部屋に戻って数時間後。
モスティマは双子を連れてホテルを出て、次の町へと出発する。ハンドルを握って窓の景色に目をやるも、こんな子達を安全に送り届けてやるというのは、さすがに心中複雑になっていた。
かといって、仕事を放り出してもまずい。
仕方がないので移動は続けて、むすっとした顔でハンドルを握っているが、愛想を良くしてやる気にもなれずに、モスティマは前だけを見つめていた。森林地帯に差し掛かり、森のあいだに通った車道を走って一時間は経つ中で、モスティマは双子達に何も口を利かなかった。
何かを聞かれれば答えるくらいで、自分から話題を振ってお喋りに興じるなど、あんな屈辱を経た上ではなくなっていた。
きっと、二人はまだ何かを企んでいる。
次はどんなプレイを強要して、どんな風にモスティマで遊ぼうかと考えている。
そのうち、運転疲れが気になってきたあたりで、町への中継所となる村に着き、そこで数時間ほどの休憩を取ることとした。この村もまた、運送トラックなどの通過が日常的で、そういった車の出入りに対する営業が行われていた。
ドライバーへの休憩場所の提供と、燃料や食料の補給が得られるので、モスティマは気晴らしに食事を頼んで腹を満たした。自分だけというわけにもいかず、子供達にも好きなものを注文させることになり、食べている最中のチラチラとした視線が気になって、あまり落ち着きは得られなかった。
そして、車に戻って運転を再開する直前、姉が良いことでも思いついたように言ってきたのだ。
「ねえ、裸になってよ」
それは本当に、突然の命令だった。
「何の冗談かな?」
モスティマは怒りも苛立ちも顔には出さず、表面的には穏やかだったが、目は笑っていなかった。
「冗談じゃないよ?」
「弟くん。君達の玩具ってやつには、もう十分になってあげたと思うんだけどなぁ」
「うーん。じゃあ、これどうしよっかなー」
いかにもわざとらしく、何かに困り果てたような顔をして、弟は電子端末の画面をモスティマへと突きつける。
「これは……」
さすがのモスティマも表情が険しくなった。
フィアメッタの盗撮写真だった。
誰がどうやって撮ったのか。
どこかの部屋で着替えている最中の、ブラジャーの外れた直後の乳房が写っている。横顔の入り込んだその写真は、知り合いが見れば誰の写真であるかが一目瞭然の、バラ撒かれては困る画像であった。
「へえ、ネタが増えたわけだ」
「そういうわけなので、モスティマさん。ここからは裸で運転してください」
いかにも可愛げで、微笑ましいはずの笑顔を浮かべての、実に最低な要求だった。
当然、好きで従うはずもなかったが、この子達の背後に整えられた条件は、それでなくともモスティマに言うことを聞かせるには十分な力を持っている。写真一枚だけの話なら、それでも突っぱねていたかもしれないが、既に脅されているような状況で、ネタの上乗せとなると話は違うわけだった。
仕方なく、モスティマは服を脱ぐ。
普段着だったジャケットを手放して、双子のニヤニヤと見てくる前で、シャツや短パンを脱いでいく。下着まで脱ぎきって、ブーツや靴下を残したのみの全裸となり、モスティマはこれで運転を再開することになる。
バックミラーに映る二人の顔は、楽しげで満足そうなものだった。
裸で運転をやらせるということが、二人にとってはよほど面白いことのようだった。
当然のように落ち着かない。
車同士がすれ違うことは極稀で、すれ違っても運転席に視線が来るとは限らない。全裸の女がドライバーだと知れる可能性は、必ずしも高いものとは限らない――と、思いたいが、ちょうど向かいから来たトラックの運転席に、モスティマ自身は目を向けてしまっていた。
幸い、あちらの視線は向いてきていなかった。
しかし、モスティマ自身はドライバーの顔をわざわざ判別してしまい、すれ違いざまに裸を目撃する余地が、すれ違いの相手にはあるのだと実感してしまったのだ。
ますます落ち着きがなくなって、モスティマは全身でそわそわしていた。
それだけではない。
一週間近くはかかる移動のため、休憩や宿泊は必須なのだが、双子達はそのたびにモスティマの身体を触りたがった。運転疲れを気にした停車のたびに、オッパイを揉ませて欲しいと要求されて、数時間おきに揉ませる羽目になったのだ。
しかも、弟の揉み方はやけに上手い。
森林内の開けた場所に車を停めると、モスティマのことをキャンプ用の折り畳み椅子に座らせて、弟は真正面から触ってくる。手の平で乳房を吸い上げ、下半球をぷるぷると揺らしたり、指を食い込ませたりして堪能してくる。
そのタッチが実に軽やかなもので、手慣れた愛撫はモスティマの乳首をいとも簡単に突起させていた。
そして、敏感になった乳首に指がきた時、モスティマはその快感に表情を変えかける。平静を装うものの、ぴくりと頬が弾んだり、眉間に皺が寄ったりと、誤魔化すあまりに怖い顔ばかりをしていた。
「あらあら、そんなに怖い顔しちゃって可愛いわねぇ?」
それを横から、姉がたびたびからかってきた。
本当は叱ったり、説教でもかましたり、あるいは親に注意してもらうべき行為に黙って耐え忍んでいるのだ。面白い気分になるはずもなく、いくら乳房が気持ち良くても、モスティマの心中は険しいものだった。
*
次の町に到着するのは夕方だった。
旅慣れたトランスポーターの計画通り、夜までにはホテルを確保して、良いベッドで休息を取ることが可能な流れであったが、ここで一つの問題が発生する。
「裸で町に入ってちょうだい?」
「よろしくお願いします。モスティマさん」
二人揃って、さすがに無理のある要求をしてきたのだ。
「いくら何でも、限度ってものがないかな」
限度というなら、下着無しのシャツ一枚で外を歩かされたり、人に裸を要求してきたり、既に越えてはいるのだが、全裸で町に入ってチェックインなど、もはやモスティマ一人が屈辱を背負うだけでは済まない。
法整備のある町では、全裸徘徊は捕まる方が普通である。
心理的に無理があるのは言うまでもなく、そもそも実行しては仕事を全うできなくなる。なるほど、子供達を送り届ける役目は他にも用意されている。この子達は困らないのかもしれないが、いくら脅されていようと飲み込めない話であった。
「大丈夫だよ? パパがきちんと整えてあるから」
しかし、弟がそんなことを言い出すのだ。
「どういうことかな?」
「パパとママはどんな願いでも叶えてくれるから、モスティマさんが町に裸で入ってもいいように計らってくれているんだ。だから裸でも憲兵とかは来ないはずだよ」
「そう言われてもね」
「仕方ないな。じゃあ、このまましばらく待っててよ。迎えを寄越してもらうから、そうしたら納得できるでしょ?」
弟としては、モスティマが話を信じていないとでも受け取ったのか。信じる信じないの問題でなく、人前や町中というラインを心理的に越えられないわけなのだが、弟は構わず電子端末を取り出して、どこかに連絡を開始していた。
それから、数十分後。
迎えの者らしい人物が本当に現れて、駐車場に停めていたこの車の窓をノックしてくる。
「モスティマさんご一行でいらっしゃいますね? 全裸徘徊プレイの容認とその協力で参りました。憲兵の許可と、表向きの理由など、必要な用意は揃っておりますので、どうか遠慮無く出て来てください」
その男自身が、他ならぬ憲兵の服を着ていた。
「もう笑うしかないってやつかな」
双子のバックにいる両親は、本当になかなかの力の持ち主らしい。
結局は全裸で車を降りる羽目になり、モスティマはその憲兵の男に着いて歩いていく。その実態が事前に取ったホテルへの案内であっても、憲兵の後ろを歩く全裸の女という取り合わせは、果たして傍からどう見えるか。
「うわぁ……変態か……?」
「捕まったのね」
「ストレスでも溜まってたのかな」
「何が楽しいんだか」
道のど真ん中を全裸で歩いていることで、奇異の眼差しがいくらでも集まって、耳に届いてくるヒソヒソ声の内容は、そのほとんどがモスティマを変態呼ばわりするものだった。露出狂の変態が現れて、捕まったに違いないという見解が、道行く通行人のあいだにたちまち広がっているのであった。
(最悪…………)
右腕では胸を、左手ではアソコを隠しつつ、身を小さくしているモスティマは、赤らむと同時に恥辱感に苛まれた。
本来なら、何ら縁の無いはずの変態行為に、それでも走らされてしまっている。人から見れば、モスティマが自分で露出に走ったように見えている。人の事情など知る由もない一般人の視線ほど痛いものはなく、後ろから突き刺さる双子の視線もなかなかのものだった。
「モスティマさん? 笑われてるわね? 蔑まれてるわね?」
姉が嬉々としていた。
一体どれほど嬉しそうに、満面の笑みになっているのか。振り向くまでもなく目に浮かび、モスティマは密かに顔を顰めた。
「そうよね。どこからどうみても変態さんだものね?」
一歩一歩、進んで行く。
この足取りがどんどん苦痛になっていき、せめて早いところホテルに到着して、部屋の中に引きこもってしまいたい一心にすらなっていた。
ただのホテルの看板が見えた時、それがもう天国にすら見えてきた。
しかし、ようやく屋内に入ったところで、まだロビーで浴びる視線がある。受付の引き攣った作り笑いがある。
「なんだあれ……」
「どういうこと?」
「暴漢に服でも取られたのかねぇ?」
「それとも変態なのか?」
集まる注目の数々で、その視線の一つ一つが針のように痛かった。
少しでも早く部屋に入って、誰の視線を浴びることのない、落ち着いた空間の中に逃げ込みたい一心だった。
しかし、部屋に到着するや否や、姉弟揃ってはしゃぎ始めた。
「じゃあ、プレイの時間だね!」
「遊びましょう? モスティマさん」
やっとの思いで部屋まで着いて、それでもなお地獄が続く展開に、絶望感で頭がくらくらしてきていた。
(もうどうにかなりそうだよ……)
この仕事は耐えきれない。
まさか、こんな形で子守に苦痛を感じるなど、夢にも思っていなかった。
*
モスティマはベッドに横たわり、決して穏やかとは言えない心境で、その道具の接近を前に身構えていた。
ブィィィィ…………。
と、バイブが震えている。
股を広げるように強要され、M字となったモスティマの股へと迫るのは、モスティマ自身がシャツ一枚の格好で購入してきたものだった。それが弟の手に握られ、アソコに挿入されようとしているのだ。
ご丁寧にローションまでまぶしての、ぬかるみを帯びた棒状のバイブには、ツノのような突起が生えている。膣に挿入を行った時、同時にクリトリスにも当たるようになっているのだ。
「楽しみね? 自分で買ったバイブに犯されるって」
姉が横から、モスティマの顔を楽しそうに覗き込む。
「……早いところ満足しちゃって欲しいものだね」
「このメス、早く感じさせて欲しいって」
悪意ある解釈をわざとらしく行うと、それに合わせてバイブがワレメに押し当てられ、そのまま膣に滑り込む。棒状のそれが収まって、突起部分がクリトリスに触れた時、すぐにスイッチは入って振動が始まった。
「んっ、んぁぁ…………!」
モスティマは喘いでいた。
「あっ、あくぁ…………!」
不本意ながらに、気持ち良かった。
ローションを介することで、膣壁に負荷が来ることはなく、それでいてほどよい振動に内部をマッサージされてしまう。その感覚が生み出す刺激は甘い痺れに満ち溢れ、モスティマはたちまち髪を振り乱していた。
「あーら、気持ちよさそう」
そして、姉はモスティマの感じる様子を見れば見るほど興奮して、ニヤニヤの止まらない表情で鼻息を荒げていた。
子供に感じさせられている。
その屈辱感に顔を歪めて強張って、ぐっと堪えようとはしてみても、股で震えるバイブの威力は、モスティマの中からいくらでも愛液を引きずり出す。ベッドシーツはしだいに濡れて、頬も紅潮していく一方だった。
モスティマは知らない。
ローションには媚薬成分が含まれており、そのせいで感じやすくなっていることを。
「あっ、あぁぁ……! あぁぁ……!」
そして、何も知らずに喘いでいる方が屈辱だろうと、双子のどちらも媚薬については伏せている。
「大人なのに情けないと思わないの?」
「あぁっ、んぅぅぅ……!」
「ねえ、いったいいくつの子に翻弄されちゃってるの? 子供にこんなことされて、そんなに嬉しいわけ?」
姉は心の底からの笑顔でモスティマを煽り続ける。
「あぁっ、んぅぅ……!」
そんな言葉の数々にも苛まれ、モスティマは額に汗を滲ませながら、乱れた声を吐き散らした。やがて弟はバイブを前後に動かして、ピストンまでさせ始め、それによって増した刺激にモスティマの声はより大きなものとなっていた。
「んぅぅぅぅぅぅ――――――――!」
ビクっと震え、その瞬間に潮が飛ぶ。
バイブと膣口の隙間から飛び出たそれは、弟の腕や顔にまで何滴か降りかかる。それを横から目の当たりに、姉はより一層の狂喜の顔で、これでもかというほど口角を釣り上げていた。
「いいわぁ! 今の顔! 今の声!」
姉は大興奮だった。
「へへっ、モスティマさんをイカせちゃった」
弟も誇らしげな顔をしていた。
そして、モスティマを喘がせて楽しむ『玩具遊び』は、この一回だけに留まらない。町へ着くたび、村へ着くたび、その宿泊のたびに繰り返された。
全裸で町中に入ることを強要され、壮絶な顔をした受付相手に手続きを行って、気まずく部屋へ入っていく。部屋の中に入ってしまえば、一般人からの痛い視線は浴びずに済むが、その代わりに玩具を使った刺激が始まる。
「くひぃぃぃ…………!」
その次の遊びでは、四つん這いで肛門を触られていた。
わざわざ除菌ペーパーで拭き取って、衛生的に触りやすいようにした上で、ローションをまぶした指でシワの一本一本をなぞり始める。弟によるその刺激は、電流でも流し込まれているような刺激となって、モスティマは激しく仰け反っていた。
四つん這いで背中を反り上げる反応は、まるで狼の遠吠えのポーズを真似しているようだった。
「気持ちいい? アナル気持ちいい? 感じちゃう?」
姉は嬉々として繰り返し尋ね始める。
「ねえ、イっちゃう? 子供にやられてイっちゃう?」
モスティマの喘ぎ散らかす表情を横から眺め、頬を紅潮させながら、姉は鼻息を荒くしきっている。
「んぅっ、んぅぅぅぅ……!」
モスティマには返事をする余裕もなかった。
肛門を触られているだけで、ローションに含まれる媚薬成分が染み込んで、ますます気持ち良くなっていく。表皮からの浸透だけでなく、腸にもいくらか入り込み、より成分が循環していくことで、感度はさらに上がっていく。
内股には愛液が滴っていた。
今夜の遊びでは、まだ一度もアソコには触っていないが、まるで愛撫をやり尽くしてあるかのように湿っている。表面をヌラヌラと輝かせるだけでなく、滴の玉が膨らんで、糸まで伸びてそれがぷらぷらと揺れ始めていた。
「わあ、すごいや! モスティマさん! 記念に撮ってあげるね?」
「なっ、撮るって……!」
モスティマの後ろで弟は電信端末を構え始めて、何度も何度も執拗に、パシャパシャとシャッター音声を鳴らし続ける。
さらには撮影モードを切り替えて、動画まで撮っていた。
愛液の糸がシーツに向かって少しずつ伸びていくのが面白くて、弟は大喜びで動画に残しただけでなく、モスティマの眼前に画面を突きつけ、再生まで行った。自分自身の銀糸を拝まされ、ただでさえ恥ずかしさと屈辱でたまらないのに、モスティマはより激しく表情を歪ませて、苦悶を浮かべるのであった。
ついには屋外でも遊ばれた。
アナルをやられた翌日の、次に到着した町へ入る時、前後の穴にそれぞれバイブとディルドを咥えた状態で歩かされたのだ。
「おやおや、話に聞いていた通りですね?」
しかも、憲兵さえもが言葉攻めに参加して、ニヤニヤしながらモスティマにいやらしい言葉をかけ始める。
「それで興奮しているのですか? いやはや、遥か年下に遊ばれて喘ぐ大人の女性というのは、なんとも面白いものですなぁ?」
鼻息を荒くしながら、その憲兵はモスティマをホテルまで案内する。
道中で通行人から集まる視線の数々は、奇異や蔑みに満ち溢れた。黒いディルドで尻穴を大きく広げ、震えるバイブでアソコからは愛液を流している。そんな全裸の女を見て、誰しもがモスティマを変態と見做していた。
それ以前までの町でなら、暴漢に襲われるか何かして、どうにかして服を失った被害者が保護されたのだと、そういう可能性を思い浮かべる者が多少はいた。しかし、どんなに表情ばかり屈辱を浮かべていようと、前後の穴に玩具が刺さった姿では、そんな想定をする者は一人としていなくなっていた。
モスティマを目撃する人々の、全員の心の中に、露出狂の変態痴女に対する感想が浮かび上がっていた。
そのさらに次の町では、首輪から伸びるリードを握られていた。
たった十二歳の少女が飼い主となり、犬の散歩でもしているような気持ちになりきって、裸の成人女性を歩かせる。その股にはやはりバイブとディルドが震えており、モスティマはアソコと肛門のどちらにも刺激を感じている。
「んぅぅぅ――――!」
歩いている最中に絶頂していた。
急にビクっと頭を弾ませ、足を止めたモスティマの様子を見計らい、嬉々とした弟が大喜びで尻を叩いた。
ペチン!
と、後ろから打ち鳴らされていた。
「ほら、早く歩きなよ!」
こんな風に扱われる大人の姿を見て、通行人は一体どう思うか。
こうなると、性癖の歪みきった変態チックなマゾ女が、子供を使って特殊なプレイを楽しんでいるとさえ見做されていた。
違うのだ。
子供の方が歪んでいて、モスティマの方がプレイに付き合わされているのだ。
しかし、それを訴えたとして、一体何人の人が信じるか。
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