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 精液を飲み下したことで、貴澄夏生の中に広がる敗北感は、胃袋を通じて全身に行き渡るかのようですらあった。
 そんな精神的な状態で、人質がいるから対戦を強要される。
 モヒカンの次はリーゼントが前に出てきた。
「俺が勝った場合はパイズリだな」
 もう自分が勝つ前提で、リーゼントは罰ゲームの内容を宣告してきた。
「ぱ、パイズリって……」
「おっぱいに挟んでしごくんだよ」
「そんなことまで……」
 なつきとしても、自分はもうそれをやらされるのだという気持ちに満たされていた。
 誰の目にも、始まる前から勝負は見えていた。
 きっちりと腰を落として、丁寧に構えて脱力をこなすリーゼントと、どこかフラついていて生気の薄いなつきの構えは、その時点で差が大きい。
「行くぜ? ほらよ」
 見え透いたパンチで踏み込み、リーゼントはなつきの顔面を狙う。
「うっ……!」
 手首を掴み、軸足のフットワークで投げ技に繋げ、背中から背負い落とそうとはするが、相手のパワーや勢いを利用するテクニックは、その技巧をしっかりと発揮しなければ不発になって当然だ。
 いつもなら投げ飛ばしたであろう相手を、なつきは投げられずにいた。
 それどころか、自ら裸体を密着させ、どうぞセクハラしてくださいと、差し出してしまった形になる。
 リーゼントは遠慮なくなつきを押し倒し、マットの上で弄んだ。
「あーあー。いいのか? 俺なんかに好きにさせちゃって」
 あってないような抵抗を払いのけ、なつきの胸を揉みしだく。ささやかに乳肌を撫で、乳首を摘んで転がす性技で、ただでさえ高まっているなつきの肉体は簡単に無力化した。
 あとは秘所に指を沿え、絶頂に導くのみである。
「あっ! くぅっ、んんん! いやぁっ、いやぁぁ……!」
「嫌なら戦えよ。抵抗してみろよなぁ?」
 指を挿入したところで、なつきの身体は完全に支配下に置かれ、リーゼントは思うままに女体の反応を操った。
「ああん!」
 割れ目への抜き差しで、巧妙に送り込む刺激により、背中がビクンと弾むようにさせてやる。
「ひあっ、ああん!」
 微妙に加減してやって、髪を振り乱す反応を楽しむ。
「――あぁぁああああ!」
 そして、イカせた。
「はーい。パイズリけってーい!」
 またしても、なつきは仁王立ちする勝者に奉仕して、身を捧げる流れとなった。
 膝立ち気味に高さを合わせ、リーゼントの肉棒に胸を押し当てると、乳房のあいだに抱き込んでしごき始める。
 やがて顔射で、額や頬に鼻の上、唇の周りや顎にかけてさえ、顔面のいたるところに白濁がへばりつき、青臭い香りがなつきの鼻腔を貫いた。
 次もイカされ、フェラチオを行った。
 人生で二回目になる口奉仕は、仰向けの男のものを咥えて、地面に向かって頭を上下させ続けた。
 その次もイカされ、パイズリを行った。
 行ったというよりも、仰向けになったなつきに跨り、男が勝手に人の乳房を使ったといってもいい。やはり顔射で顔を汚され、飲まされ、かけられ、飲まされ、かけられての繰り返しでしかない戦いが続いた。

「お前だけハダカでかわいそーだから俺も全裸で戦ってやるよ」

 肉体自慢の男が服を脱ぎ捨て、丸裸でなつきを襲った。
「いやぁぁぁぁ!」
 それは一般的な女性が暴漢に遭った際に見せるであろう、強い女としての面影が欠片もない悲鳴であった。
 強引に抱きつかれ、いつもなら簡単に腕を外して脱出するが、まるでそんな技術など初めから知らないように、なつきは男の腕力に手間取っている。やっとの思いで力を緩ませ、重心落下の勢いで抜け出すが、それは少女がしゃがみ込んだとでも言うべきか。とても武術テクニックの結果とは思えない。
 ならば逃げられようとも、もう一度捕まえればいい話だ。
「へっへっへっへ! へへへへへ!」
 獲物を苛めて喜ぶ笑顔で、男はなつきをうつ伏せに倒し、尻たぶを掴んで揉みしだく。
 両脚の上に尻を乗せられ、挟むような脚力でロックされている形だ。今のなつきに抜けだせるはずもなく、尻肉は揉まれるままに揉まれ尽くす。撫で回し、指を食い込ませ、また撫で回して揉みしだく。
 指で肛門を開いて、視姦さえ行った。
 それから、勝利判定を取るためのスパンキングを行った。

 ――パン! パン! パン!

 往復ビンタのような平手打ちが、左右の尻たぶを交互に打つ。
 先ほどのようにレフェリーの真似事をしたがる男が高らかにカウントの声を上げ、なす術もなく10カウントが迫っていった。

 パン! パン! パン!
「エイト! ナイン! テン!」

 あらゆる方法でなつきは負けた。
 股に顔を埋められて、クンニによってアソコを舐める。舌使いによって割れ目を嬲られ、股が男の唾液まみれになっていきながら、最後にはクリトリスを舌先で苛められ続けて絶頂に導かれた。
 もはや実力を発揮していないなつきに合わせ、わざと手を抜いて互角を演じた男もいた。その男はなつきの打撃をかわすたび、背後を取ってやることが、平手で尻をぶつことだ。一回ずつ地道にカウントが刻まれて、そのまま十回目のスパンキングで敗北した。
 玩具を持ち出し、ピンクローターによってイカされた。
 電気マッサージ器でイカされた。
 オナニーしろと強要され、自分自身でイクという自滅をやらされた。
 それら敗北の数々のたびに肉棒を咥え込み、精液を飲むなつきの姿は、ビデオにもカメラにも収まり続けた。
 何本のペニスを相手にしたか。なつきにはわからない。
 ただ、一度は倒したはずの男が、もう一度勝負に出てきてなつきをイカせ、そうでなければ尻を叩いて、それぞれパイズリかフェラチオの好みの方をやらせてきた。
 きっと、全員の相手をしたのだろう。
 ナイフを持っていたはずの男も、他の男と人質の相手を交代して、なつきを辱めにやって来ていた。
 最後は主犯格が相手となった。
 そう、全てのきっかけとなった男。そもそも、なつきに勝負を挑み、誘い出し、初めからこうするつもりでいた男は、リーダー格としてその権利を持っていたのだろう。

「俺が勝ったら、セックスな」

 なつきにとって、それは自分の処女が奪われるのだという確定した未来の宣告だった。
 当然、負けた。

「仰向けだ。脚を開け」

 自らペニスを受け入れるため、より挿入してもらいやすいため、M字開脚のポーズを取らされ、ギャラリー達は結合の瞬間を見よう見ようと、マットの周りに殺到した。
 撮られる。
 処女を失う瞬間が、写真と映像に残される。
「お願い……許して……」
 強要とはいえ、どうぞ挿入してくださいとばかりのポーズを自分で取って、それで許して下さいだ。滑稽極まりない姿は笑いを誘い、何人もの男をニヤつかせた。
「駄目だね」
 主犯格は肉棒を突きつけて、先端を秘所に触れさせる。
「…………」
 ただそれだけで、なつきは全てを諦めた表情となっていた。
「いくぜ」
 ゆっくりゆっくりと挿入した。
 毛の生えたアソコへと、割れ目の中へと、亀頭がだんだん潜り込み、処女穴の破ける瞬間を仲間達に見せるため、上半身を反らして見えやすいようにしてやりながら、スローモーションのようにだんだんと、本当に少しずつ埋め込んだ。
「あ……あぁ…………」
 膣壁と膣壁の合わさりが、肉槍の侵攻によって左右に開け、やがて亀頭が全て収まる。
 そのまま棒まで、だんだんと……。
 最後には根元まで埋めた男は、なつきの股に腰をぶつけた。
「どうだ。お前の中に俺のものが入ったぞ」
 打ち込まれた肉杭の熱さが、なつきの膣内にぴったりと収納されている。
「うっ、くっ……ううっ、うぁぁああ……」
 泣いているのか、喘いでいるのか。それとも両方。どうとも言えないおかしな声が、なつきの口から漏れている。
「ほーらほらほら、初めてのセックスだぞ? もっと楽しめよ」
 愉快そうに揺り動かし、主犯格は肉棒を出入りさせた。
「うあっ、あっ……あっ……あぁ……! あっ、あふぁ!」
「こいつ。初めてで感じてるな」
 もうなつきは、ひたすらに感じていた。
「――あっ! あっ、あん! あん!」
 快楽に身を委ねてしまった方が、本番までされている現実を受け止めるより、いっそ楽でいいのだろう。
「まあ、あれだけイカせまくって整えたんだ。俺達の手にかかれば、処女のまま喘いだっておかしくないな」
 突けば喘ぐ。楽器のように。
「――んっ! んふぁ、あっ、あぁ――ああん!」
「へへっ、気持ち良さそうにしやがって。完全に堕ちやがったぜ」
「あっ! あぁっ、あん!」
 もはや人形でしかなかった。
 生理的な快楽を与えれば、その通りに反応を示してみせる。そういう人形としてピストン運動に身をよじり、両腕でよがっては腰をくねらせるなつきの姿は、人格ある人間の表情をしていない。
「イカせてやるよ」
 主犯格はペースを速め、おもむろになつきをイカせた。
 そして、肉体に精液をかけ、あとは自分達が帰る準備を済ませ、なつきをその場に放置して帰っていった。

     **

 その後、貴澄夏生がいかにして立ち直ったのかはわからない。
 時間はあった。あれはもう何ヶ月の前の話なのだ。
 どうにかして、まあ持ち直してのことだろう。
 あの陵辱会を楽しんでから、それからも強い女を楽しみつつ、練習に励んできた彼ら集団は、なつきの思い出と写真と動画を胸に、ゲスな彼らだが前に進んで大会にも出場した。
 優勝は果たせなかった。
 だが、来年もまたベストを尽くす。

 主犯格とその仲間達は、その大会表彰式の会場客席に座っていた。

 大東亜工業高等学校の空手部が、優勝トロフィーを受け取る瞬間を観に来たのだ。自分達も出場していた以上、自分達よりも強い連中の姿を眺め、あれが来年試合で倒すべき相手なのだと心を固めるために来ていたのだ。
 それがとんだ驚きだ。

「待ったぁ!」

 ――と。

 突如、会場に殴り込みを行う女子生徒の姿があった。
 剛柔高校に通う高岡リナと、もう一人は三年生になってから空手部主将の座を引き継ぎ、空手部を引っ張ってきた貴澄夏生そのものだった。
 本当に驚いた。
 あそこまで貶めたはずの女が、活き活きと男子空手に挑戦するばかりか、最後の最後で逆岩斬錘聖龍斬りなる技を披露し、大東亜主将を倒してしまった。
 再び、あの女とヤりたくなった。
 そうと決まれば行動あるのみ。

「よう。久しぶりだな」

 あの時と同じ、一人で出歩く姿を見つけて、今度は集団でなつきの前に現れた。

 ぞろぞろと仲間を引き連れ、急に行く手を立ち塞げば、当たり前だが警戒して身構えていた。
「あ、あんた達は……!」
 すぐに思い出したのだろう。
 男達の顔を見ただけで、なつきは凄まじく戦慄していた。
「凄いじゃないか。あの大東亜の男子を倒すだなんて。おめでとう」
「……どうも」
 素直に褒めるが、そんなことでなつきは構えを崩さない。
「それで、どうした? 腰が竦んでいるぞ?」
 主犯格はわざとらしく、煽る気持ちたっぷりに指摘した。
「……くっ!」
 図星なのだろう。
 なつきは途端に唇を歪めていた。
「そうだよなぁ? あんなことがあっちゃあ、もう俺達には本当の力を発揮することはできないよなぁ?」
「な、舐めるなぁぁ!」
 なつきはすぐに仕掛けてきた。
 さしあたり、NGボンバーと名前のついたあの技で、一撃の下に主犯格を沈めて、あのときの仕返しというつもりだったのだろうが、いかんせんキレが甘かった。あの特別試合での勝利と比べて、全く別物としか言いようがないほど、技の質は落ちていた。
 間合いを合わせるタイミングと、なつきのリーチが届いて来るまでの時間が、こんなにも簡単に読めてしまう。
「テア!」
 身体上部へのNGボンバーに対して、主犯格はキックで迎えていた。上半身の角度を大胆に寝かせたストレートキックで、いとも簡単にカウンターを決めることができてしまった。
「うぐぅ……!」
 なつきの身体を蹴り飛ばし、腹部にダメージを与えて膝をつかせることができてしまった。
 あの大東亜を一層した実力が、本当に発揮されていたなら、主犯格の仲間を含めたこの人数でかかっても、倒せる保障はないはずだ。
 それが、これだ。
「へへっ、トラウマで実力が出ませんか。思った通りだ」
 自分よりも強い女が、他でもない自分自身の手で沈んでいた。
「だ、だけど負けない! 今度こそ、空手をあんな風に使う人達なんて!」
 腹を抱えてうずくまるなつきは、しかし瞳に戦意を宿していた。
 さすがのあの時とは違う。
 あの時は既に何度も辱めを与えて、だから虚ろそのものだった。なつきが媚薬に気づいていたかは知らないが、性的刺激によって自分が無力化される無念や屈辱を、嫌と言うほど味わい続けて、精神的にも弱らせた状態での話だった。
 再び堕ちた姿を拝むには、もう一度追い詰め直さなくてはならない。
 だが、今なら人質無しでもいけるはずだ。
「ならやってみるか? 今度は人質無しだ。そうそう、言い忘れていたが、あのガキは約束通りに解放したぜ。ははっ、なかなか俺らも親切じゃないか!」
「親切なもんか! いくら解放したって、あんな子供を! あんた達、恥ずかしくないの! みっともない!」
 根に持っているのは当然か。
 いっそ呪いたいほどの恨みに違いない。
「なら俺を倒してみろよ。言っておくが、俺が勝ったらもう一度セックスだ」
 主犯格はなつきを煽った。
「言っとくけど、もう負けないよ!」
 初めから、なつきとしても雪辱を晴らしたい意志が強いのだろう。
 だからこそ、簡単に煽りに乗った。
「指定の道場まで、あの赤い胴着で来い。ただし一人でな。周りに見張りをつけるから、もしも仲間がいることがわかったら、写真も動画もばら撒くぜ」
 胴着姿を畳の上で犯すからこそ、味わい深いものが出てくるものだ。
「弱みを盾に……臆病者……!」
「そうか? 勝負は堂々とやってやろうって言っているんだ。言うほど俺が臆病か?」
「どーだか。罠の匂いがプンプンするよ」
「罠だと思うなら来なけりゃいい。お前の空手部に写真を送りつける」
「それが卑怯だっていうんじゃない!」
「勝負自体はちゃんとしてやる。それは来ればわかるはずだ」
「……ふん、いいよ。あんたの指定する場所で、あの赤い胴着で行く!」
「成立だな。待ってるぜ? 貴澄夏生」
 誘い出すべき道場の場所をメモにして、それをなつきに手渡した。

「あんたを倒して、私は私の尊厳を取り戻す」

 受け取るなつきは、意志の宿った瞳で主犯格を見据えた。

「また犯してやるよ」

 そんななつきを倒してやり、陵辱することを考えると、今のうちから興奮していた。


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