さすがのサリアも傷心していた。
任務のために赴いた先で戦闘を行って、その最中に人質で抵抗を封じられ、犯された挙げ句に基地へ連れていかれたのだ。今でこそ救出され、こうしてロドスに帰還しているが、辱めを受けた記憶は消えてくれない。
メンバーにも痴態を見られている。
救出のためとはいえ、囚われた部屋にメンバーが駆けつけてくれた時、サリアはとても人には見せられない、恥ずかしさの極みのような状態にいた。まんぐり返しの形で固定され、性器と肛門のどちらにもバイブを刺された姿など、そんなものを見られて平気な女が果たしてどれほどいるだろうか。
さすがの状況に数日間の休息を与えられ、サリアもその間に心を休めようと努めたが、少しばかりリフレッシュを意識しただけで、悪夢のような記憶が薄れてくれるはずもない。散々に調教された感覚は、色濃く体中に残っていた。
ありとあらゆるものが余韻となって染み込んで、ふとした拍子に感触が蘇る。口に、アソコに、肛門に、バイブや肉棒の感触がフラッシュバックを起こして、今まさにそれをされている最中であるような、皮膚の錯覚が突発的なタイミングで不意に起こるのだ。
メンタルケアも受けているので、それでも多少はマシになっている。
マシになれば十分だった。
元より気骨もあり、そう簡単には折れない精神を持っていたおかげで、サリアは職を離れることなく、依然としてロドスの一員であり続けていた。
ドクターにも宣言した。
「かなりの失態を晒したが、私ならもう大丈夫だ。今までのように、変わらず仕事を振ってくれて構わない」
心の内側に何があり、どんな傷が隠れていようと、表面的には以前と変わりなく振る舞うことができていた。
「本当によろしいのですか? もう少し休まれては……」
アーミヤは心配そうにしてくるが、その気遣いがかえって辛い。腫れ物にでも触るようにして、傷心したサリアのことをみんなして扱いかねる。そういった空気がひしひしと伝わってくるのは、むしろ面白いこととは言えず、いっそ何事もなかったように振る舞って欲しいのだった。
「問題ない。逆に忙しくして欲しいくらいだ」
サリアは毅然とそう告げる。
「…………」
しかし、ドクターは沈黙していた。
頭巾とマスクに隠れた顔には、一体何が浮かんでいるのか。素顔こそ見えなくとも、何か重々しいものがあることだけは伝わって、サリアは心なしか身構えていた。
「どうしたんだ。ドクター」
「サリア、伝えるべきことがある」
「なんだ。言ってみろ」
「先日の連中から、ロドスに連絡が来た」
その瞬間にアーミヤは複雑そうな顔をして、サリアも内心では引き攣っていた。
サリアとしては、ここで何かを振ってもらい、仕事による忙殺で悪夢を心の彼方に消し去りたかった。忙しいあまりに嫌な思い出を蘇らせる暇もなくなれば、そのまま記憶から薄めてしまえるだろうと考えていた。
しかし、まだ悪夢は続いている。
確かに、あの集団はサリアを置いて引き払い、何人も逃げてしまっている。まだ勢いを維持できるだけの数がいるのなら、対処しないわけにもいかないだろう。
「わかった。私を作戦に組み込んでも構わない」
「サリアさん……」
アーミヤはまだ何かを言いたげに、複雑そうな顔をしていたが、それ以上は言葉を続けることもなく押し黙る。
その隣で、ドクターは淡々と口を開いた。
「彼らはデータを流出させると言ってきた。サリア、君のデータだ」
「そういう脅しというわけか」
「全てのデータを差し出す代わりに、君の身柄を差し出して欲しいと、映像データと共に手紙が送られてきた」
「取引として成立しないな」
屈辱の映像が流出するのと、再び身柄が連中の手に渡り、同じ辱めをもう一度味わうのでは、流出する方がまだマシだ。どちらも苦痛ではあるものの、選ばざるを得ないのなら、どうするかなど明白だった。
「彼らもそれはわかっているだろう。だが、あえて挑戦してきている」
「私達が誘いに乗るか見ていると」
「そうだ。こちらもあえて囮を差し出せば、尻尾を掴む機会が得られるかもしれない。しかし、向こうも必ず、それなりの準備をしている。どちらが駆け引きに勝つか、これは挑戦状というわけだ」
「なるほどな」
「サリア、君がああいった目に遭っていよういまいと、どちらにせよ囮の役目を拒んでも構わない。別の作戦を考えるか、あるいは手を引くまでだ」
ロドスは好戦的な組織ではない。
そもそもが製薬会社であり、感染者のための慈善活動を信条としている。
戦いそれ自体は目的ではない以上、逃亡した武力集団を必ずしも深追いする必要はない。既にサリアの救出は済ませているのだから、本来の目的を優先して、一度手を引くというのも選択肢としてはあるのだろう。
「引き受けると言ったらどうする」
「その意思と信念を尊重し、止めることはしない」
「そうか」
腫れ物扱いはするまいという、むしろドクターなりの気遣いなのだと感じて、サリアは一度
考え込む。データの流出など真っ平で、一度それが起これば任務の行く先々で嫌な思いをさせられかねない。
ロドスの中にも、サリアの映像をこっそりと入手して、人知れず楽しむ男がいくらかは現れるかもしれない。
それを阻止するための方法が、身柄と交換という口約束だ。
仮に約束通りに事が進んだとして、やはりどう考えても割りに合わない。
しかし、ドクターが彼らとの駆け引きに打ち勝てば、一つの武装組織を解体に追い込むことができる。感染者問題がきっかけに起きた争いを鎮圧して、二度と戦いを起こさせないようにすることも、また意義のある活動のうちなのだ。
「いいだろう。私を囮にした作戦を実行しても構わない」
「わかった。具体的なことはこれから決める。最終案が囮作戦となった場合、君には囮を務めてもらうことになる」
と、こうして話は終わった。
ドクターとアーミヤの二人を背に、それから部屋に戻っていく際のサリアの胸には、重々しいものが漂う。こうして肉体が自由になり、元のロドスでの生活に復帰しても、誰かが映像を視聴して、性欲のネタにして楽しむという形で、未だに陵辱は続いているのだ。
サリア自身の手の届かないところで、サリアに対する辱めが行われる。
そして、流出すれば、それがさらに大きく広がる。
任務先に顔を出し、すると出会った相手が映像の視聴者で、そのことをネタにしたセクハラということもあり得てくる。
先のことを思うと悩ましい。
今はただ、ドクターによる采配で、きっと良い方へ事が運ぶと信じるしかないのであった。
*
その数時間後のことだった。
部屋に戻ったサリアの端末には、一通のメッセージに動画ファイルが添付されていた。
『ドクターに見せてやったぞ』
「……ちっ」
挑発的な一文を沿えた動画ファイルの内容など、サリアにとって屈辱的な内容であろうことは明白だ。様々な目に遭っているので、一体どんなプレイを強要された時のものなのか、そこまではわからなくとも、そういう動画であることさえわかれば十分だ。
「誰が見るものか」
サリアは動画を開かなかった。
しかし、その動画の内容は、サリアが基地に連れて来られてから、一番最初に行ったオナニーだった。
…………
……
動画の中、あるいは撮影当時。
人質となったサイレンスやイフリータの安否もわからず、そしてロドスの面々もまだアジトの場所を突き止めていない。サリア救出が行われるよりもずっと前、そこで最初に行われたのはストリップだった。
「カメラに向かって挨拶しろ」
「……サリアだ。敵に捕まり、捕虜となってここにいる」
「脱げ」
一人の兵士が銃を片手にそう命じる。
「……ふん」
三脚台のカメラを前に立たされて、サリアは兵士を睨みつける。
カメラを隣にしている一人に加え、背後にもさらに二人が銃を構え、下手な動きを見せればいつでも撃つと圧力をかけてきている。
「それから、毎回のように宣言するんだ。カメラに向かって、自分が一体何をするかとな」
「服を脱いで欲しいそうだ。今から私はそれに従い裸となる」
これで満足かと言わんばかりに、ぶっきらぼうにサリアは答える。
サリアは袴のスカートを脱ぎ始め、あっさりとショーツを晒して上も脱ぐ。ストリップなどで恥じらってはやるまいと、涼しい顔で淡々と服を掴んでたくし上げ、ブラジャーを晒した下着姿となっていた。
上下、共に黒である。
こうすればいいのだろうと言わんばかりに、サリアは両手を背中に回し、ホックを外した次には肩紐を下ろしていく。ブラジャーを脱ぎ捨てて、乳房を曝け出した時、それでもサリアの頬には少しの赤色が浮かんでいた。
さらにショーツのゴムに指を入れ、するすると下ろして全裸となる。
「ほう?」
一糸纏わぬ姿となるなり、まず向けられるのは品定めのような嬉しそうな視線であった。口元がニヤニヤと、不快な笑みで爪先から頭にかけて、順々に視姦している。そんな兵士の視線を浴びて、サリアは不快感に顔を歪ませつつあった。
後ろの二人も、楽しく尻を視姦していることだろう。
鍛え込まれたサリアの肉体は、上から下までまんべんなく、筋肉が生み出す凹凸を薄らと浮かべている。その腹筋の割れ具合と、逞しく見える二の腕は、全裸だろうと関係無しに襲ってきて、そのまま他者を圧倒してしまいそうな覇気を感じさせるものだった。
サリアにはアーツ阻害薬が打たれている。
戦闘力は奪い取られて、何一つできない状態のはずではあるが、目が死んでいないせいもあるだろう。肉体という名の武器さえあれば、それで十分であるような、ただらなぬものを見る者は感じてしまう。
それに対するような、微妙な萎縮の気配をサリアは感じた。
どうせなら最後まで縮み上がって、睨みつける目つき一つで腰でも抜かしてくれれば良かったが、残念ながらそうもいかない。兵士はただ鼻を慣らして、これみよがしに銃の表面を撫で上げていた。
言葉などなくとも、力関係のアピールであるとよくわかる。
アーツ阻害薬の力でアーツが使えず、そもそもアーツユニットも取り上げられているサリアに対し、自分にはこうして武器がある。それどころか、他に仲間がいくらでもいて、お前一人ではどうにもならないと言わんばかりにしているのだ。
「サリア、これからお前にいくつか命令する。命令のたびにカメラに向かって自分の行動を宣言しろ。絶頂する時も必ず宣言しろ」
「それでどうする気だ」
「そうだなぁ? オナニーしろ」
「……ふん」
サリアは憤然と鼻を慣らして、敵意を宿した瞳で兵士のことを見据えつつ、その右手をアソコに移す。指先に陰毛を感じ取り、そのままワレメを撫で始めると、こんな時なのに快楽を感じてしまい、サリアは軽く顔を顰めた。
「気持ちいいか?」
「そんな宣言もしろというのか」
「そうだ」
「ああ、気持ちいい。少しだけだがな」
こんなことで精神を消耗して、傷ついてやる気はなかった。屈辱、羞恥など感じてやるかと、平然とした顔でワレメをなぞっていた。
「なら、続けろ」
言われるままに淡々と、直立姿勢でのオナニーを続けていった。
何が面白いのかがわからない。
本人が体に触れに来るわけでもなく、黙々と指でなぞっている姿を見ているだけだ。視姦することでニヤニヤと、どうやら楽しそうにはしているようだが、色気のあるはしたないポーズを取るでもなく、肉棒に奉仕してわかりやすく快楽を与えるでもなく、いかにも単調なものを披露して、そればかりで時間は流れ続けていく。
時間が経つにつれ、アソコは徐々に濡れていた。
ここに来る前も犯されて、感じさせられ、だから一度は愛液で濡れた上、その乾燥したものが陰毛や表皮には残っていたが、改めて染み出る体液で、乾いた部分が濡れ直していた。
「どうだ? 濡れてるか?」
ちょうどその頃になって、兵士はまた尋ねてくる。
「濡れているが?」
だから何だと言わんばかりにそう返す。
「なるほど、いい態度だ。次はアナルオナニーをしてみろ」
兵士はおもむろに何かを取り出し、それをサリアに投げつける。足元に転がった棒状の器具は、ビーズを数珠状に繋げたような玩具であった。
アナルパールというわけだ。
サリアはそれを拾い上げ、黙々と肛門に突き立てる。右手を後ろに回していって、先端を突き立てようと少しのあいだ苦戦する。尻尾の下にある肛門は、単純に目では見えずに手こずって、しかし数秒後には上手い具合に肛門の皺が先っぽを捉えていた。
「何が面白いのかわからないな」
そう言いながら、やはりサリアは強気な目で、これで満足かと言わんばかりに突き刺していた。
(……チッ)
そして、感じていた。
数珠繋ぎとなった球体の連なりは、その凹凸によって肛門を刺激してくる。ピストンをすればするほど、穴の部分とアナルパールとの摩擦からは、甘い痺れが解き放たれ、下半身がむずむずとなくなってきていた。
「お前に任務だ。そいつを使って絶頂し、潮を噴いてみせろ」
「……下らない」
「できなければ、お仕置きが待っている」
「まあいい。やればいいんだろう」
この時のサリアは、まだ自力での脱出や逆転など、どんな些細なチャンスも見逃すまいと気を張っていた。結果的には救援部隊が来るまで囚われ続け、あの有様を新米のオペレーターに見られてしまっているわけだが、この時点では諦めていなかった。
この時点どころか、兵士達がサリアを置いて引き払い、救援部隊から逃げてしまう瞬間まで、何かチャンスはないものかと、諦めない思いを最後まで胸の奥底に抱えていた。
そんな強靱な精神だから、サリアは当然のように歯を食い縛り、自分自身で生み出す快楽に耐えつつも、周囲を密かに伺っていた。部屋の構造をできるだけ覚えておき、兵士の顔もなるべく頭の中に入れ、情報を頭に蓄積しようと努めていた。
それら情報を活かす機会は、結局はないままに終わるのだが、そんな未来など知らないこの時のサリアは、密かに懸命に視線を走らせ続けていた。
「んっ、くぅ……んぅぅ……」
「気持ち良くなってきたみたいだな?」
「そのようだ」
サリアは淡々と、ぶっきらぼうにそう答える。
感度は確実に増していた。
続ければ続けるほどに身体のスイッチが入り、明らかに反応は良くなっていく。こんな兵士達の前でなど、わざわざ感じた素振りを見せたくはなかったが、サリアのワレメは少しずつ湿り気を帯びていた。
熱っぽい愛液が染み出して、汗ばむような蒸した空気が性器から漂い始める。表皮がしっとりしていって、ついには明確な水気がワレメから滲み出る。まるで布から搾り出しているように、薄らと現れる水分の気配は、肉貝に光沢を広げつつあった。
「んぅっ、くぅ……んふぅ……あぁ…………」
アナルパールの出入りによって、シワの部分の皮膚が押し込まれ、そして外側へ引きずり出される。ピストン運動はそれを交互に織り成して、そうやって生まれる摩擦はサリアの肛門に快楽電流をもたらし続けた。
「あっ、くぅぅ……」
感度が上がる。
全身が火照っていき、染み出た愛液はいつしか陰毛まで濡らしていた。根元に水気を吸った陰毛は、ふんわりとした毛並みが吸水によって潰れ、やがては肌に張りついていた。
「はぁ……くっ、はぁ……はぁ…………」
湿り気は内股にまで範囲を広げ、サリアの息遣いは熱っぽく、色気あるものに変化していた。サリア自身は毅然とした表情を保とうとしていても、染まった頬かどうしようもなく色香を漂わせ、そして内股には滴さえもが生まれていた。
今まで出ていた愛液は、染み出て広がる水気によって、皮膚が吸水をしているだけのものだった。表面がしっとりとしたところに、さらに愛液が足され続けていくことで、やがては光沢を放っていた。
そこまで濡れて、なおも愛液が分泌されていることで、とうとう滴まで生まれたのだ。
滴は肉貝から内股へと伝っていき、筋を残して下へ下へと。足跡を残すために質量を失って、膝にも届くことなく消えてしまうが、次に生まれた滴が道のりをなぞっていた。
二つ目の滴は、既に出来上がっている道のりを行くことで途中まではスムーズに、しかし途切れた箇所に到達すると、見るからに勢いが落ちていく。やはり膝に届くことなく、皮膚の吸水によって質量が失われる。
だが、二滴、三滴とそれは続いた。
アソコから分泌される水滴は、途切れて消え去るたびに新しく生み出される。いくつもの水滴が途中で姿を消しながら、だんだんと筋を伸ばして、ついには膝に達するまでになっていた。
その時である。
「んぅぅ……! くぁぁぁ……!」
サリアはビクっと、全身を震わせていた。
脳天に稲妻でも走ったような、激しい衝撃と痺れに打ちのめされ、サリアはたまらずピストンの手を止めてしまっていた。
「はぁ……あぁ…………」
息を切らしながら腰をくの字に、サリアは膝に両手をついてしまっていた。
「ほら、イったのならそう宣言しろ」
兵士が命じてくる。
「……い、イった」
「だが、潮は噴かなかったな?」
「出したくて出せるものか」
「そうはいかん。お仕置きだな」
言い訳など許さないようにニヤリと笑い、兵士はにじり寄ってくる。その瞬間に身構えて、サリアは思わず抵抗の姿勢を見せてしまうが、それに対する兵士の言葉は、まるで便利な魔法のように構えを解除させていた。
「人質」
そのたった一言で、サリアは両腕から力を抜き、好きにしろとばかりに立ちすくんでいた。
コメント投稿