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 俺の妹、泉野晴香。
「なーに? 朝からこんな場所にさぁ……」
 だるそうなムスっとしたような、決して機嫌が良いとは言えない顔で、晴香は毅然として両腕を組んでいる。両足を肩幅ほどに開く姿は、まるで俺を上から見下ろしているような態度に見えた。
「これより、ギョウチュウ検査を開始します」
「はぁ?」
「これからの指示には全て従ってもらうからねぇ?」
「んん? まあ、お兄ちゃんの言う事は聞くけどさ」
 晴香は首を傾げていた。
 俺の考える羞恥プレイの内容を伝えていないだけでなく、きっと検査という理由で女を裸にさせるマニア性癖も知らないのだろう。いきなりギョウチュウ検査とだけ言われても、何のことやらさっぱりなのは、考えてみれば仕方が無い。
 あれから、翌朝。
 いよいよ妹にギョウチュウ検査プレイを実行すると決めた俺は、催眠効果の命令を利用することで、やはり早朝の視聴覚室に呼び出した。
 もちろん、十人の男子も既に来ている。
 撮影を担当するための月子もだ。
 男子十人は全員とも、晴香を見ながらニヤニヤとした表情を浮かべ、その顔つきの露骨さに晴香は軽く引いている。ここにやって来た瞬間もそうだったが、今も「うげぇ……」と気持ち悪がる顔を浮かべて、晴香は彼らを決して快く思っていない。
 きっと、透けてみえるのだろう。俺も含めて、みんなが晴香を見ながら、生々しい卑猥な想像をしている。視線を一身に浴びる晴香には、そのいやらしさが十分に肌で感じ取れているのかもしれなかった。
「これから行うギョウチュウ検査では、みんなの前でお尻を出して、お兄ちゃんの手で肛門に検査フィルムをグリグリすることになっています」
「ちょっ――――――――!!!」
 晴香は見るからに青ざめた。
「どうしたのかな?」
「どうしたじゃないわよ! なにその変態プレイ!」
「恥ずかしい?」
「当たり前じゃない! なに馬鹿なこと言ってんの? 馬鹿!」
「ちゃんと言う事は聞きなさい」
 俺は強気に出た。理不尽で屈辱的な命令を下したこの俺が、当然の主張をする晴香に向かって、まるでわがままな子供を諌めるような叱り口調を使ったのだ。
 そして、晴香の中では兄の命令は絶対化している。妹なら兄の言う事は聞くものだという常識感が、催眠効果で晴香に根付き、たとえどんな指示でも聞くようになっている。別にそこまで試すつもりはないが、催眠下にある相手なら、死ねと命じれば死ぬかもしれない。
 晴香が俺に逆らうわけはなかった。
「…………うぅっ」
 晴香は黙った。
「教卓の上に乗りなさい」
「う、うん」
 やや気弱になりながら、晴香は上履きを脱いで教卓に乗り上げ、とりあえず膝立ちで脚は閉じ合わせたままこちらを向く。
「乗ったね?」
「乗ったけど」
「それでは、次にスカートをたくし上げてもらいます」
「んな! こんな人前で? 何よそれ!」
 さすがに声を荒げていた。
「言う事が聞けない?」
「き、聞くけど……。別に人前じゃなくても……」
「だーめ。みんなの前で」
「なんでよ! だったら、せめてカメラくらい!」
 そこで晴香が指したのは、撮影担当の月子であった。月子が手に持つハンドカメラはもちろんのこと晴香を向き、さらに三脚台に立てたビデオカメラも設置してある。あとで表情が映るようにするため、四つん這いの顔が映せる黒板の位置――つまり黒板消しを乗せるためのあの場所にも、もう一台のカメラを用意してある。
 合計三台のカメラがここにはあった。
 男子十人がニタニタしながら待ち構える中では、ただパンツを見せるだけでも、一体どれだけ恥ずかしい思いがするだろう。
「さあ、たくし上げてごらん?」
 と、俺は言う。
「早く早くー」
「僕達も晴香ちゃんのパンツに興味があるなー」
「白かな? それともピンク?」
「赤だったりして」
 援護射撃であるかのように、男子陣は次々に言葉を放ち、その一つ一つが晴香の精神へと突き刺さる。
「――もう! お兄ちゃんのばかぁ!」
 恨めしそうな視線で俺を睨みながら、晴香はスカートの裾を掴み、徐々に持ち上げていく。
「――お? お?」
 太ももの見える面積が広がるにつれ、期待を込めた一人の声が上がっていた。
「馬鹿ぁ! やりにくいでしょ?」
「ごめんねー?」
 悪びれもしない謝り方で引いていく。
 晴香はたくし上げを続行した。
 既に太ももを半分以上晒していた晴香は、途中で躊躇い手を止める。まるで崖から飛び降りる勇気が出せず、その下を見つめて震えるばかりになっているかのように、止まった手は数秒以上は動かなかった。
「どうしたのかなぁ?」
「うるさい!」
 煽ってくる男子に怒鳴り返すと、晴香はようやく決心した顔になり、目を閉じながら、一気にスカート丈を持ち上げきった。

「おおおおおお!」
「白じゃん! 白、白!」
「拍手拍手!」

 パチパチパチパチパチパチ!

 いやぁ、素晴らしい!
 それまで、ほんのりと赤いだけだった晴香の表情は、一瞬にして染まり変わり、首から上だけが別色領域と化した茹でタコのような赤面顔を披露する。見せているのはパンツ一枚だというのに、既に顔から蒸気が上がっており、頭がぐつぐつと沸騰しているかの様子だ。
 ジュワァァァァ、という音が、今にも聞こえてくるかのようだ。
 スカートを握る手は固く力が入っており、力むあまりに震えている。腕や肩ごと筋肉が強張り、肩さえも震えている姿は、まさに屈辱を全身で表現しているといってもいい。みんなに見られることでの感情が肉体に滲むあまりに、晴香の体中がプルプルと震えているのだ。
 そして、俺は改めて口にする。
「白だねぇ?」
「――――っ! うぅっ!」
 ただ言葉を放っただけで、まるで針が刺さった痛みに喘ぐかのように、晴香はビクっとして肩を縮める。
 そう、白なのだ。
 真っ白! 純白!
 シミ一つない新品のような白さのパンツは、色合いの加減でか、蛍光灯の光を纏ってやんわりと輝いて見える。
「で? いつまでこうしてればいいわけ?」
 震えた声で晴香は言った。
「十秒くらい?」
 と、俺は答える。
「じゅっ、十秒ね? はい、いーち、にーい――」
 妹は勝手にカウントを開始した。それも恐ろしい早口で、実際にしたら、五秒かそこらにしかならないんじゃないかと思える速度で、みるみるうちにカウントを「十」まで進め、せっかくたくし上げたスカートさえも、勝手に元に戻してしまう。
「はい! 終わり!」
 と、大慌てで高速で隠す姿からも、見られる時間をたった〇.一秒でいいから減らしたい気持ちが伝わってきた。
 もちろん、撮れたよね?
 なんて、月子に目配せしてみる。
 すると月子はコクンと頷いた。
「じゃあ、晴香ちゃーん。次は四つん這いになってから、同じようにパンツのお尻を丸出しにしようね」
「……え? え?」
「カウントは無し。お兄ちゃんが良しというまで、ずーっと、みんなに見せたままにしておかなくてはいけないよ?」
「そんなぁ!」
 晴香の表情が悲痛に歪む。
 今にも泣きそうになりながら、晴香は四つん這いの尻をこちらに向け、今度は純白に包まれたお尻を丸出しにして曝け出す。
「おおっ、可愛いねぇ?」
「太ももはスベスベだし」
「最高だよ? 晴香ちゃん!」
 男子十人の言葉が口々に晴香を責め、晴香はますます沸騰している。頭どころか、顔全体を余すことなく煮え込ませ、耳から頬まで、アゴから額まで、首から上の全ての部位からジュワァァァと蒸気を噴出していた。

 これから、晴香はどうなるのだろう?
 パンツだけでこんなことになっちゃって、お尻の穴なんて見られたら、晴香はどんなことになっちゃうのだろう?




 
 
 

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