前の測定で体操着を全て脱がされ、ブラジャーさえも取られ、あたし達女子はパンツ一枚の姿のまま、次の検査の教室へ向かって、廊下を歩く羽目になった。
恥ずかしすぎる……。
だって、廊下には測定とは関係のないクラスや学年の男子が集まっている。ひょっとして、この日のためにわざわざ集まったんじゃないかというくらい野次馬がこぞってきて、あたし達の歩く列をニヤニヤしながら見つめてくる。
せめて移動中くらいは服を着せてくれたっていいのに、この学校ではこんな当たり前の願いすら叶わないらしい。もっとも、もしそれが叶うくらいだったら、最初から男女混合検査なんて真似はされないんだろうけどさ……。
ようやく、廊下の視線地獄を通り抜ける。
次の検査はモアレ検診……。
専用の機材を使って背中を撮影し、背骨に歪みがないかを見るためのものらしい。その際、パンツをずらして、ちょっとだけお尻を見せなくちゃいけないことから、別名半ケツ検査とも呼ばれるんだとか。
女子高生好きの変態岡部が、実に嬉しそうな顔で説明してくれた。
こいつ、みんなのお尻を見るのがよっぽど楽しみなんだろうね。女子一同は逆に、これからしなきゃいけないことに、既に涙目になりかけたり、悔しそうに歯軋りしていたりだ。
で、あたしの番……。
あたしは撮影機材に背中を向け、直立姿勢で立つ。
「ではお尻を約五センチ程度見せてください」
撮影者の言い回しも、どこか卑猥だ。
あたしは恥ずかしさと、それから男子の好奇の目線に耐えながら、白と水色の縞々パンツに指をかけ、ゆっくりとずり下ろす。
約五センチと言われたけど、冗談じゃない。
せめて露出面積だけでも減らしてやろうと画策し、あたしは三センチ程度を意識しながら、少しだけお尻を出した。
「おお! やっぱケツも綺麗だ!」
「なあ、さっきまでの女子とどっちがいい?」
「俺は断然咲夜がいいなあ」
こんなことであたしが良いと言われたって、嬉しくないっての。
「みんなちょっとは女子に気を遣ってよ!」
「この学校じゃ、だからそういう気遣いは無用なの」
どうせ言っても聞いてくれないだろうとは思った。
「みんな最っ低!」
あたしはせめて侮蔑を吐いてやった。
この検査は女子だけなので、そもそも男子は同室にいなくてもいいはずなんだけど、みんな当たり前のように着いて来ている。で、撮影と女子の列を邪魔しない、けれどあたしにギリギリまで近い位置に陣取って、こぞってあたりの裸体を覗いてくる。
お尻だけでなく、胸も太もも、全身が男の視線に撫でられて、肌全体がぞわぞわしてしまう。
「次は体をくの字に折って、両腕を真っ直ぐ伸ばして膝に乗せてください」
後ろを向いる関係で確認できないけど、どうやら直立姿勢での撮影は済んだらしい。
あたしが言われた通り、腰をくの字に折り、お尻を後ろへ突き出すと、またまた男子は歓声をあげた。
「咲夜さん。お尻も全部出しちゃってください」
え? そんな!
あたしは撮影者の心無い言葉に驚愕した。
「前の人も少しだけだったじゃないですか! どうしてあたしだけ」
「人によって微調整が必要でして、さっきまでの皆さんは半分で良かったのですが、咲夜さんの場合、お尻は丸出しにしてもらった方が異常の有無をチェックしやすいです」
どうせ、人のお尻が見たいだけなんじゃないの? 一体、どんな場合があれば丸出しが適切になるのか、さっぱりだ。
心の中ではそう思うけど、この学校のそもそもの制度を思うと、下手に反論を粘れない。いや、実際は粘りたい気持ちはあるけど……。
結局あたしは、涙を呑んでパンツを下げ、お尻を丸出しにした。
「やっぱ形もいいなあ!」
「腰つきからお尻の丸みまでのカーブが絶妙でエロい!」
「おいおい、太もものラインも見逃すなよ?」
男子は相変わらずに感想を述べ合い、興奮し合う。前の女子とどっちがいいかとか、体つきの批評とかを語り合ったりして、まるで女体の品評会だ。その品定めの対象にされているかと思うと、屈辱と恥ずかしさでたまらなくなる。
そんな男子をキッと睨みつけると、
「お? 睨む顔もいいねぇ」
と逆に喜ばれる。
「ケツ出しながら怒っても説得力ないぜー?」
侮辱の言葉を返された。
コイツら、殺したい!
「肌は雪みたいに白いし、尻と太ももの肉はほどよい具合に膨らんでいる」
「オッパイも大きいし、形も良くて美乳だよな」
口々に言い合っているのを聞くたびに、恥ずかしさの度合いも猛烈なものになっていく。
人の体見て、勝手に品評会を開くな!
「はい、いいですよー。綺麗なお尻でしたね、咲夜さん」
やっぱり、撮影者もあたしのお尻が目的だったんだ。
あたしは即座にパンツを履き直し、両胸を腕で覆った。
「咲夜、お前のケツ最高だったぜ?」
「うるさい!」
クラスにはこんな奴らばかりなのか。
検査はあといくつ残っているんだろう……。
コメント投稿