 ビクっと尻が跳ね上がり、あとは静かに肩を上下に息を漏らす沙織の膣からは、絶頂時に分泌された愛液がとろりと流れ落ちていた。
「どうだ? 楽しい楽しいセックスの感想はよぉ」
「最悪だ。貴様などに……」
「そいつはどうも。俺もここらで射精と洒落込もうかね」
 下須井はペニスを引き抜いて、亀頭を沙織の顔面に向ける。駄目押しに手でしごき、すぐに吐き出される白濁の雨が、沙織の美麗な顔立ちに降りかかった。
 美人の顔を精液濡れにした光景のなんたるか。
 沙織の頬に、額に、鼻頭や唇にも、たっぷりと粘性を含んだ白濁の塊が、スライムを細かく千切って散らしたように付着している。
「いい顔になったじゃねーか」
「いい顔だと? 人に汚いものをかけて……」
「おっと、お掃除フェラってのが残ってるんだぜ? 俺のチンコに残った汚いもんとやらを綺麗に舌で拭い取って、飲み込んでもらおうか」
 こんなことで体力を使い果たす沙織でもあるまい。
 背中に腕をまわして抱き起こし、目の前で仁王立ちとなり、口元に亀頭を突きつける。やはり恨めしそうな上目遣いを向けてくる沙織は、しかし静かに根元を右手で握り、長く伸ばした舌を近づけ、ざらつきの面を鈴口にぴたりとくっつけた。
 ――やればいいんだろう?
 と、不服そうな目がそう言っている。
「ジュッ、ちゅむぅぅ…………」
 鈴口に軽く吸い付き、唇で噛むように先端から綺麗にする。
 ――ぺろっ、ぺろっ、ぺろっ、ぺろっ、ぺろっ。
 手で肉棒の角度を変えていきながら、亀頭の付け根を舐め込んで、少しずつ粘液の残りを拭き取っていった。半勃ちにまで萎えかけていた下須井の肉棒は、このチロチロとした刺激に復活して、最高硬度を取り戻す。
「全部飲ませてやるよ」
 下須井は沙織の髪を鷲掴みにして、またフェラチオをやるように導く。
「ちゅむぅぅ……じゅっ、んぷぅっ、ちゅるぅぅ…………」
 ペニスが口腔に包まれる快感を味わった。
 唇のリングに力が入り、小さくすぼまることで肉竿が締め付けられる。頭の前後運動につれて、裏側に張り付いた舌がべったりと往復する。後方に引いた頭が、また前に進んでくる際には、上顎の内側に亀頭がぶつかり、舌と上顎で肉棒がサンドイッチにされてしまう。
「んじゅ――あぷっ、んぷぅ――ジュジュ――れるぅぅ――――」
 最初のフェラチオと、セックスと、そして二度目の今のフェラチオで、唾液や愛液に濡らされ続けた下須井の肉棒は、皮膚が粘液でふやけている。
 やがて射精感のこみ上げた下須井は、両手で沙織の後頭部を捕らえ、特に遠慮もなく、むしろ当然の権利を果たすように白濁を撒き散らした。
「んっ! んぶぅ――んぅぅ――――」
 急に口内に液をかけられ、苦しげにする声が漏れ聞こえた。
「いいか? 一滴もこぼさないようにするんだ」
 ――つべこべと指図を……。
 と、言ったのかはわからないが、ああしろこうしろと言われて不満なのが、あからさまに目の色に浮かんでいた。
 締め付けが強まって、唇のリングは可能な限り最大限まで輪を縮める。
 ――にゅるぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……。
 唇の力で噛み潰さんばかりの圧力が、肉棒を口内から吐き出すため、ゆっくりゆっくりと後退する。カリ首に引っかかり、亀頭を通って鈴口にキスをしているような状態を介して、沙織の口は唾液の糸を引いて離れていった。
 一滴もこぼさない言いつけを守るため、顎の角度は上向きに反っている。
「ゴクン」
 喉が鳴った。
 自分の出した精液が沙織の食道から胃袋へと流れ落ち、これから消化吸収されるのだという何よりの証拠であった。
「よーし、飲めたな?」
 こんな汚いものを腹に収めた気持ちはどんなものか。
「……くぅっ」
 砕けんばかりに歯を噛み締め、憎らしそうに下須井を睨む沙織の身体は、怒りと屈辱でプルプルと震えていた。
「どうだ? ザーメンの感想は」
「最悪の味だ。二度と飲みたくはないな」
「はははっ、そいつはいい。明日も明後日も飲ませてやるよ」
「……さすがはゲスだな」
 せめて言葉だけでも返してやりたいように、恨みがましい声を震わせてきた。
「それじゃあ、そんなゲスにヤられて濡れまくったお前の絶頂成果を一緒に確認しようじゃねーか」
 そういって下須井は、隣に座らせるように沙織を抱き寄せ、腰に手をまわしてくびれを撫でてやりながら、すっかり濡れたベッドシーツに目をやった。
「神谷。お前がお漏らしをして、ベッドを濡らした結果だぜ?」
 わざわざお漏らしという言い回しを使うのは、もちろん下須井なりに沙織を煽ってやるためなのだが、たくさんの水分を吸ったシーツの染みは、実際見た目にはオネショをしたばかりの布団にしか見えない。
「よ、よくもこんな……」
「あーあー。しょうがねーから、神谷沙織のオネショは俺が始末しておくよ」
 ポンポン頭を叩いてやると、沙織は深く歯を噛み締めた。
「また明日もよろしく頼むぜ? なんせ調教を頼まれちまったんだしなァ?」
 そう、一回だけでは終わらない。
 これから、調教の日々は始まるのだ。




 
 
 

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