サリアの検問陵辱 後編

 自分の作った水溜まりに、検問官が雑巾をかけている。
 それからモップ掛けまで始める姿を横目にして、サリアが複雑な心境にあるのは言うまでもない。やらかしてしまった思いは大きいが、そもそもの決してトイレに行かせようともしなかった対応に、やはり改めて怒りが湧いてくる。
「そんな掃除、本来ならする必要はなかったのではないか?」
 サリアは検問官を責めていた。
「私は散々言っていたはずだ。それを……。お前のせいだぞ」
「…………」
 検問官は何の言葉も返すことなく、黙々と掃除を続けている。
「何とか言ったらどうだ? この……!」
 サリアは歯を食い縛り、顎から軋んだ音を立てていた。
 憎らしい。
 もう本当に憎らしくてたまらない。
 実力でも行使して、腹いせのためだけに暴力を振るいたい気持ちに本気でなったが、サリアはその一線だけは堪えていた。

「では審査の確認をしてきますので」

 と、何事もなかったように、掃除を済ませた検問官は去っていく。
 その数分後には戻って来て、また改めて状況を伝えてくるが、やはり決して面白い内容ではないのだった。

「数日? どうしてそこまでかかる? 一日もあれば終わるだろう!?」

 検問官の口から出て来た言葉は、審査結果を保留して、審議を明日以降にまで持ち越すというものだった。
 しかも、そのあいだサリアを部屋から出すなという、事実上の監禁宣言を聞いて怒りが湧かないはずもない。頭が一気に加熱して、立ち上がる勢いのせいで椅子さえ後ろに倒してしまっていた。
「ですが、方法もあります」
「方法? また何かふざけてないだろうな」
「そうは仰いますが、こちらの指示に従って頂ければ、確実に向こう数時間以内に終わらせて頂くことが可能になります」
「……信じられるとでも」
 サリアは疑念を抱えていた。
 人に放尿をさせたこんな男が、今になってサリアの益になるようなことをしてくるのか、甚だ疑問でならなかった。
 しかし、次に検問官がしてくる要求に合点がいった。
 なるほど、それが目的かと……それを拒みたいサリアと、そうしなければ数日は部屋に閉じ込めると言ってくる検問官の問答は、最後の最後まで平行線のままだった。そして、サリアの方が折れない限り、部屋から出してもらえないのはサリアなのだ。
 この不利な状況での言い争いに疲れ果て、サリアは最終的に渋々ながら、本当に仕方がなく、嫌々の気持ちでもって検問官の要求を受け入れる。
 そして――。

 サリアは検問官の望む体位となっていた。

 壁に対して横向きに、片手だけを突く形で、身体の側面で寄りかかるようにしながらの、片足だけを高らかにした体勢だ。軸足だけを床に残して、右足を持ち上げたサリアに対して、検問官はアソコに手を伸ばしていた。
「……ゴミめ」
 顔が近づき、より表情のわかりやすい距離感から、遠慮も無く睨むサリアに対して、さしもの検問官も一瞬だけ、びくりと肩を弾ませていた。
 しかし、かといってアソコへの愛撫は止めず、指でワレメをなぞり続ける。
 不本意だが、快感は大きなものだった。
 先ほどまでの感覚も残っており、たちまち走る甘い痺れに愛液が徐々に染み出す。ワレメの表面が濡れてきて、愛撫による指の滑りが良くなるまで、そう時間はかからなかった。
「ぐっ、くぅ……!」
 こんな男に感じさせられたくなどない。
 その思いからサリアはぐっと歯を食い縛り、間違っても声など出すまいとするのだが、愛撫がクリトリスに及んだ瞬間、体中がびくりと震えてしまう。太ももがモゾモゾと、顔もぴくりと反応して、快感は明らかなものとなっていた。
「感じましたね?」
 それは隠しようがなかった。
「……黙れ」
「気持ちよさそうな反応に見えましたよ?」
「黙れと言っている!」
 サリアの恫喝に、検問官は萎縮する。
 だが、次の瞬間には元の涼しい顔で愛撫を再開して、膣に指まで入れ始める。検査とショウしていた時に比べて、より明確な愛撫として、はっきりとしたピストンが行われた。
 愛液が溢れるために、そのピストンはさながら指で何かをかき混ぜるかのようになり、膣壁と指の狭間で粘液が捏ねられる。摩擦を帯びた愛液は、白く濁った固まりのように泡立って、それがピストンに伴い少しずつ掻き出されていた。
「うっ、ぐぅ……!」
 サリアはより強く歯を食い縛る。
 検問官の愛撫は上手かった。
 わざわざ感じたくないサリアにとって、何の有難味もないテクニックに、しかし生理的な反応は存分に引き出されることとなる。サリアの呼吸は愛撫が続けば続くほど乱れていき、吐き出す呼吸は色気ある熱気を含んだものと化していた。
 怒りを帯びた憎悪の眼差しさえなければ、頬を紅潮させての荒っぽい息遣いは、実に色っぽいもののはずだった。
「くっ、うくぅ……この……!」
 サリアは憤りによっても震えていた。
 快感がもたらす刺激に反応しての、ピクっとした筋肉の動きは確かにあるが、硬い拳が震えたり、歯を食い縛ることで顎も同じく震えるのは、こんな目に遭わされていることへの怒りからであった。
 十分な愛液が出て来たことで、アソコの表面はヌルヌルと、指が滑りよく活発に動き回った。膣への出入りもスムーズに、そして活性油を挟んだ摩擦はますます気持ち良いものとなり、サリアの呼吸は一層のこと乱れていく。
「あっ、くぁ……うっ、くぅぅ…………!」
「イってもいいんですよ?」
「誰が……馬鹿にっ、するな……!」
「でも、イキそうなんでしょう?」
「だ、黙れ!? あぁ……!」
 サリアが受けた指摘は真実だった。
 検問官のテクニックに、アソコは存分に高まっており、もはや絶頂が時間の問題と化していた。このままいけば、いつ下腹部の奥で何かが弾け、頭まで痺れてビクビクと震えることになってもおかしくない。
「誰が……!」
 イってたまるかと思う気持ちで、サリアはぐっと歯を食い縛る。
「我慢強いお方ですねぇ?」
 検問官の言葉使いは、どことなく人を小馬鹿にしたものとなっていた。
「貴様……!」
「ではもう少しだけ」
 指のピストンがペースを上げる。
「んぅ……! んっ、んぅぅ……!」
 その瞬間に快感度合いが段階を上げ、サリアはより激しく翻弄される。ただの指先一つで髪まで振り乱すことになり、種族特有の角を壁にぶつけて擦りつけさえしてしまっていた。
「んぁっ、あくぅ……!」
 甘い痺れが筋肉を刺激して、食い縛ったはずの歯が何度も緩む。
 それでも、余計な声など出すものか、絶頂などしてたまるかと、サリアは堪えに堪え続けて、その結果である。

 サリアは寸止めされた。

 どれほど我慢しても膨らみ続け、もはやイクのは時間の問題かと思われた瞬間に、検問官の指はアソコから抜かれていた。
(弄んでいるつもりなのか……?)
 より怒りが降り積もる。
 業腹だが、検問官の技からすれば、今のでサリアをイカせることはできたはず。わざとらしく指を抜き、寸止めして焦らしたのは、きっと趣味か何かなのだろう。
 指とアソコのあいだには、濃密な糸が引いていた。
 手が離れれば離れるだけ、糸は長々と伸びていき、やがてぷちりと切れて消失する。
「では十分にほぐれましたところで」
 検問官のズボンを脱ぐ音が聞こえてきた。
 ベルトの金具を外し、チャックを下ろしている音は、サリアにとって挿入に続く序章に他ならない。わざわざ見てなどいなくとも、衣擦れの音さえ聞いていれば、緩んだズボンがそのまま床に落ちるのは伝わってきた。
「……チッ」
 もう下半身のすぐ近くに、一物は来ているはずだ。
 そして、検問官の位置を合わせようとする挙動と共に、入り口に亀頭が押し辺り、次の瞬間にはそれが穴へと押し込まれる。

 ずにゅぅぅぅ…………。

 と、入り込んで来た。
「ぐっ、ぐぅ……!」
 歯茎が潰れんばかりの勢いで、サリアは激しく歯を食い縛った。
 こんな形で、こんな男の男根が、本当に入って来てしまったのだ。その屈辱感が腹の底からせり上がり、表情は一気に染まっていく。怒りや憎悪ばかりが強かったサリアの顔に、屈辱と無念の色がかかっていた。
 すぐに検問官の腰振りは始まった。
「ぐっ、ぐぅ……んっ、んぅ……!」
 ろくにゴムも着けずに入って来た肉棒は、膣内にたっぷりと出ていた愛液をすぐさま纏い、ヌルヌルとした滑りの良さと共に活発に出入りする。その長さが奥を打ち、子宮口にまで衝撃が及んでくるかのようだった。

 ヌチュ、ニチュ、グチュ、ニジュゥ――

 粘液をかき混ぜて、練り合わせる際に鳴るような水音が、肉棒によって立てられている。ピストンの活発さが摩擦の中に愛液を巻き込んで、直ちに泡立て始めての、粘度の高い水音であった。
「……んっ、んぅっ、んっ」
 サリアは歯を食い縛っている。
 顎の力が不意に緩んだ時を覗けば、喘ぎらしい喘ぎ声を出すことはなく、どことなく呻き声に近いものばかりを吐き出している。
 こんな奴のために喘いでやるか。
 意地とプライドから来る気持ちが働き続け、サリアの唇はぴったりと結ばれたまま、鼻息ばかりが荒くなっていく。
「んっ、んぅ……!」
 快感のあまり、脳が痺れていた。
 甘ったるい何かが神経を伝わって、信号として全身に行き渡ってくるのだが、サリアはそれを心で拒む。検問官に与えられたものなど受け入れてなるものかと、拒絶の意思を込めて髪を振り乱していたが、それは人からすれば気持ちいいあまりの挙動と区別がつかない。
「楽しんでますねぇ?」
 検問官がその挙動見て煽り始めた。
「黙れ……黙れ……!」
「声も聞かせて下さいよ」
「ふざけるな……あっ、くぅぅ……!」
 下手に口など開いていれば、やはり喘ぎ声が出てしまうと、サリアは咄嗟に口を閉ざし直していた。
 ピストンが激しくなる。
 腰を打ちつけてくる衝撃に身体を揺らされて、角が何度も壁に当たっていた。
 身体を横向きに押しつけて、片足だけを上げた体位のために、押しつけた肩や頭の密着度合いは、ピストンで揺らされるリズムに合わせて強弱がつき続けていた。
「ぬっ、ぬぁ……あぁ…………!」
 サリアの喉から、堪えようとしてもなお絞り出される声が上がった。

 頭で激しく電気が弾け、サリアは全身を震わせたのだ。

 絶頂だった。
「おやおや」
 サリアの膣から、絶頂の証を立てるかのように、だらだらと多量の愛液が流れ出す。まるでびしょ濡れの布から絞り出しているような勢いで、それは肉棒の表面を伝って滴り落ちる。竿から玉袋にかけて流れていき、検問官の内股にまで滴は伝い落ちていく。
 サリア自身の股にも流れていき、滴が靴の中にまで入っていった。
「これで満足だというのか? ゲスめ」
 サリアは横目で検問官を睨む。
「まだまだ、こちらはイっていませんので」
 検問官はすぐに動きを再開させた。
「ぐっ、ぬぁ……あぅ、くぅ…………!」
 サリアは咄嗟に歯を食い縛る。
 より激しいピストンに突き動かされ、サリアは壁に頬をなすりつけていた。奥まで届かんばかりの長竿に貫かれ、そのたびに激しい電流が全身に行き交って、指先までビクっとした反応を繰り返す。
「ぬぅ……くぅ……!」
 それでも、最大限に声を抑え、今度こそイクまいと、快感を堪えようとしていた。
 しかし、検問官が与える快感は、おいそれと堪えきれるものではなく、またしてもサリアの中で大きなものが膨らんでいた。見えないものが風船のように膨れ上がって、そのまま弾け飛ぼうとする感覚は、絶頂の予感に他ならない。
 このままではまた、イカされる。
(何度も……! イカされて、たまるものか……!)
 サリアは懸命に堪えようとした。
 より強く歯を食い縛り、脚の筋肉や下腹部まで力ませて、サリアは体中の力を駆使して絶頂を抑え込もうと苦心していた。
 だが、それが何一つ意味を成さなかった。

「んぅぅぅ――――――!」

 声だけは最低限に抑えていながら、絶頂そのものは決して止まることはなかった。
 サリアの頭で、無慈悲にも激しい電流が弾け回って、まるで細胞が破裂しているような錯覚さえ覚えていた。
 しかも、ただイカされただけではない。

 検問官は射精していた。

 根元まで埋め込んだ状態で、子宮に注がんばかりにして放たれた精液は、間違いなく届いてはいけない部屋まで届き、溢れたものが膣内で跳ね返る。竿と膣壁の隙間から、いくらかが愛液と共に噴き出していた。
 そして、サリアは失禁していた。
 先ほどの放尿で、本人としては出し切ったと思っていた尿の、実はまだ残っていた分がチョロチョロと出てきていたのだ。
「これはこれは」
 検問官は意外そうな驚いたような顔をしていた。
 緩やかに流れる黄金水は、咄嗟に離れる暇もなかった検問官の、肉棒を伝って流れ落ちていた。竿の表面を滴る尿に陰毛を濡らされて、お互いの太ももには何本もの滴の線が出来上がる。そんな尿が途切れた時、サリアはこれ以上ない屈辱を浮かべていた。
「今度こそ……満足か……」
 無念に満ち溢れていた。
 犯された上、二度も放尿する羽目になったサリアの心は、深々と削り取られた。常人ならば立ち直りが利かないほどの、強いショックに打ちのめされ、しかしサリアの胸に沸き立つものは怒りや憎悪なのだった。
 サリアは激しい目つきで男を睨む。
 それに対して、検問官は少しばかりしか萎縮せず、涼しい顔で肉棒を引き抜いて、満足しきった顔で体を拭き始めるだけなのだった。

     *

 サリアに通行許可が出たのは、その数十分後となった。
 任務のために町を訪れてきたサリアとしては、これから仕事に集中しなくてはいけないわけだが、果たしてどこまで真剣に打ち込めるか。余計な思いに心を乱され、落ち着かない気持ちで何もかもが手に着かない。そんな自分自身の未来が目に浮かぶ。
 その理由が検問の内容を引きずってのことなのは言うまでもないが、加えてこんなことまで言われたのだ。

 ……出て行く際にも、身体検査を行いますので。

 つまりまた、似たような時間を過ごすことになるかもしれない。
 それに対する思いが湧いて、やはり集中をかき乱され、町に入ってもなお検問への怒りや恨めしさを抱き続ける。
 あんなことさえなければ……。
 その思いがいっぱいに溢れていた。
 溢れに溢れ、収まることなく、毎日のように同じ憤りを抱える事となるのであった。