第6話 そして性交

 舌に残った青臭さがまだ消えない。
 時間が経つにつれて薄れはしても、表面にへばりつき、染み込んできた感覚は、まだ向こうしばらくは続くだろう。
「次はいよいよ本番だね?」
「ねえお医者さん、今ので終わり! ってことにはできないのかな」
「それはちょっとやめた方がいいと思うよ。適量に届いていないからね」
「そうかぁ……。うー、しょうがないのかなぁ……」
 口に咥えたからといって、それで本番行為を避けられるわけではない。仕方がないと運命を受け入れて、悲しげな顔で横たわった時、しかし物は試しと思い、チェンはあと一度だけ尋ねてみる。
「ちなみに、全部経口摂取にして、本番をやるのは無しって手はないの?」
「投与箇所を上下にした方が確実なんだよね」
「そうかぁ……」
 せめて本番だけでも回避できれば良かったが、それが医者の言葉なら、もう本当に受け入れるしかないのだろう。
 チェンはM字開脚を行った。
 受け入れ体勢を取ってそれから心に抱くのは、まだ諦めがつかない気持ちである。もうセックスはするのだと、頭では答えが決まっているが、こうした運命を本能が認めていない。我ながら往生際が悪いと思う部分がチェンにはあった。
 それにより、具体的な抵抗を行うわけではない。
 前戯となる指遣いが施され、性器に刺激を受け始めても、ただそれを大人しく受け入れる。本当は触れさせたくなどない場所に、嫌なくすぐったさを感じて目を瞑り、チェンは頬を少し硬くした表情で堪えていた。
 先ほど、チェンはここを自身の自慰行為で濡らしている。愛液の採取をさせた際の恥ずかしさが蘇り、久々に頬が燃え上がり、唇の内側でチェンは歯を薄く噛み締める。
(準備、進んでるんだなぁ……)
 まだ肉体には自慰行為の熱が残っていてか、火に油を注ぎ直したように、鎮まっていたものがまた強まり、その疼きでチェンは足腰の落ち着きを失った。そわそわと膝が動いて、M字の股が小さな開閉を繰り返した。
 指が離れる。
 すると次に触れてくるものは、いよいよ肉棒なのだろうと身構えて、チェンは背中を硬くしていた。耐え抜こう、歯を食い縛って凌ぎきろうと、固めたくはなかった決意を固め、その時だった。
 チェンは声を出して引き攣った。
「いいっ!?」
 肉棒が当たってきたのだ。
 想像以上に、触れた途端に背筋を駆ける悪寒が強く、跳ねる勢いで両肩が持ち上がった。
「なんだいなんだい、治療だっていうのにそんな気持ち悪いものみたいに」
「ごめんてば。でもあたしの身にもなってよ。し、しちゃうんだよ? あたしたち!」
 チェンは狼狽していた。
 口に咥えるような真似まで済ませ、もう覚悟は決まったものと思っていた。あとは静かに堪えるだけと、自分でも思っていたのに想像以上の感覚が迸り、ここまで強い拒否反応が出る事実にチェン自身が驚いていた。
 確かに、嫌だ嫌だと思っていた。
 だからといって、拒否感が声にまで出るとは思わなかった。
「そうだね。チェンちゃん、どうしても辛いだろうけど、もう一度いくからね? 今度はぐっと堪えようね?」
「う、うん……」
 改めて切っ先が触れて来る。
 やはり触れると同時に悪寒が走り、肩が持ち上がってしまうのだが、今度は声までは出さなかった。それにしても顔は引き攣り、心も強張り、今この場で処女を失う運命について、魂がざわついていた。
 亀頭がワレメで動いている。
 中年医師は自らの根元を握り、頭によって縦筋を上下になぞっている。切っ先を使った愛撫によって、肉貝の表面に染み出た愛液が塗り広がり、そしてチェンは薄らと刺激を感じていた。潤滑油を介在させた上下の摩擦は、嫌悪感に反した快楽となっていた。
 生理的な反応によって、快楽そのものは感じてしまう。
 それはチェンにとって、味は大好物のご馳走でも、嫌な人間の手で強引に口へ詰め込まれるようなものである。物理的な反応として、味覚は美味を捉えるかもしれないが、体験としては何も面白くないわけだ。
 最も中年医師との行為には、治療という理由がある。
 悪人に人質でも取られた結果なら、抗うチャンスがあれば直ちに抵抗するだろう。だがウイルスの感染が理由となり、命にも関わる問題である以上、急に相手を突き飛ばすようなわけにはいかない。
 本当なら拒みたいものの切っ先で、膣口の位置へと圧力がかかり始める。肉貝は押し潰され、閉じたワレメは棒の形に合わせて広がって、チェンはぐっと堪えるために歯を強く食い縛っているのであった。
(来る……き、来ちゃってる…………)
 瞼を閉ざし眼輪筋を歪ませて、丸め込んだ唇を噛み締める。口角の筋肉まで強張らせ、全身で我慢に我慢を重ねたチェンの背筋に、激しい悪寒は行き交っていた。
 ずにゅぅぅぅ…………。
 と、肉棒は徐々に収まってくる。
 愛液による滑りを活かし、亀頭が膣口へと滑り込む。中年医師の体はさらに前へと押し出され、挿入が進むにつれてチェンの膣壁は開いていった。例えるなら萎んだ風船を棒状の何かに被せるように、肉棒の形状に合わさり広がって、その変形は既に半分まで及んでいた。
(……だよね。たぶん、半分くらい)
 チェンは自身の股を見て確認しているわけではない。
 手で握り、口に咥え、その長さを感覚的に覚えているので、おおよそそのくらいが入ったのだろうと、何となく見当を付けているに過ぎない。
 きっと半分までであろう挿入から、肉棒がさらに前へと進んでくる。やがて外性器に陰毛が押し当てられ、股と股との隙間が閉じれば、根元まで格納された事がわかった。
(これで、あたしもう……処女じゃなくなったんだ……)
 未経験だった自分から、経験済みの自分へと切り替わる。その実感が心に深く染み込む事で、諦めるしかなかった悲しみに眼差しを染めていく。
 汗が噴き出た。
 額がべったりと濡れていき、前髪が張り付いている。強張る頬は震え気味に、全身の肌の至る所にかけて引き攣って、体中がこの男とのセックスを拒んでいる。
 早く出ていけ、その肉棒を外に出せ、そう叫びたい感覚が腹の内側に芽生えているのだ。
(あたし、すんごく拒否ってるんだなぁ……)
 自分の抱く抵抗感について、チェンは我ながら心の中で呟いていた。
 中年医師はしばし静かに佇んで、チェンの体に視線を走らせていた。顔や胸を目で楽しんでいるのか何なのか。治療のために仕方なく体を許すに過ぎないチェンにとって、人を味わうような眼差しは面白いものではない。
 早く終わって欲しい。
 そう願いを抱いた時、中年医師の腰が動き始めた。
「んぅ……んっ…………」
 太いものの出入りが始まり、チェンはその苦しさに目を瞑る。腰の動きに応じて肉棒が出て行って、しかし最後まで抜かれはせずに、また根元まで収まる前後運動に抉られて、膣壁には刺激が走る。
 生まれて始めてセックスして、チェンのアソコはまだ快楽を感じていない。最初は動かず馴染むのを待ってくれていたためなのか、想像ほどには痛みがなく、太さによる圧迫感が苦しいくらいだ。
 中年医師は膣内に射精するため動いている。
 Wウイルスが精子によって駆逐される顕微鏡の映像が、チェンの脳裏でまだ鮮明だ。だから精液が薬になると納得はしているが、かといって好きで出されたいわけでもない苦悩がこうしている今でも止まらない。
「んぅ……んっ、んっ、んっ…………」
 中年医師はゆっくり動く。
 負荷を最小限にしたピストンは、せっせと素早く動かれるよりは有り難い一方で、早いところ済んで欲しいのに長引く気もして複雑だ。
「あっ、んぅ……んっ、んぅ…………」
 少しずつ、滑りが良くなっている。
 前戯で濡らされていたのもあるが、それにピストン自体の刺激によっても、どうやら体の反応はしているらしい。
(お医者さんとは……。別に、楽しみたいわけじゃないんだけどな……)
 好きでしているわけではない、故に積極的に快楽を求める気持ちもない、心の中ではただただ早く終わって欲しいとばかり思うチェンなのだが、ゆったりとしたピストンが続けば続くだけ、どうやら気持ち良くなりかけている。
「んぅ……あっ、んっ……んっ………………」
「ちょっと感じてきたのかな?」
 中年医師の顔が迫って来た。
「いやぁ……ど、どうだろ、んぅ…………」
「気持ちよさそうに見えるよ? チェンちゃん?」
 顔と顔との距離が縮んで、さらに頬へと指が置かれた。人差し指で皮膚を撫でられて、表皮に走るのは悪寒であった。
(いいっ!?)
 気持ち悪いものでも塗られたように引き攣って、それからチェンは中年医師の眼差しに気がついた。
 欲望にまみれている。
 呼吸を荒げた中年の、人と体を重ねる快感が愉快でならない、随分と鼻の下を伸ばした表情にゾッとした。
(やだっ、ちょっと? お、お医者さん?)
 嫌な汗が滲んできた。
 額のベタつきが増していき、頬には鳥肌が広がって、肉棒が出入りしてくるアソコの周囲は、内股や下腹部の筋肉が引き攣っていた。
「はぁ……っ、はぁ……! はぁ……! はぁ……!」
 中年医師は興奮していた。
 血走った眼差しで人の事を凝視して、口角を釣り上げU字に変形した唇からは、だらりとヨダレを垂らしている。唾液の光沢を口周りに広げていき、そして何よりも興奮で荒っぽい息遣いが鼓膜を嫌に刺激する。
 ハァハァとした呼吸に頬が撫でられ、男の興奮のほどが皮膚と鼓膜に染み入る嫌悪感で、うなじがひどくざわついた。背中がまんべんなくぞわぞわと、気持ち悪いものと接したように神経が騒がしかった。
(うっ、ムリかも……。お願い、早く終わって)
 チェンは切実にそう祈る。
 だが欲望に走った中年医師は、このセックスを簡単には切り上げず、少しでも長く楽しもうとしているのだ。

      *

 中年医師はチェンを味わう。
 腰を振れば振っただけ、チェンは顔中で汗ばんで、額には幾本もの髪を張り付かせる。気まずいような困ったような、必死に堪え抜こうとする表情で、何度も顔を横に背ける上に、頬を硬く震わせる事も珍しくない。
 彼女がいかに嫌がっているか、必死に我慢しているかは、ひしひしと伝わっていた。
 だがセックスはセックスだ。
 若々しく可愛らしい、魅力的な女の子と体を重ねてしまった快感に、中年医師はすっかり欲望の振る舞いを表に出し、性的にからかうような言葉までかけている。
「気持ちよさそうに見えるよ? チェンちゃん?」
 と、感じて見えたからには言ってやり、それを嫌がる反応がわかっていても、ニヤニヤと緩んだ表情が直らない。下品な興奮の浮かんだ顔には、もう生真面目さを装う仮面を被る事は出来なかった。
 それよりも、もうセックスを楽しむ方が重要だ。
「僕もね? すっごく気持ちいいよ?」
 中年医師は肉棒に意識を傾ける。
 愛液でよく泥濘んだ膣内は、初めてなせいか締まりが良い。武術のために鍛え込まれた下半身は、刺激に対してヒクヒクと反応が良く、きゅっ、きゅっ、といった具合に、肉棒をしきりに締め付け癒やしてくれる。
 根元から先端まで、すっかり天国に浸かっていた。
 なるべくゆっくり動いているのに、気がつけば射精感が高まって、いつ放出するかもわからない自分がいた。こんなにも早く出してしまっては、それだけ終わりも早くなる。もっと楽しんでおきたい彼としては、途中で腰の動きを止め、肉棒をぴったりと静止していた。
 そして魅力的な乳房を揉む。
「んくぅ……あっ、あのさ、なんかヘンじゃ……」
「ん? なにが?」
「だって触診はもう……」
「できるだけね? 興奮できた方が、結果的に早く射精できると思うんだよね」
 疑問が口にされようとも、一度伸ばした手を引っ込める事はせず、中年医師はそのまま乳房を揉みしだく。お椀ほどの大きさに指を沈めて、優しく捏ねるタッチで感触を味わいながら、やがてピストンを再開させた。
「んんぅ……あっ、んっ、んっ……んぅ…………」
 ああ、チェンが感じている。
 その素振りを見せたくないためか、呼吸に甘い音色が混じるほど、首がしきりに左右に動き、顔を背ける頻度が増える。横向きとなった彼女の顔の、硬く強張った頬からは、やはり我慢がひしひしと伝わって来た。
「あっ、あぁ……んっ、んぅ…………」
 いくら快楽の素振りが聞こえようとも、チェンにはこのセックスを楽しむ意思がない。彼女にとって、この時間は恋人と過ごすものでも何でもなく、やむにやまれぬ事情から、仕方なくしている行為に過ぎない。
 快楽があろうとも、彼女の中でその感覚は動かない。
「やっ、んっんぅ……んっ、あっ…………」
 チェンがこのセックスをどう感じていようとも、彼女の膣には快楽が生じている。この肉棒で突けば突くだけ、その刺激によって息遣いを荒くしたり、首を左右に落ち着きなく動かしている。
 快楽の素振りが伝われば、それに応じて中年医師の高揚感も増していく。
「あぁ……あっ、あぁ…………あっ、あぁ…………」
 中年医師の腰使いは、そのあまりのものとなり、しだいに活発化していった。ぎしぎしとベッドが揺れ動き、骨組みの音が聞こえるほどにピストンのペースが上がった頃には、チェンもまた活発に喘いでいた。
「あっ……あっ、あぁ……ちょ、ちょっと……! あっ……くううっ、くふぁ……! あぁ……!」
 首が左右に振りたくられ、チェンの両手が何かを求めたようにシーツを握る。
「ひっ、やっ……!」
 力強く貫けば、与える衝撃が乳房をぷるっと揺らす。そのプルプルと震えた光景を見たいあまりに、中年医師はせっせと叩き込むようにピストンして、血走った目をそこに釘付けにしていた。
「ひっ、あぁ……! あっ、やっ……!」
 チェンの可愛い嬌声に射精感が引き摺り出され、もう出してしまおうと、中年医師はペースを緩めず振りたくる。膣内を穢すべくして大胆に貫き続け、肉棒が脈打つ瞬間を迎えてようやく、根元まで押し込みながら解き放つ。
 ドクドクと遠慮無く、チェンの膣内に注いでいた。
 気持ち良く射精して、すると全身を支配するのは、ある種の達成感だった。
 チェン・センユーの中に出してやった。
 偉業でも遂げたかのような気持ちになった。いい気になった中年医師は、もっと顔をよく見ておこうと、向けられた頬にニヤニヤと視線を注ぎ、自分がどんなに可愛い女の子を穢したのか、目にしっかりと焼き付けていた。
 険しい横顔だった。
 本当に中に出された事で、どんな思いを抱えてか、目尻が硬く筋張っていた。
「ねえ、お医者さん」
 声すら硬い。
 逸らされていた顔がこちらへ向くと、瞳の中には疑念が宿されていた。
「今のって…………」
 人を咎める声だった。
 ただ楽しむためのセックスではないか。治療を目的とするのなら、もっと淡々とできるはずではないのか。そう問いたい意図が、その一言だけで充分に伝わってきた。
 しかし、中年医師はそれには答えない。
 チェンの言葉を遮るべくして、それ以上何か喋られるよりも前に、中年医師は両手で頬を包み込む。相手の顔を掴むなり、ひと思いに一瞬にして唇を被せ、舌をねじ込むために口内から突き出していた。
 当然、チェンの唇は硬く閉じ合わさる。舌の侵入を拒んで扉を閉めるが、それをこじ開けようと中年医師は腰を振り、再開させたピストンで膣口を責め立てた。
「んっ……!」
 まだ唇は開かない。
 閉じた中から出て来る声の、振動が唇から唇へと伝ってきて、口内の大気が振幅した。
「んっ、んっ……!」
 まだ、開かない。
 だが声が出ている以上、続けていれば必ず開く時は来ると考え、中年医師はとにかく腰を振り続ける。既に一度は出した膣内の、愛液と精液が絡んだ中へ出入りさせ、その快感を味わいながら、チェンにも刺激を与えていた。
「んっ! んぁ……! んっ、んっ……! んっ!」
 唇を伝った振動で、自身の唇に震えを感じ続けるうち、それは数分後の事だった。
 ようやく、唇が開いた。
 舌先でチェンの唇をなぞり続けて、少しでも開いた途端にねじ込もうとしていた彼は、ここぞとばかりにより大きく口を開いて頬張った。舌を深くへねじ込んで、チェンの口内を蹂躙していた。
「んっ! んぅ! んっ、んっ!」
 舌と舌が絡み合う。
 相手の歯を、相手の舌を、相手の唾液を存分に感じ取り、深く味わう中年医師は、ディープキスによる興奮をピストンに反映させた。
「んぅぅ……! んっ、んっ! んっ!」
 一心不乱に頬張る事で、チェンの喘ぎは中年医師の口内へと注がれる。そのお返しのようにして、中年医師は自らの唾液を送り込み、チェンの舌を穢していた。
「んぅ! あっ、あん! あん! あん! あん!」
 唇を離してみれば、その嬌声はより大きな物となり、目と鼻の先にあるチェンの面持ちは、快楽に振り回されたものだった。刺激に応じて首を左右に蠢かせ、髪を乱していく有様と、乳房のぷるぷると揺れる光景に引き込まれ、そんな彼女の姿をもっと見ているためにこそ、彼は腰使いの活発さを維持していた。
「あぁ……あっ、あぁ……! やっ、くぅっ、あっ……!」
 チェンはどうやら、完全に翻弄されている。わけもわからないほどの快感に晒されて、どうしてここまで感じるのかが理解出来ずに、狼狽したまま喘いでいるのだ。
(僕が、この子を……!)
 一人の女の子をこんなにも感じさせ、大きな声まで出させている事実が面白く、中年医師は舞い上がっていた。鼻息をますます荒くして、一層のこと活発に腰を振り、自慢の肉棒でチェンの体を貫き続けた。
「あぁ……! あっぐっ、なんで……こんなにぃ……! ああっ、ああぁ……! あっ、あぁ……!」
 チェンの嬌声から、ひしひしと感じられるものがある。しだいしだいに上り詰め、いつしか限界に達するような、予兆らしきものを中年医師は読み取っていた。
(もしかして……!)
 然るべき瞬間が迫っているに違いないと、そう感じた中年医師は、チェンの体をそこまで連れて行ってみせようと、積極的に膣壁を抉り抜く。
「あっ! あぁ……あっ、あっ…………!」
 声のトーンが上がっている。
 中年医師は確信していた。
 イカせてやれるに違いないと、自分を信じ切っていた。
 そんな彼のピストンで、チェンはみるみるうちに極限へ迫っていく。シーツを掴んだ拳に握力が宿り、髪を振り乱す勢いは増していき、ついには中年医師の願望が実現した。

「くっふぁああぁ――っ!」

 チェンは絶頂していた。
 彼女がより大きな嬌声を上げ、しかも背中をシーツから浮き上げた時、ヒクヒクとアソコが鳴動していた。肉棒がぎゅっと締め上げられ、その上で下腹部の痙攣が如実に伝わり、まるで振動機能のあるオナホールでも使ったような刺激がもたらされ、中年医師は恍惚しながら射精した。
 イっている真っ最中のチェンの中へと、中年医師はドクドクと注ぎ込み、自らもまた達する快楽に浸っていた。それどころか硬さが引かず、まだ続ける元気を残した彼は、チェンの膣内から抜こうとせず、肉棒と膣肉を触れ合わせておく事でセックスの余韻に深々浸り、しばしうっとりと目を細めていた。
 やがてまた、中年医師は動き出す。

「あっくぁ……! あっ、あぁ……!」

 あと何度、彼はチェン・センユーを求めるのか。
 もはや本人にすらわからない。