『午後七時に公園に来ること』
それは読書クラブの先輩、山根志帆からのメールだった。
――どうしよう……。
胸の底から泥水のように湧き出す不安感に真木信乃歩は部屋で俯き、暗い面持ちで後悔に沈んでいった。
――きっとゆー兄ちゃんのことだ。
夢人に会わせてもらえないかと先輩達に頼まれ、実際に会ってもらえないかと夢人に頼んではみたものの、良い返事は返ってこない。期待させておいてそれに応えられなかった結果、その先輩達に散々に非難され、その数日後の夕方に来たのがこのメールだった。
夢人の件での呼び出しには違いない。具体的にはどんな用事なのかなど想像するのも恐ろしく、かといって断ったり用件を尋ねるメールを送り返すような気概も信乃歩にはなく、信乃歩はただ刻一刻と時が立つのを待つばかりになっていた。
正直に言うと行きたくない。行けばよくないことが待っているのは確実だ。
しかし、そうとわかっていながらも行かないという勇気が出ない。もし先輩の呼び出しを無視したり、断ったりでもすればそのツケは翌日の先輩達の態度で返って来る。学校で一体どんな非難を受け、なじられることになるのか恐ろしくて堪らなかった。
だから、時間を迎える頃には信乃歩は重い足取りで家を出て、すっかり日の沈んだ暗い田舎道をとぼとぼ歩いた。
……気が重い。
公園へ行けば志帆や他の先輩達が待っている。少なくとも嫌味を言われ、散々に吊るし上げられるだろうことはわかっている。わかっていながら最後まで逃げ出す勇気さえも出せないまま、暗がりに陰った公園のブランコや滑り台のシルエットが見えてくる。
公園の敷地内にまで踏み入ると、三年生の先輩三人に二年生の一人を含めた四人組の陰が見えてきた。
信乃歩は例えるなら処刑台に向かう罪人のような気分で、ビクビクと本当に震えそうになりながら進んでいく。
「あーあー、やっと来たか」
時間通りにも関わらず、志帆の辛らつな言葉で出迎えられた。
「何で呼ばれたかはわかってるよね?」
半ば喧嘩腰のような口調なのは、ひっつめ髪で声の大きい松林明日香。
「会わせてくれるって言っといて、約束破ったんだからねえ?」
約束とまでは言っていないはずだったが、理不尽な物言いをしてくるのは、背が低くて黒縁眼鏡をかけた二年生、猿枝万智。
「何か私達に言うことあるんじゃないの?」
暗に謝罪を要求してくるのは、癖毛で眼鏡で目つきの悪い、夏川愛子。
それぞれの非難めいた視線が突き刺さり、痛いような思いに信乃歩はひたすら縮こまる。やはり想像通りの件で呼び出され、想像通りの展開が信乃歩を待っていたのだ。
「ご、ごめんなさい……」
信乃歩は小さな声を絞り出した。
「それだけ?」
「あたし、もう妹に自慢しちゃったって言ったよね?」
「本当に何とかならないの?」
志帆、明日香、万智が順々に信乃歩を追い詰め、愛子はその視線にさらに非難の気をこめてくる。
それは信乃歩の糾弾会のようになっていた。四人が口々に非難を浴びせ、信乃歩へ嫌味を投げかける。
そして――。
「ま、どうにもならないみたいだし」
「しょうがないから信乃歩ちゃん罰ゲームね」
「えっ……」
その言葉から来る響きには、決して気の良い仲間同士のあいだから出てくるような、冗談らしい軽さなどなかった。
制裁、報復。
期待を裏切った信乃歩に対する仕返しが、四人のあいだで何か容易されているのだ。
「じゃあ、みんなやっちゃっていいよ?」
愛子が背後の闇へ声を投げる。
同時に、どこに姿を隠していたのか。暗がりの奥から何人もの人影がぬっと現れ、ぞろぞろとにじり寄ってくる。四人を横切りながら信乃歩の前に出てきた彼らは、信乃歩と同じ中学に通う男子生徒の群れであった。
男の群れが現れた。ただそれだけの事でこれから起こる取り返しのつかない事態が予感でき、ゾクッ、と信乃歩の全身の毛が逆立つ。恐怖心で頭がいっぱいになり、半ばパニックになりながら信乃歩は二歩も三歩を後ずさり、男子の群れから遠ざかろうとする。
しかし、そんな信乃歩を逃がさぬよう男子達は信乃歩の四方を取り囲み、逃げ場を奪って一歩ずつ包囲網の輪を縮めていく。
「へー? この子をねぇ」
「ま、悪くないんじゃないの?」
男同士でにやけ合い、そして背後にいた男子が信乃歩を取り押さえる。
「い、嫌!」
さすがの信乃歩も普段より大きな声をあげ、ひとまわり大きい抵抗を見せるが、か弱い信乃歩がいくら暴れたところで何の成果にも繋がらない。男子の力で難なく制され、腰へ腕を巻きつけるようにして背中から抱きつかれ、左右の手首を二人の男子につかみ上げられる。
「やめてっ、やめて下さい……」
あっという間に信乃歩の声は小さくなり、抵抗して暴れるだけの気概をもう失っていた。
「どれどれ?」
味見でもするかのように、セーラー服の胸の膨らみを手の平に包み込む。男子の手はいやらしく撫で動き、じっくり揉み込む。恋仲でもない、同じ学校というだけでロクに名前さえわからない相手に触れられるおぞましさに鳥肌が立った。
「……ごめんなさい。……許してください。こんなの、私……」
すがるような思いで四人へ目をやるが、彼女達はクスクス笑い、信乃歩がケダモノに群がられている有様を眺めて楽しんでいた。
いくらなんでも、こんな事をしてくるなんて。
ここまで恨まれていただなんて、ショックで足がフラついてしまう。
「胸は小さいが、まあこんなもんだろ」
「それより、さっさとヤることやろうぜ? あんまり時間ないんだから」
「そうだな」
信乃歩は地面に押し倒され、既に抵抗もしていないのに両手を地面に押さえつけられ、一人目の男子が上から覆いかぶさってくる。セーラー服を強引にずりあげられ、ブラジャーまでたくし上げられる。乳房をじっくり見られることになってしまい、どこからともなくこみ上げる羞恥心が信乃歩を苦しめた。
ああ、これが罰なんだ。
夢人に会わせて欲しいと言われた時に、まるで自分が褒められたような気分になって、浮かれて安請け合いしたのが悪かった。
浮かれて先輩達に期待させてしまった。
それを裏切ってしまった。
きっと自業自得なのだ。
「さーて、準備無しでいくから覚悟しろよ」
スカートに手を突っ込まれ、あっけなくパンツを脱がされ奪われる。それは周囲で順番待ちをしている男子の手に渡り、自分の下着が弄ばれている恥ずかしさに信乃歩は悶えた。
男子達は信乃歩のパンツを順番に分け合うように、裏返し、局部のにおいを嗅いだり布に残った体温を味わっている。性に対する男の奇妙な連携力が発揮され、一人一人が信乃歩に見せびらかすような形でパンツをおもちゃにして見せていった。
恥ずかしさで死にそうだ。
しかもスカートまで思い切り捲り上げられ、まだ未熟ながらも毛が揃い始めた乙女の園が男子全員の視線に晒される。胸も秘所も視姦され、そして信乃歩が視姦されている有様を四人組がクスクスと眺めている。信乃歩の体は完全に見世物に成り下がっていた。
「それじゃトップバッター、いっきまーす」
のしかかってくる男子がとうとうベルトを外し出し、すっかり硬くなったソレを信乃歩のソコにあてがってくる。自分の入り口に亀頭が触れてくる感触に一気に緊張が高まって、全身が硬くなった。
――こういう運命だったのかな。
引っ込み思案で取り柄というべき取り柄もない。そんな信乃歩にとって、虐めのニュースや物語などを見ると、自分の未来の姿のように思えていた。
今まで幸いにしてそういう相手と引き合わずに済んできただけで、クラスで酷い虐めを受けることなく過ごしてこれたのは奇跡のようなものだ。そんな奇跡もとうとう尽きて、こういう日がやって来てしまったのだ。
「そーれ!」
「――――うぅっ!」
信乃歩は痛みに喘いだ。
肉杭が信乃歩の入り口へ強引に押し入り、小さな扉に大して太すぎるソレが埋め込まれていく。
「んっ! んん!」
股からの痛覚が背筋にまで駆け上り、信乃歩はのけぞりながら髪を振り乱した。
熱く太いソレがだんだん入ってくるにつれ、狭い穴から膜が裂け、破瓜の血が溢れて来る。その痛みのあまりに脂汗をかき、爪が食い込むほどに拳を強く握った。
「あっ……あっ……」
口からかろうじて空気を出しているような、声にもならない信乃歩の呼気が熱く漏れ出す。
自分の身体の内側で、穴の内側で一物が怒張し熱く脈打っているのが嫌というほどわかり、初めてを失った悲しさと痛みの痛烈さに信乃歩は泣いた。眼鏡の奥で瞳を濡らし、顔の真横を伝うように涙をこぼした。
これでますます価値のない人間になってしまった。
ただでさえ長所も何もなかったのに、女としての価値もこれで薄れた。どうせ素敵な経験とは縁などなかっただろうし、良い相手が出来る未来など想像できやしなかったが、それでも失ったことが悲しかった。
肉杭が根元まで打ち込まれ、信乃歩の穴の最奥が亀頭につつかれる。すぐに体が揺るられ始め、それに伴い穴の内側をえぐられる。腰振りで裂けたばかりの痛みが刺激され、信乃歩はほとんど痛みに喘いでいた。
「あっ、あぁっ……あぁ……」
腰を振る男子は信乃歩の尻を持ち上げて、周囲の男子は足を無理矢理開脚させる。結合部の肉杭が穴を突き上げる有様に向け、男子達はそれぞれの携帯やスマートフォンを向け始める。写真を撮るシャッター音もあれば、動画撮影で犯されている信乃歩の全身をじっくり映す姿もあった。
――記録まで残されるんだ……。
結合部をズームされ、乳房を接写され、信乃歩の痴態の数々がデータとして保存されていく。
「そろそろ出すわ。どこがいっかな」
「顔じゃね? 顔」
余所見ができないように顔を抑えられ、信乃歩の眼前には破瓜の血とその奥の粘液に塗れた一物が向けられる。ねっとりした亀頭と目があって、信乃歩は弾入りの銃口でも向けられたような気分になって目を瞑った。
ドピュ、
と粘りある白濁が吐き出され、信乃歩の顔面へと降り注ぐ。額の前髪に、眼鏡のレンズに、鼻の頭に、唇に、どろりとしたそれはこびりついた。
当然、その顔射される瞬間の動画や、降りかかった後の信乃歩の顔も撮影されている。
信乃歩はまさに自分が汚れてしまったことを感じ取り、自分の価値がどんどん薄れていくのを実感していた。
「ふぅ、抜いた抜いた」
射精した男子は満足げに引き下がり、すぐに二人目の男子が信乃歩へのし掛かる。
「んじゃ、次いっきまーす」
一度使われた穴には最初よりもスムーズに、しかし信乃歩には一定の痛みを与えながら、二本目が打ち込まれる。一回目よりも力強い腰振りに穴の内側が痛むようで、初体験の信乃歩が感じるのは苦しみばかりだ。
やがて引き抜かれて顔射され、すぐに三人目に穴を使われる。
さらに顔を汚されて、四人目、五人目へ……。
交代で順番に利用され、時には乳房と乳首を弄られながら、信乃歩の穴は最後の一人にまで犯される。
もはや信乃歩の瞳はうつろになって、腰振りに揺さぶられるだけの人形と化していた。痛みへの反応で喘ぎはするが、それだけだ。
そして……。
ドピュッ、
最後の一発が降りかかり、全員が射精を済ませた後は四人の女子さえ混じって撮影会を開始する。既に十分に撮っているにも関わらず、使用済みとなって放心した信乃歩に向け、何度も何度も執拗にシャッター音声が鳴らされた。
それから、信乃歩の輪姦パーティが解散して……。
公園で精液まみれのまま意識を取り戻した信乃歩は、何を考えるでもなく、ほとんど人形のような顔をしたまま、無言で設置されていた蛇口へ向かう。黙々と顔の汚れを洗い直し、乱された衣服を直し、帰途についた。
『明日から奴隷生活でも楽しみなさい』
そんな志帆からのメールに気づいたのは信乃歩は、無心になったままその文章を見つめ続けていた。
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