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 本当に一対一の勝負に臨むらしい。
 指定の道場で、畳の上で主犯格と対峙した貴澄夏生は、屋内に存在する人間の気配が目の前にいる一人分だけであることを悟り、ならば対等に戦えると考えた。
 道場の周囲には彼の仲間がたくさんいるが、それはなつきの仲間が来ないため、見張りをつけているに過ぎないからだ。
「いいか? ギブアップかKOで終了だ。素手で戦う以外はルール無用。武器や道具さえ使わなければ何でもありだ」
「いいよ。異論はない」
 なつきが着ているのは、大東亜の男子と戦う際に纏った赤い胴着だ。胴着の下にはランニングシャツを着て、さらにその下にはスポーツ用ブラジャーがある。パンツも運動に適したものを選んでいる。
「だったら、始めようか」
 主犯格はゆったりと力を抜き、肉体的脱力と心の緊張を保った構えを取る。
 その構えを見ただけで、なつきにはわかる。
 相手は手練れだ。間違いなく強い。

 ――なのにその力を、女の子を辱めるために使うだなんて。

 許せないと思っていた。
 陵辱を受けたなつきは、数日以上は放心したまま過ごしていたが、いつしか空手で活を入れて立ち直り、今度会ったらぶっ飛ばすという気持ちを支えに立ち直った。
 あんな奴らだ。
 きっと、他にも女の子を……。
 そんな男に負けるわけにはいかない。この場でねじ伏せ、こらしめる。
「そうそう。敗者は勝者の言うことを聞くルールだ」
「写真はみんな捨ててもらうよ。それに更生指導だってしてやるんだから」
「どうかな。お前が俺のペットになるんだぜ」
「なるもんか」
 それを最後に、二人は静かに睨み合った。
 お互いに構えを取り合えば、もう二人の世界は変わる。日常から切り替わり、素肌が痺れるほどの空気の中で、ここは試合の場に変わっている。

 ――サッ!

 と、なつきが前に出た。
 ただ走るのではない。武術における歩法で迅速に間合いを詰め、リーチの届く射程距離に踏み込むや否や、様子を見るためのキックを繰り出す。主犯格は受け払いで下段を受け、鋭い反応で蹴り返した。
 それはカウンターであり、なつきのキックが先に出てからの返しなのだが、一般的な動体視力で見てみれば、とてもそうとはわからないだろう。
 同時と、見えたはずだ。
 なつきの蹴り、主犯格の蹴り、それはあたかも同一のタイミングに放たれて見え、主犯格のつま先はなつきの首側面を捉えかける。
 が、なつきはしゃがんだ。
 すると、主犯格の蹴りはなつきの頭上を通過して空振りどころか、なつきにすれば先に一撃を加えるチャンスとなる。沈めた腰を持ち上げる勢いで、元の立ち姿勢に戻るための動作を駆使して、それを攻撃に転じていた。
「ぐお……!」
 鳩尾に拳が入った。
 鈍い衝撃が内臓を揺るがし、危うく吐きかけるような心地を主犯格は味わった。
「ハァ! テアァァ!」
 その一撃をきっかけとして、勝負はなつきの優勢に流れた。勢いに乗ったなつきは絶えず打撃を放ち続け、主犯格は腕を盾にする受け技だけを繰り返す。避けようにも距離を引き剥がす動きが間に合わず、受け技以外に選択肢のない状況に主犯格は置かれたのだ。
 正拳突きが、遠心チョップが、回し蹴りが、絶え間なく主犯格を打つ。腕で受けてはいるものの、それ故に腕にダメージが溜まっていく。
 速すぎてもう、全ての攻撃を受けきっているだけでも、本当は凄いといえた。
 押されている人間の凄さなど、何も知らずに普通の感覚で見ればわかりはしない。単に主犯格の方が弱いと映りかねないが、一撃受けたと思ったら、既にもう一発が危うく当たりかけているような状況下で、それでも捌いているだけ十分に、主犯格にも実力自体はあるのだった。
「くっ、くそっ、さすがに強い!」
 苦しげな表情を浮かべ、反撃のチャンスを懸命に探る主犯格。
「ハッ、セイ!」
 対するなつきは『無』に突入していた。自分が優勢だの、これならいけるだの、そんな雑念は一切無い。何かに夢中になれば他の全てを忘れるように、無我の境地でトラウマを振り切り、しだいに百パーセントの実力を発揮していた。
「このままじゃあ――」
 まずい、来る!
 主犯格の表情にそれが浮かんだ。
 そろそろ、次の一撃あたりであの技が来るであろうことが読め、それが予感できた以上は何としてでもかわしたいが、連続した打撃の嵐がそれをさせない。
 逃げたくても逃げられない。
 そうした中で、その瞬間が刻一刻と迫っていく。

「――NGボンバー!」

 主犯格は辛うじて、本当に辛うじて、後方へ飛び退くことに成功していた。
 いや、これだけは避けるため、途中から他の打撃全てを浴び、NGボンバーによる重症を避けるためだけに神経を集中していた。
 結果、かわすにはかわした。
 それでも、わずかに接触してきたなつきの手が、皮膚から内臓へと波を伝え、多大な威力を浴びる羽目になっていた。
「うぐぁ! ぐっ、ぐぅ……!」
 何歩も何歩も、何メートルもかけて後方まで、主犯格はよろめいていた。
 胴着が破れ、上半身は裸同然になっていた。
 もうまずい。本格的にまずい。ここまでのダメージを追った以上、もうNGボンバーなどなくとも、動きの鈍った主犯格なと簡単に倒される。
 しかし、今回ばかりは卑怯な手段を用意していない。それは我が手で強い女を倒し、辱める際の達成感を味わうためだった。
 だが、今の主犯格は己の敗北を予感している。
 せっかく開けた距離など、悲しいほどあっという間に詰め、女とは思えない破壊力のある回し蹴りが男の脇腹を打とうとしている、
 これは勝てないか。
 いや――!
「――っ!」
 その瞬間、なつきが目を見開いていた。
 主犯格は防御も避けも捨て、腹の筋肉に力の限りを込め、あえて受けていたのだ。
 それだけではない。

 ――ツン。
 
 と、男の指先が、なつきの乳房をつついていた。
 脇腹に蹴りを受け、骨の固さがもろに食い込むことまで覚悟して、それでいて主犯格が行う技が、赤い胴着越しに乳首を突く。
 ただのセクハラに全てを駆け、それが逆転の一手であるように放ってきた事実に、なつきは表情を塗り替えていた。

 ――こんなことのために?

 しかし、次の瞬間だった。
 体の芯から何かが弾け、電流となって胴体の内側を競りあがる。乳房の乳腺を渡り、乳首に達した痺れの感覚は、莫大な快楽となってなつきを襲った。

「ひゃぁああん!」

 喘ぎ声を上げ、なつきは咄嗟に飛び退いていた。
「ようやく決まったぜ」
「……なんだっていうの?」
「さーな。今にわかるさ」
 そう言って、男は脱いだ。
 帯を解いて投げ捨てて、破けた上一枚も放り投げ、下さえ脱いだかと思えばパンツまで、瞬く間に全裸となって立派な肉棒を曝け出した。
「な、な……なにを……」
 なつきは引き攣っていた。
 大きなそれは、何かを貫かんばかりにそそり立ち、皮の内側から太い血管を浮かせている。
「体を軽くしようと思ってな。別に反則じゃないだろ? 武器や道具さえ使わなければ、何でもありというルールにお前だって同意したんだからな」
「だからって、なんでそんな」
「くくくっ、いっそこの方がやりやすいんだよ」
 目のやり場に困っている表情で、どことなく視線を泳がせるなつきは、微妙に戸惑いながらも思い切って切り替えて、即座に闘争心しか宿っていない瞳を取り返す。
 だが、主犯格とて、下らない心理効果を狙っていたわけではない。
 挿入する際、迅速に挿れるためだ。
 ――来る。
 なつきが間合いに入り、そのリーチがいつでも届く。両手両足、どれで来るかと警戒心を高める主犯格は、中段狙いのキックを避けない。ダメージを覚悟しながら、一応は受け払いの腕を出しつつ、もう片方の手を使って太ももに指を加えた。
 そう、指先でちょんと、つついただけ。
 しかし、まるでそこから電流でも流し込まれて、それが太ももの神経を伝わるように、なつきのアソコ目掛けて迸った。
「んっ! んっ、なっ、何……!」
 わけもわからない快楽が、なつきの秘所で弾けていた。
 ――今だ!
 主犯格はその『技』をもっともっと喰らわせようと、今度は自分から踏み込んで突き手を出すが、なつきのチョップがそれを弾く。
 そのチョップによって、彼はまずい体勢に入った。
 腕を外側に打ち飛ばされ、片腕分だけボディが開き、大きな隙が出来てしまっている。
 しかも踏み込みの途中であり、なつきへと接近していく自分自身の動きを止められない。これはそういうタイミングを狙うべくして、微妙に距離感を調整したなつきの技巧だ。
 こうなれば、なつきとしては肘を向け、待ち構えるだけだった。
 それは肘打ちというよりも、自分からぶつかりに行って自滅するかのような形となる。
「……ぐっ!」
 ギリギリで位置をずらして、危うく喉を潰されることは避けたものの、鎖骨の中央に固い肘の骨を受けていた。
 もっとも、やられたついでに主犯格は指を繰り出す。

 ――ツンッ、

 人差し指で鳩尾を突いた。もちろん、ただつつくだけの何の攻撃力もない一撃だ。
「――ひっ! んくっ」
 それなのに、やはり乳房に刺激が伝わり、両方の乳首で快感の痺れが弾けた。
 今度こそチャンス。
 さらに主犯格の方から打撃を繰り出し、そのパンチもキックもなつきは捌く。ことごとくが受け技に押し出され、なつきの繰り出す攻撃こそが主犯格にダメージを積み重ねるも、少しは反撃が決まっていた。
「んっ!」
 二の腕を突いた。
「んはぁっ……!」
 脇腹を突いた。
「――あんんん!」
 これだけやられて、主犯格が会得している技巧の正体に気づかないなつきではない。

 それは性感刺激拳法とでもいうべき、女体殺しにためだけの技法である。

 呼吸法と気のコントロールを組み合わせ、女体のツボに波を打ち込む。性感のスイッチを入れて感じさせ、その一撃ごとに女が喘ぐことになっていく。
 既に疼き始めたなつきの身体は、本来のキレを失いつつある。

 ――そんな拳法が! そんな武術があるなんて!

 なつきにとって、武術は青春の汗を流すスポーツだ。健全に体を動かし、フェアな試合を楽しむべきはずが、卑猥な技術が牙を剥く。
 その事実はなつきを少なからず動揺させた。

 ――また喰らったらまずいけど、攻めなければ勝ちはない!

 なつきは上段回し蹴りで側頭部を狙った。そうすれば主犯格のスピードでは、なつきの速度から逃げられない。回避運動が間に合わない分だけ受けは早いが、結果的に両腕にダメージを蓄積して、性感拳法を鈍らせることができるはずだ。
 そうした思惑を込めた一撃は、てっきり上段受けで止めるかと思いきや、急に手掴み――なつきの足首はキャッチされていた。
 それだけではない。
 主犯格の放つローキックが、なつきの膝裏へ叩き込まれる。強制的に膝関節を曲げさせて、バランスを崩すための一撃だった。
「……っ!」
 なつきの姿勢が、よろける。
 主犯格は掴んだ足首を離さないまま、持ち上げるようにしてなつきの動きを誘導する。この状態から胸部へ拳を打ち込んで、それをなつきは腕のクロスで受け止めるが、彼にとっては受けられても構わない一撃だった。
 重心をぶつけ、なつきを畳に押し倒すことが目的。
 それを果たした結果――

 正常位固め!

 倒れ行くなつきの足に手を伸ばし、両方の足を持ち上げるようにしながら、自分の腰を相手に股に入れて押し倒す
 かくして、正常位でしかない体位に持ち込んだ。
 股に相手の身体があっては、当然のように両足は使いにくい。ここは両手で反撃したいが、残念ながら手首を捕まれ、全体重をかけて畳の上に封じられている。
「ふふっ、ついにこの体勢に持ち込んだぞ」
「……この変態野郎」
「そうだな。スケベらしい技を見せてやる」
 主犯格は微妙に腰を後ろに離し、なつきの股との間に隙間を作る。
 そして放つ一撃は――

 魔羅挿入波!

 いくら胴着や下着を介していても、それは性器の位置に直接腰をぶつける技だ。自分の肉体を操作する巧みな技術から生まれる波が、ダイレクトに膣に伝わり、そのたった一撃によってなつきは絶頂した。

「――あぁぁあああああ!」

 汗ばむシャツが肌に張り付くことと同じように、もしも胴着の中身を確認すれば、下着の内側で噴き潮を放った濡れ具合がわかるだろう。
「ふっ、まあ所詮は女ってことだ」
 ぐったりと、なつきの全身から力が抜けた。
「どうしてそんな技を……」
「こうするために決まってんだろ?」
 主犯格は胸を揉む。
「くぅ……!」
「やっぱし、胴着を着せて畳の上。これが一番だな。それも倒した上で犯すのが面白い」
「そんなことで空手を……!」
 なつきはパンチを放って、脱出のきっかけを作ろうと試みるが、ただ乳首の位置を突くだけで、腕の筋肉を無力化される。
「あぁッ」
 喘ぐと共に、パンチのために持ち上がったはずの腕が畳に落ちゆく。
 その様を見届け、主犯格は紅い空手着越しの乳房を楽しんだ。
「こうしてこそ得られる勝利の実感! その快楽がたまらない!」
 主犯格はなつきの腰をまさぐった。上よりもまず、ズボンの方を下げるため、紐のリボン結びを解きにかかる。
 緩んだ胴着ズボンを引っ張ると、あえて太ももの半ばあたりまでしか脱がせなかった。脱がせないどころか、その位置で紐まで結び直してやり、これで直立してもずり落ちることはなくなった。
 仮に脱出しても、これでなつきは動きにくくなる。邪魔なズボンをさっさと脱ごうにも、勝手にずり落ちてくれることがないので、自分の手で掴んで下げなくてはならない。
「変態なんかに負けられない!」
 なつきは両足の平で畳を叩き、ブリッジによって腰を持ち上げ、まるで強靭なバネの力でも宿したように主犯格を仰向けにひっくり返した。
 NGボンバーだ。
 すぐに立ち姿勢を取り戻すが、やはり胴着ズボンが脚に絡んで動きにくい。素早く持ち上げて履き直そうとしてみるも、絶妙に調整してある結び具合は、大きな尻にかかって腰まで上げることが出来なかった。
 履き直すためには、紐をほどいて結び直す必要があった。
 しかし、今にも立ち上がってくる敵を前にして、そんな時間があるはずもない。ならば脱ぐしかないのだが、下げる暇さく主犯格は立ち上がり、回し蹴りを放ってきた。
「セイヤァ!」
 軸足のかかとを浮かせ、ややジャンピング気味に打つことで、自分の体重を丸ごとぶつけるも同然の威力を出す。
 それも、腰の後ろを打つような位置からだ。
 受け技で、なつきはそれを防御。
 だが、脚がこれでは踏ん張るための姿勢が取れず、綺麗に受けてみせたにも関わらず、なつきは再び畳に倒れることとなった。
 倒れたなつきへの追撃で、踏みつけが放たれる。
 横へ転がり回避するも、性感拳法のせいでスピードが鈍っているなつきと、まだ全力の速度で連続打撃を出せる主犯格では、なつきが逃げ切れる道理もない。一発目は逃れても、二発目が背中を踏みつけた。
「あぐぁ……!」
 なつきの悲鳴。
 動きが止まった瞬間は逃さない。
 主犯格は重ねて一発、足の親指先端でツボを突き、性感目的のダメージを与えて、秘所の疼きを増幅させる。
「あふぁ……!」
 今度は喘ぎ声。
 ビクンとなって力の抜けるなつきの足へと、主犯格は座ってみせた。相手の身体に座るだけでも、体重で動きを止められるが、さらに脚力まで使ってなつきの脚をロックしている。正座の足を半開きにして、その隙間になつきの両足ともを挟むことで、足を完全に封じ込めた。
「くくっ、今度はお尻だぜ」
 尻にかかった胴着の上を捲ってやり、主犯格はパンツ越しの尻を揉み始めた。
「イヤッ」
 なつきは這い出たいかのように足掻くが、そんな力で脱出できようはずもない。揉まれるままでしかない尻肉は、指先のテクニックによって疼いていき、執拗にツボが押されて、嫌でも感じるように仕上げられた。
 パンツのゴムを掴んで、太ももの位置まで引きずりおろす。
「へへへっ」
「イヤッ! いやぁ!」
 嫌がっている声なのか、喘ぎ声なのか、もはや判別がつきはしない。
 どちらにせよ、恥辱から逃れたくてたまらないなつきは、必死なまでに腰をくねらせ、揉まれまいと励んでいるが、それはお尻を使って「嫌よ嫌よ」と叫んで見える。
「安心しろよ。きっちり、気持ちよくしてやるからよ」
 生尻へと、主犯格の両手が置かれた。
「やめてぇ! よくなんてなりたくない!」
 なつきの尻にはあらゆる刺激が加わった。指圧によってツボを貫くマッサージから、表面だけを撫で回す卑猥な手つきに、スパンキングまで織り交ぜる。

 ――パァン!

 特に尻への平手打ちは、なつきのトラウマを刺激して、精神的にもますます弱った。
「ケツの穴も見てやる」
 左右の親指により、主犯格は尻の割れ目を押し開いた。
「み、見ないで! そんなとこ……!」
「嫌か? だったら反撃してみろよな」
「くぅ……!」
 戦っていたはずが肛門を視姦され、なつきにはもう涙しかない。

 ――違う。泣いちゃ駄目。
 ――それでも私は勝たなくちゃ。
 ――こんなところで負けたくないよ!

 なつきにはまだ、辛うじて闘争心が残っていた。心のどこかで格闘家としての思考が働き、この状態から逆転する手立てを無意識のうちに考えていた。
 しかし、そんな心にトドメを刺すべくしてのタイミングだった。
「ぼちぼち挿入といこうじゃないか」
 主犯格は腰のくびれを掴み上げ、なつきの身体を持ち上げる。尻だけが高らかとなる姿勢を取らせ、よりアソコに狙いを付けやすくしていた。
 ……挿れられる。
 肉棒が添えつけられる気配を感じて、なつきは身を固くした。
 既にレイプを経験している膣口は、べったりと濡れて愛液を垂らしている。ポタポタと垂れた滴の痕跡が、畳の上でかすかにシミを作っていた。

 ぐにゅぅぅぅぅぅぅ――。
 
 肉棒が、膣穴へ入り込む。
「――うっ、うぁああぁぁ!」
 すぐにピストン運動は始まった。
「はっはっはっはっは! 勝利の快感は最高だぜ!」
 主犯格は勝ち誇り、絶好の笑みを浮かべていた。今度は正々堂々と、立派な技術だけを使って強敵を倒し、勝利の証を手にした事実が、愉快でないはずがない。本当に愉快で愉快で、思わず笑いながら腰を振っていた。
 そして、間違いなく反則無しで、一対一の末にこうなったなつきの気持ちは、もう悔しい以外の言葉では表せない。付け加えることがあるなら、青春的な試合の末、全てを出し切った上で負ける悔しさとはまるで違う。
 こんなことをするのが目的の奴に、今回は卑怯な手を使われなかったはずが敗北した。
「――あっ! あん! あん! あぁっ、あんん! んん! んっ、んうっ!」
 与えられる快感は、なつきの無力さを証明するものに他ならない。

 ――違う、違う!
 ――最初に決めたルールは……!
 ――だから勝たなくちゃ!
 ――だって、だって……!

 なつきはここに来て、活路を見い出した。
 バック挿入によって突かれ続けるということは、自分の尻に対して、絶えず重心が前後に移動を繰り返しているということだ。
「んんん! んっ、んぁ! あふぁ!」
 快楽の中で、それに気づいた。

 ――戦うって、もっと楽しいことのはずなんだから!

 その瞬間、主犯格は吹き飛んでいた。

「な、何……!?」

 そして、彼は驚愕していた。
「敗北のルールは、ギブアップかKOのはずでしょ?」
「お、お前……!」
 尻餅をついた姿勢の主犯格は、いっそ頭の中身まで吹き飛ばされ、真っ白になりながら、焦りに焦りを込めた表情で、立ち上がるなつきの姿を見上げていた。

「さあ、続けましょう? こんなことをした落とし前は絶対につけさせる!」


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