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 私が思いついた案の一つは、誰かに頼んでスマホを回収させること。
 私自身は手を触れられない設定を受けてしまっているが、関係のない他人であれば間違いなく触れるはず。回収してもらったものをバッグにでもビニール袋にでも入れてもらい、そして私は海なり山なりまでいってそいつを捨てる。あるいは道路に置いて車に轢かせるような形で破壊すれば、私の手で壊すわけではないので破壊可能なはずである。
 トリックそのものを解明して身体操作を解除できないかとも考えたけれど、こんな不思議な力を一体どんな仕組みで発揮しているかなど、とてもでないが想像できない。もしかしたら私の脳へ電気信号でも送りつけているのでは、とまでは思いつくが、ならばそれを一体どう実現しているのか。どこかにそういう電波塔でも立っているのか。わかりやしない。
 電波を遮断できるヘルメットでもあれば、なんて想像もしてみるが、探せば買えるようなものとも思えない。いや、あるのかどうかもわからない。あまりトリックについてばかり考えても答えは出ないので、とにかくスマホ破壊を最優先目標ということにする。
 もう一つの案は、危害を加える以外の行為は可能、という抜け道を使うこと。
 勇男にダメージを与える目的では身体には触れられないが、無意味に撫でたり、頬とツンツンつついたり、パジャマのボタンを外すなど、寝込みを狙って出来ることと出来ないことは概ね試したが、特に危害を与えない接触はいくらでも可能だった。
 つまり、手錠でも買って拘束すれば勇男の動きを封じられる。
 もちろん、拘束という行為を封じられている可能性がある。可能か不可能かは実際に手錠を手に入れてから試す形になるが、ネットで調べた結果、隣町にSMショップでならそういうものが買えるとわかっているので購入予定だ。
 ものを飲ませる行為も可能範囲だったので、水に薬でも混ぜる方法が可能かもしれない。例えば睡眠薬で眠らせる程度なら、抜け道の意外な広さを思えばできないとは思えない。
 問題は拘束したり睡眠薬を盛ったとして、それからどうする? ということだ。
 ああそうか、そうやって時間を稼いでいるあいだに友達にスマホを回収させ、そして破壊しておけばいい。
 よし、根回しをしてこの計画を練ろう。
 そして、準備が整ったあとは実行するだけ。
 覚悟しておけ、勇男。
 私は必ず逆転し、これまでの仕打ちを返してやる。私が受けた恥辱を晴らすにはマゾ豚のような情けない姿を写真にとり、ネットや勇男のクラスにバラ撒くことだ。奴隷として泥のついた靴を舐めさせ、ハイヒールのかかとで股間を踏む。
 報復の内容を考えれば考えるほど、顔がニヤけるのが止まらなかった。
 他でもない実の姉を辱めたのだ。
 ならば報いは受けても当然だ。
 勇男は自分が破滅の道を歩んでいることに気づいているのだろうか。

「……ほ、ほら、見なさいよ。悪いけど何度も裸になったおかげで逆に慣れたわ。こ、これくらい恥ずかしくもなんともないものっ」

 朝、私は仁王立ちで下着姿を見せてやる。
 今日のパンツとブラジャーはどんな色で、どういう柄をしているのか。そういう情報を握ることがよっぽど優越感に繋がるらしく、ノックもせずに勝手に部屋に入ってくるなり、ずけずけと見せろと言うものだから、堂々とパジャマを脱いで下着だけの姿を見せてやった。
 アソコや肛門まで見られているのに、たかが下着など今更だ。今更なのだ。
「へえ? 今日はピンク色か。上下はそれぞれ黒いリボンがついているね」
 そう、パンツとブラの中央はリボン付きだ。刺繍も多少入っている。
 柄を声に出されても、恥ずかしくなんて全然ない。
「可愛らしい柄に大人っぽさを加えたデザイン? ピンクなのにブラの肩紐は黒いし、パンツも黒いレースがぐるっと一周巻きついているね」
 ピンクと黒によってデザインされたこの下着は、広告では『大人可愛い』なんてキャッチコピーが書かれていた。
 恥ずかしくなんて全然ない。
「顔が赤いよ?」
 けれど火照っていることを指摘された。
「うるさい!」
 言わなくてもいいことを口にするから、いちいち殺してやりたくなる。もしも暴力が実行できたら、私は勇男をどうしてしまうだろうか。多少は復讐心を堪えないと、きっと本当に殺してしまうだろう。
 まあ、その時が来たら命乞いを聞いてやるのもまた一興だ。
「ふーん? たかが下着がまだ恥ずかしいんだね? 姉ちゃんって乙女だねぇ? 全く恥じらいが初々しくて可愛いもんだよ」
 うざい、かなりうざい。
 こいつ、私の羞恥心まで操作していないだろうか。
 精神操作が可能ならの話だけれど。
「し、下着の感想は?」
「は?」
「は? じゃない! こっちはアンタの変態行為に耐えてんのよ? どうせこういうことをさせるんだったら、ついでに似合うかどうかぐらい言いなさい?」
「へえ? 偉そうな言い方するね。ま、姉ちゃんらしい柄で似合ってるけどね」
「本当は私の方が偉いのよ?」
「じゃあ、今では身分の低い姉ちゃんさ。パンツ脱いでよ?」
「はぁ?」
 これから学校だというのに、脱ぐ意味がわからない。
 どうせ夕方にはフェラやパイズリをやらされるのだろうけれど、だからといって朝から下着の中身など見せたくない。
「いいから脱いで俺に渡すんだよ」
「けっ、糞変態が……」
 私はパンツの両側へ親指をかけ、躊躇いながら引き下ろす。
 いっそこういう時こそ身体操作をすればいいのに、自分自身の意思で脱いでいくなど、私がどれだけ恥ずかしいことか。弟の視線の中だ。大事な部分を曝け出すことに対する、大きな大きな抵抗感と戦いながら、精神的な労力を使って脱がなくてはいけないのに、ストリップの対価として金銭を得られるわけですらない。勇男が喜ぶ以外には何ももたらさない。
 アソコを片手で覆い隠しながら、私はパンツを勇男へ手渡す。
「はい、どうもー」
 受け取った勇男はまず布を裏返しにして、股間部分をじっと見つめる。おりものの跡を撫で回したり匂いを嗅いだり、目の前で好きなように弄ぶ。
 取り返したい。けど、それはできない。
 悔しい……。
「ところで姉ちゃん。そのまま学校行きなよ」
「変態が……」
 私はこの日、ノーパンで学校へ行く羽目になった。
 ただ履いていないだけではない。勇男は私のスカート丈を短くさせ、いつもより太ももを出した状態で外を歩いたのだ。こっそり丈を直すような真似もどうやらできない設定にされ、目を盗んで戻すことはできなかった。
 おかげで背後の視線を意識しながら、手でお尻を守るようにしながら階段を上っていき、始終落ち着かない気持ちで教室の席に着く。スカート越しにお尻の皮膚がひんやりして、自分の状況を嫌でも実感せざるを得なかった。
 すーすーするのだ。
 風の通りでか空気にアソコとお尻を撫でられ、本当に落ち着いていられない。座って足を閉じている時はまだいいが、廊下を移動する時はスカートが揺れるので、手で守りながらでなければ歩けない。階段なんていうまでもなく、こういう時に限って授業で問題を解かされることになり、私は黒板へ答えを書き込みにクラス全員の視線に晒された。
 それでも、どうにかノーパンがバレることなく五時間目まで終了したが。
 勇男は私にこんな思いをさせて楽しいのだろうか。だとしたら変態だ。死ねばいいのに。どうして勇男程度のロクでもない人間が平気で地球の空気を吸っているのだろう。酸素の無駄でしかないので死んで節約に貢献すべきた。
 と、そんなことを考えながら退屈な六時間目の授業を受けていたときだ。
 手が、動いた。
 私の左手がまるで勝手に意志を持ち、短いスカートの中へ忍び込む。指先が割れ目をなぞって秘所を刺激し、私自身の意志には関係なく肉貝を揉み始めた。
 ……オナニーだ! 勇男の仕業だ!
 授業中、周りにはクラスメイトが揃っている。そして、今日は欠席者が一人もいない。しかも私の席はちょうど教室の中央で、上下左右、斜めの席も男子生徒に囲まれている。
 気づかれたらどうするのか。そうなったら、私は一体どうしたらいいのか。緊張感が全身をこわばらせ、私はひたすら俯いた。
 左手。立派な自分の体の一部だというのに、自分の腕を相手にこんな場所を痴漢でもされているような気持ちがする。こんな状況なのに私のアソコはしっとり濡れ、指先は愛液をまんべんなく塗り付けるように動いてくる。
 気づかれないだろうか……。
 私は左右と斜め後ろの席をチラっと伺うが、幸いにもみんな授業に集中していて、この調子ならバレずに済む。
 けれど、もし不意打ちのように私の股あたりを見られたら……。
 もう、これは祈るしかない。
 バレませんように、バレませんように……。
 この私ともあろう者が、情けなくも神様に祈るような気持ちになっている。私にこんな惨めな思いをさせるだなんて、勇男はもう極刑でも生温いほどの罪人だ。
 指先は肉芽の突起を見つけ、集中的に刺激してくる。
「ん……」
 まずい、声がでかけた。
 私は口を押さえながら止まらない自慰に耐え続け、滲む愛液で左の指を濡らしていく。絡みついた粘液の量は、五本指全てをまぶし尽くすほどになっていた。
 畜生! 畜生!
 何が悲しくて私は悔しい気持ちでオナニーなんてしているのか。始末の悪いことに快感はみるみるうちに増していき、私の顔は確実に色っぽく火照っているのだ。これでは他人に顔を見せるのも恥ずかしい。
「んっ、んん……」
 もし口を押さえていなければ、私はとっくに淫ら極まりない喘ぎ声を漏らしている。それくらい甘い痺れがアソコで弾け、快感に分泌液が漏れ続ける。下手をすれば椅子に水溜りができかねない量だった。
 こんなに濡らされてしまうのも、全て勇男の仕業に決まっている。
 私の性感を高めているに違いないのだ。
 左手はみるみる活発に動き、肉豆を苛め抜きつつ膣口にも触れてくる。膣内を出入りし、肉豆を摘んで撫で、二つの場所を交互に攻める指の動きのゾクゾクと快感が高ぶった。
 ま、まずい! これ以上は……。
 アソコに込み上げるような感覚が絶頂を予感させる。尿意にも似た、しかし確実に違うものがこの大事な部分に溜まりに溜まり、解放されようとしているのだ。
「……ん……んぁっ…………!」
 い、イってしまった……。
 幸い、声を我慢しきれたおかげでオナニーはバレてはいない。それはいい。そこはホッとする部分だが、そんなことより、教室のど真ん中でイかされた屈辱の方が、この胸の内側を占めている。
 ふざけた真似をしてくれた。
 勇男の奴……。
 濡れたアソコと椅子はハンカチでさりげなく拭き取ったが、未だじわりとした水分の感触が表面には残っている。触れてくる空気がひんやりして、下腹部が寒いような心地がした。
 こうなったら覚えておけ、すぐにでも計画を実行してやる。
 勇男。アンタが私をおもちゃにして楽しんでいるあいだにも、私はアンタを叩きのめして惨めを拝むための方法をもう決めた。
 やはり、勇男の寝込んでいるうちに拘束具と睡眠薬を利用し時間を作り、家に人を呼ぶことで勇男のスマホを回収させる。それを私の手でどうにか壊す。触れたり、直接破壊する行動は取れなくても、手に入れてしまえばいくらでも方法はあるはずなのだから。
 そして、そのための友達に声をかけた。
 ノーパン状態で人と会話するのは緊張したが、仲の良い女友達に声をかけ、一緒に勇男のスマホでも破壊して苛めてやろうという計画に引き込んだ。
 もちろん身体操作の件については触れていないし、性的奉仕をさせられていることなど言えるわけがない。その部分に関しては話を伏せ、ただスマホをぶち壊してやろうという計画だけを話したのだ。
 男に手錠をかけて苛めてやろう。甚振ってやろう。という誘いに私の友達は大いに賛成して乗ってきて、私の家に来る日を楽しみに待つといってくれた。
 待ってろ勇男、後悔させてやる。
 今までの全ての恨みを晴らしてやる。
 ニヤニヤが止まらない。
 悔しかったのはもちろんのこと。腹が立つわ、憎悪が沸くわ、呪いたくなるわ、殺意は沸くわで私の心はいっぱいだった。この今までの怒りを晴らせるかと思うと、今から清々しい気分がしてきそうだ。
 ああ、楽しみだ。
 勇男? アンタぶっ殺してあげるから。泥のついた靴を冗談じゃなくて本当に舐めさせてあげようと思うし、ケツに鞭でも入れてアザだらけにしてあげる。鉄拳で鼻も折ろう。前歯もいくつか駄目にしてあげないとね。
 あとは、どうしようか。
 他にもナイフを突きつけて脅かしたり、ろうそくを垂らして苛めたり、色々とやりたいことはたくさんあるけど、まあその時が来たら考えよう。

 いい? 今度は私がアンタをいたぶる番だから。



 
 
 

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