前の話 目次




 俺にとっての姉とはダッチワイフとなっていた。
 なんとなくヤりたい気分になったら抱き、けれど他の体に気が行くときは鏡花やその他クラスメイトを抱く。目に付く気に入った女の体はだいたい味わっていったわけだが、一番お気に入りなのはやはり姉だった。
 特にバックから突いてやるのが面白い。
 椅子でも机でもいいのだが、どこかに両手をつかせる形で尻を突き出すよう命じ、腰を掴みながらズコバコしてやる。すると屈辱を堪えるかのようにうな垂れて、抵抗するでもなく、罵詈雑言を返すでもなく、ただただ耐え続けているのだ。
 今もベッドで四つん這いになってもらっているが、ぐっと顔を下にして、シーツを強く握り締め、声を我慢しながらセックスの快感を堪えている。
「――くっ、うぅ……くぅぅ……んん……」
 未だプライドだけは残した姉が、なるほどたかが弟ごときに背中を上から見下ろされ、尻を撫で回されながらすき放題に突かれている。肉槍の一撃ずつが確かに姉の心を打ちのめし、しかし催眠アプリで折れないようにしてやっているので、決して正気だけは失わない。
 ははっ、どんな気持ちなのだろう。
「おい、こっち向けよ」
 俺は姉を仰向けにさせ、今度は正常位で腰を振る。
「……勇男のくせに」
 小さな声でそう言って、俺を睨む。
 睨みながら、膣をえぐるたびの快感に声を堪え、歯を強く食いしばっている。バックもバックで最高だが、正常位で顔を見ながらヤっていれば、こういう耐えちゃっている表情を鑑賞しながら気持ちよくなっていけるのだ。
「どうよ。気持ちいい? 姉ちゃん」
「なに言ってんの……」
 怒気の篭った低い声だ。
 おおっ、怖い怖い。
「俺は気持ちいいぜ? 姉ちゃんのマンコがよォ、キュゥゥゥゥって俺のチンコを包み込んで締め上げているわけよ。肉棒に生温かいのが張り付いてくるわけよ。超気持ちいいぜ?」
「……ふ、ふんっ」
 強がって鼻で笑う姉である。
 実際、確かに姉の方が上なわけだ。
 なるほど、俺は催眠アプリとかいうチートで卑怯な真似して姉を犯しているわけだ。自分でこう言うのもなんだが、散々苛められていた子が『力』を手に入れた途端に調子に乗る。俺とはそういう程度の奴ってわけだ。
 だからこそ、俺ごときに犯されちゃってる姉が可愛い。
 俺なんて殴りたいだろうに、蹴りたいだろうに、踏みたいだろうに。
 それができず、ただ犯される。
 唯一できるの抵抗は、小言を言ったり罵詈雑言を浴びせたり、睨み返すことだけだ。もっぱら睨み返しが姉のメインウェポンになっていて、もやは口で何か言ってくることは減っているのが現状だが、姉のそんな表情を鑑賞しながらするセックスほど気持ちいいものはない。
 ああ、俺って実は姉のこと嫌いじゃなかったのか。
 まあ美人だもんな。
 俺専用の肉便器こと悔しがり人形となった今、俺にとって姉はますます魅力的だ。昔からこうしてやりたかった願望があったことを、俺は強く自覚してた。だって本当に拒否感しかない相手だったら触りたくもねーもんな。
「――なさいよ」
「ん? なんか言ったか?」
 何か言いたそうだが、ちょっと聞き漏らしたわ。
「……もう、墜としなさいよ」
「はい?」
「できるんでしょ? もういいから……。墜として……」
 私を口説いてって意味ではなくて、あれだよな。
 エロ的に堕とせって言ってるわけだ。
「なんで?」
「どう考えたって、もうその方が楽じゃない……。楽にしてよ」
 いっそ殺して下さいみたいなノリか。
「うん。断る」
「なんでよ……」
「あんあん喘ぐ肉人形になるってことだろ? それじゃあヤりがいがないな。姉ちゃんのそういう顔こそ最高なんだから、堕としてなんてやんねーよ」
「そんな……くぅぅ……」
 姉は悔しさに顔を歪めた。
 本当は心だって操作可能なことに、姉はきっと気づいている。目の前で友達が乱れまくっていたわけだし、ならば精神的に堕落した快楽付けのセックス中毒にでもなれば、いっそこの状況も楽になるだろうと思ったわけだ。
 誰が堕とすかバーカ。
 って話だ。
 俺はゆったりとしたストロークで、わざとらしいスローモーションで姉を味わう。姉の膣壁は肉棒を強く締め付けてくれていて、それが強い刺激になるわけだが、本当はペニスを絞め殺そうという気でもあるんじゃないだろうか。
 マンコという名の洞窟を、下腹部に力を込めることによって閉鎖して、挿入されていた一物ごと押し潰す。
 それほどの圧迫感が襲ってくるが、もちろん人間の力で努力したとて、硬い肉棒がぺしゃんこになどならないのは言うまでもない。首を絞めるんならまだしも、マンコでペニスを絞殺とかできるわけがないって話で、要するにわざわざ気持ちよくしてくれちゃっている。
 固く閉鎖された膣壁の狭間を押し進み、奥まで到達。出るときも強い圧迫感を味わいつつ、また腰を押し込んでいく。
 まったく、たまらん気持ち良さだ。
「――だ、だったら! 私から乱れてやるわ! ――あっ! んああ! ひあん!」
 おう。
 とうとう喘ぎ声の我慢をやめ、自ら髪を振り乱しながら快楽に浸り始めた。
「なになに? どうしちゃったわけ?」
「どうせレイプがいいんでしょ? 無理矢理がいいんでしょ? だったら、受け入れてやるまでよ! アンタの思い通りにはならないから!」
 セックスそのものは回避不可能だもんね。
 それでも抵抗しようと考えた結果、出てきた結論はそういう方法でしたってわけだ。
「――あ! あぁっ! ああん! いあぁあ! あぁぁ!」
 乱れはしてる。
 しかし、所詮は出てしまう声を我慢しなくなったというだけで、そんなんじゃあ堕ちていくには程遠い気がするよ。
「うーん。駄目だなあ。本当に堕ちたいって思うんなら、喘ぎ声を解放するだけじゃあ全然足りないわけよ」
「……何よ。どうすればいいわけ?」
「もっと言葉遣いがあるだろ? イヤン、駄目ェ、おチンポ気持ちいい! とかよォ」
「――い、いいじゃない! とりあえず喘いでれば! 声が聞けて本当は嬉しいくせに! この変態!」
 仕方がない。喘ぎ声を出されていてはこの先の会話がしにくい。
 俺は与える刺激を弱めるため、ピストン運動を緩くする。
 あくまで刺激を加減するだけで、お喋り中でも出し入れ自体をやめるつもりはなかった。
「本当に落ちぶれる気があるんだったら、まずは淫語くらい言えないとな」
「淫らな言葉って意味? 私に何を言わせる気よ」
「まずはマンコって単語を口にしてみろ」
「な、なんで……。そんなことしなくても、ちゃんと乱れてあげたじゃない」
 乱れてあげた、だとよ。
 来た来た、この上から目線!
 これでこそ俺の姉だ。
「乱れるだけじゃ足りねーって話してんだよ。おい、おマンコだ。おマンコって言葉を口にするんだぜ? 淫語を一つでも多くマスターしてこそ、堕落に一歩ずつ近づけるんだ」
「そんな……」
「楽になりたいんだろ? 苦しいくらいならいっそ死にたいってノリと同じように、いっそ堕落したいんだろ?」
 俺は腰を揺すりつけて淫語を煽る。
「い、言えばいいのね……」
「そう。言えばいいんだ」
 姉はしばらく目を瞑り、心の準備をしてから、決意したように俺を向く。
「お、お、おマン……コ…………」
 こんなに声を震わせて、恥を忍んで、随分頑張ったじゃあないか。
 だが、声が小さい。
「聞こえないなー」
「お、オマン……コ……」
「だから聞こえないって」
「おマンコ!」
「よし、合格」
 俺はわざとらしく頭を撫でてやる。
 当然、子供扱いされたようなで気に入らず、姉は反感を剥き出しにした表情となって俺を睨んだ。
「……で、次は?」
 睨みながらも、課題を催促してくる。
「積極的だねぇ? お勉強熱心だねぇ?」
「い、いいから言いなさいよ! まだあるんでしょ?」
「そうだなぁ、おチンポって言ってみろよ。おチンポってな」
「お、おチン……ポ…………」
 屈辱に震えた声がたまらんねぇ?
 それだけでオカズになるよ。
「はははっ、声が小さいぞ? もっと大きな声で言えよ」
 俺はもう最高にニヤついていた。
「――お、おチンポ! ほ、ほら! 大きい声でちゃんと言ったわよ? これで文句はないんでしょう?」
「うん。合格! 晴れて淫語をマスターしたところで、もっと応用していこうか。俺のおチンポが気持ちいいですって言ってみ?」
「なんで……」
「楽になりたいんだろ? だが、下品で淫らなことが言えない奴に堕ちる資格はない。メス豚のようによがり狂って、ヒィヒィ言いながら淫語連発してこそ、初めて堕ちる資格ってものは手に入るんだよ。それが出来ない女は堕ちるなんてできねーわけよ」
「勝手な……勇男のくせに…………」
 いいねぇ、その台詞が聞きたかった。
 そういう姉こそ犯していたい。
「楽になりたいんだろ?」
 できるだけ長く挿入していたいので、間違って射精しないよう、俺はピストン運動自体を減らしていった。数分間に少しまでしか腰は振らずに、振るにしてもまったり動き、あとは肉棒で栓を閉じたままの状態でい続ける。
 変わりに俺はおっぱいを揉み続けた。
「楽に……なりたいけど…………」
 なりたいけど、台詞はいいたくないってか?
「言わなきゃなれないぜ?」
「………………わかった」
 姉は小さな声で決心する。
 そして、やはり小さな声で台詞を述べた。
「…………勇男のおチンポ……気持ちいい……です」
 震えた声がたまらない。
「だーかーらー。声を大きくしなよって」
「……勇男のおチンポ気持ちいいです」
 躊躇いがちに声を発して、俺と目を合わせないよう横を向きながら言っているのがね。
 嫌々言ってる感があって最高なわけよ。
「どこが気持ちいいのかも含めてもう一回!」
 なので、だからこそ俺は繰り返し喋らせる。
「い、勇男のおチンポで私のおマンコが気持ちいいです!」
「今度はこっちを向いて? 俺と目を合わせながら言ってみよう! はい!」
「――勇男のおチンポで私のおマンコ気持ちいいです! ほら、言ったわ! これで楽にしてくれるのよね? 早くして頂戴よ!」
「ああ、乱れきって喘ぎまくりの女を演じられたら約束通り堕としてやるよ!」
 俺は腰振りを再開する。
「乱れればいいのね? いいわ――あん! 乱れ――て……いやっ、あぁっ! お、おチンポ気持ちいい! 勇男のが――私のおマンコ――突き上げてるの! いい! 気持ちいい! 勇男の気持ちいい!」
「棒読みじゃね? もっと演技してみろよ。イきそうな女になりきってみろよ!」
「だ、駄目! 駄目なの! 勇男のおチンポで――イっちゃうの! い――イク! おマンコ良すぎて――イっちゃうのォ!」
「そこで絶頂したつもりになって! 喘ぎながら仰け反ってみよう!」
「――あっ! あ! ひあ――ひあぁあああんん!」
 なかなが頑張ったじゃあないか。
 イっちゃう女を演じた姉は見事に仰け反り、疲弊しかのように、肩で息をしてみせる。さすがに女優ばりの演技力はなかったが、素人にしては上手くやった方ではないだろうか。
「ま、それでも堕としてなんてやらないけどな」
「なんでよ! 約束が違うじゃない!」
「守るとは言ってない!」
「勇男のクセに! 最低よ!」
 姉は久々に怒鳴り始めた。
 苛められていただけの頃だったら、俺は間違いなくビビって小便でも漏らしただろう。いや本当にチビるわけではないけど、それぐらいビクビクして肩を縮めて怖がっていたはずだ。
 それが今、自分が優位になった途端に怒鳴られるのが嬉しくなった。
「何? そんなに堕落した肉便器になりたかったの? 姉ちゃんってそんな淫乱?」
 こんな風に言葉責めで返せるのが、とてもとても気持ちいいからだ。
 もちろんチンポじゃなくて、精神的に気持ちいいって話ね。
「違うでしょ? 私はこんな毎回……。いつもいつも悔しい気分に浸りながら犯されるのに飽き飽きしてるの! いっそ楽にしてって言ったでしょ? いいじゃないそれくらい!」
「良くないね。それじゃあ姉ちゃんとセックスしてることにならない。せっかく好き放題できるっていうのに、ただのオナドールなんてつまんないだろ」
「ふざけないで! アンタごときに私なんて勿体無いわ! いっそ心の無い人形でも抱いてなさいって話をしてんのよ!」
「あれ? 楽になりたいんじゃなかったっけ?」
「そうとも言ったけど……」
 っていうか、喧嘩できてる。
 なんだよもう。
 催眠アプリってチートを使って、完全優位な立場になって犯してやって、しかも精神操作で姉が姉でなくならないように調整する。ここまでしてやっと対等な口喧嘩が成立するって、本来の俺と姉との開き一体どんなレベルだったんだ?
 まあいいか、そんなもん。
「姉ちゃん。十分元気あるだろ」
「……な、ないから」
「へー? ま、この状況じゃ普通は死にたくもなるわな」
 一応、念のため。
 姉には自殺できない設定さえしてあったりするんだけど、そもそも正気を保たせてる時点で必要なかったか。
「ああもう! アンタなんて殺してやりたい! ブッ飛ばしたい! ちょっとくらいその顔を殴らせなさいよ! そうすれば私だって気が晴れるんだから!」
「へー? 拳一発とは安いな。まあやらせねーけど」
「このっ……」
 姉は敵意剥き出しの表情で俺を睨んだ。
 それがあんまりいい顔だったんで、再び腰振りを本格的にして姉を喘がせ、声を我慢するところを鑑賞しながら射精した。

 俺が夢見てたのってこういう事だ。
 ずっと苛められてきたせいだろうな。
 下克上で自分より上の立場の女を犯し、悔しがる顔を拝みながら腰を振りたい。そういう性癖が根付いていたところへ催眠アプリだ。
 初めから俺がこうしないわけがなかった。

「ありがとう催眠アプリ。これで姉ちゃんは俺のものだ」


               ~完~



 
 
 

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