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「それで、彼とのセックスは上手くいったかい?」
「はい。とっても」
「習ったことが役に立ったね?」
「そうですね。処女を失くしておいたおかげで、余計な痛みもなく、気持ち良くなれました」
 柚葉はこの日も豚山の指導を受けていた。
 ベッドの上で、膝のあいだで子供でもあやすかのようにして、柚葉は豚山に抱き締められている。
 もうとっくに慣れてきて、先生の前で裸になることには、何らの抵抗も感じない。それは指導や授業という意識から、生徒として抱く意識であり、だから恋人としてラブホテルに入ることを要求されれば、やることは同じでも肌中が戦慄するに違いない。
 豚山の肉体も、決して好きなものではなかった。
 筋肉というより脂肪に満ちた胸板の膨らみと、腹筋の逞しさなど皆無のたるんだ腹が、体育座りの柚葉の背に、べったりと密着している。指まで脂肪で膨らみ気味で、顔立ちも醜いオッサンとあらば、思春期の女子が生理的な拒否反応を示すには十分すぎた。
 慣れだから、指導だからとしか、ごく普通に愛撫に身を委ね、快感に浸れる理由は説明できない。
「一緒にシャワーを浴びたってことは、洗いっこもしたのかな」
 豚山の右手が乳房を包み、触れるか触れないかといった具合で、手の平全体で胸の皮膚をさすっている。左手の指はアソコのワレメをよくなぞり、滑らかな愛撫で愛液を掻き取っていた。
「はい。お互いの体にボディーソープを塗り合って、途中からオッパイで洗ってあげました。そしたら洋も、『ありがとう』『気持ちいいよ』『とても嬉しい』って、何度も言ってくれて、私もやる気出たんで、パイズリまでしちゃいました」
「じゃあ経験しておいてよかったね」
「はい」
「洋くんは、ちゃんと射精の直前に一言入れたかな」
「入れましたよ。だから、私もどこに出したいか聞いてみて、顔っていうから顔で受け止めました。洋、私の汚れた顔、すっごく嬉しそうに見て来て、それで私もそのまま洗わないで眺めて貰って。いや、まあ一分くらいしたら洗ったんですけどね」
「ラブラブでいいねぇ?」
 豚山の両手は気ままに動き、左右の胸を同時に揉みしだく。腹をさすっていくように、皮膚の表面を這っての移動でアソコに手をやり、膣口とクリトリスを同時に責める。
 そのうち右手が乳房に移り、気でも変わったように乳首を摘まむ。
 右手と左手が後退して、今度は左側の乳房が揉みしだかれる。
「顔を洗ったあとは、いっぱいキスしました。私も夢中になって、やめられなくて、出来るだけ唇をくっつけながら、タオルで体を拭いていましたね」
「で、いよいよベッドに行ったんだね」
「はい。洋くんの愛撫で、いっぱい濡らされちゃいました。凄く優しくて穏やかなタッチで、私が『あ、ソコ』って思ったら、顔を見ただけでわかってくれて、私がいいと思う場所を重点的に攻めてきたり、私の方からも洋の体をまさぐったり」
「ぼちぼち、挿入に移っていくわけだ」
 豚山は静かに柚葉を寝かせ、コンドームの袋を破き、肉棒に被せ始めている。
 あと何回もない感度開発で、柚葉はよりイキやすくなる。
 つまり、洋の肉棒で導いてもらうため、幸せな時間を過ごすための、未来への投資を意味するセックスだ。
「『心の処女』を捧げる相手ですから、洋も私との時間を凄く大切に考えてくれました。コンドームの袋、一緒に破いたんです」
 指導での性交は、物理的には確かに処女を失っているものの、現代教育における貞操観念上、恋人との性交でなければ『心の処女』を失ったうちにはカウントされない。
 もちろん、レイプといった『心の処女』を無理矢理奪う事件も、世の中あるにはあるが、そういった例外でもない限り、恋人がいなければ『心の処女』を失う機会はどこにもない。
「へえ?」
「私が袋を手に取ったら、洋は私のこと抱き起して、キスして。それで自然とっていうか、見つめ合いながら、洋と二人で破きました。まあ、やりにくい破き方なので、ちょっと苦戦しましたけど、コンドームの装着も二人でしたんですよ?」
「先生もちょっと挿入するからね」
「はい、どうぞ」
 柚葉は股を左右に開き、正常位でしようとしてくる豚山の挿入を受け入れる。肥満の体格のせいかは知らないが、洋のものより太い一物は、やはり微妙にきつく苦しい。
 しかし、こうして根本まで入って来れば、この太さの有難みが身に染みてよくわかる。太いもので肉体の処女を散らしたから、先生よりも少しだけ細い洋の肉棒で、苦しい感じがしないで済んだ。
 キュっと締め付けるまでもなく、柚葉の穴より太いくらいの肉棒は、良い締め具合を味わっていることだろう。
「お、いいね。柚葉ちゃんのアソコがセックスに慣れてきているのが、何となく伝わるよ」
 豚山の腰が動き始める。
 たった数センチもないピストンの、本当にゆったりとしたピストンで、ちゅくちゅくと愛液の音が鳴る。
「ありがとうございます」
「それで、装着も一緒にしたんだね」
「はい。洋が自分で上に乗せて、私もそこに手をやって、二人の手で一緒に被せていきました」
「それはいいね。とても充実した時間になっただろうね」
「はい。とにかく一緒に過ごすってことを大事にして、挿入も見つめ合いながらやりました。洋はこう、私のこと、熱い感じの目で見て来て、私も似たような感じて視線を重ねて、だから手元の方で、ここだよっていう具合に、亀頭の部分をアソコの中に導いたんです」
「お互いに協力し合って、本当にいい時間を作ったみたいだね。まさに百点満点。理想のあるべきセックスだ」
 洋との行為を全面的に肯定してくる豚山の言葉に、柚葉は嬉しそうに目を細め、ご機嫌になって今の肉棒に浸っていく。
 本当に充実した時間だったのだ。
 挿入を済ませた途端に、感激に震えた表情を浮かべた洋は、何度も何度も「ありがとう」と口にして、キスをしながらピストンした。柚葉と交わることが出来たのが、心の底から嬉しいのだと伝わって、それが柚葉の心を大いに高めた。
 だから、洋とのセックスではイクことが出来た。
 ゴム越しの射精を感じた後は、イカせてくれたお礼にフェラチオをしようと思い、仰向けになってもらって奥まで咥えた。精液は飲み下し、済んだ後も亀頭の周りをペロペロと舐め取った。頑張って奉仕に励む柚葉をよしよしと、頭を撫でて可愛がってくれたのが最高だった。
 まだ元気を残した肉棒を見て、もう一度挿入して欲しくなり、コンドームを被せるなり正常位で迎える姿勢となって、そのまま三回は本番をしてしまった。
 裸のまま抱き締め合い、余韻に浸り、シャワーを浴びた後はホテルを出て、手を繋ぎながら帰っていく。
 ――今日は本当に良かった。凄く良かった。ありがとう。
 家まで送ってもらっての別れ際に、耳元に囁かれ、赤らんだところに唇が重なって来たことには、一体どれほどドキリとさせられたか。
「楽しんだねぇ? また洋くんとしたいねぇ?」
「はっ、はい……! し、したいですっ、あっ、あっ、あん!」
 いつしか柚葉は全てを語り、そして喘いでいた。
「じゃあね。いい指導が出来たわけだし、生徒としては先生にお礼をしないとね? だから今日は、ちょっとばかり楽しむためのセックスをさせてもらうよ?」
 いつからピストンが激しくなっていたのかわからない。
 それほど柚葉は夢中で語り、惚気続けて、自分は喘がなくてはならないことに今頃になって気づいたように、巨大な快感に貫かれていた。
「へ? あ、はっ、はいっ! あっ、あん! あん!」
「はぁぁぁっ、いいなー! 心まで奪うより、気持ちは本命の彼に向いたままの女の子が好きなんだ! 心の底からは合意してない、でも感じちゃってどうしようもなくなってる感じの!」
「あっ、あぁぁ――――――――――――――――っ!」
 股から脳天にかけてを貫通する、鋭い槍に串刺しにされるがごとき快楽に、肺の酸素を絞り切ってなお喘ごうとしてしまう。そんな呼吸の苦しみを超え、やっと空気を吸い込むと、次なるピストンがまた柚葉に酸素を吐かせる。
「おっと、少し責め過ぎたねぇ? 手加減しないとねぇ?」
 いずれは白目を剥いて失神しそうな勢いから、急に快楽が緩んだことに安心しつつも、未だ四肢には激しい電流が走っている。

 ずん! ずん! ずん! ずん! ずん! ずん!
 びく! びく! びく! びく! びく! びく!

 リズミカルなピストンに一致して、太ももから足首まで、下半身の筋肉が全て強張り、ビクつく反応を繰り返す。
「あっ! あっ! やっ、あふっ、んん! ん! ん! んぁっ、あああん! あん! あん! あん!」
 巨大な壁が聳えるごとき、大きな快感の津波が迫っては、柚葉の脳から余計な思考をどこか遠くへ流していく。
「あん! あん! あっ、いっ、いい! いい!」
「バックになってごらん?」
 肉棒を引きながら、豚山に言われるなりだ。
「は、はい!」
 柚葉はすぐさま姿勢を変え、どうぞ挿入して下さいと言わんばかりに尻を突き出す。
「あ…………!」
 背後からの挿入で、豚山の腰が柔らかな尻山を押し潰した。
「あっ! うっ、ん! ん! ん! あん! あん!」
 尻たぶを波打たせ、大胆なグラインドで突き込む豚山の腰は、子宮にぶつかるほどの奥まで切っ先を刺している。
 豚山は楽しむと言ったが、これが感度開発になることはわかっている。
 指導の一環と思って快楽を受け入れて、気持ち良さのままに喘ぐ柚葉は、ベッドシーツを強い握力で握り込む。跳ねる背中で綺麗なカーブを成しながら、髪を左右に振り乱し、全身から噴き出す汗でシーツを濡らす。
 気持ち良すぎる! 気持ち良すぎるよ!
 頭の上から爪の先まで、皮膚が細やかに弾け飛ぶような快感に、このまま屈服しそうな自分がいる。ただひたすらに圧倒的で、抗いようのない快楽の暴力に、力ずくで打ちのめしてものにする。そんな豪快なピストンの中で、柚葉は必死に洋の顔を浮かべていた。
「ちゃんと洋くんのことを考えているかい? ははっ、駄目だよ? いくら気持ち良くても、快感に流されて心まで奪われたら、真に一途とは言えなくなる。きちんと彼氏を想い続けるんだ」
 豚山が語っている言葉など、脳神経までやられるほどの快感で、ろくに聞き取りも出来ていない。
 しかし、それでも柚葉は「洋! 洋!」と、心に浮かべた彼氏にしがみつき、離すまいと懸命になっていた。
 
「――――ああぁ! イク! イク! せ、せんせ――いっ、イキます――も、もう! もう! あ、あああああん!」
 
 絶頂の波に晒され、柚葉は全身を痙攣させた。
 イキ果てた柚葉は、朦朧とした虚ろな瞳で余韻に浸り、上半身をぐったりとさせていた。愛液を存分に漏らした尻だけが高らかに、肛門のヒクつく光景は、女としてはあまりに無様なものである。
「ひ、洋ぃ……」
「そうそう。そうでなくちゃ。合意しているようでいて、本当は罪悪感を抱いていたり、腹の底にほんの欠片でいいから嫌がる気持ちが残っているのが好きなんだ。そういうセックスが、先生には一番気持ちいいからねぇ?」
 豚山は醜い笑みを浮かべて尻を撫で、豊満な曲線を大いに愛でる。
 この日、柚葉は休憩の末にフェラやパイズリくらいの体力は取り戻し、ひとしきりの奉仕をしてから、指導終了のハンコを貰って帰宅した。



 
 
 

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