第4話 ディルドマシン
肉貝の膨らみがディルドの先端によって押し潰されると、そこに生えたイボまで皮膚に埋まった。固すぎず柔らか過ぎず、程良い弾力を帯びたイボの数々は、竿どころか亀頭にすら生えており、それが性器の肌に押しつけられていた。
「デモンストレーションだ」
カイニスがそう述べるなり、機材の近くに立つ一人の男が何やら操作を行った。横面にある操作系統を弄った時、竿がうねうねと上下に蠢いた。
まるで弓の反りが反転し続けている。
くいっ、くいっ、と、カーブの向きが変わり続けるディルドのダンスに、こんな踊りで入って来るのかと、アグライアは戦々恐々としていた。
しかも、この反り返りだけではない。
そんな稼働をしていながら、リングの縁同士で引っかかったりはしないのか、竿が回転を始めていた。積み重ねた指輪が回るように横向きに、しかも右回転と左回転が交互に並び、こんなものが入ってきては、ヤスリを押しつけ削るがごとく、イボに膣壁を引っ掻かれる。
程良い弾力を持つイボの刺激は、さぞかし良いものなのだろう。どれほどの快楽を与えられ、カイニスの思い通りに喘がされる事になるのか。アグライアがディルドマシンに対して抱くのは不安でしかなかった。
どこまで気持ち良くされるかもわからない、危機感こそがアグライアの身を固くしていた。
「やっ……」
その時、アグライアは身を捩った。
性器への圧迫が強くなり、やがてワレメが左右に開け始めた時、それに合わせて胴体を蠢かせた。下腹部を左右に揺らし、位置を外してやろうと抗うと、どうにかディルドの角度はずれるのだが、すると直ちに回りの男が向きを直して、改めて膣口に狙いを定めてくるだけだった。
改めて性器への圧力が強まって、切っ先が縦筋を開き始める。まるで棒に刺したバナナを立てておくように、箱の側面から生えたディルドには、突起して前へ飛び出る機能がある。竿に通った鉄芯がせり出して、ディルドがしだいに進行してくるにつれ、今度こそ亀頭が収まりつつあった。
アグライアは身を捩る、
しかし先端が埋まったせいか、そこから身を捩ってみたところで、もう狙いは外れてくれない。膣口の向きが左右に逸れても、それに合わせてディルドの角度が左右に逸れ、あくまで切っ先が埋まったまま、あとは穴に入ってくる一方だった。
「無駄な抵抗をする。アグライア、よほど機械とするのが嫌なのか?」
カイニスは頭部を掴んできた。腕力で人の首を前のめらせ、自分のアソコを力ずくでもじっくりと拝ませようとする彼女によって、アグライアは股に向かって俯いた。
アグライアの視線は自分のアソコを真っ直ぐ捉える。
弓反りの反転が延々と繰り返され、横向きの回転も重なるそれがしだいしだいに、亀頭を膣口の中へ沈めている。まるで蛇やミミズのような胴の長い生き物が、狭い穴に潜り込むためのたうち回る光景だ。
そして竿まで入り始めた。
「あっ、あぁ……!」
太いものに穴幅が広げられ、膣壁が無理に伸ばされる痛みに涙が浮かぶ。だが痛みの反面、蠢くディルドがもたらすイボの、回転や反りの運動によって膣壁を掻かれる刺激が快感となり、愛液の分泌が勢いを帯びていた。
「ぐっ――!」
最後まで収まりきる。
ピストンが行われるまでもなく、ただ収まっているというだけで、弓反りの反転と横向きの回転が膣壁を責め立てる。イボで撫でつけられながら、亀頭では奥をぐりぐりとほじくり抜かれる快感に、アグライアはすぐさま痛みなど忘れて大口を開けていた。
「あぁぁぁぁぁ……!」
首が仰け反り、肩が背もたれから浮き上がる。顔が左右に振り乱れ、前髪が激しく暴れた。浮いた胴体がビクっと引っ込み、腰を背もたれに打ちつけながら、その衝撃で乳房がぷるっと揺れていた。
「あっ……あっ……あっ、あぁ……!」
「もはや、まったく快楽を隠せもしない。今のお前は仮面を被れていなければ、気取ることすらできていない」
カイニスは嬉々としながら、アグライアの全身で激しく蠢く有様を見つめていた。周囲の男たちも鼻の下を長く伸ばして、本当に随分とニヤニヤしていた。
「あうっ! あっ、あっ! あっ!」
「はははは! 可愛い声を出すじゃないか!」
「あっあぁ――あぁっくぅぅ――――!」
「そんなに良いなら、ピストンが始まったら一体どうなってしまうんだろうね? ああアグライア、早速試してみようじゃないか」
カイニスの言葉に合わせ、今度は出入りすら始まった。それでなくとも、イボや亀頭が内部を引っ掻き回していたのに、さらにピストンによる摩擦まで加わって、おかげでアグライアの快楽は何重にもなっていた。
「ふぐぁああ! あっ、あっ――!」
ビクっと胴が跳ね上がり、アグライアは絶頂した。その反り上がる瞬間に合わせたように、滴が高らかに舞い上がり、それが彼女自身の胸に降り注ぐ。汗ばみのように濡れた体の、しかしそれら水滴は愛液なのだ。
「あっあっ! あぁ――!」
ディルドの活発な出入りによって愛液が掻き出される。奥まで収まるものが出て行く時、引きずり出された汁気が床に向かって糸を伸ばして、ピストンの勢いですぐに千切れて落下していく。
何度でも糸が垂らされ、生まれた直後に千切れ続けた。
そんな風に降りゆく滴で、座面の真下にぽたぽたと、何滴もの愛液が溜まっていく。
「あっあぁ……あっ、いやぁ…………!」
その時だった。
コッ!
と、金属に何か小さな物のぶつかる音が鳴り、直後に床へと跳ね返る。それに釣られてカイニスや数人の男たちが分娩台の下を見下ろすと、溶けかけの薬剤が落ちているのだった。
喘ぎ散らしている拍子に、内股や下腹部で活発に力んだアグライアは、まだ最後まで溶けきっていなかった球状を排泄したのだ。皺の外にせり出して、肛門括約筋のぎゅっと引き締まる勢いが小さく縮んだ球体を発射した。機材のフレームを打ち鳴らし、そして床に転がるわけだった。
しかもカイニスが見下ろした時、さらに続けて音が鳴る。
コッ、コッ、
フレームから連続で跳ね返り、残る二つの薬剤も床に転がっていた。元々はゴルフボールかピンポン球ほどの大きさだったのが、最初に挿入した順から小さく縮み、それぞれ異なるサイズとなって並んでいる。
それを見て、カイニスは機材操作を行う男に目配せした。凶悪なディルドが停止して、しかし抜いてもらえるわけではなく、棒が中に収まったままではあるが、激しい刺激が止まったおかげでアグライアは息を落ち着ける機会を得る。
肩が大きく上下していた。
体力を使わされたおかげで息を切らし、アグライアは頬の火照った顔で前髪を額に張り付かせる。汗ばんだ顔をしっとりさせて、臍や胸にかかった滴は絶頂による愛液だが、まるで運動後の汗に見えていた。
「アグライア、なかなかの締まりの良さだな。まったく、それほどまでに良い肛門括約筋をしているとは、ボールを詰めれば的当てゲームができそうだなぁ?」
嫌な事を言ってきながら、カイニスは床へとしゃがんで玉を拾った。ディルドの下に体を潜らせ、肛門を前に捉えた彼女の考えは、特別な力など使うまでもなく読めてしまった。
「や、やめなさい……」
弱々しい声でアグライアは言う。
「やめるものか」
カイニスは玉を肛門に押し当てた。指でぐいぐいと押し込むと、皺の窄まりはあっさり開き、奥へ奥へと呑み込まれる。残る二つの玉も拾って、順に挿入し直す指が、その都度根元まで埋まってくるので、皺と指との擦れ合いが刺激になった。
異物感が蘇る。
発射してしまう前までは、もう馴染んでしまっていたのか、肛門に意識が及ぶ事はなかった。だが改めて挿入されると、消えた違和感が蘇り、腸の中でゴロゴロとしている感覚が堪らない。
「今度は飛ばすんじゃないぞ? アグライア……いや、出ないようにフタでもしておこう」
その言葉が合図となって、周りの男からカイニスへと、一本のアナルプラグが手渡された。円錐からチューブを生やし、おそらくポンプで空気を送り込み、先端を膨らませる事の可能なものが押しつけられる。
先端を丸めた円錐が皺に当たると、球体よりも遥かに入りやすいそれは、さらにあっさりと沈んでいった。円錐の底が皺の内側でフックのように引っかかり、そしてカイニスは本当にポンプで空気を送り始める。
肛門に物が増やされ、違和感が増していた。
円錐が少しずつ膨らんで、内側にかかるフタとなり、これでもうアグライアの尻から玉が暴発する事はない。カイニスがポンプを手放すと、皺の窄まりからチューブが垂れ下がり、それがよほど面白い光景なのか、周りの男たちが嬉しそうな眼差しを送りつけてくるのであった。