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  • 第7話 地獄の品評イベント

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     三十日目に開催されるイベントは品評会だった。
     シスターや赤髪少女に、黒髪眼鏡から、他の見覚えのない女の子まで、女囚として囚われるプレイの参加者達は、歴代優勝者の写真を飾る壁を背にして並んでいた。
     当然、旭姫もだ。
    「全員! 服を脱げ!」
     看守の命令により、女達は一斉にシャツをたくし上げ、旭姫も羞恥を堪えて脱ぎ始める。脱いだものをその場に投げ捨て、ズボンも足下に放り出し、揃って下着姿になると、女子全員の手前にはホロウィンドウが表示された。
     ここには十人ほど並んでいるが、その全員がオナニー大会参加者だ。
     そして、ホロウィンドウに表示されるのは、それぞれが達成した最高記録であり、旭姫の記録は誰にも破られていなかった。
     だから、旭姫のホロウィンドウだけに特別な記載がある。
    『☆オナニーチャンピオン☆』
     わざわざ星マークまで付けた輝かしい文字の下に、三十九回という未だ破られない記録が表示されている。
    「これより、歴代オナニスト品評会を開催するぜぇ!」
     レオーノヴィチがマイクを握っていた。
    「まずはオナニーチャンピオン! その記録は未だ破られず! 絶頂の覇者様からのご挨拶といこうじゃねぇか!」
     屈辱的な紹介に場の男達が盛り上がる。
     そして、レオーノヴィチによってマイクを持たされ、旭姫はさらに屈辱的な口上を述べなくてはならない。この品評会に備え、事前に教え込まれた挨拶の通りにしなければ、牢からの開放という条件は守られないのだ。
    「あ、あたしは……オナニーチャンピオンの空閑旭姫です……」
     こんな称号を一度として誇りに思ったことはない。
     しかし、旭姫は自らの口でオナニーチャンピオンを名乗らされ、恥ずかしそうに名乗る様子にファン達は大喜びだ。
    「……この品評会で……ど、どうぞ、あたしの体をご覧頂き、たくさんの評価を貰えると嬉しいです」
     それはイベントの企画者が考え、旭姫用に作った台詞なのだが、そんな背景は関係無しに少年達は大喜びだ。最も純真な子供らしい――心は小学生だから当然といえば当然なのだが、幼さを感じさせる中にも、いつまでも新鮮な恥じらいを浮かべつつける旭姫には、一定の人気が集まっていた。
     その旭姫がやはり恥ずかしそうな顔しながら、自分の体をご覧下さいなどと言うものだから、ファン達は大いに鼻の下を伸ばしている。
     このようにして、順番にマイクを握らせての自己紹介は続いていった。
     黒髪眼鏡は歴代二位の記録の保持者として、三位、四位、五位までは、それぞれの挨拶の際に自分の順位を言うことになっている。次こそは勝ちたい、チャンピオンに挑みたいといった目標を口にして、次の順番へとマイクを移していく。
     最後の一人の挨拶まで済んだところで、改めて看守による命令が下された。
    「全員! 下着を脱げ!」
     十人の女子全員の腕が、一斉に後ろに回る。
    (やだよ……もうやだ……こんな大勢の前でなんて…………)
     旭姫にとっては悪夢そのものだ。
     裸に殺到してくる視線は、いつまでたっても旭姫の羞恥心を刺激して、毎回のように顔が赤く染まってしまう。ちっとも慣れる気配がなく、ブラジャーを外す動作こそスムーズにはなっていたものの、まるで初めて乳房を晒したようなウブな赤らみが浮かんでいた。
    「ヒュー!」
    「旭姫ちゃーん!」
     ファンからの声援など、旭姫にとっては羞恥の素に他ならない。
     さらに十人一斉にショーツを脱ぎ、旭姫も指を入れるのだが、下ろそうとする直前に恥じらいが吹き荒れた。
     ブラジャーはすぐに外した分、本当は少しくらい慣れているのかもしれない。
     しかし、本人に慣れの自覚はなく、他の九人が同時にショーツを脱ぎ終わっていたのに対し、旭姫だけが数秒遅れてショーツを下げていた。全裸になり、足下にショーツを置いて気をつけの姿勢になるのは、旭姫が一番最後となっていた。
    「ではそれぞれ好きに鑑賞し、品評するといいぜ?」
     レオーノヴィチが品評会の会誌を告げる。
     すると、男達は一斉にぞろぞろと動き出し、各自が目当てにしている女の子の前に集まっていく。旭姫の前にも人集りが形成され、その中にはやはり田茂も混ざっていた。
    「やっぱり可愛いねぇー」
    「下なんか向いちゃってさ」
    「初めて裸になったみたいな雰囲気ってやつ?」
    「そうそう。旭姫ちゃんはいつまでも恥じらい方が可愛いんだよ」
     旭姫の裸体を眺める少年や青年は、いかにも品評家を気取ったような、どこか偉そうな背筋の伸ばし方をして、口々に空閑旭姫の良さを語り始める。
    「何と言っても、未成熟の体だ」
    「そうだねぇ? 小学生のようでいて、高校生のようでもある。かといって、安直に中学生とも言い難い。なんというか、実年齢よりも発育の遅れた感じといいますか」
    「そうですねぇぇぇ! 乳房の膨らみ具合がなんといっても、あどけない! この乳房のあっさりとした膨らみ具合といい、形状といい、ロリティックな美しさがよく出ている!」
     敬語まで使って熱く語る青年は、さも自分は旭姫の良さをわかっている顔をして、おもむろに手を伸ばして揉みしだく。
    「下の毛の生え具合も可愛らしいんだよね」
    「薄らとした感じで、陰毛の下から皮膚が見えるぐらいの感じがいい」
     こうしてひとしきり語った旭姫推しの勢力達は、それでも他の女の子の裸も見にいって、隣の群れに参加した時には、旭姫と比べるような評論を唱え始める。
    「うーむ。巨乳派の我々としては、いささか物足りないところがありますなー」
    「ええ、確かに」
     逆に別の女の子を推す面々は、口ではそう言いつつも、ちゃっかりと旭姫の胸を揉む。まるで宝を分かち合うように、二人組で左右の乳房をそれぞれ揉み、指を動かしながらも別の乳房と比べる論評を展開する。
    「指が沈まんのだよ。指が」
    「巨乳でしか味わえないのは、なんといても指を沈めた際の肉だよ。指のあいだから漏れ出るような、はみ出るような乳房の肉!」
    「そうそう。旭姫ちゃんのサイズではそれがない!」
    「うん。これはいかん!」
     巨乳こそが正義である二人組は、手の平では存分に味わっているくせに、それでいて巨乳にはある魅力が旭姫にはないとする言葉を残していく。
    「さっきの連中は所詮巨乳派だもんな」
    「このサイズ特有の魅力ってものをわかっていない」
     それと入れ替わるようにして、旭姫くらいのサイズを好む二人組が、やはり左右それぞれの乳房に手を伸ばして揉んでくる。
    (やだ……やだよ……これっていつまで続くの……?)
     評論の材料にされ、貶されるのも褒められるのも、どちらも旭姫の恥辱を煽る。貶める言葉には心まで貶められ、かといってどんなに絶賛されても、自分の裸が品評会のネタになっている辛さで喜べない。
     しゃがみ込んで毛の生え具合に関する論評を唱えに来る者までいる。それは心を抉り抜くように、旭姫の羞恥を煽ってきた。
     さらには膣にも指を入れられた。
    「なるほどねぇ? この狭いかのような感じでいて、ちゃっかりと何人かと経験しているわけでしょう? 媚薬で感度ステータスが上昇して、いかにも感じやすくなっているアソコというのは、なかなかにそそるものですなぁ?」
     ふむふむと、さも学術的な見解を述べるかのように、その少年は指を天に突き立てる形で挿入して、ピストンを行って来た。
    「んぅ……んぁ…………あぁぁ…………」
    「膣壁の感触がたまりません。この狭さでギュゥゥゥっと締め付けられたら、我々などはあっという間に射精することでしょう」
     この少年は自分の見解を背後に集まる友達に聞かせていた。
    「さすが博士」
    「言うことが違うねぇ?」
     旭姫の膣口がいかに優れ、男性器を喜ばせるために存在するかを語った上、友達がそれを評価している。
     アソコでさえも評論のネタになる状況に、顔がみるみるうちに歪んでいた。
    
    「壁に両手を突き、尻を突き出せ!」
    
     一定の時間が経つと、ポーズを変える指示が出た。
     壁の素材だけに視線を注ぎ始める旭姫は、後ろから尻に触られ、肛門を覗き込まれる恥ずかしさを堪え始めた。
    「かわいい肛門だなぁ?」
    「さっきの奴は黒ずんでたぜ?」
    「旭姫ちゃん。生まれたてみたいに幼い尻穴だね?」
    「可愛すぎてペロペロ舐めたくなるよ」
     尻の後ろに顔が集まり、その視線という視線の数々が肛門へと殺到する。
    (や、やだよぉぉ…………!)
     頭が沸騰する勢いで、もはや脳の蒸発まで始まっていた。
    (恥ずかしすぎるよ……恥ずかしくて死んじゃうよ…………)
     オナニーチャンピオンの称号まで授かって、それでも羞恥心は強かった。
     あるいは、だからこそ恥じらっているのだろう。
    「さすがオナチャン」
    「チャンプは肛門まで別格ってか?」
     チャンピオンであることを引き合いに、身体の優れた部分をさすがだと語ってくる。
     そして、別の女の子を推す人間に言わせれば、チャンピオンなのに大した乳房とは言い難い。チャンピオンなのに毛が少ない。チャンピオンなのに黒ずみが薄い。自分の性癖を語るのに、いちいちチャンピオンを引き合いにする。
     さすがはチャンピオンか、チャンピオンなのに、なのか。
     いずれかの評論をおびただしい人数から下され続け、その全員の頭の中には、旭姫の裸に対する点数が存在している。
    (なんでみんな……こんなに点数付けたり、変なこと言ったりするの……!)
     それが旭姫を苛んでいた。
    「アソコと肛門が同時に見えるって、やっぱエロいなー」
     視姦され続ける地獄の中で、頭の沸騰で脳が消えていきそうな勢いで、赤らんだ顔からは熱気が放たれる。
    
    「ではここからは、挿入券を持つ方々への挿入タイムを開始するぜぇ!」
    
     性交さえもが始まった。
     すると、誰かもわからない男が旭姫の腰を後ろから掴むなり、すぐさま肉棒を突き込んで、大胆な腰振りを開始する。
    「うーん! さすが旭姫ちゃん! いい入れ心地だよ!」
     と、その挿入してくる少年は、ピストンしながら持論の展開を始めて語り尽くす。
    「あぁ! あぁ……! あん! あん! あん!」
     その内容は快感のせいで上手く頭に入って来ないが、耳に小難しい言葉が届くため、何かを語られ続けていることだけは伝わっていた。
    「では次は僕が……っと、さっきの子より狭いよ!?」
     肉棒が引き抜かれ、また次の肉棒が入ってくるなり、別の女の子と比べる言葉が早速のように吐き出され、彼はそのまま、やはり持論の展開を開始する。
     さっきまで挿入していた子に比べると、一体旭姫はどう違うか。どこが旭姫の優れたポイントであり、どこなら他の女の子の方が素晴らしいか。そういったことを彼なりの言葉で語り尽くして、旭姫はその全てを聞かされながら喘いでいた。
    「あん! あん! あん! あん!」
     快感で脳が痺れるせいで内容への理解が及ばないだけで、自分と他の女の子を比べる意見が展開されていることだけはわかっていた。
    「私は肛門に挿入させて頂きます」
    「えっ!? そ、そこは……!」
     女囚生活の中で、アナルセックスの存在だけは知っていたものの、実際に入れられるのは初めてで、旭姫は明らかに戸惑った。
     戸惑い、焦り。
     そんな感情に駆られながら、生まれて初めて肛門に異物を受け入れ、激しい違和感と共に喘がされた。
    「あぁ! あん! あぁん! あぁん!」
    「ほほう? 肛門でも問題なく感じると! これは素晴らしい! オナニーチャンピオンたる空閑旭姫は伊達ではありません!」
     やはり理屈っぽい意見を延々と唱えながら、さも学術的なことを述べるためであるように腰を振り、肛門の中に射精して去って行く。
     地獄であった。
     恥ずかしさの地獄に立たされ、性器や肛門まで自由に使われる屈辱に、旭姫の心は徐々にひび割れていた。
     これまでの生活で味わったものが溜まりに溜まり、今ここでも蓄積され、しかも日常的な媚薬の塗り込みで、快楽まで覚え込まされている。
    (もう……もうあたし……無理、無理だよ…………)
     どこか限界を超えようとしていた。
     このままでは旭姫の心はどうなるのか。いずれ壊れてしまうのか。
     ゆうに十人以上の男に穴を使われ、やっとのことでイベントが終了すると、旭姫は虚ろな目でくず折れていた。
    「陽翔……陽翔……貴法……咲月……希……クライヴ………………」
     無意識のうちに、小さな声でみんなの名前をか細く唱え、握り締めた拳の指に輝く銀色をそっと撫でているのであった。
    
    
    
    


     
     
     


  • 第6話 オナニー大会

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     旭姫はこうした毎日を過ごしていた。
     毎朝のように下着姿で朝礼を行い、媚薬を塗り、昼間には指定の部屋へ『世話』をしにいき、夜を迎えれば誰かと夜伽をさせられる。
     十日目には特別なイベントがあるらしい。
     今日も下着姿で立たされると、そこには初日の時にいた三人が、シスターや赤髪に黒髪眼鏡が並んでいた。
    
    「今日はオナニー大会を開催する!」
    
     レオーノヴィチが手下を前に高らかに宣言した。
    「話は簡単! ここにいる四人がみんなの前でオナニーして、イった回数を競うんだ。優勝者には金や装備を恵んでやり、優勝できなかった三人はここにいる全員で自由に回しまくって良いっつールールだ!」
     そんな大会に参加したいかどうか、旭姫の意思は関係無い。
     嫌でも参加者として扱われ、まずはいつものように下着姿で朝礼を済ませる。最初のようにペアで媚薬を塗り合うと、すぐにでも皮膚が熱く燃え上がり、胸もアソコも敏感になって、さっそくのように内股に愛液が滴っていた。
     そして、大会開始の直前には、四人ともが分娩台に固定され、開脚状態で脚にベルトを巻かれることになるのだった。
     背中合わせの形で四人は一箇所に、みんなで外側にアソコを晒す。
     男達は好きな女の子の前に集まり、そのオナニーを鑑賞するわけだ。
    (やだ……人前でオナニーなんて……恥ずかしいよ……)
     十日もここにいて、旭姫は一通りの知識を蓄え、とっくのようにオナニーやマスターベーションといった単語まで覚えていた。
     旭姫のオナニーを見るために群がる男の中には田茂もいて、陽翔をコケにする人にまで見せびらかすことに、ひどく抵抗を感じている
     だが、優勝できなかった場合、一日中セックスをさせられるのだ。
     アバターでは現実的な負担がかからない上、アイテムで回復ができるため、一日かけてボロ雑巾のように扱われても、体力的な疲弊といった心配はない。しかし、いつ終わるとも知れないセックス地獄など、好きで味わいたいものではない。
     そうなると、嫌でも優勝のために頑張らなくてはいけないのだ。
    「準備はいいか? オナニー開始ィ!」
     レオーノヴィチの宣言により、制限時間一時間のカウントダウンが開始され、旭姫の背後にいる三人は、一斉にオナニーを始めていた。
    「ああ! あっ、あぁっ!」
     お淑やかだったシスターが乱れている。
    「おおっ、媚薬が! 媚薬が効きすぎィ!」
     赤髪少女も水音を鳴らしている。
    「あぁ……! こんなところ、みんなに見られてぇ……!」
     黒髪眼鏡も、明らかに喜ぶ声を上げていた。
    「なんでみんな平気でできるの?」
     旭姫にはやはり、この三人の感覚が信じられず、かといって輪姦地獄を味わうのも嫌で、躊躇いながらもオナニーを開始した。
    「おおっ!」
    「始まった始まった!」
    「旭姫ちゃんの純粋っぷり、マジでいいねー!」
     四人の中では最も初々しく、経験済みを感じさせない恥じらいぶりには、それ相応の人気が集まっていた。
    「やりにくいよ……」
     自分のオナニーを実況され、かなりのやりにくさを感じながらも、旭姫は敏感なアソコに指を入れ、自分自身でピストンを開始する。
    「んぅ……んぅぅぅ…………!」
     媚薬の力で敏感になったアソコは、最初のうちからクリトリスを突起させ、少し弄っただけでも信じられない快感が溢れてくる。
    「気持ち良さそー」
    「感じた顔、かんわいー」
    「オレ断然旭姫ちゃんのファンだわー」
     始めた途端にあらゆる声がかかってきて、羞恥と屈辱を煽られた旭姫は、顔を激しく歪めていく。
     やりにくい思いで顔を背け、ただ輪姦を避けるためだけに指の出し入れを行うが、この状況を心から楽しむ三人とは圧倒的な差があった。
    「あぁぁ……!!!」
     シスターの大きな声が上がっていた。
    「イクイク!」
    「私もォ! らめぇ……!」
     赤髪少女も、黒髪眼鏡も、旭姫の後ろでイキ散らし、周囲に愛液の潮を撒きながら絶頂していた。
    「ほらほら、周りはイってるよ?」
    「旭姫ちゃんも頑張らないと」
    「あ、オレ達とセックスしたいとか?」
    「そういうことなら、無理に優勝しなくてもいいっしょ?」
     そんな風に煽られると、彼らとの性交を拒みたい気持ちが膨らみ、旭姫は恥じらいながらも指のピストンを活発に、身を切る思いで左手はクリトリスに伸ばしていく。人差し指で豆を転がし、右手では小刻みに愛液を掻き出して、こんなにも卑猥な姿を鑑賞される恥ずかしさに耐えながら、旭姫は快楽を感じていた。
    「んっ、んぅぅぅ……!」
     ようやくイって、軽い潮吹きを行った。
     すると、旭姫の近くに浮かび上がったホロウィンドウには、絶頂回数を示す『1』の数字が表示されるのだった。
    「そっちは何回?」
    「もう五回はイってるぜ?」
    「六回!」
    「エロ眼鏡は十回よ十回!」
     旭姫サイドの男達は、他の少女に群がるファンへと声をかけると、旭姫を大きく引き離した数字を聞かされた。
     これらに対してまだ一回など、優勝できない可能性に大いに焦る。
     しかし、ここから追い上げる努力をするということは、それだけ必死になってオナニーをするということだ。
    (……そんな……無理だよ! 人前でオナニーを頑張るなんて、恥ずかしすぎるよ!)
     羞恥心が吹き荒れて、それでも輪姦が嫌だから頑張ってはみるものの、オナニーの努力に対する抵抗感はどうしても膨らんだ。
    「エロいねぇぇぇぇ!」
    「頑張ってるねー旭姫ちゃん!」
    「優勝目指してる感じ?」
     頑張ったら頑張ったで、活発化したオナニーに対する言葉を投げかけられ、あまりにもやりにくい。そのせいで速度が緩み、オナニーが軽やかになった途端だ。
    「あぁん!」
    「イったぁぁ! 十一回目!」
     後ろから聞こえる回数のカウントに焦らされる。
    「ほらほら!」
    「もう十点差だよ!?」
    「頑張って頑張って!」
     躊躇えば打って変わって応援され、旭姫自身も焦っているので、指の動きを活発化させ直す。
    「エロいなぁ! 旭姫ちゃん!」
    「ちょーエッチ!」
    「気持ちよさそうな顔がそそるねぇ!」
     そして、いざ頑張れば恥辱を煽られ、どちらに転んでも旭姫を苛む言葉の数々が周囲からかけられる。
     旭姫はこんな環境下でオナニーをやり続けた。
     焦りから活発に、すると恥辱を煽る言葉をかけられ低速化して、けれどやっぱり焦って活発化することの繰り返しで、イクたびに周りは盛り上がる。
    「やっと二回目だー!」
    「イったねぇ!?」
     と、数字のカウントが増えたことで、何が面白くてか大喜びだ。
     しばらくすれば、媚薬もあってまた絶頂。
    「三回目! 三回目!」
    「まだ優勝狙えるよ?」
    「ほら、エロ眼鏡のペース落ちてるってさ!」
    「ペース配分だよペース配分!」
    「ここから飛ばせばまだ勝てる!」
     努力を煽られ、旭姫自身も焦って指を素早くすると、またしても脳に甘い痺れが膨らんで、それが一気に弾けて全身が痙攣する。
     ホロウィンドウの中の数字が『4』に変わった。
     数分し経てば『5』に変わり、『6』に変わり、イった回数は順調に増えていくのだが、いくらペースダウンといっても、黒髪眼鏡はもう十四回はイっている。旭姫の回数に対して二倍以上の差となると、もはや優勝は絶望的だ。
     ……輪姦される。
     ここにいる全員と、一日中セックスをさせられる。
    (それはやだ! 絶対やだ!)
     もうなりふりは構っていられず、どんなに恥ずかしくても旭姫は激しくオナニーした。
    「おおお!」
    「マジに優勝狙いにいってるよ!?」
    「がんばれー! 旭姫ちゃーん!」
    「エロいぞー! 旭姫ちゃーん!」
     ニヤついた顔で、オナニー風景を楽しみながらの応援は、どうあっても羞恥を煽るものでしかない。こんなにも努力して、激しいオナニーを見せびらかすなど、いっそ死にたい思いがするも、ふと指に目をやれば、スバルのパーティリングが目に飛び込む。
    (いつか……絶対……陽翔だって、いつかはログインして、会いに来てくれるよ!)
     無根拠にそう信じて、旭姫は優勝を目指していった。
     制限時間のカウントが残り三十分を切る頃には、ついに黒髪眼鏡の回数に並び立ち、実に二十回もの絶頂を記録していた。
    「すげー!」
    「ありえねーだろ!」
     そう、ありえない。
     絶頂で体液を流出すれば、汗のかきすぎと同じで体調に関わるのが本来だが、ここでの皆の肉体はゲーム世界のアバターだ。媚薬効果で感度という名のステータスは弄られて、水分不足も体力の問題も気にせずに、自由に何度でも絶頂できる。
     気持ちの問題で飽きない限りイキ放題なのだ。
     旭姫は恥ずかしさを押し殺し、輪姦を避けるためだけに奮闘した。黒髪眼鏡の回数に並んだことで、追いつくための努力から、今度は引き離すための努力に変わり、がむしゃらにアソコを掻き回した。
    
    「終了ォ!」
    
     レオーノヴィチが終了の宣言をした時点で、ホロウィンドウへのカウントも停止する。制限時間を越えてからの絶頂は、もう反映されることはない。
    
    「優勝は空閑旭姫! 脅威の三十回だァァァ!」
    
     男達は拍手を広げる。
     その優勝者を讃える空気感は、言うまでもなくスポーツや芸術のものと異なり、一人一人がいやらしい顔をしながら形勢しているものだ。
    「こんなにイっちゃうなんでスゲーな」
    「エロの素質ありすぎない?」
    「旭姫ちゃんマジエロ! エロの女神だろ!」
     そういった感想が溢れかえって、それらは旭姫自身の耳にまで届くのだ。
     本当はオナニーが大好きで、みんなに見て欲しかった。みんなに見られながらイクことにハマった。好き勝手な言い分が男達のあいだに広がり、旭姫の意思に反した『名誉』がギルドの中で上がってしまう。
    「嫌、嫌……言わないで……!」
     優勝したらしたで、旭姫を辱める言葉に場は溢れかえっていた。
    
    「優勝記念として、エッチな下着やバイブにローター! 様々なエロアイテムをプレゼントする! 送っておくから、楽しみに確認してくれ!」
    
     優勝賞品ですら、屈辱を煽るものが送られる。
     メニュー画面を開いてみれば、アイテム欄の中には紐状の下着やシースルーに、大量の媚薬や衣装の数々がずらりと並び、もはやダンジョンで魔物と戦うための装備は見当たらない。娼館で娼婦として働きながら、性を謳歌するためだけのアイテム欄と化していた。
     その後、優勝記念に旭姫の写真がギルド領内に飾られる。
     顔写真そのものは、一般的な証明写真と変わらないものなのだが、その下のプレートにはこう刻まれている。
    
    『第一回オナニー大会優勝――絶頂回数三十回』
    
     こんな記録が公然と飾られて、その時の現場にいた男達は、思い出に浸りたくなった時、旭姫の顔写真を眺めるようになる。
    
         *
    
     そして、牢の部屋が新しくなった。
     看守に案内される先の部屋はいつもと異なり、鉄格子の向こうへと入れられると、旭姫はその壁にあるものに気づいて驚愕した。
    「これ、あたしの……!」
     旭姫が元々身につけていた装備が、下着も含めて釘打ちされ、壁に飾り付けられていた。
     服にも、スカートにも、下着にも、全てに精液がかけられており、魔法によって状態保存がされている。決して乾燥することなく、いつまでも出したての熱気と汁気を放ち続ける精液が、ずぶ濡れというべきほどにおびただしく染み込んでいた。
     雨でびしょ濡れになるかのように、精液によってぐっしょりと、どこに触っても粘液の感触がする状態になっていた。
     表示されるアイテム名すら変わっていた。
    『精液濡れの――』
     と、精液を染み込ませていることが、そのまま装備の特徴と化し、説明欄に浮かぶ文章さえ、何十人もの欲望が染み込んだことを述べるテキストとなっている。
     呆気に取られ、くず折れる旭姫の背後で、鉄格子に鍵が差し込まれる。
    「お前のものだろう? 返して欲しければ、もらっていいぞ?」
     鉄格子の向こうから、看守はニヤニヤしながらそう言っていた。
    
         *
    
     二十日目にもオナニー大会が開催され、レオーノヴィチが行う司会によって、旭姫は前回優勝者として紹介される。
    「前回は脅威の三十回という回数を記録したよなぁ? それほどのエロ女だもんなぁ? 今回の意気込みはどうなんだぁ?」
     既にいつもの朝礼後。
     丸裸で乳とアソコに媚薬が塗り込まれた状態で、レオーノヴィチが握るマイクがその口元に近づけられる。
    「だ、だって! 優勝しなかったら、全員とするんでしょ!? 一日中誰かとするなんて、そんなのやだもん!」
     旭姫自身は本心で言っているのだが、周りはそんな風には捉えない。
    「オナニー大好き女が言い訳がましいことを言ってるぜ? ま、奥ゆかしい旭姫には、自分はエロ女ですって堂々と認めることはできねーもんなぁ!」
     大会の開始前から、言葉だけでも辱めを受ける羽目になる。
     今回も優勝を狙うのは、オナニーが大好きだから――みんなに見られて興奮する変態だから――好き勝手な評価が飛び交うのだ。
     かといって、優勝しなかった場合の扱いは、前回の大会で実際に拝んでいる。好きで参加してくる三人は、そう嫌がってはいなかったが、代わる代わる挿入してくる輪姦の光景は、旭姫の顔を大いに引き攣らせるものだった。
     口に入れられ、四つん這いで前後から同時に責められたり、尻にまで挿入され、三本同時に相手をするなど、信じられない光景に満ち溢れ、自分が同じ目に遭うのは絶対に嫌だと感じさせられた。
     これなら『名誉』の方がマシだと旭姫は感じたわけだった。
     だから今回も、旭姫は優勝を目指す。
     前回と同様に、分娩台に座らされ、ベルトで脚を固定したM字開脚の状態で、四人の参加者が背中合わせで一箇所に固まる。鑑賞する男達は、それぞれ自分の好きな少女の前に群がって、スタートの合図と共に、一時間にわたるオナニータイムが始まるのだ。
     旭姫はスタートから躊躇いを振り切って、一生懸命にオナニーした。
     努力しなければ勝ち目がない、黒髪眼鏡の絶頂回数に勝つために、イクための努力に励んで回数を刻んでいく。
     今回はデットヒートだ。
    『10』『15』『21』『29』――。
     旭姫は順調に記録を上げていくが、黒髪眼鏡もそれに並んだ回数を記録して、残り十分のところで三十回をも超えていた。
     お互いが前回記録を突破して、旭姫が一点リードすれば、それを追い上げ黒髪眼鏡がリードする。
     最終的な点数は……。
    
    「終了ォ! 空閑旭姫! 三十九回!」
    
     レオーノヴィチが高らかに上げる回数に対して、黒髪眼鏡は三十七だ。
     お互いに前回記録を大幅に更新しつつ、旭姫は二連続の優勝となるのだった。
     となれば、やはり好き勝手な評価は飛び交う。
    「やっぱりオナニー大好きなんだ!」
    「最強のオナニー女!」
    「オナニーマスター!」
    「みんなに見られながらするオナニーが大好き!」
     最低最悪の『声援』は、その大半が旭姫を苛むものだった。
    「二回目の優勝を讃え、新たなエロアイテムを贈呈するぜ!」
     そして、旭姫のアイテム欄にはまたしても卑猥な装備名やアイテム名がずらりと並び、屋敷には優勝記念の写真がもう一枚飾られる。
    
    『第二回オナニー大会優勝――絶頂回数三九回』
    
     二枚並んだ旭姫の顔写真のその下には、第一回と第二回を記録したプレートがそれぞれ添えられ、ギルド内での旭姫の評判にも多大な影響を及ぼすことになる。
     旭姫自身がどんな気持ちで頑張ったかなど関係ない。
     二回も優勝するオナニー大好き女という名誉こそが、旭姫に与えられるものだった。
     もちろん、優勝しなかった三人は、レオーノヴィチを含むその場の全員に輪姦され、延々と遊ばれ続けたのだが、それを回避するための代償も、決して軽いものとは思えない。
     屋敷を歩き、誰かとすれ違うたびに言われるのだ。
    「お! 優勝者!」
    「ねえねえ、今日もオナニーしたの?」
    「第三回も優勝目指す感じ?」
    「次は五十回とかいっちゃうんじゃない?」
    「オレにもオナニー見せてよー」
     などと、しきりの声をかけられては、二連続優勝を揶揄される。旭姫が何をどう言い返しても、二連続優勝という『称号』はべったりと深く張りつき、どんなに足掻いても剥がれることなどないのだった。
     毎日の昼間の『世話』でも、オナニーを見せて欲しいとの要求が増え、泣く泣く見せびらかす流れも増えていた。
     こうなると、当然のように三連続優勝への期待が高まる。
     ギルド内の期待に反して、二連続優勝を果たした旭姫は殿堂入りという扱いで、三回目は見学だけをさせられた。
     マイクを持たされ、実況中継を行うレオーノヴィチの隣で解説をやらされたが、それでなくとも心が小学生である旭姫は、難しい説明など上手くできない。どんなに要求されても、たどたどしいことしか言えず、しかし旭姫にオナニー大会の解説役をやらせるという、その事実だけでも一定数の人間は喜んでいた。
     さらに翌日、翌々日もオナニー大会は開催され、いずれも旭姫は解説に回される。
     見覚えのある三人組から、初めて見る顔ぶれまで、どこから集まるかもわからない少女が参加して、オナニーを見せびらかし、優勝できなかった者は輪姦される。
     こうして、第六回までの顔写真が並んでいき、それぞれのプレートには優勝時の絶頂回数が彫られているが、いずれも旭姫の最高記録を超えてはいない。
    
    『オナニーチャンピオン』
    
     故に旭姫に与えられる称号がそれだった。
     オナニーの覇者、絶頂の覇者。
     そんな名誉を与えられ、いずれ開催されるであろう優勝者同士の争いには、ギルド内では密かな期待が集まっていた。
    
    
    


     
     
     


  • 第5話 田茂とのセックス

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     それから、時間は夜を迎えていた。
     次に受けている命令は夜伽であり、言葉の意味を知らない旭姫であったが、レオーノヴィチによってはっきりと教えられた。セックスをしろということであり、指定の相手と一晩過ごせと言われたのだ。
     昼間と違い、最後までする前提で部屋へ向かう。
     日中に比べて暗く沈んだ顔でノックして、室内へ入っていくと、そこに待っていた見覚えのある顔に旭姫は軽く驚いていた。
    「待ってたっしょ~? 旭姫ちゃーん」
     田茂だった。
     陽翔はクラスメイトだと言っていたが、小学六年で記憶が止まっている旭姫には、彼と過ごした時間はものの一秒とて存在しない。
     初対面でこそないものの、陽翔にばかり絡んでいた旭姫にとって、何故かその場に居合わせていた程度の相手だ。
     いいや、それどころか。
    「名前、なんだっけ」
    「田茂だよ田茂ー」
    「田茂くんのせいだ」
    「え? なになに? どういうこと?」
     田茂は言われた意味がわからない風に肩を竦めて、何やら不思議そうにしているが、旭姫は彼が恨めしくてたまらない。
    「田茂くんがあんな人を呼んだせいで、陽翔ももう来ないんじゃん!」
     旭姫は田茂を責めていた。
     あの時、旭姫が陽翔と話しているあいだにも、いつの間にレオーノヴィチを連れて来て、そのせいで二人して牢に囚われることになったのだ。全てのきっかけになった田茂への憎らしさで、旭姫は涙ぐんだめで睨みつけていた。
    「いやいや! そんなこと言われてもさー! だいたい、全盛期? どれだけ凄かったか知らないけど? 弱くなってる方が悪くなーい?」
     悪びれもせず、むしろ陽翔自身が悪いかのように言う田茂に対して、旭姫の視線はますます鋭くなっていく。
    「っていうかさ! そーんな睨んだって、旭姫ちゃんの任務は夜伽っしょ~? レオーノヴィチさんに逆らったら、約束とか色々とさ。守ってもらえなくなるんじゃなーい?」
    「……やだ」
    「嫌だって言われてもさ。やるしかないっしょー? ほらほら、こっちだって」
     田茂は痺れを切らしたように立ち上がり、旭姫の手首を掴んで強引にでもベッドに引っ張り、無理に歩かされた旭姫は、ふらつきながらベッドへ迫る。
     そのまま隣で衣服の装備を解除して、裸になり始める田茂を横目に、本当にこの少年としなくてはいけないのかと、旭姫は青ざめつつあった。
     レオーノヴィチのせいで陽翔が来なくなったのだと、旭姫は思っている。
     そして、そのレオーノヴィチを呼び出し、原因を作り出したのが田茂だとも思っている。
     憎らしい相手に体を捧げ、気持ち良くしてやるなど、それほど嫌なことがあるだろうか。田茂なんかが快感に浸り、喜ぶ顔など見たくはない。自分の体によって田茂が満たされ、気持ち良くなったり、射精するなど、考えたくもない。
     だが、ログアウトのできない状態で、旭姫は牢に繋がれ続けているのだ。
    
     旭姫には首輪がかかっている。
    
     それは一定の領土から出られなくなる呪いの首輪だ。
     解除できるのは所持者のレオーノヴィチだけであり、アカウントが存在しないことになっている旭姫なので、いくら監禁してもギルドにお咎めはない。
     旭姫は本当に囚われの身だ。
    「さっ、やるっしょー! ってか、あんな根暗がマジで伝説のプレイヤーだったって? ありえないっしょ~!」
     陽翔の凄さを微塵も信じていないどころか、嘲笑ってすらいる顔で、田茂は旭姫をベッドに押し倒す。
    「陽翔は凄いもん! 本当ならレオーノヴィチだってすぐに倒せるから!」
     旭姫はムキになる。
    「でもさー。どっちにしろ、全盛期の力が出せなくて、雑魚になりさがってるわけじゃーん? だから旭姫ちゃんだって、こういうことになってるわけっしょー?」
     田茂の手が乳房に置かれる。
    「んっ! んぅ……!」
     媚薬が効いていた。
     少し乳房に指が食い込むだけで、甘い感覚が必要以上に走って気持ちがいい。
    「あらま、感じちゃってるー?」
    「……か、感じてなんか……あっ、んぅ……ないもん!」
    「へぇ? でもさー? 乳首がこーんな立ってるわけじゃん? これで感じてないって、無理があるんじゃない?」
     旭姫の女囚服は生地が薄めで、肌の形が浮かびやすい。仰向けの姿勢では乳房の形に沿い合わさり、乳首の形がしっかりと浮き出ていた。
    「これは……だって……媚薬のせいで……」
    「よーするに気持ちいいってことっしょ~?」
     田茂は調子の良い顔で乳首をつまみ、弾き抜く。
    「んっ! んぅぅぅ! んぅっ、んぅぅ…………!」
    「感じちゃってる顔っ、可愛いねぇ~?」
     田茂は旭姫の喘いだ顔を満足そうに覗き込む。
    「や、やめて……」
    「やめるわけないっしょ?」
     ニヤニヤと乳首を転がし抜き、乳房をひとしきり揉みしだくと、メニュー画面の操作を行い装備解除を開始する。
    「あっ……!」
     急に服が消え、裸になって旭姫は驚く。
    「お? マジじゃーん? こっちからでも、旭姫ちゃんの装備を好きに変えられるようになってるっしょ~?」
     相手の衣装を好きにできることに田茂は喜び、逆に旭姫は引き攣っていた。衣服の変更という形でさえ、自分のことを思うように扱える。そんな設定がいつの間に作られていたのだ。
    「じゃあさ! じゃあさ! 体操着にブルマってどうよ!」
     剣と魔法のファンタジーにはおよそ合わない、現実世界を彷彿させる衣装が何故だか存在するらしい。
     田茂の行うメニュー画面の操作により、わざわざ着替えるまでもなく、旭姫は強制的に衣服を着せられていた。
    「そんなに変えないでよ! あたしの格好……!」
    「ええ? なら丸裸がいい?」
    「それはやだけど……」
     セックスをしようという場所で、服があろうとなかろうと、最終的に行うことはどちらにしろ変わらない。服がある方がマシかといえば、そうとも限らないようでいて、かといって好き放題に衣装を変えられるのも、まるで着せ替え人形の扱いだ。
     どちらに転んでも、旭姫にとっては良い扱いなど何もない。
    「じゃあ、体操着越しにいくっしょ?」
     田茂の手が胸を揉む。
    「うぅ……んっ、んぅ……」
     揉みしだく手つきは、単に食い込むだけでなく、たまに思い出したように乳首を狙って転がしにくる。揉まれるだけでも気持ちいいのが、小刻みに来る強い刺激がアクセントとなり、体の方がしだいに楽しみ始めてしまう。
    「しっかし、陽翔にも見せてあげたいな~」
    「な、なんで!? やめて?」
    「いいじゃんいいじゃん! あのヘタレくんにさ、旭姫ちゃんのエッチなところをいっぱい見せたら、喜ぶんじゃなーい?」
    「そんなことないよ! やめてよ!」
    「どうしよっかなー」
     田茂は乳首をつまみ、軽く引っ張る。
    「んんっ!」
     どうしても声が出る。
    「旭姫ちゃんさー。あんなのに絡みまくってたけど? 陽翔なんかに絡んだってしょうがないっしょー? 根暗だし、つまんない奴っしょー?」
    「ちがう! そんなことっ、おっ、んぅぅ……! んっ、んぅぅ……!」
     言い返そうとする言葉が、乳首への刺激によって食い止められる。
    「雑魚雑魚、レオーノヴィチさんの足下にも及ばない」
    「あっ、んぅぅ……! んんぅ……!」
     言い返したいのに、乳首を転がされている限り、自分自身の喘ぎ声が言葉を封じて、淫らな声しか吐き出せない。
    「あれでかつては伝説とか、何かの冗談じゃないの~? レオーノヴィチさんだって、どうせ誰かと勘違いしてるっしょー。あれが伝説とか、マジでありえないしさー」
    「やっ、やめてっ、んぅぅ……! んっ、んぁぁ……!」
     陽翔を悪く言われているのに、快楽なんかのせいで言い返せない悔しさに、旭姫は視線だけを鋭くしていた。言葉を出せない変わりに睨みつけ、目一杯の気持ちを込めて視線に恨み言を乗せていた。
    「そんな目ぇしたってさぁ?」
    「陽翔を悪く言わないで! そういうこと言う人の相手なんて絶対しない!」
     愛撫の手が一瞬でも止まった隙に、旭姫は大きな声を張り上げていた。
    「へー? そんなに嫌なの?」
    「嫌に決まってるよ! 田茂くんの相手だって、好きでするわけないよ!」
    「じゃあさ。オマンコ触って下さいって言ってみて?」
    「オマンコ? なにそれ」
     性知識の不足により、手コキやフェラチオといった言葉すら知らなかった旭姫にとって、オマンコもまた初めて聞く単語である。
    「純粋だねぇ? とにかくさ? 言ってくれたら、陽翔のことは何も言わないって約束しちゃうよー?」
    「本当に?」
    「ホントホント!」
     田茂の白々しい目を見ていると、とても信じられない気もしてくる。
     しかし、旭姫は言うことにした。
    「……オマンコ触って下さい」
     きっと、体のどこかなのだろうとは思いつつ、旭姫は田茂の思い通りの台詞を口にした。
    「んじゃ、触るっしょ~」
     田茂の手が下へ伸び、指先による愛撫が始まる箇所は性器であった。
    「んんぅ!」
     思わぬ刺激に驚く。
     が、驚いたのは気持ち良さだけではない。
     オマンコが示す部位とは、女性器のことだったと判明して、自分が何を言わされたのかをわかった瞬間の、遅れてくる羞恥心によって顔がみるみる赤らんでいた。
    「すっげぇ! 媚薬様々っしょ!」
    「んっ! ん! んっ! んぁぁ……!」
     さして技巧に満ちているわけでもなく、ここにムードがあるわけでもない。田茂の愛撫は旭姫の肉体にスイッチを入れるほど、地道に丁寧に行われたわけではないのだが、まるで数十分にわたる愛撫で肌を温められてきたかのように、ブルマのアソコには愛液がたっぷりと染み込んでいた。
     触っただけで布地から糸が引き、ワレメをなぞれは旭姫は喘ぐ。
    「感じてる旭姫ちゃん。マジに可愛いね~」
    「んっ、んぁ……あぁ……あぁぁ……あぁぁ……あっ、あふぁ…………!」
     右手を下に伸ばしつつ、感じた表情を覗き込んでの愛撫を田茂は楽しむ。
    「次はさ。オチンポって言ってみてよ」
    「な、なんで……んぅ……やっ、やだ…………」
    「オマンコは言えたじゃん?」
    「だって、んぅ……んぁっ、知らなかった……から…………」
     本当に知らずに言った旭姫としては、まるで罠にかけられたような気分である。
    「でもさ? 言わなきゃ、また陽翔の悪口聞かせちゃうよ? それとも、あいつの悪口聞かされながら感じてみたい? そういうプレイも楽しいっしょ?」
    「た、楽しくない……! んぅ……!」
    「なら、言ってみてよ~」
     田茂はいい気になって愛撫を止め、旭姫に喋る余裕を与える。
    「…………オチンポ」
    「声小さくない? 聞こえないなー」
     田茂の調子に乗った顔を見て、旭姫はそれを睨み返した。
     文句を言いたくてたまらない表情で、それでも陽翔の悪口を言わせないため、旭姫は先ほどよりも大きな声で口にする。
    「オチンポ……!」
    「合格っしょ? じゃあさ、じゃあさ、次はオマンコにオチンポ入れて下さいって、おねだりするっしょ? そしたら二度と言わないって約束するっしょ?」
     かなりの屈辱的な台詞である。
     ただ台詞を口にするのと、裸で人前に立たされるのと、一体どちらがマシかが本気でわからなくなるほどには、旭姫の屈辱を煽る内容だ。
     陽翔のことを心底馬鹿にしている男を相手に、自分からセックスを求める言葉を述べるなど、そんな屈辱があるだろうか。
    「言わないんだったら? あいつの悪口を言いまくりながら挿入してさ? 学校であいつがどんなに根暗か教えながら腰振ってやるっしょ?」
    「オマンコにオチンポ入れて下さい! 田茂くんとセックスしたい! 入れて欲しい!」
     売り言葉に買い言葉。
     かなりの怒りがこもった投げやりな言い方だが、台詞だけなら田茂が求めた以上にはっきりとセックスを望んでいた。
    「うーん。もうちょっとおねだりっぽいのが良かったけど、まあオマケして許してやるっしょ」
     上からの物言いで、田茂は旭姫の脚を持ち上げる。
     M字開脚の形を作り、ブルマは完全には脱がせずに、アソコが見える程度の位置までずらす。体操着の方もずり上げて、控え目ながらにもふっくらとした乳房を拝む。
    「じゃあ、セックスしようか~! 旭姫ちゃ~ん!」
     田茂は大喜びで逸物を添え、さも望み通りに挿入してあげようと言わんばかりに、いい気になって勝ち誇る表情で、旭姫の膣に肉棒を差し込んでいく。
    「んぅぅぅぅ……!」
     穴が肉棒に合わせて広がる時、さらなる快楽に襲われて、脳に直接電流が弾けるような感覚で思考すら乱された。
    「すっげー! 気持ちいいね~」
     田茂は喜んで腰を振り、旭姫の膣を味わい始める。
    「あん! あん! あん! あん! あん! あん! あん! あん!」
     楽器のように似通った声を吐き、シーツを握り締めながら、突き上げられる快感に旭姫は翻弄されていた。腰を打ち込む衝撃に、シーツの上で全身が前後に揺さぶられ、ピストンが生み出す甘い痺れは電流となって足首にまで到達する。
    「あぁ! あぁ! あっ、あっ、あん! あぁん!」
     足首が何度も執拗に反り返る。
     太ももが反射的に動いてしまい、田茂の身体を挟み込む。脚で相手を捕らえる力には、ピクピクと強弱がつき続けていた。
    「エロいねぇ? オマンコ気持ちいいって言ってみてよぉ!」
    「あぁん! あん! あぁん! あぁん! あぁん! あぁん!」
     旭姫に田茂の言葉を聞く余裕はない。
     気持ち良すぎて、それどころではなかった。
    「しょうがないなー」
     ピストンを中断しない限り、言葉は通じないと悟った田茂は、仕方なく腰を止めていた。
    「あぁ……はぁ……はぁ…………」
     満杯の水が急速に引いていくかのように、脳に満ち溢れた電流は引いていき、肩で息をしながらも思考が蘇る。
    「オマンコ気持ちいい?」
     嫌な質問。
     聞かれた瞬間、旭姫はぷいっと顔を背けた。
    「あれあれ? やっぱり陽翔の悪口聞きながらセックスしたい?」
    「したくない!」
    「じゃあ、オマンコ気持ちいいって言ってみてよー」
    「お、オマンコ気持ちいい……」
    「オマンコにオチンポ欲しがった時は、もっと大きな声だったじゃーん?」
    「オマンコ気持ちいい! ほら、言ったよ!?」
     これで満足だろうと言わんばかりに、怒り任せに声を荒げた。
    「あら? 怒っちゃってる?」
    「………………」
     さっきから嫌だ。怒るに決まっている。
     そんな気持ちを込め、旭姫は無言で田茂を睨んだ。
     いくら言わないとは約束しても、心の中では陽翔を見下している人間だ。全盛期の強さを知っているレオーノヴィチと違い、陽翔がかつて伝説だったことさえ笑い飛ばし、ありえないだの、学校では根暗だっただのと言ってくるのが本当に嫌だった。
     そして、アソコに意識をやれば、そんな男の肉棒が自分の穴に収まっているのが如実にわかり、田茂なんかが自分の体を使って快感に浸っている事実が悔しくなる。
    「次からオマンコ気持ちいいって言いながら感じてみてよ? じゃないと、悪口言いながら喘がせちゃうからね?」
     そんなことを言ってから、田茂は腰振りを再開する。
    「あぁ……! あっ、あん! あぁん! あぁん! あぁ……!」
     あえてゆっくり、まるで感じさせ過ぎないように、手加減でもしているようなピストンで田茂は旭姫を嬲っていた。
    「ほーら、言ってよ言ってよ!」
    「お、オマンコ……気持ちいい…………!」
    「誰のオチンポのおかげで気持ちいいの?」
    「た、田茂くんの……んっ、んあぁ……オチンポで、オマンコ気持ちいい……!」
     言わされれば言わされるほど、自分のことを思い通りにコントロールされている感覚に苛まれ、悔しい感情がより大きく膨らんだ。
    「田茂くん田茂くんって言いながら感じて欲しいなー」
     その要求にますます顔が引き攣って、田茂のことを睨み殺そうとする視線の圧は強まった。陽翔のことを馬鹿にしながら、それでいて旭姫のことを味わって、悦に浸っている態度が本当に気に入らない。
     旭姫がどんな感情を抱いていようと、ピストンは容赦なく行われる。
    「あん! あぁん! あぁ……! あぁぁ……!」
    「ほら、言って言って!」
    「た、たも……くん……! 田茂くん! 田茂くん! 田茂くん!」
     最初は抵抗感と戦いながら、二回目からは脳で弾ける電流のせいで思考が飛び、考え事の余裕もなくなるせいで半ば以上は無意識に、旭姫は田茂の名前を叫び始めた。
    「たっ、田茂くん! あぁ……田茂くぅん……! あぁ……! あぁぁ……!」
    「オチンポどうなの?」
    「気持ちいい! オチンポ気持ちいい! 田茂くんのオチンポぉ……!」
     言わなければ陽翔の悪口を聞かせると、ここまで教え込まれた旭姫の脳は、快楽に染まっているせいで、無意識に台詞を出力している。
     陽翔の悪口を聞かないためには、どうするべきか。
     その答えを知る脳が、反射的な言葉の出力を行って、しかし傍から聞けば田茂とのセックスが気持ち良くてたまらないような台詞が上がり続けた。
    「田茂くん……! 田茂くぅん! 田茂くんのぉ……! おっ、オチンっポぉ! あぁっ、あん! あん! あん! あん! あん! あぁん! きもちいぃい……! あぁ……!」
     背景がどうであろうと、今の旭姫の姿は田茂との性交を悦ぶものにしか見えはしない。
    「す、すげぇ! すげぇ……!」
     旭姫のことを支配し、コントロールしている感覚に酔い痴れて、田茂はピストンに病みつきになっていた。
     田茂は無意識のうちに射精していた。
     妊娠システムの存在しない世界の中で、だから避妊など始めから考慮するはずがなく、膣内には愛液と精液が混ざり合う。止まることのないピストンにより、二つの液はかき混ぜられ、そして旭姫は無意識の台詞を繰り返していた。
    「田茂くん! 田茂くぅん! 田茂くんのっ、気持ちいい……!」
    「へへ! 感じてる感じてる! 陽翔に見せてやりてぇぇ……!」
    「あん! あぁん! あぁん! あぁん! あぁん!」
     旭姫の声はだんだんとトーンが上がり、次の瞬間には全身が痙攣した。爪先から頭にかけてまんべんなく、一瞬だけブルっと震え、そのまた次の瞬間には、シーツにお漏らしを広げるような大量の愛液が流れ出ていた。
    「絶頂? イったってやつ?」
     その次には田茂も二度目の射精を行って、遠慮なく子宮に届かせた。
     リユニオンのアバターに子宮まで作り込まれているかは知らないが、あったとすれば間違いなく届いていた。
     肉棒を引き抜くと、栓が抜けた途端に白濁が溢れ出し、それがシーツをますます汚す。
    「いやぁ楽しかったなー。レオーノヴィチさん、また旭姫ちゃんとヤらせてくれないかなー」
     次はやっぱり、陽翔の悪口を延々と聞かせながら腰を振り、睨んで来る顔を快感でかき消すことを試してみようか。
     などと、あるかもわからない二回目の夜について、田茂はさっそく妄想を膨らませながら、残った時間を利用して旭姫に抱きつく。胸を揉み、尻を触って、抱き枕を味わうように延々と触り続けていた。
    
    
    


     
     
     


  • 第4話 昼間のお世話

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     昼間はギルドメンバーの世話をさせられた。
     女囚となった面々は、ギルド専用の屋敷の中で、それぞれの指定された部屋を訪れて、お茶汲みや掃除といったことを行うように言いつけられる。
     旭姫もそのつもりで指定の部屋へ向かって行くが、その際に与えられた女囚服は、以前にも着た心許ないタイプであった。
     例えるなら、長々としたバスタオルを半分に折り曲げて、そこに頭を通しただけの形状である。前と後ろには布がかかるが、肩から脚にかけての横から見た肌は丸見えで、手を入れれば簡単にアソコや胸に届いてしまう。
     紐で結ぶことさえなく、本当に前後に布がかかっただけ、ずれれば中身が見える上、そもそもの生地すら薄いものなど、裸で出歩くも同然に心細さで足が震える。
    (こんな格好……見られたくないよ……)
     いくら旭姫がそう思っても、廊下を行けば人の行き来がそこそこにあり、決まってニヤニヤと視姦しながらすれ違う。
    「よっ、旭姫ちゃーん」
     声をかけらることまである。
     それどころか、すれ違いざまに尻を触られることまであり、その時の旭姫は小さく悲鳴を上げて逃げ去った。
     そして、部屋をノックして入っていく。
    「待ってたぜー」
     名前も知らない青年がニヤニヤと旭姫を眺め、いかにも嬉しそうに胸や脚あたりに視線をやってくる。
    「……お、お茶、入れるね」
    「ああ、頼むよ」
     特に小難しい作法を習っているわけでもなく、言いつけもされていないので、旭姫は室内にあったポットに適当な茶葉を投入して、お湯で中身を温めた後、カップの中に紅茶を注ぐ。それを恐る恐るとテーブルの上に置き、すると青年はさっそく持ち上げ飲み干した。
    「もう一杯頼むよ」
    「う、うん」
     茶葉を取るため、置いてあるタンスの方へ歩んでいくと、その瞬間に青年もまた立ち上がる。背後に気配が迫った時、次の瞬間には尻の上に手を置かれ、旭姫はビクっと肩を弾み上げていた。
    「やだ……やめてよ……」
    「ん? どうしたの? 早く煎れて欲しいなー」
     青年は撫で回す。
     手の平のぐるぐるとした動きに応じて、尻の上で布も動いて上下していた。
    「煎れるから、触らないでよ」
    「へへっ、じゃあ待ってるよ」
     青年が椅子に戻っていく。
     痴漢行為から解放され、一瞬だけ安心した旭姫だが、ポットを持ってテーブルに進んでいき、カップに注ぎ始めた瞬間、青年は旭姫の服に手を伸ばし。布を持ち上げずらしてきた。
    「やっ!」
     お湯を扱う最中にやられたせいで、つい零しそうになってしまう。
    「あらぁ? 危ない危ない。気をつけてよ」
    「だって、触らないでってば……」
    「はいはい。煎れてくれる?」
     旭姫は素早く布を直して、改めてお湯を注ぎ込む。
     カップが紅茶に満たされた後、そのままポットをテーブルに置いた直後だ。
    「座って?」
     旭姫は腕を引っ張られた。
    「え、でも……」
    「座ってよー。せっかくなんだからさ」
     何がせっかくなのか。
     旭姫は力尽くで引っ張られ、隣の椅子に座らされると、すぐさま太ももの上に手が置かれる。左手でカップを持ち上げながら、青年は右手で太ももを楽しんでいた。
    「君さ。お尻の近く? 太ももの付け根のとこにさ、ホクロあったね」
     ホクロの位置を指摘されたそれだけで、旭姫の顔はカァァァ……と、急な加熱でもしたように染まり上がった。
    「そ、そんなの……見ないでよ……」
     しかし、旭姫は思い出す。
     このホクロこそ、陽翔と再会した矢先に、やれ幽霊だ偽物だと言われた時に見せようとしたものなのだ。あの時は平然と脱ごうとしたのに、今は陽翔には見せようとしたホクロを見つけられ、指摘されただけで恥ずかしい。
    「可愛いねー」
     そんな旭姫の様子に気を良くして、青年は頭を撫でて来るのだが、旭姫の方はそれを嫌がった。青年とは反対側に身体を引っ込めたり、真横に顔を背けるなどして、嫌がる素振りを大いに見せていた。
    「ところでさ。ちょっと抜いてくれない?」
     青年はそれにも構わず要求する。
    「え? 抜くって、なに? なにするの? なにかの遊び?」
    「遊びっちゃ遊びだね」
    「どういうゲーム? ゲームならいいよ?」
     旭姫がここで想像したのは、トランプやボードゲームといった種類の遊びであり、決してそういった遊びではない。
    「なんか旭姫ちゃんって、純粋だねー。レオーノヴィチさんと経験あるとは思えないよ」
    「経験? なんのこと? あの人とは何も……」
     途中まで言いかけて、不意に旭姫は言葉を句切る。
     乳房やアソコを視姦して、ニヤニヤと興奮している際の特有の、男性的ないやらしい目つきを向けられて、旭姫は何かを悟っていた。
    「あれ? 気づいた?」
     青年はニヤっと笑う。
    「エッチなこと? そういうのは、やだよ?」
    「そっか。嫌かー。でもレオーノヴィチさんには許可貰っててさー。君って確か、あんまり逆らわない方がいいんじゃない? 他の三人と違って、牢屋から自由にしてもらえるかどうかがかかってるんだし」
    「…………」
     旭姫はこれ以上拒むための言葉を失い、無言となって下を向く。
    「手でいいよ? 手コキってわかる?」
     囚われの身で、下手に拒めない立場の旭姫だ。
     青年がチャックを下げ、肉棒を出し始めるに、もうシてあげるしかないのだろうかと諦めの念を抱いていると、不意に思いつくのだった。
    「わ、わかるけど……。トランプしよ? 勝ったらしてあげるから!」
     我ながら良いアイディアであるように、苦し紛れの笑顔を浮かべて旭姫は言う。
    「えー? じゃあ、手コキした後、オレが勝ったらフェラもお願いね」
    「え、あのね? そうじゃなくて、エッチはことは全部勝ってから!」
     そうじゃないと嫌だとばかりに主張する。
    「はいはい。じゃあ神経衰弱ねー」
     リユニオンの世界においても、この程度の遊具は用意されており、青年はちょうど良くアイテムとして所持していた。
     テーブルにカードを並べ、仕方なく遊びに付き合った。
    「やったー! また当たり!」
     そうすると、当たるたびに無邪気に喜ぶ。
     逆に青年がカードを取ると、
    「あー! それ、あたしも狙ってたのにー!」
     などとムキになる。
     青年からすれば、期せずして旭姫の素の一面を垣間見ることになったのだが、勝負が決まる頃には旭姫の表情は曇っていた。
    「負けちゃった……」
    「約束通り、フェラね」
    「う、うん……勝ちたかったなー」
     そこには純粋にゲームに勝ちたかった思いもあるが、やはり性奉仕を回避できなかったことへの無念の方が遥かに大きかった。
    「じゃあ、お願い」
     青年は肉棒をそそり立て、旭姫は隣から身体を倒して咥え始める。
    「あむぅ……」
     本当は嫌だった。
     ついこの前まで、レオーノヴィチに犯されるまでのあいだは、こういった性知識のなかった旭姫だが、今ではもうわかっている。こういうことは、好きな男の子にしてあげて、喜んでもらうための奉仕なのだ。
     それを名前も知らない相手に行っている。
     そう思うと悲しくなり、神経衰弱に負けた悔しさがますます膨らむ。
    「んっ、んぅ……んぅ……んっ、んずぅ……んじゅぅ…………」
     旭姫は頭を上下して、淡々と刺激を与え続けた。
     そのあいだにも、青年の腕が尻へと回り、最初は布の上から撫で回されて、しだいに布がずらされる。直接撫でられる感覚に身震いしながら、旭姫は最後まで奉仕を続けた。
     口内に放出され、飲まされる。
    「ありがとねー。また今度よろしくー」
     などと笑顔で見送ってくる青年を背にして、旭姫はこの部屋を出て行った。
     そして、また別の部屋へ向かう。
    (行くたびにエッチなことされるの?)
     そう不安になりながら、次のドアをノックして、待ち構えていた少年のために紅茶を煎れる。
     そこでも、やはり食器棚の前に立っている時、後ろからお尻を触られた。近くへ行くと布を掴まれ、捲られた。お尻を直接見られたり、触られたり、加えて奉仕を求められ、今度は手コキで満足させた。
     次の部屋でも、また次の部屋でも、基本的にお茶汲みを頼まれて、汲んでいるあいだに悪戯され、最終的には奉仕をさせられた。
    
    
    


     
     
     


  • 第3話 塗り合いと品評

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     ぬるっとした透明なジェルを手に乗せて、シスターは旭姫の胸に手を伸ばす。
    「さあ、やりましょう?」
    「う、うん……」
     旭姫も躊躇いながら手を伸ばし、豊満な乳房へ向けて、たどたどしく塗り始める。人の乳房を触る抵抗感もさることながら、同姓とはいえ触られる抵抗感も十分ある。
     お互いの手が乳房を揉み合った。
    「おおっ!」
    「いいねいいねぇ!」
     それを見て、男達は盛り上がる。
     隣では赤髪少女と黒髪眼鏡も同じく乳房を触り合い、ジェルを塗り合いながら、しだいに恍惚とした顔を浮かべていた。
     媚薬効果が出ているのだろう。
     旭姫の胸も、ジェルが浸透するにつれて乳首が突起し、シスターの指先が気持ち良く感じられるようになっていた。皮膚がじわじわと熱くなり、接触に敏感になり、乳首に擦れるたびに体がピクっと動いてしまう。
     ならばシスターの方も、旭姫の指に反応して、肩がモゾモゾと動くようになり始めている。
    「はぁっ、はぁっ、いい感じになってきたわね。旭姫ちゃん」
     シスターも恍惚していた。
    「あ、あたしは……」
     他の三人と違って、好きでここにいるわけではない。
     本当は嫌なのだ。
     シチュエーションを楽しんでいるわけでも何でもない、不本意な旭姫としては、快感を素直に受け入れることができずにいた。
     快感を我慢して、耐えんばかりの表情で、そうしなければいけない義務のようにして、旭姫はシスターの乳房を撫で回す。ふんわりとした感触が手の平に跳ね返り、自分よりも遥かに大きく、形も良いものに対して、様々な感情が沸きたった。
     こういう感じだったら、陽翔も喜ぶだろうか。
     比較相手が巨乳では、小さいとしか言いようがない自分の乳房を思い、旭姫は小さくうなだれる。
     その陽翔も、レオーノヴィチが言うにはログインすらしていないという。
     だったら、いつになったら会えるのか。
     まともに話ができるのはいつになるのか。
     それでも、いつかはログインする気になり、旭姫の前にひょっこりと顔を出すはずだと信じ切り、旭姫は下の方にも手をやった。
     金の陰毛が指先に絡みつき、毛先がジェルに固まっていく。
     シスターの指もまた、旭姫のワレメをなぞり始めて、ジェルの浸透によって皮膚がじわじわと熱くなり始めていた。
    「あぁ……! 気持ちいいわねぇ? 旭姫ちゃん……!」
     楽しんでいるシスターは、疑問なく快感を口にする。
    「え、うん。少し……んぅ……あぁ……」
     旭姫は堂々と快感を認めることが出来ずに、真正面から恍惚した顔を向けられると、目を逸らすことしか出来なかった。
    「あら、どうしたの? 旭姫ちゃん」
    「な、なんでもない! うん、気持ちいい……ね……」
     苦笑気味に表向きだけはシスターに合わせ、内心では快感を堪え続けた。
     腰がモゾついてしまう。ジェルを介したヌルヌルとした摩擦により、脚はピクっと動いてしまう。そういった反応を抑え込み、旭姫は我慢に我慢を重ねていた。
     やがて塗り合いが終わる頃には、ジェルを纏った胸とアソコが水分で輝いていた。しっとりとした肌の上から、さらにジェルを重ねることで、すっかりとヌルヌルとしたコーティングが出来上がり、卑猥な光沢が男達の目を覆いに悦ばせていた。
     そして、四人は改めて横一列に整列する。
    「うーん。どれが好みよー」
    「やっぱ、僕はデカいのがイイんだよねー」
    「えー? オレは割りとこういうの好きだけどなー」
     男達は四人に乳房を見比べて、それぞれが好き勝手に好みを語り合い、気軽に手を伸ばして揉みさえする。
    「おっ、いい揉み心地」
    「あぁ……!」
     一人の少年が黒髪眼鏡の胸を揉むと、すぐさま甘い声が出た。
    「どれどれ?」
     また別の少年も、試食感覚で赤髪少女の微乳を揉む。
    「せっかくだから比べてみようぜ」
     などと言い、揉み比べる真似まで始めていた。
     右から順に、シスターから旭姫にかけて一人ずつ揉み始め、いつの間にか乳房を楽しむための列まで形成される。並んだ順から一人一人がシスターをスタート地点に、赤髪を、黒髪眼鏡を、そして旭姫の胸を揉んでくるのだ。
    「オレさー。旭姫ちゃんのオッパイ好みだわー」
     そんな順番の流れに沿って、旭姫の胸を揉んでくる相手は、揉み比べた上で旭姫が好みであると伝えて来る。そんなことを言われても困るばかりで、旭姫は顔を背けるだけだった。
    「んぅぅ……んぁぁ……!」
    「なになに? 気持ちいいの?」
    「う、ううん? 別に、気持ち良くない……んっ、んぅぅ……!」
     始末の悪いことに、媚薬が効いて感度が上がってしまっている。
     誰に揉まれようと気持ちが良く、甘い何かが乳房の内側の溢れるのだ。
    「オレは巨乳派だなー」
    「んっ、んぅぅ……んぅっ、んぅ……」
     別の少年と入れ替わると、旭姫の乳をぐにぐにと楽しみながらも、いかにも名残惜しそうな視線を隣に向けている。
    「旭姫ちゃんの感じた顔って可愛いよねー」
    「あっ、んぅ……かんじて……ないってばぁ…………!」
     個々のサイズよりも、感じた反応に注目している青年は、旭姫の乳首を執拗に刺激してきた。
     それら一人一人の手によって、旭姫は快感を与えられ、何十人という男達に揉まれながら堪え続けた。
     自分の乳房が、まるで商品のお試しコーナーのように扱われ、順々に揉まれていく辛い状況に耐え忍び、拳を握り締めていく。
     すると、ふと指に嵌めた金属に意識が及ぶ。
     スバルのリングだ。
     この指輪をなぞった旭姫は、パーティみんなが揃っていた頃を思い出し、再び全員が揃うことを思い描いて心を保つ。
     最後の一人が旭姫の乳房に手を張りつけ、ひとしきり指に強弱をつけ終わると、これでここにいた全員に揉まれたことになる。こんな数え切れない人数の手垢が付けられ、その都度快感が高まり続けた旭姫の胸は、ちょっとした刺激にさえ激しい電流を放出しそうな、危うい感度の高さにまで達していた。
    「で、結局どれよ」
    「あの筋肉質すっげー好き」
    「えー旭姫ちゃんだろー」
     改めて視線が群がり、目が体を見比べてくる。胸はもちろん、顔の好みまで見比べて、点数を付けるような声さえ聞こえてくる。
    「お前的なオッパイランキングは?」
    「一位旭姫ちゃん」
    「オレの一位はシスターだぜ?」
     そんな語りの種にされる屈辱感に、いつまでもいつまでも浸され続け、旭姫はこの辛い時間から一刻も早く抜け出したくてたまらなかった。