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 私がエッチな動画の存在に気づいたのは、ごくごく単純な話。
 レンの部屋で一緒に過ごしている最中、レンが途中でトイレに行くから、その隙に悪戯心でベッドの下でも漁ってみたら、恐ろしい事に本当にたくさんのブルーレイがありましたっていうわけ。
 一昔前の少年漫画にあったシーンでは、ベッドの下にエッチな本っていうのが、よくあることみたいに書かれていたから……。
 まさか、本当にあるなんてね。
 机に自分用のパソコンが置いてあるから、ひょっとしたらとは思ったけど。
 あー、腹立つ。
 私がいながら、こんなもん見て済ませてるんじゃないかっていうのが腹立つ。
「えーっと? 露出強要? 野球拳? ふーん?」
 健康診断以外にも、どうやら女の子が恥ずかしい目に遭う内容のタイトルがいっぱいだ。衆人環視の中で野球拳をして、男達に見られながら服を脱ぐとか。ノーパンで街へ繰り出し、赤面しまくる姿を撮影したとか。
 もしかして、そういう趣味?
 恥ずかしがって欲しいとか、そういうわけ?
「っと、そろそろ潮時ね」
 トイレを流す音が聞こえたので、私はベッドから取り出したブルーレイの山を元の場所へと隠し直して、ドアを開けて戻ってくるレンを、何事もなかったかのように私は迎えた。
「あれ? アズキ」
 レンは唐突に首を傾げる。
「ん。何」
「なんか怒ってる?」
「――へ? い、いや? 別に?」
 私は慌てて首を振った。
 もしかして、顔に出ちゃっていたのかな……。
 ちょっとトイレに行って戻って来たら、いきなり私が怒っていましたなんて、そりゃレンも不思議がるって話か。
「うーん。じゃあ、何かなぁ……」
 と、レンは私の顔を見ながら。
 う、うわぁ……。
 もう完全に何かあると思われてる。
 でもねえ。
 あなたのAVを発見しましたとか、言えるわけないし……。
「なんでもないってば」
「本当に?」
「本当よ!」
「うーん。何か誤魔化してる。けどなんだろうなぁ……」
「ああっ、考えなくていい!」
 あまりしつこく考えられても困るから、私はレンの頭を叩いてやった。
「いったいなー」
「アンタが悪いのっ」
「理不尽なり」
「ふんっ」
 そっぽを向いてやった。
 そうやって、怒った態度を見せてあげたのに、レンは構わず私の腰に手を回す。勘違いされなくなったのはいいけれど、そのせいなのか、レンは私が本当は嫌がってなんかいないことに気づいてしまい、セクハラにも遠慮がない。
「ちょっと?」
 私は腰の手を注意するけど、レンは気にせずくびれを撫でてくる。
「いいじゃん、いいじゃん」
「良くないし……」
 だって、こういうことはするくせに、それ以上はしてくれないんだもの。
 どうすればもっとこう……。
 してくれるわけ?
 もうちょっと、こう……。
 私から、誘ってみた方がいいのかなぁ……。
 よ、よし!
「あのさ。今日……」
 私は言った。

「一緒に寝ない?」

 言っちゃった!



 
 
 

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