とうとう六回目を迎え、月曜日から数えて今日は土曜だ。
休日の練習を終え、ひとしきり勉強もこなした夕方には、いつものように副顧問からの呼び出しに応じることになっている。
よほどユニフォームが好きらしく、必ず厳重に指定してきた。
「明日で最後ですね」
今回も練習場を使うらしい。
コートの中で顔を合わせて、ロクな挨拶もせずに開口一番、約束の期限が迫ったことを口にしていた。
「ここまで来て、本当に一週間で済むと思っているのか?」
「所詮は口約束ですか。それは残念です」
「始めろ」
副顧問は淡々とチャックを下げ、逸物を取り出した。
唯華はその前に膝を突き、咥え込み、頭を前後に振りたくる。こんなものを口内に収めなくてはいけない屈辱を抱え、胸には恨めしさを広めながら、数分にもわたる奉仕の末に精液を飲まされる。
そして、お掃除フェラへと移っていく。
「ちゅむっ、ちゅるぅ…………」
唇を当て、吸い上げた。
「れろっ、れろぉ……」
ぬかるみに舌をやり、舐め取った。
舌を使って拭き取る作業で、根元から先端にかけ、れろぉぉぉ……と。先端には吸いついて、ストローからの吸引のようにチュゥチュゥと音を立て、副顧問がひとしきり満足する頃には、肉棒全体が唾液を纏って輝いていた。
「さあ、今度は僕が志波姫を可愛がる番だ」
副顧問が愛撫を始める。
床に寝かされ、まずはユニフォームの上から体中をまさぐられ、乳房に両手が乗ってくる。揉まれるうちに乳首が立ち、指先の探りによって突起は暴かれ、衣服越しに擦り抜かれる。爪ですりすりとされるうち、乳房の中に刺激が溜まって、しだいに感度は上がっていた。
(本当に時間の無駄。こんなことをしていないで、他にいくらでもやるべきことがあるのに……)
奪われているのは貞操だけではない。
勉強、自主練、友達との時間――他の事柄に当てるべき時間でさえ、こんなことで搾取されている。
やがて、アソコに手が来ると、最初はユニフォームの上から愛撫が始まり、やがて布をずらして直接触る。ワレメから滲み出る愛液で、皮膚と指との摩擦はすぐに滑りが良くなって、甘い痺れも走り始めた。
「んっ、んぅ……! んっ、んぅぅっ、んぅ……!」
感度は上がり、指の挿入が始まった。
膣口が掻き回され、中身をなぞる指先によって快感を引きずり出され、唯華の息遣いは乱れ始める。
「んっ、んっ、んっ、んっ、んっ」
人の感じた顔を覗き込みながら、副顧問はピストンを行っていた。
(感じた顔なんて、見せないよ……)
どうにか表情を取り繕い、無感情な人形になりきりながら、顔を背けて耳だけを副顧問に向けていた。
(早く終わって欲しい。それ以外にない)
地獄の時間が過ぎ去るまで、ただひたすら苦行に耐える。
いくら快感があったとしても、唯華にとっては望まぬ時間だ。
「立ちなさい。それから、構えて」
何故だか、ラケットを持たされる。
「構えてどうするんですか」
「いいから、試合のつもりで構えなさい」
「またおかしな思いつきでもしたんですか」
唯華はグリップを右手で握り、足を肩幅よりも広く開いた。腰を少しばかりくの字にして、膝も軽く折り曲げた構え方は、もっとも基本的な姿勢である。
尻に手が当たってきた。
(構えたところに悪戯したいってわけ)
冷え切った感情が胸に広がる。
いつもユニフォームで来るように言ってくるのも、昨日の屈辱的な芸も、全てはスポーツをそういう目で見ているからだ。バドミントン選手というラベルの付いた女子に興奮し、とうとうラケットまで持たせた状態で楽しみ始めた。
部員をそういう目で見ていればこそ、この男は副顧問などやっているのだろうかと、そんな見下した感情さえも湧いてくる。
尻を撫で回す手は、ひとしきり活発に動き回った。
何分もかけて、飽きることなく楽しみ尽くし、最後に指を食い込ませて揉みしだく。
ようやく手が離れていった時、これで満足したのだろうかと、唯華は軽くため息をつくが、次の瞬間にはおかしな気配を感じていた。
物音のない、静寂な空間である。
だからこそ、静けさの中では小さな音さえ目立って聞こえ、副顧問がポケットに手を忍ばせる際の、手と布が擦り合う音でさえ気配でわかる。
「どうしたんですか? もう帰っていいんですか?」
肩越しに振り向いて、唯華はそのまま目を丸めた。
副顧問はコンドームの装着をしていたのだ。
「動くな」
低く、冷たい声が放たれて、唯華は本能的に悟っていた。
今この瞬間、処女を失うしかなくなった。
獲物を逃がす意思が欠片もない、もうそうするのだと決定しきった瞳から、抵抗すれば暴力も辞さない危険性を本気で感じた。下手に逃げたり抵抗すれば、殴られかねない危機を感じた結果、身動きを取れなくなった。
ヘビに睨まれたカエルということわざの通りだ。
恐怖で身体が固まり、ラケットを握る基本姿勢から唯華は動けない。
「コートの上での初体験なら、本望だろう? フレ女のエースさん」
布をずらしたことで剥き出しの、尻の少し突き出た性器へと、ゴムを被った亀頭が当たってきた。
「……さすがに警察に行くとは思わないんですか?」
こうやって、唯華の立場でやりうる数少ない脅しを試すのが、挿入を免れる最後の希望であった。
「悪いな。たとえ後で捕まるとしても、今はやらせてもらう」
リスクを飲み込み、捕まることさえ承知だと言われては、もはや止めようがない。
あとはこのまま、当たってきた肉棒が唯華に入り込むだけだった。
「んっ! んぐぅぅ……!」
「ははっ、やったぞ……!」
穴を強引に拡張され、広げられている苦しさに呻く唯華に対し、副顧問は部活の主将を犯してやった歓喜に酔い痴れていた。
「んっ! んぅ! んっ! んっ! んぅ! んっ! んっ! んんっ、うっ、ううっ!」
すぐに腰は動き始める。
唯華の構えた姿勢に合わせ、下から上へと挿入しての、上向きの角度でピストンは行われ、バドミントンにおける形そのままに犯されている。
相手の打球を待ち構え、そのコースによってフォアかバックに切り替える待機姿勢が、今だけはセックスの体位として扱われていた。
「どうだ! 気分は! フレ女のエース! 主将! 志波姫唯華!」
「うっ、ん! んっ! んっ、んっ! んっ! んっ!」
幸か不幸か、唯華の股は柔軟性が良い上に、激しい運動の中で未経験のままに処女膜が損傷している。実のところ、指を入れたオナニーもしたことがあり、意図せずして前準備の整っている穴は、必要以上の痛みを感じていない。
出血もなく、穴は少しずつ副顧問の長大さに順応している。
「んあぁぁ! あっ、あぁっ!」
穴幅に対して太いものが出入りする苦しさは、最初こそ痛みがあった。
その痛みは消えていき、快感へと移り変わって、唯華は初めての挿入で感じ始めていた。
「んあっ、あん! あっ、やっ、あぁっ、あぁぁ……!」
「気持ちよさそうだな! ええ!? 初めてだろう!? そうだよねぇ!? なら、初めてなのに気持ち良くて幸せだなぁ! 痛くなくて良かったなぁ!」
「あっ、いっ! いいわけ――んっ、んぁ! あぁぁ……! あっ、あぁぁ……!」
こんな男に、こんな形で感じさせられ、そこに幸せなどありはしない。
激痛や出血がなくて済んでいるのが、本当に良かったことかどうかも、唯華にはまったくわからない。
「んっ、んっ! んぅ……! は、早くっ、んぅ……! こんなの――苦しいっ、だけぇ……!」
「そうか苦しいか。なら主将らしく、我慢強いところを見せてもらわないとな!」
「んあ! あん! あん! あん! あぁん!」
「なんだ! 感じてるじゃないか!」
「あっ、あぁ……! あっ、あうっ、んぁぁ……!」
腰を両手に掴まれて、激しく貫かれることで、尻にぶつかる衝撃に身体が揺らされる。
やがて姿勢は崩れていき、両手は膝の上に落とされて、唯華はより深く腰を突き出してしまっていた。無論、好きで股を差し出したはずもなく、快楽に翻弄されて、最初の姿勢が維持できなくなっただけの話だ。
「気持ちいい! 僕は最高に気持ちいいぞ!」
「あっ、あっ! あん! あん! あん! あん!」
「なあ、みんなにも見てもらいたいなぁ! そうだ! 試合に負けたら犯されるルールとか面白そうじゃないか? ええっ、おい!」
「んっ、んっ! んあっ、あん! あん! あん!」
「憧れの先輩が犯されるところを見たら、後輩どもはどんな顔するかなぁ! 見てみたいもんだよなぁ!」
「んっ、んあ! やっ、やめて……そんなこと……んっ、しない、で……!」
「はははっ、もうすぐ出るぞ!」
「んんん! んっ! んんぅ! ん! ん!」
明らかにピストンのペースが上がり、スピードに翻弄されて唯華の喘ぎも高まった。
「ほら、出る!」
その瞬間、膣内でゴムが膨らみ、一ミリもない薄さを介した白濁の熱気を内部で感じた。こんな男に挿入され、あまつさえ満足までさせてしまった無念に泣きたくなり、さしもの唯華にも涙が浮かびかけるのだった。
「初めてだったのに……!」
肩越しに振り向いて、いかにも満足そうにしている副顧問に対し、怨嗟の言葉を吐いていた。
「ああ、本当に初めてだったのか。良かった良かった。なら僕が初体験の相手だねぇ?」
「このっ……!」
本気でどうにかしてやりたかった。
このラケットで殴りつけたい衝動に駆られ、寸前で思い留まったのは、バドミントンの道具を暴力には使えないせいだった。
「明日で最後だ。ま、僕がこんな口約束を守るとしたらの話だけどね」
「最低! 本当に最低!」
「なんとでも言えばいい。おかげで僕は大満足だ」
「くっ! これで……! これで約束を破ったら、本当に警察に……!」
勢いに駆られ、睨みながら詰め寄る唯華へと、副顧問はスマートフォンを突きつける。その中に収まっているのは、たった今のセックスを後ろから撮影したものだった。
「あーあー。弱みが増えた」
「だったら! せめてあの子の動画は消して! もう必要ないはずだよ!」
「ここで消したって、他のパソコンにコピーしてあるかもしれないだろう? まったく、ゲームIQがあれだけ高いのに、志波姫唯華にしては冷静じゃないなぁ?」
勝ち誇った顔でニヤニヤ笑い、好きに扱える玩具でしかないものを見下す視線で、唯華のことを改めて舐め回す。
「今日はもう帰っていいぞ? 明日また楽しもう」
「私はちっとも楽しくないから!」
唯華はそう吐き捨て、アソコの布を整えるなり、怒りに任せて練習場を出て行った。
(最低! 本当に最低!)
このままでは帰れない。
こんなにも怒りを、悲しみを溜め込んだままでは、ルームメイトと顔を合わせることなど出来なかった。
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