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 五回目、素振りをやらされた。
 今日は練習場に呼び出され、いつものように服装はユニフォームで、ネットの前で屈辱的な芸を強要された。

 幼児用のラケットを尻に挟んだ素振りである。

 ユニフォームの股布をずらし、グリップを差し込んで、布の力で押さえながらも、尻の割れ目にも力を入れて、どうにかラケットを支えている。安定性などあったものではなく、尻を左右に振るたびに、必要以上に揺れてしまう。
「いち! に! さん! し!」
 副顧問はいっぱしのコーチを気取り、唯華に尻を振らせていた。
 前屈みに、腰を低めて、後ろに尻を突き出した姿勢により、尻から生やしたラケットを振り抜いている。
「もっと綺麗なフォームでできるだろう!」
(どうしろっていうの)
「志波姫らしい技のフォームを見せてみろ!」
(こんな振り方、あるわけないでしょ……)
 屈辱もさることながら、ありもしないフォームの綺麗さを求められ、気持ちの問題を差し引いても、どんな素振りを見せればいいかが本当にわからない。
 そもそも、どんな発想をしていれば、こうも珍妙なプレイを思いつくのか。
「なあ、君ならシャトルも打てるんじゃないか?」
 思いつきにより、球打ちまでやらされた。
 軽い力で投げられたシャトルに向け、こんなふざけた形では、すぐに打ち返すことはできない。ラケットの面がどの高さの、どんな角度にあるのか、頭の中に思い描いて、イメージを手がかりに位置を合わせるのは困難だった。
(なんなの……本当になんなの……!)
 最初のうちは空振って、副顧問は拾い直したシャトルを繰り返し投げてくる。
「ほら、志波姫ならできる。できないはずがないんだ」
 打てるまでやらせる気か、球出しをやめることなく繰り返し、そのうち本当に打てるようになってしまった。
「さすがじゃないか」
 初めて打ち返したシャトルは、綺麗なまでに副顧問の手元に返り、キャッチボールさえ成立していた。
(こんなものを覚えたって……意味なんて……)
 トレーニングとしての意義も、決してあるとは思えない。
 ただただ、屈辱を味わうための時間に過ぎない。
「ほら、もう一球」
 球出しに対して、唯華は膝をくっつける。両膝を合わせた軸で腰を振り、どうにかシャトルにラケット面を合わせるのだ。打ち返す際の音により、球の勢いはイメージできる。副顧問の手元に戻すのに丁度良い威力になっていた。
「さすがはフレ女のエースだな」
 言いながら、球出しを続けてくる。
 それを唯華は返球する。
「今の志波姫を見たら、他の子達はどんな顔をするだろうなぁ? 見てみたいもんじゃないか」
「やらせておいて……」
「こんなこと、他の子ならできないんじゃないか?」
「できる意味がないけど」
「そう言うな。打てたご褒美だ。遠慮なく咥えたまえ」
 ペットに餌を与える飼い主の気分にでもなりきってか、副顧問はチャックを下ろし、トランクスの内側から肉棒を取り出した。
「そんなご褒美は聞いたことないね」
「いいから、やれ」
「…………」
 有無を言わせぬ命令に、唯華は仁王立ちする副顧問の下にしゃがみ込み、長大な逸物に手を触れた。
 だが、すぐには咥えない。
 睨め上げることで無言の要求を行って、除菌ペーパーを取り出させた。せめて不衛生なものは咥えない、やって欲しければ綺麗にしろ、抵抗の意思からそれだけは譲らなかった。
 表面を一通り拭き取って、まずは先端を舐め始める。
 少し舐めたところで咥え始めて、唯華は頭を前後に動かした。
「いいグリップの握り方だ」
 頭に声が降りかかる。
「体の使い方も、かなり上達したんじゃないか? 見るからに素人だったのが、もう既に経験豊富な女で通るくらいだ」
(こんなものを褒めないで)
 フェラチオなど褒められても、褒められている気はしない。
 だが、唯華自身の気持ちはどうあれ、上達は確かであった。
 根元に添えた右手で握り、自分の口に対して角度を合わせて、唇や舌を駆使して刺激を与える。この頭を前後する動作は、足腰が軸となっていた。頭部を動かすためには、その下にある背骨ごと前後させ、そのさらに下にある骨盤も、日頃からのトレーニングでかなりの安定感を保っている。
「んずぅ……じゅぅ……じゅぢゅぅ……ぢゅるっ、ちゅるぅぅ…………」
 足腰の土台が強い上、スポーツによって磨き抜かれた感覚は、効率の良いフォームを身につけやすい。こうした前後運動でさえ、口内に肉棒を保った状態で行うことに対して磨かれて、唯華のフェラチオはいわば見栄えが整っていた。
「本当にさすがだな。主将をやるだけあって、体の使い方は本当に覚えがいい。見違えるような奉仕だぞ?」
 強要されて行う性技を褒められて、それを純粋な気持ちで受け止めることはありえない。
「んっ、んずぅ………ずぅ……ずじゅっ、じゅぢゅっ、ぢゅっ、ずぅ…………」
 口内の唾液を舌に乗せ、舌圧を意識しながら蠢かせ、唇の筋肉も駆使している。手コキも交え、左手では玉袋さえ触っていた。
 少しでも早く満足してもらうためである。
 もはや、この地獄の時間そのものは回避できなくなった以上、一秒でも早く射精させ、満足してもらうことこそが、地獄を縮める唯一の方法と化していた。
(早く……寮に戻りたい…………)
 唯華が活発に頭を動かし、少しでも良い快楽を与えようとしているのは、そういった心理によるものだ。
 そこに愛情は欠片もない。
 好きだから感じて欲しい気持ちなど、間違っても湧くはずはなく、できることなら噛み切って地獄の苦痛でも与えたい。
(いっそ、そうするべき?)
 生徒にフェラチオをさせ、噛まれて怪我をしました――とは、さすがに言えないだろう。
 実行するかどうかはともかくとして、性暴力に逆らい暴れ、怪我をさせたとして、この副顧問は原因を口外できないはずだ。
 問題は男女の筋力差。
 だいたい喧嘩自体、唯華は考えたことすらない。
(本当に現実的な手なのか……とにかく、今は射精を…………)
 浮かんだ案をその場で実行することはなく、唯華はひたすらに奉仕に励む。
 やがて出て来た精液は、いつものように飲まされて、その後はお掃除フェラが待っている。肉棒の表面に残った精液のヌルヌルを舐め取って、唇で吸い取ることをひとしきり済ませることで、唯華はようやく解放されるのだった。



 
 
 

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