「では次にストリップショーを開催致しましょう!
剛寒市を守る正義の使者! ユースティティア!
あの彼女が、衆人環視の前でその肌を晒そうというわけです!」
脱衣宣告を受けた天利は、まるで極寒の地で寒さに震えるかのように、ほとんど全身を震わせながら制服を脱ごうとしていた。
(……制服で来いって、このためだったんだ)
指が震えるあまり、ボタンを上手く外せない。
くっ、どうして。
従わなければ人の命が危ないのに……。
「どうしました? ユースティティアさん。いつまでたっても脱がないと、人質に暴力を振るうことになりますよ? それとも数を減らしましょうか?」
笑顔の脅迫。
彼らならやりかねないと思ってか、そうすると男性全員が戦慄する。
「わ、わかっている! ちゃんと脱ぐ!」
慌てふためいた天利は、震えきった指で必死にボタンを外そう外そうと努力して、ただそれだけのことに苦戦する。やっとブレザーの第一ボタンが外れ、第二ボタンに取り掛かるが、ここでも無駄に時間がかかり、三分以上の時間をかけて、やっとのことで全てのブレザーボタンは外された。
良識のある男は、そんなユースティティアを気の毒に思っている。
良識なんて無い不良学生は、特に遠慮もなくジロジロ見て、恥らう彼女の姿に嗜虐心すら覚えている。
そして、見てはいけないと思いつつも、どうしてもチラチラと視線を向けずにはいられないような、そんな男達の様子も見受けられた。
「脱いだものはお預かりします。そちらへ渡して下さい」
シェームズメンバーの一人が、ブレザーを受け取るためにやってくる。天利が泣く泣く服を手渡すと、彼はさっさとブレザーを持ち去っていった。
(……あっ! い、行ってしまう!)
服が自分の手元を離れる事実に、待って欲しい思いで彼の背中に指先を伸ばしかけるが、その手が彼を掴むことはなかった。
(脱いだものは……一枚ずつ持ち去られていくということか…………)
つまり、全裸になった最後には、下着さえもシェームズに奪われる。服を返してもらえるとはとても思えず、天利は屈辱に身を震わせた。
(つ、次の一枚を脱いだら、肌が出てしまう……。みんなに見られ、カメラマンにも撮影されて、私の動画はAVとして裏で販売されるんだ……)
ブレザーを脱いだ天利は、次の脱衣に躊躇っていた。スカートを脱いでも、ワイシャツを脱いでも、どちらかの下着を必ず見られる。
どちらを先に脱ぎ、どちらを後に脱ぐのが最善なのか。
(迷ったところで……どうせ全裸にはさせられるのだし…………。躊躇って時間を取るより、どちらでもいいから脱がなくては……)
意を決した天利はワイシャツのボタンに指をかけ、今度は時間をかけないようにと、上から一つずつ外していく。
ぷちり……ぷちり……。
と、やはり指は震えているため、一つのボタンを外すのに数秒間は手間取りながら、本当にゆっくりだんだんと、ボタンを開いた内側からの肌面積が拡張される。
鎖骨周りの肌が露出し、その下にある胸の谷間が少しずつ開けていく。
「おお……!」
その色気に関心している男がいた。
そんな彼と目が合うと、良識のあった男は申し訳なさそうに目を逸らすが、やはり胸元に視線を吸い寄せられ、逸らそうにも逸らせないといった具合であった。
(女の裸が気になるのは……普通のこと……気にしてはいけない…………)
衆人環視の視姦役を努める彼らは、本当は良識を持っているのに、女性の人質を盾にされているから、チラチラと――あるいはジロジロとした視線を向けざるを得ない。人質解放というアメをチラつかされ、免罪符を得ている彼らは、どうしたって天利の脱衣が気になるのだ。
男なのだから仕方が無い。
必要以上に気にしたり、恥ずかしがっていてはいけない。
天利は自分に言い聞かせていた。
(気にしないッ、気にしないッ、気にしないッ、気にしない……!)
乳房に沿ったボタンを外し、やがてブラジャーに包まれた胸を晒したあとは、腹部にかけてのボタンを開いていく。
「――じゅるり」
舌なめずりの音が聞こえた。
(……そうだ。人質の人だけじゃない)
銃器を抱えた武装者も、人質の行動を見張りつつ、ついでに天利の脱衣を視姦している。彼らの視線は開きかけのワイシャツに突き刺さり、しだいに覗ける白い腹を舐めるように見つめていた。
やがて、ワイシャツのボタンを外し終わった。
(恥ずかしいィ――恥ずかしすぎる――――!)
歯をきつく食い縛り、天利は深く俯きながら、見えかけのワイシャツの前を押さえる。開きかけを隠すような仕草を取るが、すぐに頭を振って思い直した。
(私の恥ずかしさなんて、大勢の命に比べたら……軽い……軽いんだ…………私一人が脱ぐだけの犠牲で済むなら、そうするべきなんだ…………)
ワイシャツの前を開き、しゅるりと衣擦れの音を立てながら、天利はそれを脱ぎ去る。すると、ワイシャツも先ほどのように持ち去られ、天利の手から着実に衣服は失われていった。
「おおっ、ブラジャーもウサギさんか」
「ヒュー!」
武装者達は大いに喜び、不良である一部の男も沸き立っていた。
「ナイスバディだ!」
「いじらしく脱いじゃって、これで上半身はブラジャーのみだなァ?」
煽るような言葉を浴びせられ、天利はそんな台詞を言った男達を恨めしく思っていた。
人質のために脱いでいるのに、どうしてこんな言われようを……。
「さあさあ! 皆さんも感想があったらじゃんじゃんおっしゃって下さい! 良い映像が取れれば、それだけ女性の人質は解放され、あなた達も怪我なく帰れますよ?」
ハジィが全ての男を煽り立てる。
「か、可愛いぞ! 綺麗だ!」
「そのウサギのブラジャーが似合ってる!」
「谷間がそそる!」
「早くその中身が見たい!」
命を盾に解放をチラつかされては、男達もハジィの思い通りになるしかない。本当ならそんな嫌味は言わない善良な性格の持ち主ですら、羞恥を煽ろうとする言葉を放っていた。
人質男性群の中で、悪意があるのは不良のみ。
あとは何の悪意もなく、むしろ助かりたい一身で欲情していた。
(とにかく……とにかく脱がなくては……!)
指の震えで手間取りながら、スカートのホックを取り外す。天利のスカートは足の真下へばっさり落ち、それもメンバーに回収された。
「うぅ~~~~~~~~~っっっ!」
これで天利は下着姿だ。
とても惨めだ。
服を着た男に囲まれながら、自分だけが一枚ずつ衣服を失う。まるで自分の身分が落ちて、誰よりも下位の存在に置かれているような、惨めで情けない気持ちに襲われていた。
「いいぞ? その調子!」
「が、頑張って下さい! ユースティティアさん!」
調子の良い野次と、声援らしき言葉。
しかし、この状況で何を頑張れというのだろう。恥ずかしさを我慢しながら、服を脱ぐことを頑張る以外には何もない。
(とにかくブラジャーを…………)
ウサギ柄の入ったピンクベースのブラジャーホックに手を回し、背中でパチリと取り外すと、天利は片腕で胸を覆い隠した。腕と乳房の隙間から引き抜くようにして、決して生乳を見せない形でブラジャーを脱ぎ去った。
「さあ、それも渡せ」
ふんぞり返ったメンバーが、ブラジャーの回収にやって来る。
「いや……うぅ………………」
下着さえ手渡す屈辱は、ブレザーやスカートの比ではない。己の敗北の証を形にして、まるで負けを認めさせられている気持ちになる。
「こ、これは……」
「ユースティティアには悪いけど……」
良心的だった部類の男も、しだいに嗜虐心を刺激され、だんだんニヤつき始めていた。ニヤニヤするのが仕事だというシェームズからの要求が、どんなに真面目で正義感のある男さえ、少しずつ欲情させていた。
「――エロい」
「――可愛い」
「――苛めたい!」
胸を両腕で必死に隠し、肩を縮めてた姿への感想が、四方八方から飛んできていた。恥らう姿が良い、胸を隠しながら脱ぎきったのが良かった、そんな脱ぎ方もエロい。そんな言葉の数々が天利を責め立てていた。
(――イヤァァ! 恥ずかしいッ! 恥ずかしすぎる!)
周囲の視線から身を守りたいかのように、天利は両腕のクロスをギュっと強め、肩を内側に丸め込み、膝と太ももをすり合わせる。腰をくの字に曲げた状態から、だんだんと床にお尻を沈めていき、恥ずかしさのあまりに天利はすっかりしゃがみ込んだ。
ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……!
ハハァ!
男達は興奮していた。まるで犬が息を荒げるような呼吸音が、周囲360度全ての方向から聞こえてきて、もはやどの男の顔を見ても、その目つきはギラついている。不良じみた連中などは、ニヤつききってヨダレを垂らし、いかにも卑猥な想像を浮かべていた。
(こ、こんなァ……こんなのォ…………!)
まるでか弱いウサギでありながら、狼の群れに囲まれ心細くて仕方がないような心境と、悪人さえ倒せればこんなことはないのにという歯がゆさと、二つの心境が同時に天利の胸を締め付ける。
(あと一枚……脱がなくてはならないなんて…………)
天利は体育座りになって、胸やアソコだけは何としても見せないように、全ての四肢を駆使して大事な部分を隠しながら、たどたどしく脱ぎ始めた。
(こうしていれば見えない。隠してさえいれば……)
胸を両膝の上に潰した状態で、両手を腰に移してパンツを動かす。生尻が床に剥き出すようにしてから、片手はアソコを隠すことだけに集中させる。決してアソコは見せないように、右手だけを使ってずらしていき、最後まで恥部をガードしたまま脱ぎきった。
「これで全裸ですねぇぇぇぇぇぇぇ! ユースティティアさぁぁぁぁぁん!!!」
ハジィはあまりにも大げさにはしゃぎ、嬉しくて仕方のないような表情を浮かべている。
「おパンティも渡すんだ」
回収にやってきたメンバーは、わざわざ恥ずかしい言い回しを選びつつ、パンツを寄越すようにと手を伸ばしてくる。
(――こんな! こんなこんなこんな! 恥ずかしいのにッ! 死んでしまいそうなほどなのに! どうしようもないというの!?)
天利はパンツを握り締め、拳の中にくるんだ下着をメンバーの手に近づける。
恐ろしく、手が震えた。
肩から手首にかけてが強張って、脱ぎたてのパンツを手渡すことを、天利の全身が拒否しているようだった。
(わ、渡したくない! 嫌だ! 嫌だ! 嫌だ!)
心が叫びを上げていた。
しかし、渡さなければどうなる?
ここにいるみんなは?
女性の人質は?
それにシェームズは盗撮映像まで握っているのだから、高校女子生徒の裸を流出されかねない弱みもある。
そんな相手に逆らって、本当にいいのだろうか?
その答えは映像越しの人質女性が暴力を受けていたことで、とっくに証明されている。
(…………………………渡すしかない)
ひどく悲しくなりながら、天利はパンツを握った拳を置いた。
拳を緩め、今まで履いていたパンツを手放した。
そして、自分の手から相手の手へと、脱ぎたてのパンツが移った途端、途方も無い敗北感に満ち溢れ、天利は恥辱の涙を目に溜め込んだ。
…………………………負けたんだ。
天利は深く痛感した。
人として絶対に渡してはならない何かを手放し、己の尊厳やプライドを投げ捨ててしまったような、取り返しもつかないことをしてしまった感覚がそこにはあった。
たかがパンツ一枚。
されども、羞恥心のある乙女にとって、全裸になりながら脱ぎたてのパンツを手渡してしまうのは、敗北を認めて白旗を揚げ、敵に全面降伏するのと同じだった。自分が敗北者に成り下がったような感覚が、天利の全身を支配していた。
もう、天利にできることは残っていない。
あるとしたら、この体育座りの姿勢を必死に保ち、全力で恥部を視姦から守るということだけだった。
「いやぁぁぁぁ! 脱いじゃいましたねぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
ハジィがマイクを寄せてくる。
「ねえ、ユースティティアさん? どんなお気持ちですか? 答えて下さいよォ? 今の気持ちを是非是非、お聞かせ下さいよォォォォォォ!」
「…………………………………………恥ずかしい」
「はい? もっと大きな声でお願いしますよォ!」
「恥ずかしい! すごく恥ずかしい! 死にそう!」
天利はがむしゃらに叫んでいた。
「そうですよねぇぇぇぇぇぇぇ! 恥ずかしいですよねぇぇぇ! みんな服を着ていて? 何十人もの男がいて、女性はあなた一人だけで? そんな状況でスッポンポン! 恥ずかしくないんですかァ? 大丈夫ですかァ?」
勝ち誇った笑みのハジィは、煽るような馬鹿にしたような口調で、天利のことを楽しそうにあざ笑っていた。
「ほらほら! そんなに膝に顔を埋めていないで、カメラ目線になりなさい!」
ハジィの命令口調には、人質を盾にした脅迫の意思が隠れているはずだ。
「――うっ、くぅぅっ」
泣きたい思いを堪え、天利は赤面しきった顔を上げた。
「教えてあげましょう。あなたの脱いだ衣服は全て、権力者達のあいだでオークションにかけられて、恐ろしいほどの金額で取引されます。町を守る正義のユースティティアから剥ぎ取った本物の制服と下着だなんて、ものすごーいレア商品ですからねぇ?」
「しょ、商品…………」
「あなたのストリップを映した映像も、AVとして販売されるわけですがァ、あなたはどんなお気持ちですかァ? ねえねえ、どんなお気持ちですかァ?」
「とにかく……恥ずかしい……消えたい…………」
「そうでそうかそうですか。消えたい、ですか。確かに透明人間にでもなれたら、今のあなたには最高でしょうねぇ? ま、そういう超能力はないんでしょう?」
「うぅ………………」
「ところで、服従のポーズはご存知ですか?」
天利は首を横に振る。
「おや、ご存知ありませんか? 犬や猫は腹を見せることで抵抗や反抗の意思がないことを示しますが、ユースティティアさんにもそんなポーズを取って頂きましょう。でしたら、私の指示通りのポーズになってください。それが全面降伏のポーズです」
ハジィが告げるポーズはこうだった。
まず、仰向けになる。脚をM字に広げ、両手はワンワンのポーズを取る。招き猫の手という方がわかりやすいかもしれないが、そんな形で握り拳の手首をくいっと曲げ、みんなにお腹を見せるのだ。
「うっ、うぅぅ……うぅ……………………」
天利はそんなポーズを取っていた。
アソコは丸見え、おっぱいも隠せない。全てが視線に曝け出される情けないこと極まりないこのポーズは、天利の胸を服従心で満たしていた。
(恥ずかしい……もう消えたいよォォ…………!)
こんなに大勢に見られるなんて、これからどう生きていけばいいのだろう。
いっそ死にたいほどの恥ずかしさが天利を染め上げ、頭が沸騰せんばかりに羞恥で思考が煮えていた。
「ワンと鳴きなさい。ワン、と」
「ワン、ワン、ワン、ワン、ワン、ワン、ワン――」
敗北者に成り下がった天利は、もう従順にならざるを得ない。
天利は泣いていた。
涙を流しながら、ワンワンと犬の鳴き真似を繰り返し、もう二度と人前に姿を出せないような醜態の中の醜態を晒している。
「ユースティティアが……」
「ふん。こんな落ちぶれた姿を見ることになるとはな」
「っていうかオッパイでけぇ」
「アソコの毛はどんなだ?」
男達はそれぞれの思いで天利の全裸を視姦して、おのおのの好きな部位に視線を送る。ワレメの閉じた綺麗なアソコや張りのあるプルプルのオッパイも、全てが好きなように視姦され続けていた。
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