後編 三月なのか 囚われの肛門調教
なのかは放心しきっていた。
とうとう堪えきれずに噴出させてしまった上で、その掃除まで行われた。他人にお尻を拭いてもうらう気持ちといったらなく、いっそ殺して欲しい思いのあまりに目が死んでいた。
死にたい、もう死にたい――そんな心の呟きがなのかの胸中で連続していた。
「どうです? ご気分は」
「気分? アンタ、本当にいい性格してるんだね……」
「どうやら、上手く調教が進んでいるみたいです。では改めまして、次の液体を注入するとしましょうか」
再び肛門に管の固い先端が押しつけられ、それが内部へと埋まってくる。緩んだ肛門は異物の侵入をほとんど拒む事がなく、そして新たに液体が注入されて、なのかは泣きそうな顔になっていた。
「ウチの尊厳はもう十分に傷つけたでしょ? まさか、また同じ事を?」
「今度はただの内部洗浄ではありません。調教用の薬を混ぜておりますので、それを腸が直接吸収するわけです」
「薬って、なんの薬? やだっ、そんなの……!」
「ところで、既に尊厳は十分に傷つけたわけですから、あなたにはある意味、もう失うものがありません。薬などと聞けば恥を捨てて積極的に排泄しようとするかもしれません。そこで栓をさせて頂きます」
管が引き抜かれた直後、注入した中身が出るより先に、素早く栓が挿入される。バルーン栓に肛門を閉ざされて、我慢の次は逆に出す事が出来なくなり、薬の吸収を拒みたいのにそれが出来ない焦りがなのかの顔には浮かんでいた。
しかも、その吸収が早い。
たった十数秒経つだけで、だんだんと体が火照り始めた。頬が熱っぽく染まっていき、息遣いが乱れ始める。アソコにはただ一度も触れられていないのに、膣壁が何故かヒクヒクと疼いて切なくなり、何の薬を入れられたのか、なのかは理解しつつあるのだった。
(これ、ウチは本当に、そういう奴隷にされかかってるんだ……ああもう、星でも丹恒でもヨウおじさんでもいいから、早く助けに……でも、こんなところは見られたくない……!)
時間が経過するにつれ、触れられてもいないアソコが濡れ、肉貝の表面にぬかるみが広がっていく。着衣の内側では乳首が突起していって、ブラジャーを押し上げ始めていた。
身じろぎすれば衣服の擦れで乳房にも刺激がいき、胸ですら気持ち良くなりかけていた。
(体が……どんどん敏感に……)
「なのかさん? あなたの体、どこまで感じやすくなっていますかねえ?」
男の指が尻たぶを撫でた。
「ひゃっ、あぁ……!」
驚きで目を見開く。
その産毛だけを撫でる指先だけで、強烈な電気でも走ったようにビクビク震えて、なのかは愛液をじわりと噴き出す。肉貝どころか、内股にまでぬかるみは及んでいるのであった。
「どんどん敏感になりますよ? このまま全て吸収されて、成分がみんな体に回ったら、耳にふーっと息を吹きかけるだけでも、ひょっとしたらイクかもしれませんね」
「そ、そんなの……お願い、なんとかしてよ……!」
「そうですねえ? 風でビクビクするほど敏感になったら、色々と支障があるかもしれませんねえ?」
「そうそう! もう十分敏感なんだから!」
「では奉仕が出来たら、お尻の栓を抜いて差し上げましょう」
男は真正面に回って来た。
なのかの眼前でベルトが外れ、チャックが下ろされ、トランクスの中身がつまみ出される。その一連の光景にぎょっとしながら、なのかは肉棒を目前にするのであった。
「奉仕って、そういう……?」
「そういう奉仕でなければ、他にどのような奉仕が? ここがどういう場所なのか、あなたもとっくにわかっているでしょう?」
「そ、そうだけど……うぅ、こんな事……やった事ないし……」
「初めてでも構いません。さあ、お咥えなさい。出来なければ、そのまま息一つでビクビクする体になってもらいます」
そう言われても、やはり見知らぬ男性の排泄器官を口に入れるのは屈辱的で、抵抗感も非常に強く、躊躇って顔を顰めるばかりで舌を伸ばす事も出来ない。
だが、こうして迷っている間にも、なのかの体に媚薬成分の吸収は進んでいる。
(こうなったら……ううぅぅぅ……! やだやだっ、絶対にやりたくないけど、背に腹は変えられないし……)
指先一つで体がビクビクと震えた以上、息を吹きかけられて絶頂する体へと、やがて本当に変わってしまいかねない。その未来と天秤にかけた結果として、なのかは非常に泣く泣く舌を伸ばしていた。
「おっと、そちらからは身動きが取れませんね」
頭をあまり前後できないなのかへと、男の方から腰を近づけ唇に押しつける。なのかはそれに顔を顰めて、強い抵抗を感じながらも先端をしゃぶり始めた。
「ちゅっ、ちゅぅ……ちゅっ、ちゅむぅ……れろっ、れろ……」
吸引力をかけて刺激して、亀の頭の前後のように、なのかは首を伸ばそうと意識する。拘束具に首が囚われている状態でも可能な限りの、微細な動きで口内に出入りさせるが、唇から見え隠れするのは亀頭のほんの一部分だけだった。
「んっちゅぅ……ちゅるぅ……」
胴体もろとも微妙に前後して、拘束具の板の穴から首は動いていた。その前後運動で板に肩が当たっても、やはり可動範囲には限界があった。
「ちゅるっ、ちゅるぅ……ちゅっ、じゅむぅ…………」
唇の内側では舌も使い、鈴口をなぞって上下をさせているのだが、これを一体いつまでやればいいのだろう。腸内に溜まった成分は、こうして奉仕をしている間にも吸収されている。早く栓を抜いてくれなければ、風でビクビクとは言わずとも、それに
近いところまでいってしまう。
「ちゅむっ、ちゅるっ、ちゅるぅ…………」
拙い口技でどうにか刺激を与えつつ、しだいしだいに肌が敏感に大気の流れを読み取り始めている状況に、なのかは焦り始めていた。
(早く、早く満足してよっ! ウチはこんなに我慢してるんだから!)
フェラチオを強要される苦痛に耐えて、どれだけ抵抗があろうと舌まで駆使しているなのかである。言う通りにしている以上は、早く約束を守って欲しい気持ちの中で焦燥が膨らんで、その焦りの分だけ口技も活発になっている。
「ちゅっ、ちゅむりゅぅ…………」
動きが制限されていても可能な範囲で、どうにか一心不乱になりきって、唇の内側で蠢く舌遣いも活発に、亀頭を舐め暴れるまでに至っていた。
(早く、早く、早く――――)
一刻も早く腸の中身を出したい思いで、なのかの舌遣いはそれだけ激しくなっていた。
その時である。
「ではそろそろ」
「んぐっ、んんっ!」
男の腰が動き始めた。
両手で顔を掴みながらのピストンで、男の腰使いによって口内に竿が出入りする。
(やだっ、ちょっと! く、苦しい!)
喉の奥まで届きかねないピストンと、道具として使われている感覚に涙目になる。
この苦しい時間がしばし続いた果て、なのかの口内には白濁が放出された。
「んんんっ!」
口の中で跳ね上がり、先端から弾け出るものが舌に直接広がって、頬の内側にも絡みつく。上顎の内側にも付着する。舌の根や喉奥にも当たってむせ返り、射精の済んだ男が引き抜く時には唾液と混じり合った糸まで伸びていた。
「うえぇ……なんなのこの味…………」
肉棒から出て来たものを口に出されて、しかもあまり良い味もしないので、なのかはひどく顔を顰めていた。抵抗がある上に美味しくもない味を感じた表情なのだった。
「では約束通り、栓を抜いて差し上げましょう」」
背後へ回り込んだ男は、肛門から栓を引っ張り抜く。すると腹が反射的に中身を押し出し、液体が噴出する事になるのだが、もうこの時には十分に媚薬成分の吸収は進んでいた。そればかりか肛門もしっかり緩み、より太いものの出入りに耐えうる状態が出来上がっていた。
*
二度にも及ぶ腸内洗浄が行われ、肛門やその中身にかけて清潔になったばかりか、穴もいささか緩んでいる。そこまで準備が済んだ以上、男が次に行う行為は決まっていた。
「ひゃっ、今度は何!?」
それが肛門に触れた時、なのかはビクっと表情を一変させて強張っていた。
「アナルセックスです」
「後ろでなんて……前ならいいわけじゃないけど、後ろでだなんて……」
なのかは精神的には青ざめていた。本来なら顔中から血の気が引いて、真っ白になっていてもおかしくなかった。だが媚薬成分が回って火照る体で、頬も染まっているのに青ざめる事は出来ず、肉体的には赤らんでいるのであった。
「ではいきますよ? そこかしこのカメラでは、あなたへの入札を考えるお客様が視聴を行っています。ああ、もちろん今までの場面も全て見られていますよ?」
「やだ……もうやだ、何も考えたくない……!」
果たして何人の人々に見られているかもわからない、そのおぞましい真実を受け止められず、なのかは考えるという事さえ拒否していた。
ただただ、肛門に亀頭が触れている状況に、しだいしだいに挿入されつつある感覚に固くなり、赤い緊張の面持ちでそれを受け入れていた。拒みたくても拘束具で抵抗が出来ないので、じっとしている事しかできなかった。
しだいに肛門の皺が広がり、今まで二度も挿入された管よりも、遥かに太いものに合わせて穴の幅が拡張される。圧倒的な異物感が生み出す強烈な違和感の中、なのかの中にまず亀頭が埋もれていき、そしてさらに竿が少しずつ押し込まれる。やがて根元まで収まる事で、男の腰や陰毛がなのかの尻肌に接しているのであった。
お尻の膨らみを腰が軽く押し潰す。
そして、男はピストンを始めた。
「あっ、ぐぁ……あっ、あぁ…………!」
やはり違和感は強烈だった。出すためだけにあるはずの肛門への出入りという、本来なら発生する事のない感覚に襲われて、しかも媚薬成分が回っているので気持ちいい。
「んっあっ、あぁ……あっ、あぁ……!」
ピストンが始まるなり、既に内股まで濡れていたなのかだが、すぐに新たな愛液を噴き出していた。挿入を契機に分泌された新鮮な愛液は、ぬかるんだ皮膚の表面を伝って内股に広がって、皮膚の水気を濃くしていた。
「あっ、あん! あぁん! あっ、あぁん! あぁん!」
出入りによって生じる刺激が背骨を伝い、脳天にまでやって来るので、頭蓋骨の内側を快楽で叩かれているような、脳が性交に染まりかねない嵐に晒される。
「んっあっ! あん! あぁん! あっ、あぁん! あっ、あっ、あん! あぁん! あん!」
喘げば喘ぐほど大声で喉に負担がかかっているものの、これだけ快楽に振り回されているなのかには、その負荷を感じ取る余裕がなかった。気持ち良さのせいでそれどころでなく、だからカメラの存在も意識から飛んでいた。
「んぁああああああ――――――!」
絶頂するまで、挿入から一分も経っていなかった。ただでさえ快楽に染まった頭の中で、目には見えない風船が急速に膨らみでもしたように、急に弾けて真っ白になっていた。元から真っ白も同然に喘いでいたが、白く染め変えるような刺激が走ったわけだった。
ピストンが停止する。
それで少しは休まるものの、放心から立ち直り、まともに意識を取り戻すまで数十秒の時間を要した。そして虚ろげな目で前を見た時、男から声がかかってきた。
「ではなのかさん。ご覧下さい」
目の前にホロウィンドウが出現した。急にパっと現れて、宙に浮かぶ画面にあるのは、テーブルに上半身を寝かせて尻を突き出し、後ろから犯される少女の姿だ。
『んぁああああああ――――――!』
なのか自身の上げた声が動画から聞こえていた。
「これって、これがウチ――!?」
肛門に挿入され、突き回される自分自身の姿に衝撃を受けていた。
「そうです。これをね、大勢の方が見ています。そして、いくらまでなら入札に使えるか、それぞれ貯金との相談を始めているところなんですよ」
「これがみんなに見られて……やだ、そんなのやだ……」
口頭だけで伝えられていたカメラの存在だが、こうして映像を突きつけられて、不特定多数に今までの全てを見られた実感を強めていた。
「では改めて」
「あぁん!」
再び始まるピストンに嬌声を上げ、そのまま快楽の嵐に翻弄されるなのかだが、その目はやがて涙を零す。自分のこんな痴態が拡散されている事実に泣きじゃくり、絶望に打ちのめされて放心していた。
次に絶頂してからのなのかは、だからぼーっと虚ろな顔をしたまま、長い長い間、立ち直る事はなくなるのだった。