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 馬を休めるため、馬車が停まった。
 町と町を繋ぐ街道には、中継地点となる休憩所が置かれている。馬もそうだが、揺られ続けた人間を休ませるための小屋もあり、ここ数時間ほど歩き続けた面々は、それぞれ馬車を降り立ち気ままに息を吸い上げる。
「どうした。ゼノヴィア候」
 ウェインが問いかけると、戸の陰に隠れるゼノヴィアが、顔だけを外に覗かせていた。
「や、やはりこのまま外に出るのは……私の格好は裸同然なわけでして……」
「よいではないか。周囲に市民などはいないし、ここにいるのは全て事情を知る者だけだ」
「そうは言いましても……」
「それに吸引器を付けるという話だったろう? 降りてもらわなくては困るぞ」
 あくまでウェインに命じられ、こうなっては従うしかない。
 ゼノヴィアは震えながら足を下ろす。
 やはり両手で肝心なところは隠したまま、くの字に尻を突き出した状態で、肩も内側に丸め込んだままに馬車を出て、すると既に馬車から降りていた男という男達の視線が一気に集中してくるのだった。
(や、やだ! 何人いるのよ!)
 まず、ウェインと貴族達で四人となり、そこにゼノヴィアの家臣を加えて九人だが、そこにナトラの護衛兵まで加わっている。貴族それぞれが抱える使用人に、ウェインの手下、御者まで含め、もはや数えたくなどない。
 ゆうに二十人を超えていた。
 その全員の視線となると、頭が一気に沸騰する。この勢いを例えるなら、少し温かいだけだったお湯が一瞬にしてぶくぶくと泡を噴き上げ始めたほどに、ゼノヴィアは瞬間的に赤面していた。
「おおっ、さすがはゼノヴィア様だ」
「評判通りにお美しい」
「しかし、あの格好は……」
 男という男達の、ゼノヴィアを見ながら交わす言葉は、容姿が美しいとしながらも、無様な格好でみっともないとするものだった。
「いやぁ、なんとも……」
「王族だった者があの格好とは」
(何も言えないわ……)
 ゼノヴィアは俯き、足下の土に目を落とす。
「さて、用意してもらったぞ」
 使用人の荷物から、ジェロームは吸引器とやらを受け取ってきたらしい。
「では両手は横に下ろして、まずは背筋を伸ばして頂こうか?」
 ブラフォードが命じてきた。
(ううぅぅぅぅ……嫌だぁぁ………………)
 ゼノヴィアは屈辱感に耐えながら、プルプルと震えた両手を下へと動かす。くの字であった背筋をピンと伸ばす時、無意識に首を上へと跳ね上げていた。前を見ていられずに、今度は地面の代わりに空を見始めていた。
 そんなゼノヴィアの周囲には人集りが形成され、御者も護衛兵もこぞってニヤつく。ぐるりと輪の中心に置かれてしまい、おまけに手で隠すことを封じられたゼノヴィアは、四方八方からの視線を浴びるままだ。
「なんと良いお尻か」
「ああ、撫で回したい」
 背後から聞こえるのは、護衛兵が尻に注目する声だ。
「透けていないか?」
「ああ、よーく見ると乳首の色が……」
 ウェイン達の隙間を縫って、どうにかゼノヴィアの乳房を視姦した使用人は、白い布から薄らと、かすかに透けた乳首に注目していた。
「ふーむ」
 そして、ブラフォードは何かを気にしてしゃがみ込み、アソコに顔を近づけてきた。
「……なっ、なんでしょうか」
 青空だけを見ているゼノヴィアだが、足音と声の位置から接近の気配を感じ取り、一体どこを至近距離から観察されているかがわかって、ますます恥ずかしくなってくる。
「少し毛が気になるな」
「毛って……!」
 陰毛のことを言われたに違いない。
 ゼノヴィアは頬を激しく強張らせ、力むあまりに震わせた。
「確かに、裸なら整った形の毛なんだがな。薄らと色が見えるし、こうして草原の形が浮き出ていると、ボディスーツではみっともなく見えるな」
 ヴィンスもそれに同調して、ウェインを向く。
「ウェイン殿下。剃ってはいかがでしょうか」
(なぁ!? 一体なにを提案してるのよ!)
「毛を剃るか。ふむ、それならやったことがある。私がやろう」
「となると、剃るのが先だな」
 ジェロームは一度身を引き、順番をウェインに譲る。
「な、な、なにを……そ、剃るって…………!」
「ああ、陰毛を剃る」
「何を言うんですか! そんな! そんなことは!」
 ゼノヴィアの中に猛烈なものが膨らんでいた。
 毛を剃るということは、つまりボディースーツですら脱がされ、剥き出しのアソコに顔が迫るということだ。布越しに顔が近づくのも恥ずかしいのに直接など、そんなことをされたら頭が爆発してしまう。
「どうかご容赦を! わ、私は……そ、そんな……そんなこと……されたら…………!」
「なんだ? 毛が大事なのか?」
「そういうっ! そういうことでは!」
「いいから、動くな。じっとしていろ」
 ウェインに凄まれ、それだけでゼノヴィアは固まってしまう。
 その一瞬で背後に回り込まれたと思いきや、背中からジッパーを下ろされた。布のフィットしていた背中から、生肌が剥き出しに、ゼノヴィアはますます固まる。
「やっ、あの……うぇ、ウェイン殿下っ、どうかご容赦を…………」
 震えきった声で許しを請うが、ゼノヴィアの願いが聞き入れられることはない。
「安心しろ。前にやった時も、肌は一切傷つけなかった」
「前って……!」
「さあ、脱いでもらおう」
 まるで皮を剥いていくように、ゼノヴィアの肌に張りついていたスーツの布が剥がされて、下ろされていく。

 じぃぃぃっ、
 じぃぃぃぃ……!
 じぃぃぃぃ…………!

 視線の殺到を感じた。
 ゼノヴィアの裸に対し、目から熱でも発さんばかりに、力強い視姦が行われる。ウェインがボディスーツを下ろしきり、青空の下で一糸纏わぬ姿となって、ゼノヴィアの頭は完全に燃え上がっていた。
(ああああああ! こんなところで! こんな! 大勢の前で!)
 耳まで赤くなりきっているなど、もはや言うまでもない。
「あっ、あれがゼノヴィア様の麗しき肌!」
「なんて綺麗な!」
「おおっ、触ってみたい!」
「お尻も柔らかそうだ!」
「あの胸! ぷるぷるで大きくて、とても魅力的だ!」
 四方八方から、ゼノヴィアに向けての声が飛び交い、誰もが美しい肉体に興奮している。ギラついた眼差しで、少しでも強く記憶に焼き込もうと必死な目が、そこかしこで血走っていた。
「よし、向こうの小屋で剃ろう」
 ウェインに手を引かれ、ゼノヴィアは小屋に向かって歩かされる。
 つまり、脱がせるにしても、青空の下などではなく、屋内に入ってからでも良かったのだ。
(ひどい……)
 腕を引かれながら進んでいくと、周りを包囲しきっていた人の輪は、ウェインをその先に通すために左右に開ける。
 しかし、体をどかすことはあっても、視線をゼノヴィアから逸らすことは決してない。
(なんと滑稽な!)
 それはゼノヴィアの家臣であった。
(あのようなカクカクとした歩き方!)
(あの様子は必ずや綿密な文章として書かねばなるまい!)
(目に焼き付けるのだ!)
(今ここでしか見ることの出来ない光景を!)
 五人組の家臣達は、シューチ・シューチェスとしての魂を燃やし、誰もがそうしているように、彼らもまた目を血走らせる。目の前の光景を脳裏に焼き付け、必死になって脳に刻み込んでいた。
 ゼノヴィアは決して前を見なかった。
 顔が青空に向ききって、それでいて背筋までピンと伸ばし、足が棒のようになった歩き方など滑稽というより他はない。膝を曲げずに真っ直ぐ伸ばし、空いている手ではアソコを必死に隠しながら、ウェインに引っ張られるままに進んでいる。
 上向きの頭から、リボン結びのツインテールが後ろ側に垂れ下がり、滑稽な歩行によって揺れ動く。
 ここに集う一同は、そんな踊る髪と、プルプル戸振動する尻を最後まで見送っていた。

     ◆◇◆

 小屋の中、ウェインは獰猛な笑みで石鹸とカミソリの準備を進めていた。
(ツルツルにしてやるぜ? ゼノヴィアちゃーん)
 貴族達に乗せられて、誘導される形だったとはいえ、ゼノヴィア自身が羞恥プレイに同意をしている。どうあれ自ら受け入れた手前、元より階級の違いもあって、ウェインが命じればゼノヴィアは拒めない。
 それをいいことに、丸裸のゼノヴィアをテーブルの上に乗せていた。
 尻をなるべく縁に置くよう命じたおかげで、尻山がテーブルから少しだけはみ出ている。テーブルの下に潜り込み、見上げてみたなら、肉がぷにりとなっているだろう。
「さあ、剃らせてもらおう」
 カミソリを握るウェインの背後には、貴族三人が見学に揃っていた。そればかりか、ゼノヴィアの家臣さえもが小屋に入り込んでいた。家臣五人組には執筆の役目がある以上、なるべく多くを見届ける必要があった。
 窓には顔がびっしりと、外から覗き込もうとする者達が張りついている。
(たまんないだろうなー。マジで恥ずかしさで死ぬとかあったら、とっくに死んでるくらい恥じらってるよな)
 ウェインはゼノヴィアを見下ろした。
 必死になって胸を隠し、右手の平ではアソコを覆っている。アソコどころか、肛門に指を届かせ、尻の穴まで隠そうとしているのだ。そうしなければ、今の自分が取っているポーズでは、全ての恥部が見えてしまうとゼノヴィアも気づいているのだ。
(めっちゃ涙ぐましいんですけど! 最高なんですけど!)
 少しでも隠そうとするゼノヴィアの努力は、胸を締め付ける腕力に、隙間ない指でしっかりと覆っていることもそうだが、気づけば手首まで駆使している。肛門に指を届かせるため、手の平の位置が下がることを気にしてか、どうにか手首をワレメに沿わせ、全力を持って視線から守っている。
 今のゼノヴィアはM字開脚をしているのだ。
 きっちりと命じたため、脚は左右に開ききり、平らに近いまでになっている。ここまでしっかり開いたことで、手さえどかせばアソコが剥き出しなのは言うまでもなく、その下には肛門まで丸見えのはずだ。
「……うぇ、ウェイン殿下! どうかお許しを! は、恥ずかしさで……今の私は恥ずかしさで死んでしまいそうです!」
 ゼノヴィアは必死に訴えてきた。
「確かに凄い顔だな? ゼノヴィア候の羞恥心がひしひしと伝わって来る」
 ウェインはその表情を目で楽しむ。
(マジですんげーぞ)
 眼輪筋に極限まで力を込め、頬まで硬化させながら、熱気が伝わってきそうなほどに赤面している。
「おや、ゼノヴィア候の家臣達も、様子が気になって見に来たようだ」
 自分の家臣がいることを、ウェインはわざとらしく伝えてやる。
「ウェイン殿下! わ、わかりました! 剃っても構いません! だから! だからどうか! せめて! せめて他の者は外へ! それだけでいいのです!」
 ゼノヴィアは死に物狂いで声を荒げていた。
「こんな! 何人もの人にアソコを見られるなど、耐えられません!」
「この感情の吹き荒れよう。頭の中には恥ずかしさの嵐が吹いているのだろうな」
 などと詩的な表現をしてみると、
「ウェイン殿下……!」
 ゼノヴィアは悲痛な声を上げていた。
 自分の叫びは届かないのかと、深い悲しみやショックが宿っていた。
 よく見れば、これだけ強く閉じたまぶたから、涙の光さえ見えかけている。
「ゼノヴィア候、手をどかせ」
 ウェインは容赦しなかった。
「そんな……! ど、どうか! どうか!」
「せっかくここまで来たのに、途中で台無しにするのは勿体ないだろう?」
 せっかくの話の破綻をちらつかせれば、ゼノヴィアは立場が弱い。
「殿下…………」
 諦めるしかないと悟り、ゼノヴィアはアソコから手をどかす。腹の上に移った右手は、未練がましくヘソに置かれて、今にもアソコへ戻りたそうに、見るからに下を気にしている。
「ふむ、やはり綺麗な形に整った陰毛だ。せっかくだ。剃ってしまう前に、少しばかり目に収めておけ」
 ウェインは貴族達ばかりでなく、シューチ・シューシェスの名を使う五人組にも機会を与えた。
(……ニニムの裸は俺が見せびらかしたし、まあ少しは許容するしかないが)
 一旦は場を譲り、ゼノヴィアのアソコに群がる面々を眺め、五人の家臣達の顔を一つ一つ頭の中に収めていく。ウェインの記憶力に言わせれば、実はとっくに名前も覚えているが、改めて記憶に焼き込んでいた。
(必要以上に広めるようなら、手を打つか)
 ウェインは命さえ狙いかねない目をしていた。
 貴族達三人とて、ニニムの痴態を記録に残すことが、いかに危ない橋を渡る行為かはわかっている。同一の書物を世に広めることは許されておらず、自分達だけが所持する上、ウェインにも献上している。
 もし大量の移しが出回れば、逆鱗に触れることだろう。
(……エロ本は惜しい。お前達のあいだだけで楽しむ分には許してやる)
 これがウェインの下した判定だ。
 ニニムに関する怒りは腹の底にしまっておき、その代わりにウェインは三人の貴族を時折気にかけ、無用に広めはしていないか、「監視しているぞ」と圧力をかけている。
 今のところ圧力だけで済ませている背景には、そもそもウェイン自身、ニニムへの羞恥プレイを機会さえあればまたやってみたい思いがあった。
(まあ、とにかく今は……)
 彼らの行いに初めて気づいた時の衝動は忘れ、ウェインは楽しみに目を向ける。
(ゼノヴィア、やっぱエロいわ)
 単に視線を浴びるという行為で、まるで火に炙られ続けているように苦悶している。顎に皺が浮き沈みして、苦しげによがって髪を振り乱す。
「覚えたか」
 ウェインは五人組に問いかける。
「ええ、しっかりと」
「間違いなく」
 そして、五人のうち二人から、確信のこもった目が向いてきた。
「よし、ではそろそろ剃るとしよう」
 その言葉で彼らは後ろに引いていき、揃ってウェインにスペースを明け渡す。
 ウェインは両腕の袖を捲り、石鹸の泡を手の平に乗せ、ゼノヴィアの陰毛に触れ始めた。
「――――んっ!」
 ビクっと、両脚が跳ね上がった。
「驚いたか? ゼノヴィア候、このまま泡を馴染ませる。じっとしていろ」
「はい………………」
 ウェインは桶の水と石鹸で泡を増やして、陰毛に絡ませていく。泡の水気を吸い込むことで、さらさらとしていた毛並みが一つに固まり、毛の束の隙間から、細やかな泡が光に反射して輝いていた。
「ついでに尻の穴も綺麗にしてやろうか?」
 ウェインはそう思いつき、ワレメの下にある皺の窄まりに指を置く。
「ひぅぅぅ!」
 脚がビクっと、また弾んだ。
「はははっ、面白い反応をするじゃないか。なあ、みんな」
「ええ、まったくです」
「肛門も性感帯なのでしょうな」
「ゼノヴィア・マーデン様にはアナルの素質がおありのようだ」
 貴族達は口々に肛門についての言葉を述べ、ヴィンスに至っては素質呼ばわりだ。
(こ、殺す! 殺す殺す! いつか殺す!)
 性の素質などと言われては、羞恥に加えて怒りまで刺激されていた。
「ほれ」
 泡の乗った指を使い、皺を一本ずつなぞるかのように、触れるか触れないかといった具合のタッチでくすぐっていく。
「んぅぅぅ! そこは……あぁっ、ウェイン殿下! そこはおやめ下さい!」
 ゼノヴィアは感じていた。
(なんなの!? この感覚はなによ!)
「ん? どうした? ここがそんなに弱いのか?」
「あぁっ! ど、どうか! これ以上は!」
 肛門をくすぐればくすぐるほど、ゼノヴィアは髪を振り乱す。たまたま口に入った髪をそのまま加え、目尻に涙を浮かべていた。
(お? 女の汁が)
 ワレメからの愛液をウェインは決して見逃さなかった。
(へえ、アナルでねぇ?)
 ゼノヴィアは本当にここで感じるのだと把握して、ウェインはこのあたりで指を引く。
「ふむ、毛を剃るのが目的だったからな」
 脇道に逸れすぎても仕方がない。
 そうは思いつつ、最後にもう一度だけ、ぐにぐにと数秒ほど指を押し込み、マッサージをほどこしてやる。
「んっ、んぅぅぅ……!」
 指を離すと、細やかな泡が皺の隙間で輝いていた。
「では剃るぞ? ゼノヴィア候。カミソリを使うので、動かれては怪我の元になる。先ほどにも増して、じっとしているように」
「……はい」
 泡をたっぷりと吸い込ませ、さらに追加で山を乗せ、もはや泡の山に陰毛を隠しきる。皮膚の表面を流れ落ち、滑っていく細かな泡は、その下にある初々しいワレメに絡みついていた。
「では、いくぞ」
 ウェインはいよいよカミソリを近づけて、毛を剃り落とし始めていた。
(すっげー緊張してるな。当たり前か)
 このゼノヴィアの緊張は刃によるものだ。
 肌に刃物が当たっていて、気にならないわけがない。それにこういうものは、自分でやるよりも人の手でやられる方が怖い。刃が当たっている最中に、うっかりくしゃみでもして体が動いてしまったら、などと思うと体中に緊張が走るだろう。
 触れれば熱そうなほどの赤面で、ゼノヴィアは静かに大人しくしていた。
(慎重に、慎重にっと)
 刃を上手い具合に皮膚に突き立て、食い込ませ、かといって傷はつけない。絶妙な加減を意識して、泡の滑りに乗せて毛を落とす。
 滑りの良さの勢いで、うっかり肉芽の突起まで切らないように、ウェインは気を引き締めながら、本当に丁寧に剃っていた。
 刃をスライドさせれば、それが泡をどかすことになり、あらわとなった皮膚には短くなった毛の痕跡が残される。剃り残しもあれば、触れればジャリジャリとする程度の残り方もある。そんな生き残りを始末するため、ウェインはその都度泡を広げ直して、刃を滑らせていた。
 ひとしきり処理を済ませて、泡を洗い流してやると、そこにはツルツルとなったアソコがあった。
 傷一つなく、また染み一つない。
 艶やかで美しい一本筋のワレメを見れば、穢してやりたい欲望の一つも湧いてくる。
「さて、まだ動くなよ。ゼノヴィア候」
 目配せすると、臣下達が剃った毛や水桶の片付けに動き出す。
 ウェインがゼノヴィアの前から体をどかすと、その背後に控えていた三人組は、さっそくのように綺麗なアソコへ目をやった。
「ほほう」
 ヴィンスが関心する。
「生まれたてのように初々しく、綺麗なアソコになったものだな。マーデン侯爵」
 性器への言葉を投げかけると、ゼノヴィアはビクっと何かに弾かれたように勢いよく、神速で右手を下に、アソコと肛門を改めて覆い隠した。
「はははっ、悪いがばっちりと見せてもらった。なあ? ジェローム」
「ああ、まるで初めから陰毛などなかったような艶やかな肌。ウェイン殿下、お見事です」
 ジェロームがウェインを称える。
「いやあ、それにしても肛門まで綺麗なものだ」
(っ!?)
 ゼノヴィアは身体をピクリと反応させる。
「確かに」
 ブラフォードが頷くと、即座にヴィンスが語り始める。
「白い肌の、その部分に色味がかかって、可愛らしい桃色の窄まりは思わず愛でてやりたくなるようなものだった。マーデン侯爵、あなたは尻の穴さえ美しい。できれば、その皺の本数を一本ずつ丁寧に数えてやりたいものだな」
(~~~~~っ!?!?)
 今のゼノヴィアにあるのは、ただただ反応だけだった。
「私も彼女の肛門には見惚れましたよ」
(っ!?!?)
 ブラフォードの声を聞いても、それが筋肉への刺激になったかのように、脚が上下に弾んでいた。
 条件反射だ。
 熱いものに触れれば、勝手に手が引っ込んでしまう。条件に対して体が決まった反応をするかのように、羞恥を煽る言葉によって、ゼノヴィアは心をビクっと弾ませている。
「アソコと尻穴、同時に拝むのがいかに乙なものだったか」
「然り然り」
「どちらの穴も芸術の域であるからな?」
(っ!!!)
 聞くたび聞くたび、風船が弾けるような心の反応が巻き起こり、それにつられて体のどこかがピクっとなる。脚が、あるいは全身が、肉体を語る言葉によって筋肉を弾ませている。
「時に、剃る最中に濡れていたな」
 などとウェインは言い出す。
(~~~っ!?!?)
「そうとも、女の濡れ方だ。少しだけだが、指に糸が引いたりしたな」
(っ!!!)
 こんな体勢で言葉を浴びせられ続けることが、もはやゼノヴィアには拷問だった。
「濡れたとは……」
「ゼノヴィア様、なかなかエッチだ」
 臣下でさえも、そんな言葉をこぼし始める。
 そして、窓から覗き込んでいる護衛兵、使用人、御者なども、鼻の下を伸ばしきり、興奮にニヤニヤを止められずにいた。
「濡れたと言っていたぞ!」
「おおっ、ゼノヴィア様はエッチなんだ!」
「あんなちょっと指が当たっていただけで!」
「なんとはしたない!」
 外にいるからか、遠慮のない声の大きさで、それは小屋の中にも聞こえてしまっている。
(うわあああああああ! ちがう! ちがうわよ! エッチじゃない! 濡れたなんて気のせいに決まってるでしょう! ちがうちがうちがう!)
 ゼノヴィアは必死に首を振り、髪を激しく振り乱す。
 辛抱たまらず、とうとう勝手に床へ降り出して、ゼノヴィアはテーブルの下に潜ってしまう。必死になってしゃがみ込み、膝に顔を埋め込んだまま、当分は動くことがなくなった。
「おおっ」
「この反応は」
 臣下五人組は目を見開き、そんなゼノヴィアの反応を食い入るように見つめていた。
 そんな蹲ったゼノヴィアがテーブルから出てくるまで、随分と時間がかかることになる。長時間にわたって視線から身を守り、ボディースーツを手渡せば、こんな衣服であっても勢いよく引ったくる。
 休憩時間の終わりを告げても、嫌だ嫌だと駄々を捏ね、やっと出てくるまでに二時間は費やした。
 その二時間後になって、ようやく馬車は再度出発することになる。
 ボディースーツを着て、やはり手で胸とアソコを隠しながら小屋を出ると、ゼノヴィアは視線の変化を一身に感じていた。
(今はもうアソコがツルツルなんだよなー)
(どれくらい感じてたんだ?)
(すっげー気になる)
(俺も小屋の中に入ってみたかった)
 この休憩地点での休憩が始まった頃には、周りにあったのはただただ女性の裸があったらそれを見ずにはいられない、男の性質からなる視線が中心だった。
 だが、今はもっとあからさまで、下品な心まで抱えている。
 窓を覗いて、ゼノヴィアの様子を窺い続けていた者達は、どんなに意識しようと顔のニヤニヤを止めきれず、どうしても口角を釣り上げてしまっている。頭の中に先ほどまでの光景を蘇らせ、もっと卑猥な想像まで膨らませている。
 こうした中で、ゼノヴィアは吸引器を付けた。
 それは現代なら、冷蔵庫に付ける吸盤に似ているだろう。乳首やクリトリスに合わせた大きさで、スポイトのように空気で吸い取る仕組みによって吸引する。その吸引力で吸いついて、ゼノヴィアの体の三箇所には、吸引器がくっつくこととなっていた。



 
 
 

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