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『さて、まずは何が起こったか教えてやろう! お前達の目の前で衣服を消し去り、二人を裸にしてやったのは私だ! ミーシャ・ネクロンとサーシャ・ネクロンの指輪! それこそが私の正体だ!』
 この場に集う全員に向け、その言葉は放たれていた。
 生徒の大半はまたしても呆気に取られ、指輪だと聞いていながら、声の主はどこにいるのか、つい探そうとしてしまっていた。<思念通信>を使うのは、魔族や人間に違いないと、誰しもに先入観があった。
 その中でただ一人、二人の指輪に向かって声を荒げる。
「どういうことだぞ!」
『エレオノールか。話は簡単だ。道具とは目的のために作れる。その時、道具は使命を背負う。兵器なら殺戮、包丁なら調理、刺繍針なら手芸。そして、私は女を辱め、羞恥のどん底に叩き落とすために作られた。よって、その使命を果たさなくてはならない』
 聞くにサーシャは戦慄した。
「じゃあ、わたしが買った指輪って……!」
 あの露店街で選んだ指輪には、どれも大した魔力はなかったはずだ。魔法道具としての効果には何らの期待もせず、ただデザインが気に入ったという理由だけで、純粋な金属加工品を買ったつもりでいた。
 単なる金属の塊であり、道具としては何の力も持たないはずだと思っていた。
 あまりにも微細な魔力など、魔力が籠もっているうちには考えていなかった。
「わたしが……そんな間違いを……?」
 信じられなかった。
 こんな力を隠し持ち、ただの普通の指輪に成りすましていたことも、それを見抜けなかったことも、もちろん驚きのうちである。だが、よりにもよってミーシャに最悪なプレゼントを贈っていたことに、サーシャはショックを隠しきれなかった。
(私の……せいで……)
 自分の裸が恥ずかしいのは言うまでもなく、ミーシャにも同じ思いをさせて、サーシャは責任を感じていた。
『指輪は二つあるが、私の意思は一つ。私の制作者は擬似的な根源を作り出し、仮想の意思を道具に与えた。その性格、言動、思考回路は全て制作者の手がけたものだが、この人格は擬似的な機能に過ぎない。
 私は真の意味で意思を持つわけではない。
 その場の状況、人間や魔族の言葉に対応した会話や発言の全ては、道具としての反応にすぎない。ボタンを押して反応する仕組みが極限まで複雑になり、結果、人格を持ったも同然のように見える。と、そう解釈すればいい』
 指輪は長々と自分の存在について語っていく。
『そして、私を装着した女は、強制的に<契約>を交わすことになる。ミーシャ、サーシャ、お前達の知らず知らずのうちに、既に契約は効力を発揮している。条件を満たさない限り、その契約を解除して、私を指から取り外すことはできない』
「そんな契約なんて……!」
 破ってやると、真っ先に反意を抱く。
 サーシャが思いつくのは、莫大な魔力の差による力ずくの契約破棄だ。お互いの魔力に計り知れない差があれば、<契約>は一方的に破棄できる。
「サーシャ……それは、無理……」
 ミーシャが無念そうにそう告げる。
「ど、どうしてよ! だって、このままじゃ……」
「わたしたちの魔力より、指輪の魔力が上回っている。一方的な破棄は、無理……」
 ミーシャは指輪の深淵を覗き、その力のほどを確かめたのだろう。
「そんな……」
 だとすると、打つ手は無しだ。
 条件を満たさない限り取り外せず、強制的に裸にさせられる。そんな呪いの指輪を実力で一方的に取り外すのは、サーシャでもミーシャでも実現できない。
 アイシャなら……。
 と、脳裏に可能性を浮かべるが、それを遮らんばかりにして指輪は言う。
『ではより具体的な説明をしていこう。私の制作者は変態だ。変態願望を叶えるべく、生み出したあらゆる道具に使命を与えた。
 そのうちの一つ、<羞恥の指輪>である私には、装着した女を強制的に裸にした上、衣服の着用を一切許さない力が備わっている。後から服を着たり、タオルや布を巻きつけても、それは必ず消滅する。
 他にも多くの力が与えられているが、今は省略しておこう。
 重要なのは、君達は制作者が理想とする羞恥プレイに付き合わなくてはならない点だ。プレイを行うごとに少しずつポイントが蓄積して、一定値を超えた時、始めて<契約>は解除可能となる』
「冗談じゃないわ……」
 こうして裸にされただけでは済まず、もっと恥ずかしい目に遭わなくてはいけないなど、想像もしたくない。
 どうして、誰だかもわからない制作者の性癖に付き合わなくてはならないのか。
『<契約>により、私に直接危害を加えることは不可能とされている。サーシャ、お前が<破滅の魔眼>を使っても、融合してアイシャになっても無意味だ。直接破壊する行為そのものが制限されるからだ』
「一体誰よ! こんなふざけたものを作ったのは!」
『この時代にはいない。<転生>によっていずれ再誕し、私や他の道具を回収して、歴代の成果を堪能することになるだろうが、今は存在しない。いない者に危害を加えるのも不可能だ。そんな方法を考えても意味はない』
「冗談じゃないわよ……なんでそんな人物が存在するのよ……」
 サーシャは凍りついていた。
 姉妹二人がかりでも敵わないほどの魔力量を秘め、しかもそれを隠匿して、ただのお守り程度の存在になりすます。効力を発揮した途端、人の衣服を奪い去り、強制的に>契約<まで押しつけるなど、こんな高度な魔法道具を製作する人物なら、歴史に名を残していてもおかしくない。
 そして、これほどの変態がいたというなら、歴史上の逸話が必ずどこかの文献に残るはずである。
『私の制作者は残念ながら無名だった。よほど探せば少しは記録があるかもしれないが、一般にはまず知られていない』
「手がかりもないってわけ」
『たとえ手がかりがあり、<時間逆行>で歴史に手を加えるだけの力が君達二人にあったとしても、<契約>の内容はそれさえ封じる。指輪の直接破壊を禁止する一文には、制作者を歴史から抹消したり、歴史を可変することで、指輪の誕生自体を阻止する行為も含まれている。それは広義の破壊であると解釈するよう文面が組まれているからだ』
「じゃあどうしろっていうのよ!?」
『<契約>に従い、私の提案する羞恥プレイをこなす意外に方法は存在しない。さもなければ、君達二人は永遠に裸であり、布切れを巻きつけることさえできない。恥部を隠す方法は、せいぜい手で隠すくらいしかなくなるわけだ』
 こんなところで裸にされた屈辱は言うまでもなく、私生活への影響も計り知れない。
「み、ミーシャ……わたしのせいで……」
「サーシャ、気にしないで」
「でも……」
「今は契約解除について考える。それしかない」
「そうね。そうだけど……」
 気に病む気持ちが底から湧いて仕方がない。
 その<契約>とやらを自分一人で引き受けられるものなのなら、是非ともそうして、ミーシャだけでも解放したい。
「わたしだけじゃ駄目なの?」
 思いつきが実現するか、実際に指輪に尋ねてみる。
『無理だ。<契約>は私自身にも破棄できない。そして、ミーシャ・ネクロンも指輪を装着した時点で<契約>に縛られている。そもそも、私は制作者の意に沿う存在であり、君達に味方できるわけではない』
「そうでしょうね! まったく、こんな時にアノスはどこにいるのよ!」
 かの魔王の力があれば、この指輪程度は難なく破壊してみせるだろう。破壊でなくとも、契約解除に必要なポイントとやらを即座に溜め、あっという間に二人のことを解放する裏技を使い始めるに違いない。

 ――ふむ。つまり、サーシャとミーシャが条件を満たしたことになればいいのだろう?

 とでも言いながら、途方もない魔力の量で簡単に解決してみせたことだろう。
 だが、今はそのアノスがいない。
 見れば教師も気まずそうに目を逸らしており、大人の手にも負えないことは明白だ。
「だったら、その羞恥プレイとかいうのは、一体なにをすればいいわけよ!」
 サーシャは声を荒げていた。
 どんな変態チックな思いつきがあるというのか、サーシャには想像もつかないが、何か最低なアイディアを押しつけられ、辱められることだけは確かなのだろう。
 付き合っていられるものか。
 そう思う気持ちで溢れ、今すぐ指輪を引っこ抜き、踏みつけてやりたくなる。こんな指輪に騙されなければ、今頃はこんな事態になっていない。こんな指輪なんかのせいで、大勢に裸を見られて、腹立たしくてたまらない。
 それに悲しかった。
 ミーシャにあげたプレゼントで、こんなことになるとなんて、それが本当に悲しくて、悔しかった。

     *

 授業は中止となった。
 ファンユニオンの女子達やエレオノールなど、気を利かせてくれた面々が、物は試しに一応タオルや布を持って来てくれたが、指輪が語ったように消失した。やはり、手で隠す以外に手段はないと思われたが、周りを人で囲んだ壁は有効らしい。
 いつまでも裸で外にいるわけにはいかない。
「ひとまず教室に戻るんだぞ」
 エレオノールの一声をきっかけに、教師からも指示が出て、皆で教室へ戻る流れとなる。
 屋外で過ごすより、まだしも教室の方がマシではあるが、移動中は最悪だった。

 全裸での移動である。

 右腕で胸を覆って、左手で必死になってアソコを隠しての、実に惨めな移動は屈辱的でたまらない。
「なんでわたしがこんな……!」
 指輪への恨めしさで、腸が煮えくりかえった。
 確かに、移動中はファンユニオンの壁に囲まれて、無関係の何も知らない他クラスの視線は遮られた。円陣の中に二人を囲み、その前後にさらに女子の壁を作って、両端に男子を振り分けての廊下移動は、この状況からすれば最大限の配慮といえる。
 しかし、裸で歩いたのだ。
 周りの全員が服を着ている中、自分達だけが裸でいることの惨めさといったらない。気まずいような、肩身が狭いような、何と言うべきかもわからない気持ちで歩いていく。
 当然、尻は隠せない。
 両手とも後ろにやれば、かなりの面積をカバーできる気はするが、その代わり胸とアソコを曝け出すことになる。いくら同性でも、恥部にまじまじとした視線は浴びたくないので、どうせファンユニオンにしか見えないとはいえ隠していたが、そのあいだも顔の赤らみは引くことがなかった。
(べ、別に……わざわざ見ないのはわかっているけど……)
 本当に尻が気になった。
 隠しようもなく晒している一箇所だけは、後ろから丸見えのはずであり、どうしても視線を意識してしまう。同性の視線で過剰な恥ずかしさは湧いてこない。あえて凝視してくることもないだろうとは信じているが、それでも意識はしてしまうのだ。
 もし、ジロジロ見られていたら……と、頭の片隅では思わずにいられない。
 たとえ見ないでくれていても、裸で歩く羽目になる屈辱は、それで拭いきれるものでもない。
 ミーシャも同じ様子であった。
 横目で見れば、表情にこそ出ていなくとも、尻を気にした様子はひしひしと伝わって来た。
(本当に……ごめん……)
 申し訳なくてたまらない。
 隠しようのない尻だけは晒して歩き、ようやく教室に辿り着く。
 教室の中でもファンユニオンの壁に守られ、男子に対する圧力も女子全体によってかけられていた。男子が揃って後ろを向いてくれているおかげで、ここまで一秒たりとも見られていない。
 見られたのは、最初に服が消えた時だけだろう。
(あぁ……! やだやだ!)
 それでも、頬がふと熱っぽく赤らむのだ。
 一体、何人の男子が自分達の乳房やアソコを見て、目に焼き付けてしまったか。あの瞬間が脳裏で何度もぶり返し、最悪な思いに駆られてのたうち回りたくなってくる。
 もし形や乳首の色合いを記憶され、あとでいつでも思い出せるようにされていたら、きっと自分達の裸は男子共のネタになる。
「記憶を消す魔法ってなかったかしら!?」
 ひとまず席に着くことで、椅子に尻を置いたおかげで、肌の見える面積はさらに減る。もちろん手でも隠し続けているので、恥部は決して見えないわけだが、それでケロっとしていられるほどサーシャの羞恥心は少なくない。
 ミーシャもすっかり俯いていた。
「サーシャ、目が怖いんだぞ!」
「そう言われたって、こんな指輪! 最悪よ!」
「そうだ。その指輪って、どこで手に入れたものなの?」
「ただの普通のお店よ。そこらの指輪にしか見えなかったわ。わたし達だって気づかなかったし、教室にいる全員、そんな大きな魔力は感じていなかったでしょ?」
「お店に問い質しても駄目かな?」
 エレオノールは売り手に抗議しに行くことを考えたらしいが、それに対して即座に指輪が言った。
『無駄だ。私の力は店主とて気づいていない。気づいていれば、悪用するか、価値を理解できる者に売りつけるかしただろう。有象無象の指輪と同じ値段で売りに出し、何の疑問もなく陳列することはありえない』
「確かに、そうなんだぞ……」
 思いつきが一蹴され、エレオノールはしゅんとする。
『繰り返すが、<契約>を完了しない限り、指輪を外すことはできない。そして、指輪が外れない限り、二人とも永遠に裸のままだ。私の制作者も、靴だけは許しているようだがな』
「わかったわ。なら、何をすればいいのか、聞くだけ聞いてみようじゃない」
 サーシャは言った。
「本気? サーシャ」
 エレオノールはぎょっとしていた。
「まさか、真っ平よ! 真っ平だけど、<契約>を無視するには魔力に相当な差がないといけないし、アノスはいないしで、他にどうしようも……ああ、最悪……!」
 本気で頭を抱えた。
 このまま机に頭を打ちつけたいくらいであった。
「サーシャ、気にしちゃ駄目」
「ミーシャ……そう言われてもね……」
 気にするな、という方が無理だ。
 いくら本人が平気だ、気にするなと言ったところで、自分の買った指輪のせいで、ミーシャまで巻き込んでいるのだ。
「わたしが巻き込まれたのは不幸中の幸い」
「なに言ってるのよ……」
「羞恥プレイ。何をするのかはわからないけど、一人よりはマシ」
「ミーシャ……」
 そう言ってくれる言葉はありがたい。
 胸が温まる思いだが、かといって罪悪感というものは、なかなか薄れてはくれなかった。
『羞恥ポイントを一〇〇ポイント溜めるのが<契約>を解除する方法であり、そのポイント数は指輪の装着者、つまりお前達がどれほど恥じらったかによって決定される。極端な話、尻が見えただけで悶え死ぬようなら、男子に尻を見せただけでかなりのポイントが溜まる。逆に言うと、ちっとも恥じらいがない場合、何をしても獲得できるポイントは少なくなる』
「そ。ルールはわかったわ。それで、その変態チックで最悪なプレイは、何をすればいいっていうのよ」
『自分で思いついても構わないが、私の出すアイディアの方が制作者の性癖が反映されており、同じ羞恥具合でもポイント量は多くなる。私からのミッションに挑戦する方がオススメだ』
「そのミッションってやつ、言うだけ言ってみて頂戴」
『男子に裸を見せる』
「却下」
『男子に尻を見せる』
「嫌よ」
『ふむ、ではポイントはほとんど溜まらない。肌を異性の視線に晒したり、衆目の中に立つくらいのことをしなければ、一体何週間かかるかもわからない計算になる』
「何週間って……! どういう計算になってんのよ!」
『例えば、先ほどの移動では、二人とも男子の視線を浴びておらず、それどころか周囲の視線から保護された状態で歩いていた。よって、あれだけでは〇.五ポイントほどにしかなっていない』
「一にも満たないって、じゃあどうすればいいのよ!」
 サーシャは本格的に頭を悩ませた。
<羞恥の指輪>が出すミッションに挑む方が、結果的には早くこの状況を脱出して、無事に元の状態に戻れはするのだろう。
 ただし、確実に男子の視線に晒され、たまらなく恥ずかしい思いをする。
 さらに指輪を外すことが出来たとしても、男子の中に思い出は残り、サーシャやミーシャのことを延々とネタにし続けるかもしれない。男の自慰行為の方法も、それを卑猥な妄想と共にするらしいのも知識的には知っていた。
 オナニーのネタになり続けたり、裏で話題になり続けるのも真っ平だ。
 では他に方法があるかといえば、向こう数週間は裸で生きていく覚悟でもしない限り、男子への露出を一切せずに乗り切る手立てはないのだろう。
 アノスもいつ戻って来るかはわからない。
 一ヶ月以上は留守になる可能性があると聞いているので、アノスを当てにして時間を稼ぐのも、あまり良い方法とは言えないだろう。
『こうしよう。いきなり裸で人前に立ち、皆の視線を浴びることがどうしてもできないというのなら、下着はどうだ?』
「下着? でも、何も着ることはできないんでしょう?」
『その通りだ。よって、着衣状態の下着を見せるのではなく、先ほどまで二人が身に着けていた下着を晒す。このくらいの時間なら、まだ脱ぎたてのうちに入るだろう。それを男子の視線に晒した上、クイズを行う』
「なんなの……クイズって……」
『どちらの下着がどちらのものか、男子に言い当てさせる。そして、正解した場合は特別に高ポイントを授けるものとする』
「高ポイント、ねぇ……」
 サーシャにとって、ミーシャにとっても、今はポイントとやらは喉から手が出るほど欲しいものだ。直接裸を見せることなく、間接的な方法で稼げる分だけ、先ほどまでの提案よりもマシではあるのだろうか。
 正直、わからない。
『どうする? 消滅した衣服は、実際には異なる空間に<転移>している。ミッションに合わせ、特別に取り出すことはいつでも可能だ』
「やる」
 答えたのはミーシャだった。
「ミーシャ!?」
 サーシャはぎょっとしていた。
 やるしかない、それはわかっている。やらないことには、契約解除に近づくことすらできないわけだが、だからといって抵抗感は否めない。先ほどまで実際に身に着けていた下着を晒すのも、サーシャに言わせればありえない話である。
「やらないと、終わらない」
「そうだけど……」
「わたしも、本当は嫌だ」
「そりゃそうよね」
「だけど、やるしかない。何もしないでいたら、裸でアノス達の帰りを出迎えることになる」
「そうね。それも嫌ね」
 明日や明後日にでも帰ってくるなら、アノスに頼りたいところではあった。
 だが、何週間、あるいは一ヶ月以上もこの状態を過ごすのも……。
「待って、念のために聞くけど。外に出ないで引きこもったらどうなるの?」
 それだけは確かめたかった。
 もし何のリスクもなければ、その手も考慮のうちに入りはする。
『一日経過するごとに、必要ポイントは増加する』
「は!?」
『さらに<契約>の魔力が徐々に根源と結びつき、かの暴虐の魔王をもってしても、力技で覇気可能かは不明な領域に達する。アノス・ヴォルディゴートであれば、それでも可能なのかもしれないが、実際に試してもらわないことには、私からは何とも言えない。絶対視することはオススメしない。
 そもそも、繰り返すが私は二人の味方ではない。
 私には制作者の意に沿う使命があり、抜け道や裏技のようなものが仮に存在したところで、それを明かすことはない』
 アノスに出来ないことなどないように思うが、アノスが帰ってくるまで引きこもる作戦を取った場合、一切ポイントを溜めることがないまま、必要ポイントは膨大なまでになってしまうわけだ。
 アノスの力を信じるとしても、帰りのわからない相手を待って引きこもる作戦は、不確実といえばそうなのだろう。
 やはり、やるしかないか。
 それでも、迷いはあった。
 下着など、おいそれと見せたいものではない。
 たとえ脱ぎたてでなくとも、タンスの中身を漁らせて、所持する下着をチェックさせたい女がどこにいるだろう。所持者が判明している下着と、店に陳列されているだけの、誰のものでもない下着では、男子が抱く気持ちも変わってくるような気がした。



 
 
 

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