今までの検査は散々なもので、その恥ずかしさはどれほどのものだったか。
しかも、次の移動でもやっぱり服は着れなくて、往来する他クラス他学年による衆人環視の中、パンツ一枚という裸銅線の姿で廊下を歩く羽目になった。泣きそうな子もいたし、悔しそうに周りを睨んでいる子もいた。
もう充分、これ以上ないほどの羞恥地獄を味わっている。
なのだけど、まだまだより最悪な検査内容が控えていた。
――ギョウチュウ検査……。
お尻の穴にシートをくっつけて、それを後で学校に提出するっていうアレ。
あたしは小学生の頃にやったきりで、当たり前の話だけれど、その時は家で一人で行ったから、特別な恥ずかしさはなかった。
でもこの学校の制度のことだから……。
「女子のギョウチュウ検査は、医師の手によって行われることになっています」
だってさ、もう逃げ出したいくらいだ!
男子は何故だか、従来どおりに家で一人でシートをくっつけることになっているようで、わざわざ人にお尻を出さなきゃいけないのは女の子だけらしい。
女子のざわめきが、さっき以上に騒然としたのも当然だ。
検査場所は保健室で、あたしたちはベットに向けて列を作る。やっぱり男子達もついてきていて、人のお尻を覗く気満々だ。
やり方は、まずベッドの上で四つん這いになる。
すると医者が後ろからパンツを降ろし、尻穴に向かって検査用のシートをぐりぐりと押し付けてくる。
で、そのお尻を向ける方向は……。
野次馬となった男子達へと合わせるらしい。
男の子にとっては見ものなんだろうけど、女の子の身からすれば、これはもはや恐怖すら感じざるを得ない。あたしより順番の早い女子は、検査終了と同時に高速でパンツを履き直し、涙目で部屋の隅へと逃げ込んでいた。
やがてあたしの番がやってきて……。
あたしは、ベッドの上に四つん這いになった。膝を突き、両腕を立て、犬のようなポーズで野次馬達に縞パンのお尻を向ける。
医者は最初の奴らしく、あたしに向かって「また会ったね、咲夜さん」とか言ってきたけど、それは無視した。
こいつ、誰がみてもわかるくらいいやらしい顔してるんだもん。
そんな奴にお尻を差し出さしている自分の姿を思うと、悲しさと悔しさで泣けてくる。
「ではお尻丸出しになってもらいますよー?」
わざわざ、丸出しなんて言い方をしながら、医者はあたしのパンツに指をかける。四つん這いの関係で、下ろす手つきの様子は見えないけれど、腰の両側から指を入れられているのが感触でわかる。
パンツはずるりと下がってゆき……。
あたしは再び、お尻丸出しという情けない姿になった。
さっきのモアレ検診では、撮影の関係で男子も一定以上離れていたから、それがなけなしの救いとなっていた。
でも今は、丸出しに加えて四つん這いの格好なのだ。
しかも検査の邪魔になる領域が撮影よりも小さい。だからモアレの時よりも近い距離で、男子達はあたしのお尻を覗いている。
好奇の視線に撫で回されているような、嫌な感触がお尻の表面を這い回った。
「それじゃ、検査シートをくっつけますので」
医者はそう言ってから、お尻の割れ目に指を忍ばせた。人差し指と中指の二本がラインの上の乗せられ、そしてピースを開くようにして、あたしの尻穴を開帳した。
くうぅぅっ! 恥ずかしい! 屈辱だ!
「お尻の穴もエロいじゃん!」
「バーカ、マンコも見ろよ。毛が生えてるのとかわかるだろ?」
尻穴でさえ猛烈に恥ずかしいのに、どうやら女性器の貝と生え揃った恥毛まで見られてるらしい。
あたしは屈辱を堪えるため、目を強く瞑って歯を食いしばった。
こんなんで恥ずかしさが軽減できるわけじゃないけど、それでも堪える努力をしてなくちゃ、自分がおかしくなってしまう気がする。
「では失礼しまーす」
医者は検査用のシートを尻穴に乗せたのだろう。そんな感触がした。
それから、尻穴の上にぐいっと、力強く、親指の腹が押し付けられてきた。
「きゃあ!」
男子の目の前で穴を弄られる感覚に、あたしはつい悲鳴をあげてしまう。
「感じたのか?」
「いや、普通の悲鳴じゃね?」
男子はそんな風にささやき合う。
ここの生徒は、人が恥ずかしい思いをしても気遣いすらしてくれないんだ……。
「検査結果を確実にするため、何秒かぐりぐりしますよ?」
医者は言いながら、両手の親指をあたしの尻穴へと押し付け、手の平の余った部分を使って、あたしのお尻を揉み始めた。
「あっ、あの! 揉む必要って……!」
「こうしてマッサージをしながら押し付ければ、検査の正確性が増すんですよ」
絶対嘘だ!
もはや自分が素人だからどうという問題でなく、単に好奇心からお尻を好き放題しているのは、火を見るより明らかだ。
明らかなのに、この学校内では性に関する当たり前の主張が通用しないのだ。これもどうせ、学校の特色であるエッチな行事のひとつに違いない。
あたしは耐えることに必死になるしかなかった。
二本の親指は尻穴をほぐし、手の平はとにかく執拗に尻肉を攻めてくる。指を踊らせるようにして、優しく食い込ませてくる。
「くぅっ……ううっ……」
つい声を出してしまい、しまった! と思う頃にはもう遅かった。
「感じていますか?」
最初の検査でもされた、あのセクハラ質問が飛んできた。
「そんな事は……」
「ヘンですねぇ? 痛くはしていないのに、咲夜さんは声をあげました。感じてもいないのに喘ぎ声が漏れるのであれば、その声の原因は何かの病気かもしれません。検査に関わりますので、正直にお答え下さい」
どうあっても、この医者はあたしに期待通りの返事をさせたいらしい。
逆らえないのは悔しいけど……。
「感じ…ました」
そう答えるしかない。
「感じたってよ?」
「ケツ弱いのかなあ?」
男子のひそひそ声がこちらまで届いてくる。
まだ? まだ終わらないの?
医者の手はずーっとあたしのお尻に夢中になっていて、力加減を変えながら揉み続けてくる。尻穴に押し当てられた親指も、力の強弱を繰り返していた。
お願い! 早く終わって!
そう願った時、一人の教師の声が聞こえた。
「あのぉ、先生。時間が押してしまいますので、そろそろ……」
岡部の声だ。
この医者以上にいやらしい顔つきだったクセに、まさか救済に入ってくれるとは、とてつもなく意外だ。いや、本当に時間が押していたから言っただけだろうか。けど、とにかくこの検査が終わってくれるなら何でもいい。
「では咲夜さんの相手はこのあたりで。いいお尻でしたよ」
そんな感想は言わなくていい!
医者の手がお尻から離れるのがわかって、あたしはようやく、多少は安心する。
しかし。
「じゃあ咲夜君。次の検査は全裸で行いますからねぇ。パンツもお預かりさせてもらいますよ?」
一応は助けてくれたかと思った岡部が、そんな事をいいたした。
そして四つん這いのあたしの、脱ぎかけのパンツに指をかけ、ずり下ろしてくるのだった。
これで本当に丸裸だ……。
しかも、こんな格好で廊下の移動までしなきゃいけないんでしょ? せめて移動の間くらい着させてくれたっていいのに、こんなのサイアクすぎるよ……。
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