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 晴美は胸に日和を抱き締め、人目も憚らずに背中を撫でる。胸板に向かって豊満な乳房が潰れてきて、ゴムボールのような弾力を意識せずにはいられない。この密着感と温もりを味わおうと、腕の中により強く締めつけた。
「人前だね」
「……うん」
 人通りの中で抱き合うなど、晴美自身周りの目を意識しないわけではない。ちらちらと背中に視線を向けられているようで気になるし、もしも知り合いにでも見られたらと想像すると気が気でないところはある。
 もっとも、元の町からは一駅分離れたここで知り合いが通るなど、さほど起きやすい事例とはいえないが、完全には安心できない気持ちだった。
 なのでそのままベンチの裏側へ、茂みへ移動してからその背中を撫で回す。
「……ねえ、晴美君」
「なに?」
 日和は恥ずかしそうに、ほっそり言う。
「履いてないのに一人になるのは怖いから、私から離れるのは禁止だよ? 私の手の届かないところへ行くのは駄目」
 そう言って、まるで人形を手放そうとしない子供のように、日和は晴美の背中へ回したでて強く衣服を握り締めた。
 ドキっとした。
 健気に離れまいとするか弱い挙動に心臓が跳ね上がり、晴美はその体を大切に抱き締める。
 日和の言いたいことはよくわかった。
 欲望のままに乳房へ触れてしまい、てっきり不快な思いをさせてしまったものかと猛反省するところだったが、あれは嫌だったから上げた悲鳴などではない。ただ、おさわりを受け入れる心の準備が出来ておらず、日和自身でも準備不足が自覚できていなかっただけの話だ。
 そう示したいがために、埋め合わせをしたいがために日和はパンツを脱いでいる。
 自らをノーパンという状況に落とし、変わりとなるプレイをさせてくれようということだ。
 おかげで佐藤日和という人間が少しずつわかってきた。
 日和は根は普通の女の子で、人並みの恥じらいこそ持ってはいるが、マゾスティックで見られたがりな性癖を抱えているのだ。だから一度スイッチが入ったり、心の準備が整っていれば下着姿は見せられるし、手で大事な部分さえ隠していれば全裸にさえなってしまう。
 基本的には平凡な少女。
 ただ、少し変わった部分がある。
 それだけ――というには色々と体験しすぎているが、言うなればそういうことだ。
 晴美が相手だからこそ、日和はこうして健気に体をくれているのだ。
 ならば、自分も日和だけを見ていなくては――と、晴美は密かに気持ちを固めた。
「僕には日和だけだから、日和に色々させてもいいかな」
「いいよ。なんでも聞く」
「スカート、たくし上げて? くっついていれば誰にも見えないでしょ?」
「――う、うん」
 日和は明らかに耳を染め上げ、恥じらいからくる躊躇いを見せていた。いくら人から見えないとはいえ、密着度合いから晴美にすら中身は覗きようがないといっても、こんな一般人のいるような野外でスカートを持ち上げるなど恥ずかしくてたまらないはず。
 それを、やらせる。
 まるで小動物でも苛めるような快感を覚え、晴美は悪魔的な嫌らしい笑みをニヤニヤとこぼさずにはいられなかった。
 ――ああ、僕ってSなのかな。
 我ながら自覚していた。
「じゃあ、やるね?」
 日和は随分とやりにくそうに、抵抗ありありながらも、晴美の望みを忠実に守って、身体の密着しあった狭間でミニスカートをずりあげた。
 これで、生のアソコが晴美の体に接触していることになる。
「私……丸出し…………」
 声が震えている。
 羞恥心が高まると、人はこんなにも声色が変わるものなのか。声帯からぶるぶる震えた声が出るものなのかと、どうでもいいところに関心してしまうほど、日和の声は恥ずかしさの色に染まっている。
「そうだね。こんな場所でアソコ丸出しだね」
 晴美はわざと、日和の耳元へ恥ずかしい言葉を囁いた。
 もちろん、間違っても無関係な一般人には聞こえないよう声量には気を遣うが、悪魔ぶった囁きで意地悪を言ってやるには、これだけ密着していれば小さな声で十分だ。
「そんな……」
「ねえ、毛は生えてるの?」
「そんなこと、こんなところで……」
「教えて欲しいな。今、こんな場所で」
 日和の表情は本当に、歪んだ。ここまで豊かに表情筋は動くのかと、またも関心してしまいほどに日和は羞恥で顔を歪めて、いかにも恥ずかしそうに頬を赤く染めている。
「…………………………………………生えてる」
「ん?」
「生えてるよ」
 震えた声で、無理をして平然さを装っているのがなんとも意地らしくてたまらなかった。
 可愛い、クラクラする。
 ただ異性の肌が密着しているだけでも、男が興奮するには十分だ。それでなくとも、実は下半身に血流が集まっているところを、日和の仕草一つで、声色一つで、果てには顔を見るたびに胸がきゅっと引き締まり、息苦しさに体力を奪われる。
 それだけ、晴美の目には日和が可愛らしくてたまらない存在として写っていた。
 もう駄目だ。
 もっと、色々しないと気がすまない。
 この子猫のように可愛い自分の彼女を、もっとたくさん苛めてあげたい。
「オナニーしよっか」
 晴美は意地悪く囁き、そして――。
「――え?」
 日和は目を丸めていた。
「だから、オナニーだよ」
「え、でも……。こんな場所で……」
「こうしていればバレないでしょ? それに、やっぱり外じゃできることなんてあまりないし、頼めることなんてこれくらいしかないよね」
「そ、そうだろうけど……」
「そうなんだよ。わかっているなら、やってみよう? ね、日和」
 要求する内容はそれなのに、しかし晴美は、まるで大人が子供を諭すような口調を使って優しげに強要している。
「…………うん。でも、ついちゃう」
 日和が気にするのは、単なる恥ずかしさ以外にもそれがあった。
「ついちゃうって、なにが?」
「わかってるくせに……。その……私の…………エッチな汁が…………」
「愛液がついちゃうかもね」
「そ、そう。だから……」
 さすがに嫌だろうか。
 それとも、苛めて平気だろうか。
 どうしたものかと読みかねる。
「……どうしても、して欲しい?」
「――うん」
 日和の方から聞き返され、流されるように頷いた。
「じゃあ、してあげる」
 日和はもぞもぞと腕を動かし、密着した身体の隙間に腕を滑り込ませる。手の平をアソコへやり、ずり上がったスカートの中を弄くり始めた。
「始めた?」
「……うん。私、こんなところで……。こんな……オナニーしちゃってる……」
 声が震えていた。
 触っているのだ。
 日和は自らの秘所へ指をやり、縦筋を上下になぞっている。腹に当たってくる腕の動きでその様子は生々しく想像できた。
「恥ずかしい…………」
 真っ赤な顔を肩へ埋めて、日和はアソコを貪り続ける。
「気持ちいい?」
「……うん」
「どれくらい?」
「…………すごく」
「もう濡れてる?」
「………………うん」
 日和は恥ずかしそうに頷いて、自分の秘所の具合を小声で伝える。
「蒸れるぐらいに濡れてきて……それで……表面に触ると、もうヌルヌルしてるぐらいに濡れてきてるよ」
「じゃあ、そのまま続けて」
「うん……」



 
 
 

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