第7話 救済あれ
共和国は何かと理由を付けて、レーナの帰還を遅らせていた。
そのあいだに行うことは、レーナを孕ませようとする執拗なセックスだ。マイアーレは数日かけて、何度もレーナの膣を味わい、恍惚しながら射精した。精神的な絶頂を味わいながら、繰り返し子宮の奥を狙っていた。
しかし、未だにレーナの心はシンにある。
人間モドキの、エイティシックスごときなどに。
これだけ中出しを繰り返しても、まだ『呪い』の解けないレーナには、他に一体どんな『処置』が必要なのか。命令による身体的な操作であったり、命令を遵守させる操作はできても、頭の中身を元から書き換えられるわけではない。
だから無理矢理犯すことはできても、心の方を性奴隷にするのは難しい。
いっそ、シンとやらにバラしてみるか。
それとも、何か別の方法で『救済』するか。
妊娠検査の結果として、今のところまだ孕んでいないレーナのため、妊娠の他にも何か『呪い』を解くのにちょうどいいアイディアはないかと考えを巡らせる。
そのうち、一つの案が浮かんで来た。
ちょっと、オナニーさせてみよう。
早速レーナを私室に招き、裸でベッドに寝てもらう。
そして命令することで、マイアーレの見ている前でのオナニーを強要するわけだったが、実に恥ずかしそうに行うレーナの顔は、まったく本当に可愛らしい。白いはずの肌がみるみるうちに赤らんで、まるで肌の色が異なるように染まり変わってしまうのだ。
頭でも沸騰しているような、脳から蒸気でも出しているような、激しい羞恥を歪みきった表情から感じてやまない。
表情を見ているだけですら、レーナの恥じらいはひしひしと伝わるのだ。
その上、同調までしているおかげで、もっと直接的に流れ込んでくる。脳と脳が繋がり合って、レーナが湧き起こしている感情が、マイアーレの中に吹き込んでくる。
だが、これだけではない。
「彼氏と同調してみてよぉ」
マイアーレはそう命じた。
「え……」
指を出し入れしていた手が止まり、レーナは呆然としていた。
「同調だよ。彼氏くんとさ、繋がってみてよ」
「な、なんで……」
「いいから、『命令遵守』しようよ」
「………………はい」
レーナは指示に従って、すぐにシンに同調を繋げていた。
マイアーレの開発の優れたところは、設定さえ仕込んでいれば、他人の同調を傍受できるところにある。シンとレーナが交わす会話は、たとえ同調していなくても、全てマイアーレにも筒抜けになるというわけだ。
原理上、正確には同調している。
その同調を傍受先に悟らせず、盗み聞きが出来るというで、従来の同調とは異なるのだ。
「あ、あの……シン…………」
この場にはいない、同調先の彼氏に向かって、レーナはそっと口を開いた。
まったく、滑稽である。
通信方法が首輪ということになるので、見た目には一人で勝手に喋って見える。だが、何もそんなことが面白いのでなく、人に話しかけながら、レーナの右手はアソコに置かれている。脚をしっかりとM字にした上で、指を膣に挿入して、出し入れを行っているのだ。
バレたくない。お願いします、気づかないで下さい。
そんな感情を胸にしながら、レーナはその手を止めることなくシンと同調を行った。
『……レーナ?』
「いま、なにをしていますか?」
声が完全に上擦っている。
その目はチラチラとマイアーレの方を向く。オナニーをしながらというだけでも恥ずかしいのに、裸で男女同室という状況も、レーナはかなり気にしているらしい。
くちゅり、くちゅり、
指で愛液の音が鳴る。
これは果たして、シンにも届いているだろうか。
『やることがないので、本を読んでますが』
シンはごく普通に答えているが、感情の色合いも『傍受』して、マイアーレにも何となく様子がわかった。レーナの声がおかしいので、本当は気になって仕方がなさそうで、本のページを捲る手も止まっているが、とりあえず何も気づかないフリをしているらしい。
「持って来ていたんですか? 何か」
『いえ、見つけました。壊れた建物に、無事な状態の本棚がありましたので』
なるほど、エイティシックスのやりそうなことだ。
「そうでしたか。それは、その……良かったですね……」
『レーナ? 何か、してますか?』
表面的なフリをやめ、シンは尋ねる。
「いえ! な、なにも!」
レーナは大いに慌てていた。
聞かれた瞬間から大きく目を丸めた上に、慌ただしく否定していた。
『というか、そこに誰かいますか?』
「いません! いませんからね!?」
必死である。
それだけ必死に否定すれば、かえって肯定しているようなものだ。
『何か隠してません?』
シンの微妙にレーナを疑う声。
「隠して……ません…………」
すると、レーナに浮かぶのは罪悪感。
いかにも申し訳なさそうで、反省のあまりに涙まで浮かべそうな表情から、レーナの気持ちはひしひしと通じてくる。
『まあ、話したくないのなら、無理には尋ねませんが』
「そうですね……すみません、そうしてくれると…………」
『ですが、必要な時は必ず頼って下さい。いつでも、聞きますので』
その瞬間だ。
ドキリッ、
という、レーナの鼓動がマイアーレにも伝わった。
処女を失い、あれだけ中出しされているくせに、何を無垢な乙女みたいに。
こうなったら……。
「レーナちゃん」
と、声に出しているわけではない。
聴覚の共有で、うっかりシンに聞こえてしまわないように気を遣い、マイアーレは唇だけを動かしていた。
マイアーレはレーナの身体に覆い被さる。
唇を目の前に近づけて、口だけを動かす方法を使いつつ、頭には文字を浮かべる。脳裏のイメージを共有させる方法と、唇の動きを読んでもらう方法を併用して、どうにか一切の声を出すことなく命令した。
その命令をレーナは遵守する。
「あ、あの……このまま、繋がったままでもいいでしょうか……」
『構いませんが』
「すみません。これからやることがあって、お話はできないんですが、同調は切らずにいてくれると……嬉しいです……」
『わかりました。なら、おれもそのあいだは本を読んでますので』
「……はい」
これがマイアーレの命じた内容そのままだった。
別に会話を続けてもらっても良いには良いが、同調を勝手に切らないように指示をした。レーナの口からも言ってもらい、シンの方から切られることがないようにも計らった。
そして、ここからが重要だ。
マイアーレはこのままセックスを開始する。
シンとレーナが同調している。
その状態のまま、そそり立つ肉棒を押し込んだ。
*
シンは本のページを捲る。
形だけでも、目では文字を追ってみているのだが、レーナが同調してきてから、ちっとも集中できなくなっていた。
頭に内容が入ってこない。
レーナは一体、何を……。
何かを隠していて、それに恥ずかしがっていた。
それは果たして、どういうことか。
とりあえず、何かあるなら、そのうちレーナの方から話してくるだろう。気になって胸はざわつくが、しつこく追求するよりも、今はただ待っていた。
同調だけを繋げたまま。
おそらく、何かの仕事をしている最中のレーナと、黙々と読書をしているシンで、今は同調だけを保っていた。近くにはいなくても、一緒にいる気分を味わうための、そんな同調だろうとシンは思っていたが。
「……?」
その途中で、シンは首を傾げていた。
何か、してる?
耳に意識をやってみるものの、どうやら聴覚の共有は切られている。今のシンに伝わるのは、顔を合わせている程度に伝わる感情だけだ。すぐ隣にレーナがいるかのように、感情の気配だけが伝わっていた。
何かを気持ち悪がっている。
嫌悪、屈辱、羞恥。
一体、何があったらそういう感情を抱くのか。
「レーナ、大丈夫なのか?」
胸騒ぎが激しくなった。
落ち着いていられない。本当は今すぐに乗り込んで、レーナの元へ向かうことが正解なのではないかと、焦る気持ちが膨らんでいた。
しかし、本当にそうすることで、レーナに迷惑をかけるわけにもいかなくて。
「話して、くれるはず……」
そう思うことで、シンは自分を抑えていた。
必要なら、必ず話してくれるはず。
だから、それまで待っておき、シンの方から余計な口出しはしないでおこう。言うべきことは、きっと十分に伝えたはずだから……。
*
マイアーレは優越感に浸っていた。
彼氏とやらにレーナの存在を突きつけつつ、実際にはこうして自分の上に跨がっている。シンとレーナが一緒に過ごしているなどと、それはレイドデバイスを通じた擬似的な気分に過ぎず、本当にレーナが過ごす相手はマイアーレなのだ。
人のものを奪ってやっている。
その感覚に酔い痴れながら、マイアーレは快楽を味わっていた。
「ああぁ……あっ、くぅぅ…………!」
レーナが騎乗位で弾んでいる。
豊満な乳房が上下に揺れて、ぷるぷると動いている有様は、肉棒を包み込む快感だけでなく、視覚的にも大いに楽しめる。
数日かけてセックスを繰り返し、膣が挿入に慣れてきている。
さすがのレーナも感じ始めて、少しは声を出すようになっていた。
「あっ、あぁ……! んぅ……!」
「うんうん。気持ちよさそうだねぇ? レーナちゃん」
「あっ、うぅ……んぅぅ…………」
レーナは首を横に振ることで、髪を一瞬振り乱す。
違う違うと、そう否定したかったのだろうが、腰の浮き沈みのペースは変わらず、甘い声は絞り出される。悩ましげな表情を見ていれば、レーナが感じているのは明らかだった。
もっとも、本人はなおも嫌がっているつもりらしい。
感情は伝わるので、精神的には受け入れていないとわかるのだが、とはいえ肉体的には快感でよがっているくせに、なかなか強情な話である。
こうやって腰を浮き沈みさせているのも、あくまで命令だからというわけだ。
とはいえ、膣壁と肉棒で擦れ合っている以上、マイアーレの股間は天国に包まれている。良い具合にほぐれつつ、まだまだ締め付けのきつい膣口は、マイアーレにとってほどよい締まりで膣壁を密着させてくる。
上下運動が続くことでの、ぬかるんだ膣壁との摩擦は、細胞が溶けそうなほどの快感だった。
その時である。
『レーナ、大丈夫ですか?』
突然だった。
「え!? あ、あの……!? なんですか!? シン!」
面白いほどに大慌ての、目の見開ききった滑稽な形相だった。
『レーナ? 何か、辛そうというか。さすがに心配になったので』
「そ、そうですか……。すみません、心配をかけてしまって……」
焦燥しきった顔をしながら、レーナは上下運動のペースを緩めていた。本当は止まりたかったことだろうし、何なら抜きたかったかもしれないが、マイアーレはそれを許さなかった。せっかく彼氏が繋いできてくれたのだから、このままセックスを続けるように目で命じて、レーナはそれに従っているわけだった。
バレたくない、バレませんように……。
そんな切実な気持ちがマイアーレの胸に伝わる。
それでいて、マイアーレが命令してのこととはいえ、バレたくないくせに上下運動は続いている。声が出ないようにゆっくりと、スローペースで腰を持ち上げ、落とす時にもそーっと、気をつけながら降りて来る。
動きに激しさがなくなれば、さすがに乳揺れもなくなっていた。
「色々とその……仕事を、押しつけられてしまって……書類整理とか、雑用まで……」
『そうでしたか。おれも手伝えたら良かったんですが』
「だ、大丈夫ですよ。ちゃんと終わりますから……」
『わかりました。それなら聞かないことにしておきますが。本当に、必要な時はちゃんと話して下さいよ?』
「も、もちろんっ、です……はっ、はぁ……はぁ……はぁ…………!」
呼吸が乱れていた。
こんな状況だろうと関係無く、生理的な反応によって快楽の痺れは走っている。そのせいで出て来る荒っぽい呼吸の音を、何よりもレーナ自身が気にしていた。こんな呼吸をしている自分を大いに気に病み、両手で口を塞ぎすらしているのだった。
『レーナ?』
「大丈夫……ですっ、んぅ……んっ、あぁ……んぅぅ…………!」
面白かった。
声を抑えようとしていながら、それでも堪えきれない息の荒さを見ているうちに、マイアーレは面白がって腰を突き上げていた。天を貫くようして、急にマイアーレの方から動いたことで、レーナは目玉が飛び出るほどにぎょっとしていた。
大慌てで唇を引き締めて、喉さえ必死に強張らせていた。
『具合でも悪いですか?』
「……本当に……平気でっ、その……んっ、あぁ……き、切りますよ?」
『そうですか。ではまた繋げて下さい』
「はい……また…………」
ここでようやく、レーナは本当に同調を断ち切っていた。
シンに伝わる可能性がなくなることで安心してか、油断したレーナの口からは、一際大きな声が溢れ出る。
「んぅぅう…………! あっ、あぁぁ…………!」
「いい声だね」
「あっ、あっ、いやっ、やめっ、そんなにっ、あぁ…………!」
「ほらほら、もっと感じていいんだよ?」
「あぁぁっ、あっ、やめてっ、そんなにっ、んぅぅ……!」
マイアーレはより激しく突き上げていた。
もはやレーナが動いているというより、腰を浮かせたレーナに対して、マイアーレが下からピストンをしている形であった。そんなまぐわいによる衝撃で、レーナは下から揺らされて、身体を微妙に振動させ続けた。
「あっ、やっ、やっ、あぁっ」
嬌声を上げながら、下からの衝撃を帯びた乳房は、かすかながらにぷるぷると震えている。
「やっ、やぁんっ」
それでも、レーナの表情には、どこか屈辱に濡れでもしたような、恥辱を必死に堪える色が見受けられる。喘いでいる最中の眼差しにも、自分自身の様子を気にして声を抑えようとしてみたり、何かを否定したいように首を振る挙動が見受けられていた。
一体、どうしたら『救済』しきれるか。
シンという少年にかけられた『呪い』の強さを感じながらも、マイアーレは射精感に達してレーナの膣に噴き上げる。遠慮なく行った噴射によって、レーナはぎょっとしたような、引き攣った表情を浮かべていた。
散々喘いで、気持ちよさそうにしていながら、まだ中出しを嫌がるらしい。
しかし、これで妊娠しただろうか。
まだかもしれない。
これから、もっともっと注いでやらねば……。
*
妙だった。
共和国は一体どうして、ここまでレーナの帰還を引き延ばすのか。連邦からの補給が得られるとはいえ、共和国はしかもシン達のことを防衛に利用した。散発的に行われる<レギオン>の攻撃に対応して、何度かの戦闘まで行ったのだ。
特に敵ではなかったので、何の問題もないといえばないのだが。
「レーナ……」
シンは月を見上げていた。
大きな満月を眺めるうちに、その白銀からレーナの髪を連想した。
……会いたい。
無性に会いたい。
レーナは今、一体どんな仕事をやらされているのだろう。
*
「んずっ、じゅずっ、ずぅぅぅ…………」
顎が苦しい。
大きく口を開き続けていれば、それだけ顎に負担を感じる。
「いいよ? 上手になってきたね?」
「ずぅ……ずぅぅ…………」
好きで上達したはずもない。
ここ何日かで当然のように奉仕もさせられ、レーナは嫌でもフェラチオを覚えていた。外で満月が出ている中、夜もマイアーレの相手をして、仁王立ちで突きつけられた肉棒に向かって頭を前後させている。
もう嫌だ……。
こんなこと、一体いつまで……。
シンに会いたい。
こんなにいっぱい中出しされ、奉仕まで覚えさせられ、もう無垢な体ではなくなってしまったが、それでも会いたい気持ちが止まらなかった。
そんなレーナのアソコから、そのワレメから零れ落ちているものは、中出しされた精液と、そして愛液の混ざった混合液だった。