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  • 受付嬢の性接待

       

    
    
    
     受付嬢が紙の束を持って飛び出した。
     三つ編みを大きく揺らしながら彼女は息をついて喘いだ。
     顔が赤い。
    冒険者たちの注目を浴びる中、受付嬢は抱えた紙束を高々と掲げた。「ゴブリン一匹につき、金貨一枚の懸賞金を出します! チャンスですよ、冒険者さん!」
     おお……! と冒険者たちがどよめいた。
     受付嬢が手にしていたのは、冒険者ギルドの支部長が承認印を押した依頼書だ。
     無論、懸賞金を出すのはギルドである、大盤振る舞いもいい所。
     彼女が上司を説得するのに、どれほどの労力をかけたかは、語るまでもないだろう。
     
         §
    
     上司は見抜いていた。
    「お願いします!」
     頭を下げてくる受付嬢。
     彼女がゴブリンスレイヤーを気にしていることは、前からわかっていた。
     しかし、ここまで惚れているとは知らなかった。
     話を遡れば、ゴブリンスレイヤーの村に百匹は超えるゴブリンが来るらしい。
     洞窟のような狭い場所ならともかく、広い平地となると単独ではお手上げ。
     ゴブリンロードなるものまでいるのだとか。
     彼はギルドに集まる冒険者たちに頼んで戦力を集めようとした。
     ――俺が持つ物、全てが報酬だ。とまで言った。
     この騒ぎを聞いた受付嬢が、慌てて上司に掛け合ったわけだ。
     正式な依頼が出れば、みんなも力を貸すかもしれない。
     自分がゴブリンスレイヤーを救えるかもしれない。
     受付嬢の考えを察したところで、上司は言った。
    「一匹」
    「え?」
    「一匹につき金貨一枚もあれば、普段は人が集まらないゴブリン退治も、みんな稼ぎ時とみて群がるかもしれないな。なんせ大量に押し寄せてくるなら、腕に覚えのある奴なら狩り放題だ」
     この認識に間違いはない。
     ゴブリンの一匹や二匹であれば、武器を持った子供に過ぎない。
     いくら大群で押し寄せようが、冒険者もまた大群なら、ただでさえ負ける理由がない。
     その上にゴブリンの専門家がつくのだから、勝ちは初めから決まっている。
    「それじゃあ……!」
     受付嬢の顔がぱっと明るくなった。
     物わかりのいい、話のわかる上司とでも思ったのだろう。
     まさか、ゴブリンごときに大きな予算を出せるものか。
     世の中には巨大な竜や邪悪な魔神がはびこっている。
     ゴブリンごときに金を回せば、小言を言われるのは自分である。
     美味い話ばかりなものか。
    「ゴブリンごときに金を回したとなれば、それについての事後処理に追われるのは俺だ。色々と面倒がある。見返りがないとやっていられない部分があるな」
     上司は受付嬢の背後に回り込む。
    「逆に言えば、見返りさえあればやっていられる」
    「あの……それって……」
     この時点で予感はしていたか。
     上司は受付嬢の背中を見て、タイトスカートの尻を見た。
     むっちりと、厚みよく膨らんでいる受付嬢のお尻。
     そこにべったりと手を置いた。
    「ひぇ!?」
     受付嬢の可愛い悲鳴が上がった。
    「な、なにを……!?」
    「何をって、わかっているだろ?」
     上司はすりすりと撫でてやり、手の平全体を使ってお尻の形をなぞっていた。
    「ですが、こういう……」
     受付嬢は震えるばかり、はっきろとした抵抗をしてこない。
     それもそうだ。ゴブリンスレイヤーの命がかかっている。
     人質付きの交渉と何が違うだろう。
     いつもはセクハラを上手くかわして、槍使いにも営業用の笑顔しか見せていない。
     そんな受付嬢も、今ばかりは俯いて、震えるだけだ。
    「いいのか? 彼が二度とここに来なくなっても」
     この言葉はより効いたか。
    「それは……」
     受付嬢は小さな弱気な声しか出さない。
    「俺の言うことを聞くと約束しろ」
     そう言いながら、上司は股間をお尻に押し当てた。
     テント張りとなったズボンの先で、受付嬢のお尻を突く。
     すりすりと擦りつけながら、腰のくびれを撫で回し、そのまま背中に抱きついた。
    「言うことを聞くな?」
     尋ねながら、服の上から胸を揉む。
    「……はい」
     受付嬢は頷いた。
     これで二人の契約は結ばれたのだ。
    
         §
    
     ベッドを置いた個室に、上司は受付嬢を呼び出していた。
     やることは一つ。
     好みの服装として、仕事中の服で来てもらったが、さて何からしよう。
     既にお互いにシャワーは済ませ、身は清めてある。
    「へっへっへ」
     この女にどう手をつけても構わない。
     そう思うと、下品な笑いがこぼれてしまう。
    「そうだな。フェラからしてもらおうか」
    「ふぇ、フェラチオですね。かしこまりました」
     引き攣りながら、どうにか営業用の笑顔を浮かべていた。
     上司のことは、あくまで契約相手でしかないということだ。
    「頼んだぞ」
     ベッドに腰かけ、床に足をつけて膝を広げる。
     裸の上司の逸物がそそり立ち、受付嬢は恥ずかしそうに目を背けた。
     しかし、見ないままでは始められない。
     床に座った受付嬢は、初めて肉棒を直視する。
     男性経験のない受付嬢だ。間近に見るのも恥ずかしく、触る手つきはたどたどしい。
     ぎこちない手の平が肉棒をそっと包んで、受付嬢の唇が近づいた。
    「ちゅっ」
     と、亀頭に唇が重なった。
     ペロペロ舐める。舐めるだけでも顔が険しい。
     生まれて初めて口をつけるのに、営業の顔立ちは保てないらしい。
     しかし、受付嬢は亀頭まで咥え込む。
    「じゅっ、ずっ、ずぅ――」
     丸く広がる唇の輪に、上司の亀頭が出入りする。
     自分の股に向かって受付嬢の顔が前後してきて、上司はそれを満足げに眺めていた。
     良い光景に決まっていた。
     伏し目がちな受付嬢の顔が前後に動き、不慣れなフェラチオに励んでいる。
    「どうだ? 初めてフェラしてる気分は」
    「……そ、そうですね。とても固くてたくましくいらっしゃるので、咥えるのが大変です。未熟者の奉仕ではありますが、どうかお楽しみ下さい」
     彼女にとっては、契約を果たすためだけの関係。
     弱みにつけ込まれたも同然で、受付嬢が乗り気なはずもない。
     竿まで咥える彼女は、どこか陰鬱で、仕方なくしていることがひしひしと伝わった。
    「はっ……じゅぅ……ずっ、りゅちゅぅぅ――じゅずっ、ずずっ、ちゅっ、ちゅぶっ、にゅぶぅぅ…………」
     顎を大きく開いているのも、少しばかり苦しそうか。
     どうにかやろうと顔を押し込み、後退させてはまた押し込む。
     その繰り返しに疲れてか、口を離した受付嬢は、先っぽをペロペロ舐めた。
     両手で肉棒を包み込み、大切に愛するように唾液を塗りつけ奉仕する。
    「パイズリしてくれ」
    「……かしこまりました。パイズリですね? 服を脱いで行いますか?」
    「そうだな。胸だけ出るように脱いでくれ」
    「かしこまりました」
     営業上の接し方で、どこかで線を引いてくる。
     そんな受付嬢を崩してやり、ひぃひぃ言わせる瞬間はきっと楽しい。
     もっとも、今はまだまだ奉仕をさせる。
    「では……パイズリ、致します…………」
     受付嬢はボタンを外し、受付用のベストを左右にはだける。
     その下に来ていたシャツも、一つずつボタンを外し、左右に広げて胸を出す。
     ブラジャーのホックを外し、緩めた下着を上にずらした。
     おっぱいがプルンと揺れる。
     なかなかのボリュームで、見応えは抜群だ。
     受付嬢は自分の乳房を両手で持ち上げ、身体ごと肉棒に近づいた。
     谷間の中に挟んで、不慣れながらも上下にしごく。
    「いかがでしょうか……?」
     ポーションを売りつける時ならサマになっている営業顔も、今は表情の作りがぎこちない。
     肉棒の相手をすることさえ、受付嬢にとっては初めてだ。
     口内に逸物を入れたのも、こうして胸に挟んでいる感触も、初めて体験している。
     初めてこんなことをして、胸も見られている羞恥と緊張。
     不本意にやらされている恥辱感もあるはずだった。
    
         §
    
     受付嬢はもっと硬派な男が好みだった。
     いくらでも言い寄ってくる男に辟易して、その反動でもあるだろうか。
     ゴブリンスレイヤーは受付嬢にとって新鮮だった。
     それに、他の冒険者がやりたがらないゴブリン退治を率先して引き受けてくれている。
     新人がゴブリン退治に行けば、そのまま二度と帰らないことも、よくある話だ。
     ゴブリンスレイヤーは必ず帰って来る。
     彼女にとって、とてもポイントの高い男で、いつしか営業ではない笑顔も見せていた。
     他の冒険者とゴブリンスレイヤーでは、受付嬢の態度は違った。
     今目の前にいる上司にも、ゴブリンスレイヤーに見せる笑顔は向けられない。
     ――こんなこと……させられるなんて……。
     パイズリに励む受付嬢。
     肉棒の熱気やら、固い感触やらが、乳房の肌に伝わってくる。
     仕方がないと、何度も自分に言い聞かせた。
     命あっての物種で、ゴブリンスレイヤーが死んでは何にもならない。
     生きていてもらわなければ、彼とどうなることもできない。
     こうすれば付き合えるなど、決まっているわけではない。
     わかっているが、そうせずにはいられなかった。
    「そのまま口も使って、パイフェラも試すんだ」
    「こう……でしょうか……」
     受付嬢は自分の谷間に顔を埋め、舌を伸ばしてペロペロ舐める。
    「そうそう。いい感じだ」
     奉仕ぶりを褒めようと、上司は頭を撫でてきた。
     上手だと言われても困る。下手だと言われても傷つく。
     普通は好きな男に奉仕したい。上司はそういう相手ではない。
    「れろっ、れるっ、んちゅっ、ぺろぺろ……」
     口を使った奉仕とパイズリの両立が、初めてなのでやりにくい。
     初めてなりにこなそうと、受付嬢は舌を動かし、先っぽをチロチロ舐める。
     乳房でぎゅっと圧力をかけてみる。そのまま上下にこすってみる。
     谷間に亀頭が見え隠れする。
     乳房の上下に合わせて、顔も上下に動かして、亀頭を口に出し入れする。
     どうしても無念だ。
     どうせ頑張るなら、やっぱり好きな男を相手にしたい。
     好きでもない男のために、頑張る羽目になっている。
     それが何より、無念で仕方がない。
    「こっちを見ろ」
    「え? はい」
     急に言われて、口での奉仕は中断した。
     上から眺めてくる上司と目を合わせ、胸での奉仕は続けている。
     手で乳房を動かして、上下にしごいて刺激している。
    「いいぞ? そのまま続けるんだ」
    「は、はい……」
     何のつもりかわからなかった。
     とにかく続けた。
     きっと、受付嬢の顔を見ながら、気持ち良くなりたいのだろう。
     が、その時。
    
     どく!
    
    「ひっ!」
     受付嬢は驚愕した。
    
     どく! ドクドク! ビュク! びゅるる!
     どくっ、びゅるっ、ドピュっ、ドビュゥゥ!
    
     たくさんの精液が、噴火のように吐き出された。
     下から顎を打たれ、頬にも、鼻にもかかり、舞い落ちた精液が乳房にもかかる。
     ニタっと、上司はにやけていた。
     それでわかった。
     この男は、射精で人を驚かせたのだ。受付嬢の「きゃ!」と驚く顔が見たかったのだ。
     だから何も言わずに射精した。
    「お楽しみ……頂けましたか……?」
     さぞかし面白かったのだろうと、受付嬢は恨めしく上司を見た。
    「もちろんだ。ついでにお掃除フェラも覚えとけば、あいつとどうにかなれた時に役立つかもな」
    「……そうですね。勉強、させて頂きます」
     勉強だ。予習だ。そう思うことで受付嬢は自分を保った。
     射精後の亀頭は白濁に濡れ、表面をコーティングしたようになっている。
     それがカリ首から竿に伝って、根元へ向かって流れ落ちている。
     受付嬢は舌を伸ばし、舌先で舐め取った。
     精液の味が染み込み、顔を顰め、それでもペロペロ舐め取った。
     竿の部分を下から上へと、れろぉぉぉぉ、と舐め上げていた。
      
    れろぉぉぉぉぉぉ…………れろぉぉぉぉぉぉ…………
    れろぉぉぉぉぉぉ…………れろぉぉぉぉぉぉ…………
    
     と、繰り返す。
     肉竿から精液のぬかるみが消え、ただ唾液で濡れているだけになる。 次にはカリ首の部分をチロチロ舐めた。
     亀頭をたっぷり舐め回し、口に含んで汚れを吸った。
    
         §
      
    ちゅぅっ、ちゅぅぅ――。
     ストローから吸い上げるように、吸いついている受付嬢。
     上司はその姿を見て悦に浸っていた。
     顔が前へと動くたび、亀頭が唇に呑み込まれる。後ろに動けば亀頭が出てくる。
    「ちゅる、ちゅりゅっ、ちゅむっ、ちゅずっ、ちゅつぅ……」
     このままフェラチオを楽しむのも悪くはない。
     お掃除が済んだ後も、もう一度奥まで咥えさせた。
     たっぷりと奉仕をさせた。
     技に磨きがかかるまで、じっくりと続けさせ、口内に射精した。
     二度目の射精後もお掃除フェラをさせ、また出したくなったので咥えさせた。
     フェラチオだけで三回は射精して、三回ともお掃除をさせた。
     やっとベッドに上げる頃には、受付嬢は二度も精液を飲んでいる。
     それだけ出しても、上司はまだまだ余裕を残していた。
    「さて、次はわかっているな?」
    「それは……するのですよね……」
    「そうだ。するんだ」
     上司は両手で胸を揉む。慣れた手つきで撫で回し、刺激を与え、乳首を立たせた。
    「んっ、んぅ……」
     受付嬢は感じている。乳首を弾くと気持ちよさそうに身を捩る。
     上司はスカートに手を伸ばし、ショーツまで脱がせた。
     これで受付嬢は下半身裸。上も乳房を出している。
     太ももをまさぐり、アソコを弄ると、よりモゾモゾと動いていた。
     指を入れ、出し入れする。
    「あっ、んん……! んっ、んふぁ……はぁ……はぁ……」
     明らかに反応が変わって来る。受付嬢の目尻に涙が浮かぶ。
    「気持ちよさそうじゃないか」
    「そんなこと……!」
     受付嬢は首を振る。
     好きでもない男で感じているとは、素直に認めたくはないだろう。
    「これなーんだ」
     濡れた手を見せつけた。愛液をたっぷりまとい、滴が垂れるほどに濡れた手だ。
    「……っ!」
     目尻で力み、受付嬢は朱色になって顔を背けた。
    「本番の時間だ。いいな」
    「…………はい」
     本当は良くないのだろう。
     好きでもないのに、他に想っている相手がいるのに、こんな形で。
     運命を恨み、嘆く気持ちが受付嬢の全身から放出される。
     そんな受付嬢に、上司は足を開かせた。
     受付嬢は開脚した。
     入り口がよく見える。濡れており、いつでも挿入可能。
     上司は上から覆い被さり、亀頭を押し当て、先っぽを一センチだけ呑み込ませた。
     あとは腰を前に押し出せば、上司の肉棒が受付嬢の処女を奪う。
    「………………」
     受付嬢は目を合わせず、横ばかりを向いている。
     真っ赤な耳が上司の方を向いていた。
    「頂いてやる」
     上司は耳へ向かって囁いた。
     そして、一気に挿入した。
    「あぁ…………!」
     穴の大きさによるきつい締め付け、熱湯のような熱さに、愛液でのぬかるみ。
     心地良い刺激が肉棒を包む。狭い穴をすんなりと出入りする。
     上司は抉るようなピストンを行った。
     弓なりに腰を引き、奥まで尽き込む。バウンドのように引いては突く。
     腰の動きはリズミカルだ。
    「あっ、あ、あうっ、うっ、んぐっ、んっ、んくっ…………」
     受付嬢は苦しそうな声を上げ、脂汗を浮かべている。
     髪を振り乱し、乳房を上下に揺らしている。
     上司は夢中で快楽を貪った。
     他に好きな男がいる。そんな女を征服している喜びに溢れ、一心不乱だった。
     射精感が込み上げ、胸と顔を狙って撒き散らすが、一発では収まらない。
     萎えることを知らない肉棒を挿入し直し、また動く。
    「あっ、あっ、あくっ、ぐっ、んっ、ん、ん、ん、んぁっくぅ……!」
     相変わらず苦しそうに喘いでいる。
     出入りする肉棒の、竿の部分にまとわりつくのは、受付嬢の愛液だ。
     破瓜の血がシーツに広がり、そこに愛液も滴り落ちる。
     上司は何度も射精した。
     何度も何度も、受付嬢の体に精液をかけ、白濁に汚していった。
     髪に染み込み、肌中にまとわりつき、衣服も濡れた。
     上司が満足する頃には、全身が白濁まみれになっていたのは言うまでもない。
    「ゴブリン……スレイヤー…………さん…………」
     疲れ切った虚ろな目で、受付嬢は小さな声を発していた。
    
    
    


  • 女神官 試練のフェラチオ

       

    
    
    
    
     ――地母神様は、何故このような試練を課されるのでしょうか……。
    
     女神官はここ数日、神殿に籠もっていた。
     ひとえに試練のためである。
     在野に下った聖職者たちは、その力量と位階によって、神託と共に新たな奇跡を与えられる。
     どうやら彼女の信仰心は、彼女自身が思っていたよりも、強固であったらしい。
     しかし、中年神父が告げた試練の内容に驚いて、そして赤らんだ。
     清らかな乙女には耐えがたいものだった。
     だが、中年神父は地母神様のお言葉を授かり、神のご意思に従っているだけ。
     中年神父に他意はない。
     はじめは抵抗でいっぱいだった。触れることもできなかった。
     何せ、口を使った肉棒への奉仕なのだ。
     神のご意思であれば、かようなことも恥を忍んでできるはず。
     地母神様から下された、そんな試練。
     何とか触り、手コキから始め、やっと先っぽだけを舐めたのは、試練初日のこと。
     繰り返せば少しは慣れる。
     最初の日では、先っぽをペロペロとするだけで許しを得たが、二日目は咥えた。
     三日目では裸でやった。
     そして、今回は四日目を迎える。
    「では今日も頼むよ」
     神聖な石像を背に、豪奢なソファに座した中年神父は、ズボンのチャックを下げていた。
     雄々しい肉棒がそそり立ち、天窓の陽を浴びて神々しい。
     慣れは完全ではない。
     まだまだ、恥じらいもなく、ごく平然と奉仕するほどではない。
     男の前で裸でいるのも、緊張して恥ずかしい。
     少しばかり赤らんで、躊躇しながら、女神官は手を触れた。
    「……はい。始めます」
     大理石の床に膝を突き、根元を握って上下にしごく。
     竿を扱う右手。左手は玉袋を揉む。
     しばしは手コキに励んだ。
     石のように硬い肉塊に刺激を与え、カウパーが出るのを待つ。
     先端にぷっくりと、透明な汁が出てきた時、女神官は唇を近づけた。
    「――ちゅっ」
     キスであった。
     女神官の口の中へと、精液のツンとした香りが広がる。
    
     ぺろっ、ぺろ、ぺろん……ぺろぉ……れりゅっ、むちゅぅ……。
    
     ペロペロと舐めていた。
     先っぽから溢れ続ける透明汁を、舌でチロチロと掬い取る。
     その姿は不思議と神聖な祈りを捧げているかのようだ。
    
     ぺろぺろっ、ぺろっ、ぺろ、ぺろぉ……。
    
     それは神より捧げられるものを受け取っているからか。
     時折、唇を押しつけている。唇でまぶすように、唾液を塗っている。 また舐める。
     亀頭が丸ごと余すことなく、全て唾液濡れになるように、丁寧に舐めている。
    
     れろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ…………。
    
     竿の生え際。玉袋と肉棒の境目。そんな部分に舌先を当て、先端を目指して舐め上げる。
    
     れろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ…………。
     れろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ…………。
     れろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ…………。
    
     丁寧に繰り返す。
     玉袋から先端にかけての、竿の裏側は、まんべんなく唾液に濡れた。
     ならば横の部分も舐める。
     側面の根本から、やはり先っぽにかけて丁寧に舌を這わせて、唾液を丹念に塗っていく。
    
     れろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ…………。
     れろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ…………。
     れろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ…………。
    
     たっぷりと唾液を乗せた舌を使って、丹念に奉仕する。
     肉棒がまんべんなくヌラヌラと光沢を帯びきるまでそれを続けた。
     そして、咥えた。
    「あむぅぅぅ…………」
     口内に迎え入れ、頭を前後に動かし始めた。
     こうも太いものを頬張れば、口が塞がり息がしにくい。
     鼻息を吸い上げて、女神官は奉仕に励む。
    「じゅっ、じゅむっ、ぢゅっ、ぢゅぅ……ちゅぢゅ…………」
     ――こんな、いやらしい。
     自分がいかに卑しいことをしているかと思うと、女神官は朱色に染まって目を伏せる。
     それでも、これは試練だ。
     信仰心を行動で示すための、地母神からの試練だ。
    「はじゅずっ、ずずぅ……ずぅ……じゅずぅ…………」
     神へのお仕えと思えばこそ、女神官は励んでいた。
     ――いやらしいけど、これは……。
     儀式、なのだ。
     神聖なものとして取り組まなければならない。
     信仰の元に、懸命にやらなくてはならない。
    「ずずずっ、じゅずぅ……じゅむっ、んむっ、んっ、んぷっ……」
     顎が疲れるほど大きく開いた口の中に、唾液をまとった逸物が出入りする。
     中年神父の手が頭に置かれ、女神官の髪を優しく撫でた。
     指でかきわけ、さらりとした金髪のあいだを通る。
    「じゅずぅ――ずぅ――ずりゅぅぅ――――」
     女神官はおもむろに見上げていた。
     中年神父と目が合った。
     彼が眺めるのは、逸物を口に含んだ女神官の顔しかない。
     おもむろに、中年神父の手が女神官の頭に置かれた。
     射精するのだ。
     女神官は身構え、受け入れる準備をする。
    
     ――びゅく!
    
     口の中で、肉棒が弾んだ。
    
     ――びゅく! びく! どくっ、どく! ドク!
    
     脈打ちながら、女神官の口内に白濁を撒き散らす。
     舌の上も、頬の内側も、精液でべったりとしていた。
     女神官はそれを飲み干し、あとはお掃除フェラ。
     これが試練だった。
     新たな奇跡を授かり、ゴブリンスレイヤーの役に立つため、女神官は最後まで励んでいた。
    
    
    
    
    


  • 妖精弓手の身体検査

       

    
    
    
     冒険者とは所詮、信用や信頼がなければ無頼漢に過ぎない。
     そして冒険者ギルドで扱っている商品とは、信用と信頼に他ならない。
     信用と信頼を得るために、ギルドがいかに冒険者を管理しているかのポーズがいる。
     それが定期の身体検査だ。
    「なッ、何よ! 男だけって!」
     信じられずに喚く声。
     検査対象は妖精弓手だった。
     しなやかな全身を狩人装束で覆い、背には大弓。
     見目も麗しい細見の女だ。
     その耳は、まるで笹歯のように長く伸びている。
    「女は担当から外れたのだ」
    「色々と都合というやつだ」
    「何、ただの検査だ。気にする必要はない」
     男達は二十人近い。
     別に妖精弓手がどうということではない。
     しかし、個人で力を持つ冒険者が、その気になって暴力で抵抗すれば太刀打ちできない。
     誰であれ、対策として人数を入れ、さらには依頼で雇った冒険者まで立ち合いにつける。
    「オルクボルグ! なんでアンタまでいるのよ!」
    「頼まれたからだ」
     こんな場所でも鎧を纏い、兜も脱がない男がそこにいる。
    「親切な俺がフォローするけど、こいつは昇級の査定に立ち会うと思っていたらしいぜ」
     この場で一番ニヤけている雇われ男は、女の裸目当てに依頼を受けた。
     信用や信頼を損ない、昇格の芽を失うが、雇われ男はそれでも裸を見たがる人間だった。
    「本当でしょうね?」
     疑いの眼差しを、妖精弓手はゴブリンスレイヤーに向ける。
    「以前。受付嬢に頼まれたからな」
    「ふーん? 一応信じてあげるけど、知り合いまでいるっていうのに……」
     身体検査においては脱衣が要求されている。
     巻尺で胸囲などを計測し、穴の中身を調べて、記録に書き込み書類を作る。
    「俺も知り合いに見られた」
    「オルクボルグも?」
    「受付嬢だ」
    「そ、そう……」
     諦めて脱ぐしかない。
     妖精弓手は背中の大弓と、腰の矢筒をテーブルに置く。
     首の結び目を解き、マントを外した。
     ブーツを片方ずつ、グローブも片方ずつ、生の手足が曝け出される。
    「お? お?」
     雇われ男は明らかに期待の眼差しを浮かべた。
     ここから先は、一枚脱ぐたびに露出度が上がっていく。
    「そんなに珍しい? これだから男って」
     妖精弓手は嫌そうな顔をする。
    「俺はアンタみたいな美人が来るって聞いて依頼に飛びついたぜ」
    「最低……」
     美人が脱ぐのに、注目しない男はいない。
     露骨にニヤけるのは雇われ男一人だが、この場の男達も内心期待を膨らませる。
     妖精弓手が衣服の丈を持ち上げ、脱ぎ去っていく瞬間を誰もが見逃すまいとする。
     視線の重圧をひしひし感じ、脱ぎにくくなる一方だ。
    「余計なお世話かもしれんが」
     ゴブリンスレイヤーが言う。
    「余計な口を開くべきではない。降格や依頼停止処分を受ける可能性がある」
    「へいへい。なら黙ってますよ。へへっ」
     ゴブリンスレイヤーのおかげで、雇われ男のお喋りはなくなるが、顔つきは同じ。
     ニヤニヤして、妖精弓手の脱衣に好奇心を膨らませている。
     一応お礼は言うけどと、ぶつぶつと呟きながら、妖精弓手はいよいよ脱ぐ。
     視線という視線の中で、だんだんと丈を持ち上げていく。
     上半身はブラジャー一枚となった。
    「別に大したことないわよ? どうせただの検査だもの」
     ベルトを外し、下も脱ぎ、妖精弓手は完全な下着姿。
     上下とも、下着は薄緑だ。
     頬に朱色が差し掛かり、それが耳にも広がっていく。
     声は少し震えていた。
    「こんなのさっさと済ませてやるわ」
     ブラジャーの留め具を背中で外し、妖精弓手は控え目な乳房を露出した。
    「~~~~~~っっっ!?」
     いざ晒せば、妖精弓手は想像以上に顔を歪め、赤面の色を濃くしていた。
    「大丈夫か。熱っぽいぞ」
    「うるさいわよ! オルクボルグ!」
    「すまん」
    「あなたも黙ってて頂戴」
    「そうしよう」
     ゴブリンスレイヤーは黙り込む。
     次が最後の一枚だ。
    「さ、さてっ、あとはこれだけねっ、これ脱いだらさっさと済ませて頂戴っ」
     そう言って妖精弓手は腰をくの字に、緑のパンツに指をかけるが、なかなか脱がない。
     いや、脱げないのだ。
     乳房を晒しただけでさえ、空気が丸ごと一変した。
     最後の一枚を失えば、男達の視線がより強く、雇われ男もよりニヤける。
     しかし、ここまで来て脱ぐに脱げず止まったままでは、余計に長引く。
    「ふん! どうってことないわよ!」
     そう主張する妖精弓手の頭は沸騰している。
     パンツを下げ始めれば、尻に視線が集中していく。
     腰をくの字にした脱ぎ方が、後ろに向かって少しずつ尻を見せているのだ。
     パンツが下がるにつれ、尻の割れ目の線が伸び、露出度愛が上がっていく。
    「さ、さあ! 脱いだわ! すぐ! さっさと済ませて!」
     完全な丸裸となり、妖精弓手の両手は自然に動き、大事な部分を覆い隠す。
     アソコを手の平にぴったり覆い、腕で乳房を力強く守っている。
     太ももまで強く引き締めていた。
     この中の誰か一人にでも、アソコを見られる可能性をなくそうとする。
     肉体がそのように動くのだ。
     強張った肩が高らかに持ち上がり、唇の周りにある表情筋肉が強く力む。
     頬も硬く、目は涙ぐむ。
     そして、赤く染まりり上がった首から上は、まるで生まれつき肌の色が違うかのよう。
    「隠していては時間がかかりますよ?」
     男達の中から、一人が言った。
    「わかってるわよ!」
     妖精弓手は自分の両腕を動かせない。
     隠そう隠そうとする思いは強く、体がなかなか動かない。
     ただ気をつけの姿勢を取るだけで、妖精弓手にとっては重労働になっていた。
    「これで文句ないでしょ!?」
     平らめの、控え目な乳房から乳首が尖る。
     あれほど隠したワレメの部分も、男達の視線の中に晒されている。
     妖精弓手は無数の視姦の中に放り込まれた。
     じいっ、じぃぃぃっ、じっ、じい、じぃぃ――二十人以上の目。
     ありとあらゆる視線が、妖精弓手の表情と身体を見比べる。
     乳房を眺め、アソコを見る。
     尻の丸みを観察する。
    
    *
    
     これからブラジャーが見えようというところで、その顔は赤らみ始める。
     腰はくの字に折れ、知らず知らずのうちに後ろへ尻を突き出してしまう。
     ――と、こういったことを彼は速記していく。
     検査の記録係なのだ。
     妖精弓手の言葉、表情、様子は何もかも書く。
     記録係のペンは踊るように走り抜け、妖精弓手の指先一つの挙動も見逃さない。
     面白い、楽しいに決まっているからだ。
     男の裸ばかりで飽き飽きしていた。
     そんな時、妖精弓手のような美貌の裸体に浮かれないはずがない。
     妖精弓手の裸体がいかに艶やかで良いものか。
     記入係は力の限り書き尽くす。
    「ああもう! 時間かけないでよ!」
     巻尺でスリーサイズを測ろうとする男に、妖精弓手は喚いていた。
     誰だって、この面白い時間を早急に切り上げるのは、勿体ないと思うはず。
     男はゆっくりとにじり寄り、胸に巻尺を巻き付けたあと、目盛り合わせに手間取った。
     わざと、手こずってみせているのだ。
    「こんなのいつまで……」
     巻尺によって隠れた乳首が、乳輪だけをはみ出させる。
     やっと数字が読まれると、記録係は当然書き込む。
    「――!?!?!?!? こ、声が大きいわよ!」
     バストサイズを大声で発表されたことで、目を大きく見開き、パチクリさせた。
     面白いくらいの動揺だ。
     続けてアンダーバストとウェストの計測。
     もちろん、若干手こずってみせている。
    「本当にいちいち……!!!」
     数字を読めば、そのたびに妖精弓手の顔は歪んだ。
     表情がコロコロと移り変わって、わかりやすく恥じらう。
     そんなもの、見ていて飽きないに決まっている。
     ヒップサイズを測る時だ。
    「――ひィっ!?!?」
     尻にぺたりと手を置く測定者の行動はナイスと思った。
     触られた瞬間の、何よりもびっくりした顔。
     それに、背筋を反らさんばかりにピンと伸ばす反応。
     傑作じゃないか。
    「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと……ッ!?」
     顔つきが慌てふためき、口を大きくパクパクさせる。
     尻をよく可愛がり、撫でている男の手つきの、なんとねっとり厭らしいことか。
     どんな感触がするだろか。
     きっと、とても柔らかい。
     こちらからは尻が見えないのが実に惜しい。
     が、指をぐにっと食い込ませ、揉むことまでしているはずだ。
    「いい加減に――」
     怒った妖精弓手が、咎める言葉を放ちかけると、その瞬間にすっと手が離れた。
    「むぅ……」
     何も言えなくなり、黙る妖精弓手の、ムスっとした顔の可愛さ。
     尻に巻尺を巻き付け、ヒップサイズを読まれる直前になると、妖精弓手は目を伏せる。
     ぐっと真横へ瞳をやり、俯いている妖精弓手は、まるで判決を下される前の罪人だ。
     大きな声で発表されることを覚悟していた。
    「――――っっっ!!!」
     そして、読まれた瞬間の、ぐっと唇を引き締めた顔もなかなか。
    「これでスリーサイズは済んだぞ?」
     と、ピシっと尻を叩かれると、いい音がここまで聞こえて来た。
    「やめなさいよ……ッ!?」
    「まあまあ。あとは乳首と性器と肛門の計測だけだ」
     妖精弓手には非情な宣告も同じだろう。
     そう聞かされただけで、うぐっ、と息を呑んでいた。
    「オルクボルグ! ここで見たもの聞いたものは全部忘れること!」
     矛先はゴブリンスレイヤーに向けられる。
    「善処しよう」
     彼はただ淡々と返すのみ。
     どうせ忘れやしないだろう。
     知り合いの裸を見て、記憶に焼き付けようとしない男はいない。
     記入係はぐっと期待を寄せ、さらなる計測の場面を待ち構えた。
     
          *
     
     測定者の男は定規を片手ににじりよる。
     物の長さを測るだけの道具。
     今の妖精弓手には、これが剣や弓のように恐ろしいはずだ。
    「や……嫌……」
     ともすれば、後ずさりをして逃げ出しそうな妖精弓手に興奮する。
     自分に怯える女の、なんといいことか。
     女を襲うやれ盗賊だのゴブリンだのは、きっとこんな気持ちに違いない。
     ある意味、冒険の方がマシではないか?
     こちらが野蛮な小鬼なら、向こうは好きに反撃すればいい。
     身体検査の場で、それはできない。
     逃げることもなく、戦うこともなく、定規を持つ男の接近をただ受け入れる。
    「測るぞ? 動くなよ?」
     ぺたりと、小さな胸に定規を当てた。
     薄らかな山が定規の形に沿って潰れ、乳輪の部分に目盛りが合わさる。
     ここまで迫れば、口付けさえできるほど、妖精弓手の顔は目前。
    「何よ……」
     顔を反らしきっている妖精弓手の、尖った耳の先っぽが、測定者を向いている。
     その「何よ」という問いに向け、測定者は乳輪の直径を発表した。
    「……ッッ」
     歯を食い縛っている様子がわかる。
     拳も握り締めていた。
     さらに乳首のサイズも測り、次は下の方の計測だ。
    「立ったままでは測りにくいな。テーブルで横になって、脚を広げるんだ」
    「んな……ッ!? で、できるわけ……」
     さらに追いつめられた顔をして、頬を引き攣らせる。
    「さっさと済ませたいんだろう?」
    「それは……そうだけど……」
    「やるしかないな」
    「あ、ははっ、本当に……最悪……ッ!」
     もう笑うしかないといった心境なのか。
     テーブルに乗り上がり、その上で仰向けになる。
     男達が総じて一歩距離を詰め、より見世物らしくなっていく。
     妖精弓手は両腕でがっしりと胸を隠す。
    「何よッ、いいでしょ別に!」
     測定者がその挙動を伺うと、こちらは何も言っていないのに喚いてきた。
     自分もテーブルに迫りつつ、わざと横へどいてやる。
     しっかりと閉じた脚が左右に開く瞬間を、みんなに見てもらおうという計らいだ。
     今、妖精弓手は再びアソコを隠している。
     足首がクロスのように重なり合い、その下に隠れて性器は見えない。
     一度視線から保護したものを、再び視姦に曝け出すのは辛いだろう。
    「何よみんなして。そんなに見なくてもいいじゃない……!」
     妖精弓手は目に恥辱を浮かべ、一筋の涙までこぼしていた。
    「早く済まそうじゃないか」
    「だから、わかってるわよッ!」
     見せればいいんでしょ! と、やけくそに開脚する。
     その解放の瞬間を大勢で目撃し、大勢の目がワレメを各々の記憶に刻む。
    「ところでオナニーをしたことはあるか?」
    「はぁ!?」
     目が大きく見開かれ、驚いた顔で妖精弓手は喚き散らす。
    「あるか?」
    「あるわけないでしょ! 何聞いてんのよ!」
     さて、この瞬間だ。
    「嘘だな」
     一人の男が言う。
     ここには《看破》を使う男もいる。
    「やめなさいよ! 奇跡をつかってそんな質問!」
    「これは面白い。ゴブリンスレイヤーとの性交を妄想してオナったのか」
     その小鬼殺し本人がいる中での暴露である。
     いっそ全員が見知らぬ他人であった方が、いくらかラクだったろうに。
    「いやぁぁぁぁ! 聞かないで! 聞かないでオルクボルグ!」
    「善処しよう」
    「兜の下の素顔を知っているらしいな。それで、エロい目で見るようになったか」
    「実は俺も見たことあるぜ。ゴブリン一匹、金貨一枚の後にな」
     雇われ男は実に久々に口を開いた。
    「なかなかの美形らしいな」
    「そりゃあ、妄想のネタの一つにもしようものか」
    「はははは」
     妖精弓手のオナニーを肴に雑談の輪が広まっていく。
     それでいて、足を閉じようとする気配があれば、必ず誰かが注意した。
     誰もがアソコを眺める。
     測定者だって眺めている。
     妖精弓手のこの性器が、まさにオナニーに使われたものだからだ。
    「いいから! いいから早く終わりなさいよ!」
     必死に喚いていた。
    「その通りだ」
     その時、ゴブリンスレイヤーが言う。
    「身体の計測と聞いている。オナニーについて尋ねるのは何故だ」
    「なあアンタ。あいつはお前でオナニーしてたんだぜ?」
     雇われ男がゴブリンスレイヤーの肩に絡んだ。
    「そうらしいな」
    「もっと知りたいとは思わないのかよ」
     悪ガキが優等生をイタズラに誘おうとする嫌らしい笑みそのもの。
    「何をだ」
     ゴブリンスレイヤーの表情はうかがい知れない。
     そもそも、素顔は兜の中にある。
    「は、何をって。指は挿れるのかとか、どんなプレイの妄想かとか」
    「性欲。好奇心。いいだろう。そういうものが俺にもあることは認めよう」
    「だろ?」
    「だが、今回の身体検査には関係がない。俺が受けた依頼は検査への立ち合いだ」
     淡泊な反応に、さすがの雇われ男も白けていた。
     それが伝染したように、他の男達も冷めていく。
    「さて。ま、続きといくか」
     気を取り直し、測定者はアソコのワレメを定規で測る。
     その数字を大きな声で発表する。
    「くっ――!!!!」
     それに妖精弓手は顔を歪める。
     今度は中身を開いた。
     なるほど、いい色合いをしている。
     綺麗なピンク色の中身は、膣の奥から滲む愛液で、キラキラと輝いている。
     クリトリスのサイズを測り、膣口の直径も読み上げた。
     性器について調べ尽くされ、妖精弓手の頭は沸騰している。
     検査マニュアルによれば、あとは穴の中にも――。
    
         *
    
     いやぁぁぁぁぁ! 指がっ、指が入って来る!
     濡れたアソコは簡単に指を呑み込み、きゅっと下腹部が引き締まる。
     ――そんなとこ、なにもないわよぉぉ……。
     膣内に収まる指の存在が、妖精弓手の意識をごっそりとかき集める。
     太く、立派で、関節が骨で膨らむ指だ。
     膣壁をなぞり、探られると、こんな大勢の中で妖精弓手は乱れかねない。
     お願い……やめて……!
     感じている姿を誰にも見られたくなんてない。
     妖精弓手のまぶたはぎゅっときつく閉じ合わさり、開く気配はどこにもない。
     しかし、クリトリスに指が当たった途端だ。
    「――ひっ」
     甘い痺れが弾け、驚いて目を開くと――。
    
     じぃぃぃぃぃぃ……じぃ……。
     ジィィィ――。
     じっ。じっ。じろっ。
     ジィィ――ジィ……じぃ……。
    
     たくさんの視線が、自分に降り注がれているのを目の当たりにした。
     テーブルで仰向けの、それも脚を開いた姿を、集まってみんなで眺める。
     覗き込んで来る顔という顔が、ニヤっと歪んでいた。
     私……こんなにたくさん見られて……。
    「よし、次だな」
     測定者が指をアソコから引き抜くことは、妖精弓手にとって救いにならない。
    「四つん這いになってもらうぞ」
    「~~~~~っ!?!?!?」
     頭が破裂するほど感情が膨らんで、妖精弓手は顔中から汗を噴き出す。
     顔の汗だけで、首から上の肌一面がまんべんなくしっとりしていた。
     赤面の生み出す熱が、どこか汗を蒸発させているようで、顔から蒸気が出て見える。
    「す、すぐ……すぐ……終わるっ、わよ……ね……?」
     どこか壊れた声を履き、妖精弓手は身体を返す。
     四つん這い。
     それも、胸と頭は低くして、尻だけを高くせよとの要求だ。
     ――こんなお尻見せびらかすみたいなポーズってある!?
     尻の割れ目が開け、肛門が丸見えとなる体勢は、そこに視線を集中させる。
     ――やだっ、お尻の穴が……!
     視線という視線の数々を感じれば感じるほど、妖精弓手の肛門はヒクっと動く。
     ぺたりと手の平が乗せられて、妖精弓手はぶるっと震えた。
     生温かい、測定者の手が、がっしりと尻肉を掴む。
     次にあるのは定規の固い感触と、そう来れば直径が発表された。
     ――お尻の穴まで測られて……もう死にたいわよぉ……!
    「最後に肛門の皺の数を数える」
    「な、何よそれ!」
     そんなっ、まだこの格好でいろって!?
     じょ、冗談じゃ……。
    「ゴブリンスレイヤー。しっかりと立ち合ってやれ」
    「わかった」
     冗談じゃないわよ!
     尻の真後ろの位置に、鎧を着込んだ気配が立つ。
     身内にさえ、肛門がよく見えている状態で。
    「一、二、三、四、五、六――」
     カウントが行われ、皺の本数まで知られることとなった。
    
         *
    
     オルクボルグは何もかも知っている。
     あの名も知らぬ男達も……。
     嫌、嫌すぎるわよ……こんな……誰か全員の記憶を消してよぉ……。