中編 ゼーレの受ける機械調教

「んぅぅぅ……! くっ、あっ、くぁ……!」
 ゼーレは喘ぐ。
 ぬぷり、ぬぷりと音を立て、出入りする触手がもたらす感覚に、額には脂汗を滲ませながら、髪を軽く振り乱す。

 トピュッ、

 と、たまに内部に液体が放出され、その冷たい感覚が直腸の中に広がっていた。
 どうやらこの機械仕掛けの触手は、骨組みの周囲を何かの素材で固めることで、肛門への挿入に向いた形にしているが、そのさらに骨組みの内部には、導線や細かな可動パーツの他にも、管が通っているのだろう。
 そしてカプセル状の機材の内部にも、何かの液薬を詰めたタンクが入っているのだ。
 管を通った液薬が、先端から淡い水鉄砲のように打ち出され、腸壁に浸透している。
「んぁ――な、何を……さっきから……!」
 ゼーレは喘ぎ混じりに男を睨み、荒げた声でそう尋ねた。
「媚薬さ」
「あっんぅ――そ、そんな――馬鹿馬鹿しい……!」
「馬鹿馬鹿しい? だがあんた、さっきからだんだん気持ち良くなってるじゃねーか。きちっと効果が出てるってことだろ?」
 人を小馬鹿にした顔で指摘してくる。
「くっ、この……!」
 その腹立たしさに手錠の鎖を引っ張るが、それで千切れるものなら初めからそうしている。ゼーレの抵抗は金属の輪に阻まれ、肛門へのまさに機械的な陵辱は淡々と続いていった。
「んっ――んぅぅ……!」
 媚薬というのは本当なのか、ピストンによって生じる触手と肛門との摩擦は、徐々に甘い痺れを走らせる。最初はただ穴が拡張される苦しさだけがあったのが、しだいに皮膚と肉がほぐれてか、まずその感覚に慣れてしまった。
 時間が経てば経つほどの、今度は薄らとした快楽の気配が生まれ、たまにトピュッと、直腸内部に何かが放出されるようにもなった。
「あぁ……んっ、あぁ…………!」
 そして今、ゼーレは感じている。
「んぐぅ――んっあっ、あっ、あぁ……!」
 快楽が増すほどに喘ぐ声も大きくなり、アソコにも汁気が現れ始めている。
 ゼーレの着ているレオタード状の白い衣装は、股の部分の角度がハイレグと言えるほどにえげつなく、元よりアソコに食い込むようなデザインだ。
 肛門への侵入のため、触手によって布がずらされているとはいえ、肉貝の上に被って張りついている部分には、だんだんと愛液の染みが浮かび始める。
「あぁっ、あぁ……!」
 最初はごく薄らだった。
 凝視しなければ気づきようがないほどの、極めて薄い染みだったのが、時間の経過につれて色濃くはっきりと、誤魔化しようのない楕円形に変わっていく。
「んぅ――んぅぅ――――!」
 それだけ愛液が出るほどに、すっかり感度の上がったゼーレは快楽に苦悶して、より活発に髪を振り乱していた。
「あっ、あっくぅぅ――――!」
「いい調子だ。っと、面白いものを見せてやらないとな」
 男はゼーレの前から姿を消す。
「あっ、あぁ……あっ、んぅ…………!」
 こんな形で放置され、一体いつまで肛門を嬲られていなくてはならないのか、喘ぎながらに気を重くしたゼーレだが、男はほどなくして戻って来た。
 またもキャスター付きの何かが運び込まれて、そのタイヤが転がる音が聞こえて来た時、次にゼーレの前に現れるのは、台に乗せられたモニターだった。
「へへっ、待ってろよ」
 男は楽しみそうにコードの接続を行って、モニターのスイッチを入れた時、そこに映るのはゼーレ自身だ。
「な……!」
 ゼーレは驚愕した。
 そこに鏡でも置かれたように、自分自身の姿をくっきりと映した画面を前に、目が行くのは触手の出入りだ。ずれた布の内側へ潜り込み、ピストンを繰り返す蠢きと、そのすぐ上に見受けられる肉貝の、愛液でぐっしょりと濡れた様子がゼーレ自身に突きつけられた。
「こ、こんな……! 下らない……!」
 ゼーレは憤りに顔を赤らめ、真っ先に男を睨む。
「どうだ? 自分の様子がわかって面白いだろ?」
「何が面白いっていうの!? 馬鹿みたい! どうかしてる! 普段からそんな――狂ったことばかり考えてるの!?」
「自分の濡れたアソコを見るのはそんなに嫌か?」
「くぅ――!」
 ゼーレはきつく歯を食い縛り、より鋭い目で男を睨む。
「さーて、どれくらい調教は進んだかねぇ?」
 男はおもむろに機材の操作を行った。
 触手が肛門から抜けていき、ようやくピストンから解放された時、ゼーレの目の前に突きつけられるのは、まさにその直後の肛門だった。
 モニターが肛門だけをアップしていた。
 触手の直径にすっかり慣らされ、ぽっかりと広がった穴の暗闇が数センチの円を成している。今まで内部に注入され続けてきた液薬は、そんな穴の中から垂れ流され、尻の割れ目を伝って分娩台のシートを汚している。
 肛門は徐々に閉じ合わさっていた。
 その広がりようから、何秒も何秒もの時間をかけて、少しずつ収縮していく果てに、ようやく元の皺の窄まりへと戻り、あとは今までピストンが続いた余韻だけが残される。
「ご満足ってわけ?」
 険のある表情で、鋭く睨みながらにゼーレは問う。
「調教はまだまだ始まったばかりだ」
「……ちっ」
「なに、もっと気持ち良くなれるんだ。せいぜい楽しめばいい
 再び触手が鎌首をもたげて持ち上がり、その先端で穴に狙いを定めていた。
 今度は二本だ。
 肛門への陵辱が続くばかりか、今度は処女さえ失われる。
「くっ……」
 既に十分に布のずれている部分へと、まず触手の片方が迫って潜り込む。よくほぐれた肛門は、最初に比べて随分あっさり、何の抵抗もなく触手を迎え入れていた。
「あぁ……くぅ……!」
 その入り込まれる刺激に喘いでいると、もう一方の触手も膣口に入ろうと、まだずらされていない布をどかそうと、性器に先端を擦りつける。
 すりすりと頭を押しつけ、それによってだんだんと、ミリ単位で着実に横へ横へとどいていく布の中から、性器のワレメは時間をかけてあらわとなる。
 そして触手が処女を奪った。
「はぁ……ぐぅ……!」
 やはり狭い穴幅を拡張される苦しみに、ゼーレは低く呻いて歯を食い縛り、背もたれの向こう側、後頭部の裏側に回った両手では、ぐっと拳を固めて手の平に爪を食い込ませているのであった。

     *

 膣口への触手はまるでドリルだ。
 先端が鋭いわけではないが、竿の部分には回転式のギミックが搭載されている。柔らかなイボを揃え、ツボ押しのように膣壁を刺激したり、引っ掻いたりするための回転パーツが、指輪の装着のように取り付けられているのである。
 あるいはベルトを巻きつけたようにして、先端付近の数センチほどの領域が、内部パーツを好かした透明な触手と違って桃色だった。
 その桃色が膣内で旋回する。
「はっ、あぁぁ……!」
 すぐにゼーレは感じ始めた。
 確かに肛門へのピストンだけで、先ほどから既に愛液は噴き出ていた。滑りの良さで、膣への出入りもさぞかしスムーズなことだろうが、そんなことだけでは説明のつかない快楽が迸り、ゼーレはビクビクと脚を跳ね上げているのであった。
「あっ、あぁ――あぁぁ――――!」
 喘ぐたび、跳ね上がろうとする脚の可動がベルトに阻まれ、アームパーツがガタガタと揺れるに留まっている。足の指が丸く縮まり、拳を作ろうとした直後には、走り続ける電流に煽られて、今度は逆に足首もろとも反り返り、どちらの五指も大きく隙間を広げていた。
「んぐぅぁ……! あっ、あぁぁ……!」
 回転にピストンも伴う猛烈な刺激は、おそらく媚薬のせいだった。肛門の中に打ち込まれ、腸から吸収された媚薬成分の循環で、アソコはますます敏感になっている。
 処女穴を犯される痛みより、快楽の方がよほど上回る勢いに翻弄され、ゼーレは喘ぎ散らしているのである。
「んっ、んぅ――
 クリトリスはとっくの昔のように突起していた。
 包皮から顔を出し、硬く育った突起は、ワレメから僅かに露出している。膣口へのピストンが繰り返されていることで、その挿入に伴い広がるワレメの隙間、一本筋のように見える桃色の部分から、クリトリスの突起がチラチラと覗けて見える。
「ふっぐぅ――」
 ただの刺激ではない。
「あっがぁ――ああぁ――あぐぁ――――」
 Gスポットをやられているのだ。
 膣内で回転しているイボのパーツは、柔らかな素材でもって具合よく内部を引っ掻き、刺激を与え続けているが、それがGスポットさえも嬲っている。
 クリトリスの位置にポイントが合わさって、膣からの刺激が真上の突起に直接届いてくるような、そんなGスポットへの快感に、ゼーレは何度も両脚をビクビクと震わせて、たまにビクっと首を仰け反らせる。
「んぅ! あっ、あぁ――あぁぁ――!」
 首で仰け反る際には、頭で身体を押し上げて、肩や背中を背もたれから少しだけ浮き上げる。その浮いた身体が次の瞬間には落下して、背もたれをどすんと揺らし、またしばらくすると持ち上がる。
「んあ! あっ、あぁ!」
 クリトリスが痺れていた。
 直接やられているわけでもないのに、膣からせり上がる電流にやられてピリピリと、甘い痺れは突起に走る。
「くぁ……あぁぁ……!」
 回転付きのピストンは愛液を泡立てて、見え隠れするのは白く濁った汚れの固まりだった。それがモニター上に拡大され、高画質でくっきりとゼーレ自身へと突きつけられていた。
 入り込んだ触手が出て来る時、膣壁から引きずり出される白い固まりや泡立ちは、その都度前後に位置がずれたり、新たに分泌され続ける愛液との混合を繰り返した。
 そして、その時だった。

「んっ、んぅぅ――――!」

 腰がビクっと弾み上がって、唐突に潮が舞い上がる。
「あっ、あぁ――――!」
 目玉を剥き出す勢いで、実に大きく目を見開いたゼーレの瞳は、痙攣のように震えていた。大きくぽっかり開いた口は、まるで絶叫のようであり、舞った滴はゼーレ自身の腹部に降りかかっているのであった。
「んっぐぁ――あっ、と、止めなさい――よ……!」
 喘ぎながらにゼーレは声を荒げていた。
「ん? どうした?」
「み、見て……わっあっ、かった……でしょ……! 休ませなさい……あっ、ぬぅあぁ……!」
 絶頂しようとお構いなく、機械の稼働は続いている。停止させる気のない男に対し、せめて休憩だけは挟んで欲しいと、ゼーレは強気にも要求を突きつけようとしているのだ。
「あっがぁ――んぅっ、んぅぅ……!」
「そう遠慮するな。もっと好きなだけ快楽を味わっていいんだぞ?」
「あっえっ、遠慮とか――あっ、あぁ……!」
 すぐに口答えをしようとするが、四肢が絶えずもぞもぞ動き、髪も振り乱さずにはいられない。多大な快楽電流が流れ続ける体では、自分自身の喘ぎ声で遮って、ゼーレは上手く喋ることすらできていない。
「順調で何よりだ。おら、もっと媚薬を飲んでいな」
 男がそう口にするなり、またもや先端から少量の水気が飛び出し、それが腸壁に直接浸透する。肛門だけでなく、今度は性器の中にも広がって、ゼーレは恐れ引き攣った。
 さらにこれ以上の媚薬成分が浸透して、今よりもっと感じやすくなるというのか。
「そろそろオッパイも眺めてやらねーとな」
 男が逞しい両手を伸ばす。
「や、やめろ……!」
 咄嗟に身を引こうとするゼーレだが、背もたれに乗った背中をどこにも引っ込めようがない。着衣を狙った両手はすぐさま身体に到達して、両側へと引っ張り引き千切り、乳房をあらわにしてしまうのだった。
「くぅ――!」
 下半身を見られている中、乳房すら拝まれてしまった恥ずかしさに、ゼーレの頬はみるみる染まる。
「んじゃ、試しにっと」
 男は乳首に指を近づけてきた。
 その言葉通り、物は試しのタッチで軽く上下に転がして、それだけのことが激しい電流となってゼーレを襲う。
「おっあぁ――あぁぁ――――!」
「感度良好。ぼちぼちデータも取っていかねーとな」
 男はすぐさま手を引っ込める。
 そして次に始める作業は、ゼーレの身体に電極パッドを張り付けるものだった。やはりそれも、カプセル状のマシンからコードが伸びたもなのか。性器のすぐ両側にあたる内股に、そこから少し位置を変えた太ももにそれぞれ二つ、下腹部にもまた二つ、乳房の近くにも貼りつけられて、そのひんやりとした感触が一瞬伝わる。
 直ちにゼーレ自身の体温によって温められ、冷気など感じなくなるのだが、次にモニターに映るのは内部であった。
「んぅあっ、んぅ――――」
 画面全体が桃色となっていた。
 上なのか下なのか、どちらの穴かはわからないが、触手の先端には小型カメラが付いており、内側の映像をモニターに中継しているようだった。