ナルトの脳には、侵入してきた魂の断片が蠢いている。
その寄生した欠片によって、脳に刺激を与えられ、特定の思考を注ぎ込まれたり、物質分泌を促されたり、といった作用が発生する。その術作用が完璧なら、ナルトは今頃、意のままにコントロールされている頃合いだが、九尾のために術のかかりは浅く済んでいる。
しかし、浅くともかかってはいるのだ。
ナルト自身に自覚がなくとも、ある程度の行動や思考操作は受けてしまっている。
つまり現在、性的な衝動を引き起こされていた。
(そういえば、ヒナタって可愛いよなぁ……)
一時的な性欲衝動に駆られ、性犯罪を犯してしまう人間がいるように、ナルトもまた似たような状態に陥りかけている。いくら術のせいではあっても、その術に気づいていない以上、責任は全てナルト自身と化す。
(押し倒してーなぁ……なんて……)
くらっと、頭が揺れた。
術作用が衝動を生み出していた。
(あれ? オレってば、何考えてんだってばよ)
だが、ハっと目が覚めたようにして、ナルトは自身の衝動を振り払う。
この時、ナルトの脳裏によぎったのは、ヒナタをレイプするイメージだった。どこか部屋の中まで送ってもらい、休ませてもらった直後、ベッド上に引きずり込んで、その美味しそうな肉体を貪り尽くす。
どうして、こんなイメージが湧いてきたのか、術にかかった自覚がない以上、本人にもわからない。ただ単に、自分が邪悪な考えを持ち合わせてしまったと、他ならぬナルト自身がそう勘違いしているのだった。
そして、自制心を持とうとする心に対して、やはりまた魂の欠片は働きかける。理性を少しずつ食い潰し、その心を欲望に傾けようとしているのだ。
(でも、ヒナタって可愛いし、胸も大きいよな……)
ナルトは不意に視線を動かした。
左腕を肩に回して、半ば担いでもらいながら歩くナルトは、ヒナタのたわわな膨らみを遠慮なく視姦していた。頬が触れ合ってもおかしくない、肩の重なり合った密着では、北半球に視線を注ぐことは簡単だった。
元々、女湯の覗きを試みたこともある少年である。
(そっか! 今なら見放題だってばよ!)
ひょっとするなら、術による操作など関係なく、この状況を利用した視姦はしているのかもしれない。ちょうど疲弊とダメージが重なって、事実として体はぐったりとしているのだから、頭が下向きになっていても、何ら不自然はないわけだ。
だからナルトはジロジロと、北半球を眺めていた。
(ヒナタってば、どれくらい大きいんだろうなぁ)
想像すら膨らませる。
パーカー越しのヒナタの胸は、内側に閉じ込めた丸みによって、大胆に膨らんでいるばかりか、心なしか上下にぷるぷると揺れて見えるのだ。
ブラジャーによる締め付けもあるのに、まさか本当に揺れているわけもない。歩行における微妙な身体の上下と、ナルト自身の視覚の上下が重なり合って、何かそういう風に見えなくもない、そんな状況が作り出されていた。
じーっと、ナルトは北半球を眺めていた。
(揉んでみてぇ……)
やがて、またよからぬ衝動に駆られていく。
ヒナタの肩に回してあるこの左腕を、どうにか下へと伸ばして行けば、左胸の上端に指が届くはず。
(よし、やってみるってばよ)
ナルトは体のフラつきを利用して、さりげなさを装いながら、手の位置を下へとやる。
「ひゃっ!」
その瞬間、ヒナタはビクっとしながら足を止め、見るからに困ったような、恥ずかしそうな顔をしていた。
(や、やわらけぇ!)
ナルトは指を押し込んでいた。
その感触が魂の紐を通じていて、今まさに抜け忍の男に伝わっているとも知らず、ナルトは四指で堪能する。指先で押し沈め、上から垂れさせようとするような指圧によって、指に跳ね返る感触を味わっていた。
「な、ナルトくん…………」
しかし、ヒナタの様子に気づいてハっとする。
「わっ! ごめんってばよ!」
ナルトは慌てて腕を引っ込めるが、その直後に見た横顔に目を奪われ、ヒナタの表情に見惚れてしまう。見るからに赤らんでいて、微熱のこもった困り切った顔付きの、実に可愛らしいものだった。
(ひ、ヒナタって――)
特別に意識したことはなかった。
恋心といったら、もっぱら春野サクラに向いていたが、ナルトは急に豹変したようにヒナタを意識していた。
「大丈夫……事故だよね……」
「あ、ああ……気をつけるってばよ……」
「…………」
「…………」
気まずくなり、会話は途切れる。
そもそも疲れを感じていたナルトなので、元からあまり喋っていなかったが、それに対する内気なヒナタでは、尚更に会話は少なくなる。胸に触ってしまった気まずさで、つい先ほどまでは意識していなかった沈黙が、妙に重いものとして感じられた。
何かどんよりとしたものが漂っていて、それが肩にかかってくるような、息の詰まりそうな空気である。
(なんかしゃべんねーと。えっと、なんか話題ねーかなー)
などと、ナルトは話題を探し始める。
「そうだ。オレ達、そもそもどこで休めばいいんだ?」
「この先に宿があって、そこで部屋を取ろうかなって……」
「ゆっくり休めそうだってばよ。けど、キバとシノにはワリィなぁ」
「仕方ないよ。それにナルトくんは三人も相手にしたんだし」
「ま、それもそーだ。頑張った分、今は休むってばよ」
やがて宿に到着して、ヒナタが受付で名前を書く。泊まる人数や名前を書くための手帳にペンを走らせ、里から貰った予算で支払いをしようとする後ろ姿に、ナルトはまたしても衝動に駆られていた。
さわっ、
気がつけば、尻に触っていた。
(やべ! またオレってば、マジで何やってんだってばよ!)
慌てて手を引っ込めるが、ビクっと肩の跳ね上がった反応され見れば、一体どんな表情をしていたかは想像がついてしまう。先ほどの可愛くてならない顔で、困ったように縮こまっていたに違いない。
そんなヒナタの表情を思うと、またも衝動に駆られてくる。
もっと、そういう顔を見てみたい。
手の平に残った尻の感触を握り締め、ナルトの自制心は徐々に薄れていくのであった。
*
ナルトがベッドに寝そべって、そのまま天井を見上げた隣にヒナタはいる。
部屋の中にまで、連れてきてもらったのだ。
「……じゃあ、ナルトくん。私は隣の部屋に」
そう言って、この場を去ろうとするヒナタを見て、ナルトは咄嗟に手を伸ばし、パーカーの腕を掴んでいた。
「え?」
一瞬、ヒナタはきょとんとしていた。
その直後にはみるみるうちに赤らんで、困ったような嬉しそうな、胸のドキドキの止まい顔をしていた。
「なあ、どうせなら、なんかお喋りでもしてようってばよ」
「い、いいの?」
「いいんだってばよ。どうせ追跡は任せちまったんだし、キバの嗅覚とシノの虫がありゃ、ぜってー捕まるってばよ」
「そうだけど、えっと……」
困ったようにモジモジする。
先ほどから赤らんで、頬に微熱を宿したヒナタの様子を見てナルトは思う。
(二回も触っちまったせいかなー)
胸や尻をやられたばかりだから、心の中では警戒しているせいなのかと、ナルトはそんな風に捕らえていた。
(もっと見てみてーってばよ。そんな顔)
先ほどより、さらに理性は薄れている。
ナルトがかかっているその術は、たとえかかりが浅くとも、人を痴漢やセクハラに走らせる効果はある。さらには魂の紐を通じて、男の念が送信されてくることで、言動さえも操られることがある。
ナルトの脳裏にとある言葉が浮かんだ。
受信した男の念を、かかりの浅いナルトは必ずしも口にするわけではない。
しかし、結果としては――。
「なあ、ヒナタ。そのパーカーの下って、なに着てるんだってばよ」
ナルトは受信した言葉をそのまま口にしていた。
「え? 何って、鎖帷子だけど……」
「へえ? その下は?」
「……シャツ」
「さらにその下は?」
「…………し、下着」
聞けば聞くほど、今のナルトが見たがる表情へと移り変わる。ヒナタの困りきった様子を見て、興奮に鼻息を荒げながら、ナルトはさらに尋ねていった。
「じゃあ、ズボンの下は?」
「え、えっと――」
「ズボンの下だってばよ」
「それも下着だけど…………」
「じゃあさじゃあさ、何色だってばよ」
ナルトは起き上がっていた。
「え…………」
「下着の色だってばよ。なあ、ヒナタぁ」
「ナルトくん……なんかちょっと、どうしたの……?」
そして、ヒナタの表情はまた一変して、何か疑惑でも持っているような、不思議そうな目で引き気味になっていた。
「どうもしてねーってばよ。なあ、なら立ってくれねーか?」
「立って……どうするの……?」
「いいからいいから」
「う、うん。じゃあ……立つけど…………」
それに何の意味があるかもわからずに、ヒナタは椅子から立ち上がる。
すると、ナルトもまた立ち上がり、そのままヒナタの真正面にしゃがみ込む。穿いているズボンを見て、その内側にある下着を想像しながらニヤニヤして、ナルトは密かに後ろ手に、腰の後ろ側で印を結んで、影分身の術を使用していた。
「へへっ、つっかまーえた!」
二人目のナルトが、後ろからヒナタに抱きついていた。
「え? え?」
ヒナタはまず困惑を激しくする。
一体、何が起こっているのか理解できない、動揺ばかりが滲み出た表情をしていたが、次の瞬間には尻に食い込む勃起した逸物の感触に気づく。固いものがぐいぐいと、ヒナタの尻には押し込まれ、しかも両方の手首が掴まれていた。
後ろからハンドルを握ったように、分身は握力を込めている。もしもヒナタが上半身を前に倒せば、腕を後ろに引っ張りながらのバック挿入さながらである。
「な、ナルトくん……!」
ヒナタは動けなかった。
肘打ち、両脚、真剣勝負の状況なら、この状況でも取りうる動きはあるものの、ナルト相手のせいか抵抗に踏み切れない。他ならぬナルトにセクハラされ、痴漢までされている事実に焦燥ばかりが滲み出ていた。
「へへ、それじゃあ確認だってばよ」
ナルトはパーカーの丈を捲って、その下に隠れていたチャックを下げ始める。
「い、いやぁ……!」
ヒナタの悲鳴が上がった。
ナルトはすぐに顔を見上げると、そこには望んだ光景があった。自分のことを見下ろしながら、ぎょっとしたような赤面で、肩をぐっと力ませる形で縮こまり、ひたすらに困り果ててしまっている。
そして、純粋にパンツを見てみたい思いから、下げたチャックの隙間に純白が見えたところで、ナルトはそのままがばっと一気に、腰の両側を掴んで膝まで下げる。
「やぁぁ…………!」
さらに大きな悲鳴が上がった。
そして、ナルトの目前には、純白に輝く下着があった。白い生地に薄水色の刺繍を入れ、爽やかに仕立てたそれは、アソコの形状にぴったりと張りついている。動いているうちに食い込んでか、皺の中からワレメのラインが浮き出ており、性器の形さえ明確に想像できるのだ。
「な、ナルトくんの馬鹿!」
さしものヒナタも抵抗した。
恥ずかしさのあまりに肘打ちを決め、分身が煙の爆発のように消滅すると、ヒナタは勢いよくズボンを穿き直す。
駆け出しながら、ヒナタは部屋を出て行った。
一人残されたナルトは、今頃になって正気を取り戻し、さすがの罪悪感に囚われるも、その罪悪感すら魂の欠片は削り取ろうとしているのだ。
まだまだ、術の効力は続いている。
それどころか、九尾の警戒で浅くしていたかかり具合は、先ほどよりも強まっていた。
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