第15話「六日目③ 賭けの提案」

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 そして、指が挿入される。
「――うっ、うあ! ああ! んああああ! イク! イク!」
 たったの指一本でよがり狂ったリーナは、やはり絶頂寸前の寸止めを受け、イクことができないままの体にされていた。
「イカせなーい」
 ジョードは楽しげに笑う。
「アンタ! そうやって、いつまでも私を嬲って!」
「おねだりができたらイカせてあげる」
「それだけはしないわよ!」
「どうして?」
 ジョードはわざとらしく首をかしげる。
「いくらアンタのチンポが美味しいからってねえ! 愛情のある人の方がもっと美味しいに決まってるの! たかがジョードごときで美味しいこと自体、キアランの方がもっと美味しい証拠なのよ! 一番じゃないアンタには、おねだりなんてするわけない!」
 だいたい、リーナはジョードが憎いのだ。憎しみありきで感じているのに、どうしたら女が男に媚びるような、淫らでみっともない台詞を言えるのか。
「だったら、また寸前まで連れて行ってあげるよ」
 ジョードの指が動き始め、膣口から出入りする。壷を心得たピストン運動は、リーナの弱点ともいえる膣壁の部位を正確に狙い、思うままによがらせた。
「いやぁ! あぁ! ああん!」
 体をコントロールされている。
 そのことに気づいたのは、ジョードの指がくいっと動き、それと同時に自分の背中がビクンと高く跳ね上がってからだ。まるでおもちゃ遊びのような感覚で、好きなタイミングでリーナの身体を弾ませたり、髪を左右に振り乱すような反応を引き出しているのだ。
「はい。それ!」
 ――ビクン!
 腰が弾んで尻が浮き、ベッドシーツを打ち鳴らす。
「ほい!」
 ――ビクン!
 今度は背中が反るようにして弾み上がった。
(くそぉ! くそぉ! なんでこんな! ここまで思い通りにされるなんて! あっ、んぁっ、ああああ! あっ、だめっ、やめてぇ!)

 ビク! ビク! ビク!

 連続で肉体を操作され、挙句の果てに寸止めだ。
(い、イカせてくれない……!)
 それが憎いかのようにジョードを睨んだ。
「リーナちゃんがおねだりをして、どうしても僕のチンポで絶頂したいっていうんなら、僕だってリーナちゃんを天国へ連れて行ってあげるんだけどな」
「だからねぇ! どんなことをしたって、私の心はアンタのものにはならないの! 今は調子に乗っているけど、すぐに私の体はキアラン専用になるの!」
「もう無理だよ?」
「んんぅ!」
 クリトリスをツンと突かれたそれだけで、リーナの背中はまたも弾んだ。
「リーナちゃんの肉体はねぇ? もうねぇぇ? 僕専用になってるんだよぉぉぉぉ!」
「嘘よ!」
「だったら、賭けをしよう。リーナちゃんはこれから僕のチンポに跨って、先っぽが1センチだけ入った状態を維持するんだ」
「本番無しって約束じゃないの?」
「だから、1センチしか入れないんだってば。騎乗位のポーズを取って、腰を落とせば僕のチンポがずっぽりと入っちゃう状態のまま、僕のチンポを我慢するんだよ?」
「で? 賭けに勝ったら、何か良いことでもあるってわけ?」
「明日は何もしないであげる。本当は七日間だけど、今日までで終了ってこと」
「……え?」
 リーナは瞳を大きく丸めた。
 思いは複雑だった。
 散々調教され尽くしたリーナの肉体は、憎い相手にされるからこそ、マゾ嗜好のようにビクビクと激しく反応する。完全に心とは相反する態度を見せるため、どんなにジョードを拒みたい気持ちがあっても、肉体の方はチンポを望んでいる。
(一日早く終われるなんて……)
 心は嬉しい。最高だ。せいせいする。もしそれが実現したら、幸せすぎて歌でも歌いたくなるだろう。
 だが、疼ききった体にとっては、とても残念なお知らせといえた。
(嫌だけど、明日もされたい……私がこんな風に思ってるなんて…………)
 リーナの心境はそんなところだ。
「どうするの? 賭けに乗る? それとも、やめておくぅぅぅ?」
「やるわよ」
 リーナはきっぱりとそう言った。
(私の体は、私の心に反しているのよ。心では違うことを思っているのに、体が勝手に心を裏切って、ジョードみたいな豚男でよがってる)
 負けてはいけないと、リーナは判断した。
 ジョードから否応無しに受ける愛撫は、悔しいけれど耐え切れない。しかし、自分で我慢できるチャンスがあるなら、心が強くある限り負けはしない。
「やってやろうじゃない。アンタこそ、あとから約束を破るなんて言ったら、必ずその鼻を折りに行くからね?」
「いいよ。じゃあ、準備しよっか」
「……準備?」



 
 
 

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