腸内洗浄が始まっていた。
ホースのようなものを肛門に差し込み、水を注ぎ込む形式である。それをこの時代に揃いうるもので行うわけだが、ここではツタ状の植物の茎が使われていた。加工によって、口の部分はラッパのように形が広く、そこから水を流し込む。
ゼノヴィアは四つん這いだ。
(検便なんて……検便なんて…………)
顔面蒼白になりながら、テーブルの上で男達に尻を向け、震えながら腸に水を受け入れている。
管が抜け、少しだけ、肛門から透明な水が流れ出た。
「ところで、便を見る気があるのは?」
ヴィンスが皆に問う。
そこに誰も返事をしない。
「ふむ、では私と……」
ヴィンスは兵士二人に目配せした。
その先で味わうゼノヴィアの苦悩は、もはや想像を絶するものだ。別室へ移動して、糞便を垂らすことさえ強要され、汚くなった尻は兵士達に拭いて貰う。
(こんなの……もう…………)
別室から戻る頃には、ゼノヴィアは目の周りを赤く泣き腫らし、頬に涙の筋が通った痕跡さえ残っていた。
(どれだけ毟り取る気なのよ……)
尊厳やプライドを削り取り、自分で自分をゴミ以下に思うように追い込むための、過酷な儀式ではないか。
もう頭がフラフラしていた。
体力を失ったわけでも、体調が悪いわけでもないが、それでも足下をフラつかせ、気力の薄れた目でぼんやりとし始めていた。
こんな状態で、ゼノヴィアへの仕打ちはまだ続く。
またしてもテーブルに乗せられて、仰向けのM字開脚をさせられたゼノヴィアに、肛門への指挿入が行われる。
(もうどうにでも……)
そんな心境にまでなりながら、肛門に異物の入る違和感を感じていた。
尿道を指で広げられ、糸のように細いものを差し込まれ、何の意味があるかもわからない場所を調べられた。
どうにでもなればいいではないか。
とうとう、ゼノヴィアの中で何かが潰えて、やられることの全てを無気力に受け流す。ただぼんやりと時間を過ごし、いつになったら服を着ることができるのか、それだけを延々と考え続けていた。
ずっと、ぼーっとしていた。
虚ろな目で、壁や天井を意味もなく眺め続けて、ただそれだけの時間を過ごした。
あれから、一体どれくらい経っているのか。
(ああ……でも…………)
やっぱり、恥ずかしい。
まどろみから少しずつ目覚めるように、だんだんと気を持ち直していくゼノヴィアは、今の自分のM字開脚に気づいて赤らんだ。
ぼんやりとしているあいだに、そういえば何か色々と指示を出された。
ゼノヴィアはいつの間にか両手の指でアソコを開き、中身を見せびらかしていた。
(……あれ?)
人が増えている。
いや、それどころではない。
気づけば画家がキャンバスを立て、ゼノヴィアの体を丹念に観察しながら、筆で絵の具を走らせていた。
「な……!」
ゼノヴィアは戦慄した。
(え? い、いつから? 今どこまで進んでいるの?)
動揺と困惑が目に浮かぶ。
ゼノヴィアのテーブルは幾人もの画家に囲まれ、前にも横にも、描くために観察してくる目が光る。絵の具を混ぜ合わせ、適した色を作り上げ、数々の筆を使い分けて塗っている。太い筆でべったり塗り、細い筆で細部への描き込みを行っている。
(絵ってことは何? 私の裸が目に見える形で残されるの!?)
心を持ち直せば直すほど、かえって恥じらう気持ちは蘇り、頭が沸騰しそうなほどに熱が高まる。
(そんな――ちょっと――えっ、ちょっと――――)
ゼノヴィアは気づく。
朦朧とさえしていた最中の記憶は曖昧だが、確かに人の増える気配はあった。指でアソコを開けとも言われた。それらの記憶がはっきりとした形で蘇ると、今の今まで描かれ続けた絵の内容まで見えてきて、ゼノヴィアは騒然としていた。
(中身までくっきり描かれてる! お、お尻の穴だって!)
そして、顔もだろう。
そうと悟ったゼノヴィアは、焦りのような感覚をどんどん胸に膨らませ、瞳を激しく震わせるが、もうとっくに絵が進んでしまった後である。
「出来ましたよ。いかがでしょうか? ゼノヴィア様」
一人の画家がキャンバスを見せつけてくる。
「~~~~~~~~~っ!?!?!?!?!」
恥部のアップだった。
アソコを実物以上の大きさに、尿道口やクリトリスの突起が詳細に描かれている。膣口の穴にある白いヒダ――処女膜まで描かれている。桃色の肉の質感が、表面の粘膜で少々の光を反射しているところまで、実に綿密で正確だった。
性器の数センチ下にある肛門も、皺の一本一本まで丁寧に描写している絵は、もはや単なる絵ではない。
現実の写しだ。
目に見えるものをそのまま切り取り、紙の上に貼りつけたといっても過言ではない。
「こちらも出来ましたよ」
次に見せつけられる絵に至っては、全身が収められていた。
(いやああああああああああ!!!!!)
この画家達も、馬車で同行しているパーティ参加者なのだ。
顔を極限まで真っ赤に描いてあるのは、画家がこれまで見て来た恥じらい顔を参考に、ぼんやりとし生気の抜けた表情よりは、羞恥心のたっぷりとこもった絵にしたためだ。だからゼノヴィアが朦朧としていたあいだ、顔だけは想像を頼りに表情を作り上げ、しかし首から下は目の前の光景を切り取り、正確に描き写した。
全身を収めるために、先ほどのアップに比べて一つ一つのパーツは小さく描かれているが、指で広がったワレメの中身も、肛門の皺も、じっくりと観察して見れば、その大きさで可能な限り極限まで正確だ。
肛門など、拡小すればするほど黒ずみの点にしか見えなくなるが、できうる限り皺を一本ずつ描こうとした努力が見受けられる。
「いやぁ! 私も描けましたよ!」
「ゼノヴィア様のおっぱいは描き甲斐がありました!」
「顔のアップもありますよ?」
次々と絵が仕上がり、そのたびにゼノヴィアに向けられるキャンバスには、それぞれのポジションから描いた裸が収まっている。
「あ……あ……あぁ………………」
くらっと、ゼノヴィアの頭が揺れた。
ここまで蓄積し続けたもののせいか、ゼノヴィアの中で何かが限界を迎えていた。
「ゼノヴィア様!?」
「大丈夫ですか!」
気を失う瞬間には、さすがに心配の声が聞こえてきたが、そのまま意識は途切れていった。
要するに恥ずかしさのショックで気絶したのだった。
◆◇◆
ウェインの隣でゼノヴィアが完全に機嫌を損ねている。
(まあ、そりゃそうか)
ここまでされたら、ショックで寝込むのでなければ激しい憤りを抱えるだろう。
「いやしかし、こうしていつでもマーデン侯爵のアソコを覗き見ることができるわけだ」
ブラフォードがキャンバスを両手に抱え、実に嬉しそうに鑑賞している。
貴族三人、それぞれの手に絵はあった。
絵の中の裸と、ウェインの隣に座る実物の裸と、それぞれを執拗に見比べてくる視線に対して、ゼノヴィアは怖いほどの目つきを浮かべていた。
(でもなー。さっきはマジで見ものだったわー)
気絶したゼノヴィアを馬車に乗せ、そのまま出発したわけだが、目を覚ましてから数秒ほどで、まずは自分の裸に気づいてぎょっとする。
「え!? は、裸!? 服は!?」
なんて喚いてから、三人組が絵とゼノヴィアを見比べながら視姦していることに気づき、勢いよくポーズを変えていた。胸を隠し、アソコを覆い、肩を丸めたお決まりのポーズになる素早さといったら、まさに神速だった。
そのままゼノヴィアは始終不機嫌なのだ。
自分の裸が人の手に渡っているのもそうだが、顔まで正確に描いたものが万が一にも出回れば、問題は大きいだろう。
現物にせよ、コピーにせよ、それが他国に流れ、それをたまたま入手した相手と知らず知らずに会談の予定を組もうものなら、「君、この絵の子だよね?」ということになる。自分の裸を売り広げるような領主とは取引をしたくない、となれば立派な損害だ。」
ゼノヴィアもさすがに抗議してきた。
(押し通したけどな)
貴族ら三人に対しては、絵を利用してマーデンの足を引っ張ったり、脅迫行為をしてはならないという契約を結ばせた。
もちろん、公式の書類にエロエロなことは書けない。
書面上では昨日から戦勝パーティ終了までの日付を指定して、『懸念すべき情報及び物品が流出した場合』といった言い回しに変換しつつ、もろもろの出来事を政治利用してはならない約束を正式に交わさせた。
他人に見せたり、画家を雇ってコピーを描かせたり、流通させてはならないなどの約束も明確にしたことで、どうにかゼノヴィアを納得させている。
加えて、この貴族三人とゼノヴィアは、表向きには和解と友好を確立して、今後は仲良く取引しましょうといった約束もさせた。
さすがにゼノヴィアの心を搾り過ぎているので、バランスも考えてマーデン側にも収穫を与える必要があった。
(ま、本心では納得してないだろう)
元々がゼノヴィアに不利な状況から始まっている。
最終的に飲み込んだのはそのためだろう。
(ああ、そういえば服も返してないな)
必死に裸を手で隠し、縮こまっているのは初めからだが、より一層のこと不機嫌な様子が見え隠れしているのは、ボディースーツすら返していないからだろう。
「ゼノヴィア候。そろそろ着替えてはいかがか」
ボディースーツを手渡す。
(うおっ)
思いっきり睨まれ、ウェインは身を竦ませた。
ゼノヴィアは引ったくるように受け取ると、さっさとそれを着始める。
「おっと、これも忘れないように」
吸引器を手渡すと、物凄く、ものすごーく、文句を言いたくて仕方のなさそうな顔をしてきたが、ゼノヴィアはそれらを乳首とクリトリスに取り付けていた。
(そういや、気づいてないか)
ゼノヴィアが眠っていた時、媚薬効果があるという軟膏を胸やアソコに塗っていたのだが、特に変化は見受けられない。本人が変調を隠している可能性もあるが、目に見えた変化がない以上は、媚薬の方が眉唾だっただろうか。
(ま、本物だったら、そのうち効果が出るだろう」
そして、馬車は宿泊先に辿り着く。
◆◇◆
それから、また一泊。
朝を迎えて出発する。
「あっ、くぅ……! んんんっ、殿下……お戯れを…………」
「なに、こういうのもプレイのうちだ。嫌でも我慢してもらうぞ」
「ウェイン殿下…………」
移動最中、ウェインはまたも媚薬を塗っていた。
入れ物の中から指先で吸い上げ、ボディースーツの上から触っている。隣に右手を伸ばす形で、太もものあいだに差し込んで、ワレメやクリトリスを責めるのだった。
「だいぶ感じているようだが?」
「それは……自然な反応しとして、どうしても……」
「そうか。しかし、クリトリスもそうだが、乳首が少し目立つようになったな」
指摘した瞬間に、ゼノヴィアは赤い顔を向こうに背ける。
吸引器を付け続けていたせいか、乳首は伸び、クリトリスも最初の頃より飛び出ている。ウェインは乳首にも媚薬を塗ってやり、馬車が到着する頃には、ボディースーツの上からは完全にくっきりと、三つの突起が丸わかりとなっていた。
「会場に着いたら、手で隠すことは禁止する。いいな? ゼノヴィア候」
「……は、はい」
ちっともよくなさそうにゼノヴィアは答える。
「パーティでは別の衣装に着替えてもらう。マイクロビキニだ」
ウェインが渡したものは、より露出度の高い紐状のビキニである。アソコや乳首を覆うための布面積は最低限しかなく、ボディスーツよりもさらに恥ずかしい衣装となる。
受け取った瞬間、ゼノヴィアは固まっていた。
何かを言いたげな目でウェインを見るが、ゼノヴィアには「着ろ」という圧が返るだけである。着るしかないことを覚悟して、ゼノヴィアは衣装をマイクロビキニへと取り替える。
(なに、この感じ……)
そのマイクロビキニは内側がザラザラとしている。
擦れれば刺激が強いように作ってある。
「降りるぞ」
城ほどはある建物を前にして、ウェインや貴族三人は次々と降りていくが、ゼノヴィアだけは降りるに降りられない。戸の外を覗いてみれば、今までの比ではない、きっと百人は超えている人数がひしめいている。
(冗談じゃないわよ……)
こんな人数に見られたら、生きていけない。
顔を出しているだけで、なかなか外に出られずにいるゼノヴィアへと、ウェインが改めて声をかけた。
「どうした? 早く出て来るんだ」
「ですが……」
「うん? 覚悟してここまで来たはずだ。それに、今までの体験を考えれば、これから起きることは全て大したことがないように思えるだろう」
「それは……ですが…………」
排泄行為まで見られたのだ。
もはや、これを上回る屈辱は残っていないかもしれない。
(だけど、大きな体験をしたからって、そうそう平気にならないわよ)
例えるなら、手足の骨折を経験したからといって、指の骨折で騒ぐなと言われては納得がいかない気持ちだ。他の全てが平気になるとは限らない。少なくとも、平然とした顔でマイクロビキニの姿を見せびらかす女ではいたくない。
「先ほども言ったが、手で隠すことは禁止する。さあ、降りてこい」
(わざわざ降りにくくなるようなことを言って……!)
ゼノヴィアは憤る。
だが、やはりマーデン領の未来を背負ってここにいるのだ。こんな方法になったとはいえ、結局は引きこもっているわけにもいかず、ゼノヴィアは渋々外へ出て行った。
肩が内側に縮まった。
禁止されていなければ、両手も反射的に肝心な部分を隠しただろう。
乳首とアソコがギリギリではみ出ない、本当に最低限の布だけで、尻にいたってはTバックで丸出し同然となっている。ただ本当の全裸ではないだけで、ほとんど裸と変わらない格好をさせられている恥辱感がふつふつと沸き上がる。
ざわっ、と。
注目が集まるのを肌で感じた。
「あれは!」
「ゼノヴィア・マーデン!?」
「そうか、本当に来ていたのか」
周りにいた貴族の一部がゼノヴィアに気づき、早速のように注目を集める。
不満層が集まるということで、それでなくともゼノヴィアは目立ちやすい。そんな中でマイクロビキニだ。同情が集まることはなく、卑しいものを見る視線ばかりが殺到する。
「さあ、行こうか」
ウェインが建物へ向かって突き進む。
それに着いて歩いて行くと、尻に視線を感じてならなかった。丸出し同然の部分に目という目が殺到して、それが気になるあまり、ゼノヴィアは後ろに手を回してしまう。隠すのは禁止のため、近くに手をやるだけで留まるが、尻たぶの上に右手を彷徨わせたまま、隠したい気持ちをどこか抑えきれずにいた。
注目される理由は、もちろん丸出しだからである。
マイクロビキニが目を引いて、あのゼノヴィアが罪人のように歩かされている光景に、それを見る不満層の中では次々と鬱憤が晴れている。
しかし、単に丸見えなだけでなく、プルプルと揺れている部分こそが注目されていた。
「あの歩くことで振動している肉の感じ!」
「ああ確かに、あれほどの丸く綺麗な尻がプルプルと揺れ動く様は目を見張る」
「マーデン侯爵は随分と素晴らしいものを見せてくれるなぁ?」
貴族という貴族の目は、歩行によって振動する有様に注目している。歩くために足を持ち上げ、そして地面に置く瞬間に生まれる振動で、プルプルと揺れ動く有様は、決して大胆なものではない。
遠目ではわからない、小さな揺れ方ではあるが、それでも存分に人目を集めていた。
「あーんな格好をしてまで領地を守りたいだなんて、ご立派なものねぇ?」
女性の声すら聞こえてくる。
「ああ、まったくだ」
「自分がいかに卑しいことをしているのか、わかっているのか?」
「いやいや、逆に崇高ではないか」
ゼノヴィアの体に盛り上がるばかりでなく、蔑み、見下してくる声も多く聞こえる。いくら領のためとはいえ、マイクロビキニで外を歩く行為を卑しいものと見做されて、そんな方法なんかでマーデンを守るのかという意見まで聞こえて来る。
逆に崇高だと語った声も、明らかに馬鹿にした口調であった。
(好きでこうしてるわけじゃないわよ!)
心の中では荒れ狂った声を上げるが、ここに集まる層のゼノヴィアに対する感情を払拭し、不満層を減らすことこそが目的だ。
敵対するわけにもいかず、ぐっと堪えるしかない。
だが、こうなってくると今更の疑問が湧く。
(マーデンが卑しいものと見下されるじゃない……)
ゼノヴィアはマーデンの代表だ。土地の代表なのだ。
その自分がこの格好でパーティに出て来たなど、きっと理由は伝わっているのだろうが、マーデンもろとも卑しい目で見られかねない。
(い、いや……公式には存在しない出来事として扱うから……)
表沙汰にしてしまっては、外交時の影響もあるだろう。
存在しない出来事として扱えば、たとえ遠くに噂が届き、それを外交時に冷やかされても、悪質な噂を真に受ける外交官を逆に疑問視する態度が取れるだろう。帝国だろうと西側国家だろうと、ナトラに噂の裏を取ろうにも、口を揃えて「ただの悪質な噂、作り話」と返すことになっているのなら、後々まで問題が尾を引くことはないはずだ。
(そう……きっとそうだ……そう信じないと、やってられない………………)
少なくとも、ヴィンス、ジェローム、ブラフォードの三人とは、絵画の際の悶着から、表向きには友好関係を結んだことになる。腹の底では殺してやりたい相手だが、政治的にはマーデンの肩を持つ面子にカウント可能になったのだ。
政治的な旨味は得られたことを、せめてもの心の支えにゼノヴィアは進む。
屋内に入り、使用人の案内を伴ってさらに進むこと、階段へと差し掛かった。
(……下から覗き見る気ね)
肩越しに振り向けば、貴族三人が揃って楽しみそうな顔をしている。
(いいわよ。どうせ、全裸も見られているから……)
本当は良くないが、そういうことにでもしなければ身が持たない。
(おおっ、これはやはり)
(実に見応えのある尻だ)
(家臣達、よく見ておけ)
ゼノヴィアが階段を上り初めて、貴族三人は一斉に注目する。家臣五人組にも、じっくりと
観察するように促しながら、彼らはこぞって尻の視姦に励んでいた。
プルプルとした揺れ具合は変わらない。
揺れ方は小刻みで、やはりそう大胆ではないものの、歩行に持ち上がった足が置かれるたび、その振動がプルンッっと尻を震わせる。それを視姦され続け、ゼノヴィアは始終お尻を気にしながら階段を上がりきる。
しかも、お尻だけではない。
(なに、この感覚……)
マイクロビキニの締め具合には、実に絶妙な緩さがあった。ザラザラとした内側の面は、体を動かすたびに擦れてくる。それが乳首やクリトリスへの刺激となり、歩いているだけでほのかな快感が走ってくる。
アソコの布には少しずつ水気が浮き出ていた。
(ぬ、濡れていたり……なんて、ないはず…………)
愛液を滲み出し、それを布に染み込ませてしまいそうな気配に、ゼノヴィアは危機感から当手でアソコを気にかける。乳首だって突起している。それらを手で隠したい衝動にかられ、下腹部や胸の中央に手を彷徨わせた。
やがて会場に辿り着く。
幾つものテーブルに清潔なクロスをかけ、それぞれに料理が用意されている。集まる貴族は上等なスーツやドレスを身に纏い、その中でゼノヴィアだけはマイクロビキニだ。
悪目立ちは言うまでもない。
さらにはパーティ開始の挨拶が始まる時、王子たるウェインが壇上に立つことに不思議はないが、その隣にゼノヴィアまでも立たされた。
こうなると、会場にある全ての視線がゼノヴィアに集まる。
(い、嫌……嫌よっ、こんなの…………)
まともに前を向けなかった。
顔という顔の数々が自分を向き、変態チックな格好を奇異の目で見てくることに耐えきれず、今すぐここから逃げ出したくなってくる。普段ならそんなことのないゼノヴィアでも、さすがに俯いてしまっていた。
(マーデンのため、マーデンのため……)
自分にそう言い聞かせていなければ、逃げ出すことなく立っていることすらできそうにない。
(み、見てる――みんなが――何人いるの? 百人以上? やだっ、こんなに――見ないで、見ないで――――)
無数の視線が殺到している事実一つで頭はいっぱいいっぱいに、ものをまともに考えられず、ウェインが行う挨拶の内容も入って来ない。
「ではここで、ゼノヴィア・マーデン侯爵からも、何か挨拶を」
「ふぇっ!? ああ、はい!」
急に振られ、ゼノヴィアはびくっとしていた。
「わっ、私は――そのっ、先の戦争におきまして、未だ責任を感じているところでありまして、ですからっ、なんといいますか……! 今回はっ、このような格好になりますが、このパーティに参加することで……こ、ことで…………!」
慌ただしく上擦って、焦るあまりに上手く口が回らない。
「ご存じのように、今回は常識の外へ一歩踏み出し、極めて大胆な方法で反省の意を示すこととなっている。あえて卑しい姿を晒しての参加により、皆が抱えるマーデンへの心を払拭しようと、体を張っているというわけだ! 故にゼノヴィア候の普段ならありえないこの姿、今日という日を存分に楽しむ意味でも、しっかりと目に焼き付けておくといい!」
ただの挨拶でウェインに救われ、余計に情けなくなってくる。
惨めな格好をしている上に、まともに言葉すら出せないのだ。
普段なら、決してこんな失態は見せないのに、服装一つでこうもいつも通りに出来なくなり、実に歯がゆい思いがした。
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