第3話 肉バイブの手記

 痴漢妨害の罪により、本来、より大きな刑を課されるはずのクロエだが、裁判員の主張によって、減刑の措置が下された。これはインストラクターとしての働きしだいで、どこまで減刑するかを決定するものであり、その時点で罪を減らすものではない。
 その後、実際にクロエの働きを評価するにあたって、インストラクターとしての責務は十分に果たしたものの、手記を残す義務を怠ったとの指摘があった。
 どの程度の性的快感を痴漢行為によって受けたのか。その記述が最低限の域にも達しないのは、あまりにも大きな欠落ではないか。
 この指摘により、もっと大きく減刑する予定から、少々の減刑に留めるものとし、肉バイブの刑を下すものと決定した。
 肉バイブとは、男性器を模したアイテムである。
 本物の男性器を再現したものであり、刺激を与えることによって勃起して、睾丸部の中身さえ補給していれば、射精すら行うものである。
 クロエはこれにより、擬似的な奉仕や性交を披露、皆の鑑賞対象となり、我々全員を大いに喜ばせなくてはならないものとする。
 また、その働きや手記の内容評価により、追加の罪を与えるか、肉バイブのみで償いを終えたものとするかの審議を改めて行うため、くれぐれも働きを怠らないように。

 などという、公的な文書を気取った書類を渡されて、それに目を通したクロエの引き攣りようといったらない。
(なんすか。えっと、男の人のあれ? が、めっちゃ生々しく? 体の一部を切り取ったみたいに? 切り取ってもまだ生きてるみたいな感じで? 再現されてるってこと?)
 それに勃起や射精の機能が備わっており、そんなアイテムを使った擬似行為を見せびらかす。
 いかに創意工夫など行い、皆を楽しませることが出来たか、そして手記の内容によって評価が下されるわけらしい。
(真面目に、やるしかないん? こんなんを?)
 性的な見世物になる行為など、誰が進んでやりたいものか。
 しかし、拒否感を抱くたび、額の内側がずきりと痛み、罪を犯したのは自分だという罪悪感がこれでもかというほど湧いて溢れる。
(ちゃんとやって、ちゃんと書くしかないんか?)
 どれくらい気持ち良くなり、どれくらい濡れたかなど、そういった記録を欠いていたことが指摘されている。だとしたら、それさえも克明に書き残し、提出しなければ、また次の刑が言い渡される。
(もうええって、次のは……)
 さすがに、これで終わって惜しい。
 クロエは受け取った肉バイブによって、嫌々ながらにショーの披露を始めることになる。
 思い出すのは、ケンやその父親、店で客の相手をした時の、実物の肉棒に触れた経験だ。手にも、胸にも、口にも、その記憶は残っている。
 何なら、アソコにも……。
 それら経験が脳裏を掠め、その時の嫌悪感が薄らと蘇り、クロエはやはり表情を歪めているのだった。

     「クロエの手記、肉バイブ一回目」

 とりま、一回目の分。
 みんなのリクエストの中から、一回おきにやることを決める的な感じで、最初は壁に当ててフェラをやることになったんで、そっから書いていきたいと思います。
 えー、めっちゃリアルですね。
 渡された瞬間から思ったんですけど、ガチで生きた人間の一部って感じです。体のパーツ切断して、本体と離れても普通に生きてる的な?
 まあ、それっぽく作られたアイテムなのはわかってますけど、どんだけリアルだ、どんだけ再現してんだって、最初は思うわけですよね。
 それから、まー咥えました。
 ああ、フェラやらされるんかーって思いながら、めっちゃ思いながら咥えました。
 壁っていうか、木でしたね、はい。
 根元握って、木に押しつけて、そんで木に向かって頭を前後する感じで、まあ咥えたってことなんですけど、最初はふにゃってしまくってたのが、口の中でみるみるうちに大きくなって、そりゃ驚いたっての。
 これが勃起か、って。
 好きでやってることとちゃうのに、思わず感心したっていうか。でも感心ばっかしてる気分じゃなくて、ほら、ちゃんと恋人作って、付き合って、それでやってることじゃないんで、まあ嫌々みたいな?
 あ、これ書いて平気っすか。
 でも、こーゆーのって、その時思ったこととか、感じたこととか、なるべく書いた方がいいっぽくね。みんなさ、それを読みたいつもりで手記とか言ってると思うんで、まあ思いったことはみんな書いていくんで、よろ。
 それで咥えた感じ?
 太いもんで口を開いていなきゃあかんわけで、顎にちょっとはまあ、負担が来るわけで。そういう苦しさもあったけど、やっぱモノホンの、ね。
 ペ……とか、チン……とか、そっちの単語で書くのはハズいんで、男性器って表記でカンベンして欲しいんですけど。目の前にガチで男の人が立っていて、ガチで男性器を咥えてるって気分になんなくもなくて。
 そんで、強要されてるっていうか。
 とにかく、好きでやってることじゃないから、抵抗感みたいのはありまくって。
 しかも、みんな見てるし?
 うちの頭が前後してさ、唇から見え隠れしてるところとか、口に収まってる時の顔とか。体が動いてる後ろ姿とか、みんな色んなとこ見てた気がすんだけど、とにかく鑑賞っていうか、見世物っていうかね。
 みんなさ、こんな形で見世物になりたい?
 なりたくないっしょ。
 うちが感じてたの、ほぼそれな。
 好きでもねー男に咥えさせられてる気分は、あくまで気分っていうかね。そっちは本命じゃなくて、みんなのジロジロした視線の方が周りから集まってくるから、そっちの方がずっときつかったかなーと。
 で、だんだんと、カウパー? っていうんだっけ? それっぽい味がしてきたわけ。あ、こういう青臭い感じの、別に美味しくもない味なんだなーって思ったわけ。
 本物の男性器でも、これと同じ味なん?
 そこまで再現されてるのかは謎だなーって、そう思ったんだけど、とりま変な味してきて、そんで最後には口ん中にドピュってくるじゃん?
 いきなし喉の奥に当たって、オエってなったからね。
 男性器から出て来たもんだし、その時点でオエるっちゃオエるんだけど、喉よ喉、奥に当たってさ。こんなん、精液じゃなくてもオエるっての。
 しかも飲めって、マジでつら……。
 きつかったからね?
 飲むまでが義務って、周りみんなゆーから? それにうちは従ったけど、ちっともいい味しないし、喉にへばりつく感じするし、めっちゃ無理。
 こんなトロットロのもん、なんだろ、精液じゃなくてね、ちゃんとした食品だったとしても、ちとキツいわ。
 しかも、顔見せろって言うじゃん?
 うちの唇の端から、ちょっと噴き出てたやつ、顔にビミョーに白いの付いてる感じがエロいからって、顔まで鑑賞されまくるのは、もうマジで疲れたわ。
 ってか、次があるわけじゃん?
 これ一回きりじゃなくて、次よ次。
 まあ?
 この手記はさ、全部終わってから書いてるわけで? なんだけど、一回目が終わった直後としちゃーさ、思うわけよ。
 ああ、まだ次が残ってて、その次も、次の次もあって、これあと何回やらされんだろうなーって。
 そこんとこがつれーなってのが、最初が終わっての感想な。
 んで、次のリク聞いて、次のこと始めるわけよ。
 はー、めんど。

     「とある女子の手記」

 エッロ! クロエちゃんエッロ!
 じゅるっ、じゅるっ、てヨダレの音が立ってて、見ててすげーゾクゾクしたじゃん?
 いやぁ、にしても不本意な感じってエロくない?
 あの、ちょっと妄想書くんですけど、クロエちゃんはこの時ね、悪漢に仲間を人質に取られて、殺されたくなければ言うことを聞けって、そう言われて咥えてるの。
 クズみたいなやつに奉仕して、クズみたいなやつが自分の奉仕で感じまくるの。肉棒が口の中でピクピクして、カウパーをトロトロと噴き出すの。
 よくも仲間を! こいつめ!
 みたいな、許せない感情がクソデカになってる状態でね? フェラチオしてるって思ったら、めちゃくちゃ抜けるわ! あたしクロエでオナりまくりました!
 妄想さーせん!
 ガチでね? マジでね?
 こういうのがぐーっと膨らむような、そういう横顔をしまくってたんですよ! それはそれは嫌そーに咥えてるおかげで、もう本当に本当に、待って死ぬって思ったから!

     「とある女子の手記2」

 自分はずっと後ろから眺めてました。
 エロ漫画とか読む時、仁王立ちした男の人の前で、女の人が膝とかついてて、それで上半身がチンコに向かって前後してる時の背中というか、後ろ姿が好きなの。
 だから、ずーっと後ろから見てて、ちょーエロかった。
 クロエ、ツインテじゃん。
 髪がね? 揺れんの。
 エロくね? フェラで揺れる髪、エロくね?
 後ろ姿を視姦するつもりだったんだけど、途中からは髪ばっか見てたかも。
 あと、ついでに耳ね。
 エルフの耳の裏側、めっちゃいいわ。