第5話 パッド責め

 肛門の中では三つの球状の薬が溶けている。時間が経つにつれて、だんだんと小さくなりはしているが、まだ形の残ったものが飛び出さないよう、アナルプラグによってフタをされ、空気を送るためのチューブが皺の窄まりからぶら下がる。
 そして膣にはディルドが収まっている。
 今は停止しているが、スイッチが入れば凶悪な稼働によって性器を責め立て、アグライアの体には強烈な快楽が迸る事になる。いつ再びスイッチが入り、激しく責め立てられるだろうかと身構えて、薄らと目を細めてカイニスを睨んでいた。
「ほう? まだ面白い態度をしていられるか」
 カイニスは胸に目を付けた。
 まるで味わってみたいように手を伸ばし、掴んだ乳房を揉みしだく。その手つきに刺激は走り、嫌でも快楽を感じさせられ、アグライアは顔を顰めていた。
「まったくいい胸だ。なあアグライア、これを揉んだ男はどれほど興奮するだろうな? ああ、そういえば既に揉んでもらっていたか。感想はどうだ?」
 嫌な事を尋ねられ、アグライアはさらに目つきを鋭くしていた。
「特にどうという事はありません」
「ふん、今からお前を壊してやる」
 おもむろに宣言をして、カイニスは乳房から手を放す。そして彼女が周囲に目配せを行うと、数人ほどの男が動き出し、アグライアの体に電極パッドを張り始めた。
 乳首にジェルの粘着を貼り付けられ、下乳や横乳にも同じものがぺたりと当てられる。続けて下腹部にもパッドが貼られ、そのそれぞれからコードが伸びている。分娩台の近くに置かれた機材と繋がり、スイッチが入れば電流が送られてくるのだろうパッドの感触にアグライアは身構えた。

「さあ、壊してやろう! 半神を!」

 先程の宣言を今度はもっと大声で、すると誰かがスイッチを入れて、電極パッドの稼働が始まる。ただ電気が流し込まれるわけではなく、どうやらパッド自体がくねくねと蠢いて、揉むように動き始めていた。
 気づいてみれば、パッドはどれも厚みがある。何かしら機能を仕込めるように、素材を二重か三重にしたものの内側には、揉みしだく動きが可能なものが組み込まれているわけだ。
 乳山の山頂は乳輪まで覆い隠され、パッドの蠢きが乳首もろとも胸を揉む。電気による反応で自分自身を折り畳み、まるで二つ折りになろうとする動きに強弱をつけ、機械的に淡々と揉みしだく。
 下乳や横乳に貼られたパッドも同じように稼働して、乳房が活発に責め立てられる。
 下腹部に貼られたパッドは振動を帯びていた。ピリピリと軽く痺れる電気を注いできながら、皮膚やその下の肉を震わせ内部を揺らす。その震えの感じが腹の底に伝わって、性器を直接やられているわけでもないのに、何故かどことなくアソコが気持ちいい。
「あっ……くっ、んっ、あぁ……んっ、ぐっあっ……」
 呼吸は簡単に乱れていた。
 スイッチが入って最初のうちは、ただ乱れた呼吸に喘ぎらしきものが入り交じり、目つきが悩ましげなものになるだけであったが、時間が経つと刺激が変わった。
「あっ! あぁ……!」
 電極パッドの振動が強まった。
 下腹部から子宮へ届く刺激が唐突に変化して、皮膚がより激しく震わされるので、その感じがもっともっと性器に届く。
 だが数秒経つと、最初の強さに戻っていた。
 が、それと入れ変わるようにして、今度は乳房に貼られたパッドの、それも乳首への刺激が変化した。
「あぁぁ……!」
 ぎゅっと縮むように圧力をかけてきながら、その上で振動を行っていた。ぷるぷると震わされ、それが乳首を甘く溶かしてきた。
「あっ……あぁぁ――やっ、あぁぁ――――!」
 アグライアは理解した。
 どのパッドも時間ごとにランダムなのだ。
 少し経ったら乳首への刺激が弱まり、数秒はゆったりとした時間が続くも、ふとした拍子にまたパッドの一部が変化する。今度は横乳と下乳の動きが活発に、激しく揉みしだかれる形となって、アグライアはその快感で首を左右に振り乱した。
「あぁ……あっ、あぁ…………!」
 それら活発さが十秒ほどの経過で収まると、また今度は下腹部のパッドが振動を強くする。
「ひゃっ――!」
 そして、数秒で元の強さへ戻っていくが、さらに数秒経つや否や改めて震えが強まる。連続して下腹部のパッドが暴れたのは、設定の変化が順番通りにぐるりと回るわけでなく、それさえランダムだからだろう。
 そして、とうとうディルドが稼働を再開する。

「くあぁぁぁぁぁ――――――――!」

 胴体が反り上がった。
 ビクンと勢いを帯びて腹が浮き、天を仰がんばかりに首が上を向くと同時に、アグライアはもう何度目かになる潮吹きを行っていた。
 降り注ぐ滴が肩や二の腕に付着して、分娩台の周りの床も汚していた。
 ディルドの動きもランダムだった。
 再開時の動きは単なるピストンで、だから淡々とした出し入れだけが膣壁を擦っていた。イボの存在が刺激を強め、ただの棒状が出入りするより気持ち良くはあるのだが、機能が発揮されていない分だけまだマシだ。
 しかし、時間が経てば動きが変わる。

 ブィィィィィィ!

 ピストンが停止して、変わりに振動が始まった。
「あっ! あっ! あっ! あっ! あっ! あっ!」
 イボ付きが震える事で、膣内のそこかしこが引っ掻かれる。膣壁が受ける振動を通じて、クリトリスにすら何となく刺激が及び、その間にもパッドの設定が変化する。下腹部への振動が強化され、ますますアソコが気持ち良くなり、アグライアは愛液を垂れ流した。
「蜜が採れるなあ? 杯を置いておこう」
 カイニスがそう口にした時、男たちが台や杯を用意する。分娩台の下、下半身の真下に台は置かれて、アグライアが愛液を垂らせば垂らすだけ、台上の杯がそれを受け止める事になる。
「あっ! あっ! あっ! あっ! あっ! あっ!」
 振動はしばし続いた。
 その間にもパッドがランダムの変化を重ねていき、下腹部のパッドが弱まる代わりに乳房への刺激が強まった。乳首が強く捏ねられて、また稼働レベルが元に戻ると、下乳のパッドが活発さを増している。
 あれが元の強さに戻れば、これが強さを増す。
 そんな責め苦の中、ディルドは長らく振動だけを続けていたが、ほどなくして設定が切り替わる。
「あっ! あっ! あっ! あっ! あっ! あっ!」
 ピストンが始まった。
 振動はそのままに活発な出入りが始まり、勢いを帯びて膣壁を擦られると、強烈な刺激が下半身を駆け巡る。神経を焼き尽くしてくるような――快楽だった。
「あぁぁ――あっ、あぁぁぁぁ――――!」
 アグライアはまたイった。
 絶頂によって潮が飛び散り、その潮吹きが済んでも愛液の流出は止まらない。ピストンによって、イボによって掻き出されてくる愛液がポタポタと、杯の中に垂れ続けていた。
「半神よ。お前の絶頂は記録されている。この部屋にある機材がこれ限りと思うか? カメラが設置されている。波形を計測する設備がお前の体を調べている。どのくらい感じたのか、いつどのタイミングで絶頂し、何回潮を噴いたのか。全てを記録に残してやろうじゃないか」
「あぁ……ぐぅぅ……! あっ、あっ……!」
「辱めの神話を綴ってやる」
 カイニスの唇が吊り上がる。
 感じたり、絶頂した姿を見せれば見せるだけ、彼女がどんどん高揚している。アグライアのみっともない姿がカイニスを元気にしている。
「ひっぐぅ――! あっ、あぁがぁ……!」
 そして、快楽を堪えようがない。
 どれほど我慢を意識しようと、ランダムに切り替わるパッドの数々やディルドに苛まれ、心の内に作った壁があっさりと崩される。
「ひゃっ! あっ! あっ! あぁ――!」
 やがてまたビクっと体が跳ね上がり、アグライアは滴を周囲に飛ばしてしまう。
「お前たち、少々二人きりにしてもらいたい」
 カイニスがおもむろに言う。
 それに従う男たちがぞろぞろと部屋を出て、賑やかなほどに人の気配に満ちた空気が静かなものへと一変する。二人きりになることで、カイニスの存在だけにアグライアの意識は及ぶ。
 彼女が優位の立場であった。
 人を思うままに辱め、みっともない姿を見て楽しむ。さぞ面白くてたまらないであろう立場から、本当に嬉しそうな顔で見下ろしてくるカイニスに、アグライアは少しばかり睨む視線を返すのだが――。
「あぁぁ……!」
 と、声が出た。
「そうだ。今のお前は眼差しさえも維持できない」
 立場を教え込むような言葉に、なにも言い返すことができなかった。
「あぁ――あっ、あぁぁ――あっ、あっ、あぁぁ……!」
 愛液が噴き出している。
 ピストンに掻き出された汁が滴となり、少々の勢いを帯びて杯の中へと溜まっていく。
 それをやがてカイニスは掲げた。
「溜まってきたぞ? アグライア」
 嬉しそうな顔で杯を持ち、中に溜まったそれを心ゆくまで揺らしてみせる。
「んっぐっ、そう――ですか――――あっ――――――」
 何かを言い返したい気持ちがあろうと、強烈な快感がそれを許す事はない。口を開けば出て来るものは喘ぎ声、まともな言葉も話せずに、そしてそんな人の様子をカイニスは満足そうに眺めるのだ。
「神々の蜜だ。さぞ利益があろう」
 愛液をそのように称する皮肉が心に刺さり、アグライアは一瞬だけ彼女を睨む。だが眼差しを維持できず、すぐに快感に振り回されて、アグライアは髪を振り乱しているのであった。
「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ…………」
 しかし、ディルドが止まった。
 気づけばカイニスは箱型の機材の隣に立ち、操作系統に手を触れていた。やはりディルドを停止するといっても、抜いてくれるわけではなく、イボ付きのものは依然として膣内に収まったままなのだが、ピストンや振動が止まっただけでも随分と楽になる。
「くっ……んっ、そんなものを溜めて…………」
 アグライアは杯を睨む。
「さあ、アグライア」
 カイニスは分娩台の隣へ迫ると、杯の縁を唇に押し当ててきた。無理に飲ませようと傾けて、思った以上に溜まっていた粘液が唇を濡らしてくる。
 当然、アグライアは飲む事を拒んだ。
 歯を食い縛り、唇をきつく閉ざし、飲むまいとしてみせるが、カイニスはお構い無しに人の顎を濡らしてくる。唇が愛液にまぶされて、顎を伝って首まで汚れ、気づけば隙間から染み込んでくるように、舌に愛液の味が到達していた。
「よくも……こんな真似を…………」
 アグライアは口周りを濡らして彼女を睨む。
「悔しいか? 半神。だが、今のお前はなんの力も使えなければ、手足さえも使えない」
 カイニスは愉悦の眼差しで機材へ歩み、またディルドを稼働させていた。
「あっ、んっ…………!」
 今までと違う刺激があった。
 イボ自体が蠢くのだ。
 まるでサボテンがランダムに針を伸ばしてくるように、イボの内部に通してあるのだろう芯が突起する。竿の表面いっぱいに、亀頭にすら生えたイボが伸縮機能によって伸びたなら、膣壁を内側から強く押された。
 固すぎず柔らかすぎない、ほどよい弾力のものの数々が盛り上がり、膣壁をマッサージしてきている。その快感がまたさらに愛液の分泌を進めていき、杯が下に置かれようものなら、満杯になるのは時間の問題なのだろう。
「半神の堕落に付き合ってやろう」
 カイニスがリモコンを握り締め、何やらそのボタンを押していた。リモコンから本体へと信号が伝わると、コードを通じて電極パッドに指令が及び、振動や電気刺激が強さを増す。
「ひゃっ!」
 下腹部への振動で皮膚が暴れる勢いとなった。
 すると、尿意にも似た何かが急速に、爆発的な勢いで訪れ決壊をもたらすと、もう何度目かもわからない潮が舞う。
 さらにカイニスはアナルプラグを引き抜いた。
 肛門にすっかり馴染み、違和感がなくなっていたところに、彼女は新しい薬玉を挿入してきた。やはりゴルフボールかピンポン球ほどの、大きな球状の薬を押し当てると、直径に合わせて肛門の皺がみるみるうちに広がっていく。
「うぅぅぅ…………」
 新しい違和感だった。
 入ったものがだんだんと馴染んでも、また新しく挿入される時には違和感が更新される。
 半分まで到達した。
 肛門が最大まで拡張される瞬間を迎え、そして通り過ぎていく時には、今度は皺が薬を飲み始める。文字通り取り込まれていく形で、薬の白い色が皺の中へと面積を縮めていく。それを押し込むための指が皺に触れ、そのまま第一関節が、第二関節が、さらには根元まで入っていくと、腸の奥まで入った薬の玉がぐいぐいと押し込まれる。
 もうこの時には、最初に入れられた三つが全て溶けていた。
 今頃は成分が体に回り、そこに追加で新たな薬の玉が腸から吸収され始める。
「まだあるぞ? アグライア」
 さらにもう一つ、薬の玉を見せびらかす。
 それを見て、アグライアは身構えて――。