不良に犯されるなつき





  *原作三巻「STAY」より



     ***


 学ランの不良が五人がかりで、貴澄夏生の手足を押さえつけていた。口まで塞がれ、声の出せない状況で、こんなどこぞの倉庫内に助けが来ることも望めない。
 自分達の優位がよほど愉快でか。
「ゲヘゲヘ。いいざまだ」
 押さえつけている一人から、そんな言葉が漏れていた。
「覚えてるよな。俺らのことをよ」
 そして、五人の舎弟になつきを押さえさせているリーダー格は、ガチャガチャとベルトの金具を外し始めていた。
(あ、あの時の奴ら……)
 すぐになつきは思い出した。
 どれくらい前だったか。
 二人組の女子が不良に絡まれ、それを助けただけで逆恨みもいいところだが、ともあれ恨まれてしまったわけだ。
「この前は女だと思って油断したが、今度はそうはいかねぇ」
 そう言ってリーダー格は――。

「メチャクチャにしたるぁ!」

 勢いよくチャックを下げ、その一物を取り出していた。
 まずい、犯される。
 なつきは必死に抵抗するが、あくまでも筋力は女にすぎない。自由に動ける状態なら、こんな不良ごときには負けないが、手足が全て封じられてはどうしようもなかった。
 スカートを捲り、パンツを引き裂き、アソコに肉棒が迫ってくる。
「んん! ん! んんんん!」
 本当に必死に暴れた。
 そうしなければ命を落とすかのような勢いで、五人がかりの男が腕力で手間取るほど、なんとしても脱出しようとする身じろぎを無我夢中で行った。
 それでも、肉棒は迫っていく。
 もう秘所に触れてくるところまでやって来て、あとは膣口に入り込むだけとなる。必死な腰のくねりによって、最後の挿入に手間を取るものの、だったら動きを止めればいいだけだ。
「動くんじゃねぇ!」
「――んぐっ!」
 一発。腹に拳を叩き込む。
 その抵抗が緩んだ隙に、リーダー格は一気に処女穴を貫いた。処女膜の張り裂ける破瓜の痛みが、股から脳天まで競りあがり、ただの一瞬で全ての思考も何もかもが消えていき、完全なまでに頭が真っ白になっていた。
「んぎぃぃ……!」
 手の平に覆われた口から、それでも悲痛な声が漏れていた。
「おるぁ! どうだよなつきぃ!」
 よく熱した鉄の棒でも入っているような、痛いほどの電撃でも流し込まれているような、太いものに穴を広げられている苦痛に顔を歪めて、なつきは目に涙を浮かべていた。
 リーダー格の挿入に、相手は感じさせようとする意思はない。
 そんなことより、自分達の憂さを晴らすことの方が大切で、恨むべき相手に思い知らせてやるためだけのピストン運動だ。自然と暴力的なものとなり、子宮に打撃を与えたいほどの勢いで何度も何度も、肉槍を際奥まで届かせていた。
「んんん! んっ、んむっ! んん!」
 乱暴な腰振りから、さらには洋服さえも腕力で引き裂く。音を立てて裂ける布地が、切れ目から左右に分かれ、その繊維の狭間が広がるにつれ、しぶとい糸が何本も生き残る。その生き残りも、プチっと小さな音を立て、順番に千切れていき、最後には上半身をはだけきった姿となるのだった。
 ブラジャーまで引き千切ると、皿の上にカップゼリーを落とした瞬間とよく似て、プルンというべき揺れ方で、丸々とした綺麗な乳房が露出した。
「は! けっこうデケェじゃねーか!」
 柔らかな膨らみゆ指が食い込み、なつきは一層のこと顔を歪める。
「――ん! んぎっ、んん! んむぐぅ! ん!」
「気持ちいいもんだぜ! 生意気な女を教育してやるってのはよぉ!」
「んんんん! んっ、んんんんん! んん!」
 本当に暴力でしかなかった。
 彼らにとって、今このレイプは殴るや蹴るの延長なのだ。痛みによって思い知らせ、負かしてやることこそが目的だ。
「げははははは! ぶっかけてやらぁ!」
 途端に引き抜き、リーダー格は白濁の放水をなつきに浴びせた。

 ――ドピュゥゥ! ドッ、ドク、ドクゥゥ!

 腹が、胸が、ゼラチンじみた固めの精液を帯びていく。
「んんぅ……!」
 なつきの目からより一層、さらに涙が溢れていた。
 それが自分達の優位を表す証拠のように、女の泣く顔を見てゲラゲラ笑い、不良達はこぞって愉快でたまらない表情を浮かべていた。
「ようし! お前ら、順番にやってやれ!」
「ゲヘゲヘ! 次は俺だかんな!」
 あとはもう、一人ずつ順番に挿入を行った。

(もう嫌! お願い! 許して!)

 なつきの表情がそう叫ぶ。
 たとえ口を塞がれていても、身体中から悲鳴が発せられている。
 無論、不良がそんなことを気にするわけもなく、一人目の挿入が終われば二人目が挿れにかかって腰を振る。
 三人、四人、五人。
 数十分の時間を要しながら、やがて全員の挿入と射精が済む頃には、なつきの有様は強姦された被害者のお手本のようになっていた。
 目は虚ろで、どこにも焦点が合っていない。
 引き裂かれた服にも精液は染み込んで、股には破瓜出血の痕跡が見受けられる。ぐったりと力なく手足を投げ出し、その横には千切れたパンツが投げられたままとなっている。なつきに何があったのか、この事後の光景を見ただけで、必要以上によく伝わるに違いなかった。

「撮っとけ? また気が向いたら遊んでやるんだからよ」

 ――パシャ!

 リーダー格の言葉を受け、一人に不良がカメラフラッシュを炊いて撮影した。

 ――パシャ! パシャ!

 念のために数枚以上、その不良はシャッターを押していた。

「…………」

 なつきに言葉はない。
 放心しきって、意識というべき意識もない。
 ただ延々と、無気力な時間をぼーっと過ごして、とっくに日が暮れた頃にやっとのことで起き上がり、暗すぎるほど暗い顔をして家に帰った。