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 夏休み中、突然の連絡で学校に呼び出され、ふざけた提案を聞かされた時、桃井俊樹は目の前の大人の正気を本気で疑った。
「失礼も承知で聞きますけど、大丈夫ですか?」
 俊樹に言わせれば、正気の沙汰ではなかった。
「まさか頭のイカれた提案だとでも思ってるのか? いくらなんでも、そこまで思うことないだろう。そりゃあ、特殊なプレイではあるがな」
 進路指導室で対面するヘラヘラとした先生に、俊樹ははっきりと敵意を向けている。
「男性用避妊薬があるそうじゃないですか。俺は正直、疑ってますけど」
 精子だけを狙い撃ちして弱らせて、卵子に到達できなくさせる錠剤が存在する。そんな知識を身につけたのは、SNSで情報が拡散される時代において、偶然得たものなのだが、気まぐれの好奇心から検索してみればすぐにわかった。
 ミイラ症にまつわる研究から、薬品開発の過程で偶然生まれ、実用化したものらしい。
 それを使っているとすれば、未だに妊娠しないことの説明がつく。
 つまるところ、この男は夢音の命を危険に晒しながら楽しんでいることになる。
 確かに、ワクチン体質の精液は、妊娠に至らずとも一定の効力を発揮する。数字の上では、夢音の発症率はまだまだ高いものではないのだろう。
 しかし、十五歳という年齢は転換期だ。
 一日を発症無しで過ごせる確率は、だんだんと下がっていく。今の夢音の発症率が何パーセントで、先生の精液がそれを何パーセントまで低下させているか。それは検査でもしなければわからない。
 きっと、いちいち確認などしていないだろう。
 どうせ死人は出ないと高を括って、毎年のようにクラスの女子全員とセックスして、気に入った女子については複数回にわたって抱き続ける。それを何年も続けていれば、いつかは不幸の死が出るだろう。
 当たれば死ぬ宝くじを引き続けているようなものだ。
 いくら低い確率だからといって、延々と引き続けていれば、いつかは当たりうる。それが夢音となった日には、稲田源一に対する怒りを抑えきる自信がない。
 何も確証はない。
 だが、やりかねないとは思っている。
「ま、仮にだぞ? 仮にお前の想像通りだったとして、だとしても自分の生徒から死人なんか出したくないよなぁ? ちょうどいいところで切り上げて、いい加減に妊娠させるはずだとは思わないか? だってもう八月だぞ?」
 毎年の検査により、夢音が妊娠すべきとされる期限は八月末だ。
 いわば締め切りが近づいている。
 それを過ぎれば、発症率がガンガン上昇していくことがわかっている。
「で、その八月になって、なんで早く妊娠させずに妙なことを思いつくんですか」
「お前こそ、その想像に証拠なんてないだろ? 本当に心因性で、心の原因で妊娠しないだけかもしれない。もしそうだったら避妊薬は関係ないだろう?」
 先生が避妊薬の使用をやめたところで、心因性だったら最初から妊娠しない。
 言わんとする意味合いは理解できても、心の問題を取り除くためのアイディアが理解できない。第一、避妊し続けていたのなら、どう考えてもそちらが原因のはず。
(……中断済みなのか?)
 先生はもう男性用避妊薬は飲んでおらず、その上で何度射精しても妊娠していないのなら、それはまずい問題だ。
「一応聞きたいんですけど、男性用避妊薬を使いすぎたら、慢性的に精子が弱体化するって聞いたことがあります」
「まるで使ってるのは確定事項みたいな口ぶりだな」
「先生が不妊検査を受けたことは?」
「ワクチン体質には毎年検査が義務付けられている。種無しじゃ無意味だからな。俺には何の問題もない」
 そうなると俊樹は迷う。
 複数回にわたって楽しむのは、避妊薬を使う方が確実だ。一回や二回程度なら、きっと飲んでいるように思えてならない。
 だが、こんな期限ギリギリに至ってまで、まだ飲み続けるだろうか。
 頭の中では様々な考えを巡らせてみるものの、その全てが疑惑や憶測を元にしたものだ。
「どうする? 彼氏くん」
「どうと言われても、夢音にはきちんと――免疫は獲得して欲しいですが」
「もしお前が俺の思いつきに乗らないなら、別のアイディアを試す。俺の頭に浮かんでいるのは、別のワクチン体質を招いての複数プレイだ」
「っ!」
 俊樹は戦慄した。
「もし心因性の不妊症だったら、わかりやすいところで言えば、俺が嫌いなあまりに妊娠を拒んで、本当に妊娠不能って筋書きだ。別に相手が現れれば、そいつが変わる可能性がありそうじゃないか?」
 理に適って聞こえるが、それは夢音に経験人数が増えるということだ。
 冗談じゃない。
 もちろん、自分の女がそう何人にも抱かれてたまるかという思いは強いが、それでどこまで夢音の心は削られるか、心配でならない。
 だが、最初の提案も、十分にショックを与える。
「どうする? どっちがいい?」
 先生は決定権を俊樹に委ねるつもりらしい。
「恋人の心に負担をかけそうっていうのは、どっちも同じだなぁ?」
 俊樹は二つのアイディアを天秤にかけている。
 だが、天秤はどちらにも傾ききらない。
「どっちを選ぶ?」
 一体、どちらの方が夢音に与える負担は少なくて、どちらの方が深く傷つくか。それを数値化して計算できるわけではない。
 その上で、どちらの方が合理的か。
「……決めました」
 俊樹は答えを告げる。

「最初の方のアイディアを取ります」

 俊樹も一緒に処置室に入り、夢音と先生のセックスを見学する。
 夢音には申し訳ないと思うが、夢音を抱く男の数は、やはり増やしたくなかった。

     *

 今日のプレイではアイマスクを渡された。
 その厚みに光が閉ざされ、視界は暗闇に覆われる。耳栓まで付けるように言われたが、どうやら遮音は完璧ではない。小さな物音はカットされても、会話に支障が出るまでには至っていない。
 こうした状態でベッドから両足を下ろし、椅子に座るのと同じ姿勢で腰掛けていると、先生がその真後ろに座り込む。
 胸板や腹がべったりと当たってきて、背中には先生の体温がまんべんなく染み込む。視覚を閉ざし、音も少しは遮断しているせいか、触覚に意識がいきやすい。背後から抱かれただけで、頭の中には先生の肉体が如実に浮かぶ。
 尾てい骨に当たった竿に、肩甲骨に密着してくる胸板と、後頭部の髙さに位置する顎から、先生の座った姿勢がありありとイメージできる。皮膚が情報を読み取るように、胸に近づく手の動きを察知していた。
 密着度が高いせいで、少しの動きも伝わるのだ。
 両手が持ち上がる気配さえ、腕の付け根にある筋肉や神経が微妙に動き、それを皮膚が読み取るせいで、次の出来事が事前にわかる。胸を鷲掴みにするのだろうと思った瞬間、その通りに指が食い込んだ。
 先生はいつものように巧妙な刺激をしてくる。
 痛いような揉み方はせず、乳首への愛撫も優しく丁寧だ。性感帯のスイッチを入れ、だんだんと感度を高めるために、産毛だけを撫でる具合で乳房の表面を刺激して、乳輪を軽やかになぞってくる。
 やがて乳首を弾き上げ、たっぷりと揉みしだくようになる頃には、体が快感に反応して、肩がモゾモゾと動くようになっている。
「んっ、んぅ……んぁぁ…………」
 性的な制圧を受けたのは二日前だ。
 寸止めによる焦らしから、おねだりの台詞を言わされて、挙げ句の果てに射精に対するお礼を言わされる。屈辱的な台詞が言えたのは、その時の夢音にスイッチが入り、セックスを楽しむ状態に堕ちていたからだ。
 今はまだ、そのスイッチが入るまでに時間がかかる。
 堕ちていく自分を思うと、俊樹に対する申し訳なさが湧いてくる。
(私がもっと早く妊娠していれば……)
 そうすれば、ここまで回数を重ねることはなかった。
 回数を重ねすぎることさえなければ、こうも体が開発され、おかしなスイッチが出来上がることもなかった。
「んぅぅ……んっ、んぅぅっ、んぅぅ…………」
 先生のテクニックには逆らえない。
 快楽を我慢してみようとは思っても、それが無駄な努力であるように、最後には必ずスイッチを入れられ、夢中になってセックスを楽しんでいる。ペニスを差し出されれば、ご馳走であるようにしゃぶりつく始末である。
 あの瞬間、先生への抵抗や理性は非常に薄らとしたものになる。
(嫌だ。毎回そんなの……私は俊樹だけに…………)
 あれが普通のことなのかどうか、他の女の子の感じ方を知らないので、それは何とも言いようがない。
 ただ、せめて恋人の前でだけ見せる姿であったなら、淫らな自分を許せただろう。俊樹の手でそういう部分を解き明かされ、思い通りに喘がされるのなら、それは夢音にとっては妄想のネタですらある。
 処置室への行き来が始まってからは、ここで満足させられるせいで、久しくオナニーはしていないが、俊樹と再会してからはよくしていた。俊樹に抱かれる妄想を繰り返し、そのバリエーションとして快感に堕とされる展開というものもあった。
 それを先生の前で披露している無念といったらない。
「んあぁぁぁ!」
 アソコに指が来た瞬間、夢音は仰け反りそうになった。
 先生の体が背中に体重をかけてきているせいで、実際には後ろに反ることはできず、代わりのように首だけで仰け反る。顔が天井を向き、頭を先生の肩に乗せているのだった。
「あっ! あぁっ、あぁぁ……! あぁぁぁ……!」
 両手ともアソコに来ている。
 ワレメをなぞる指と、クリトリスを嬲る指で、二点からの刺激が稲妻となってせり上がり、脳をしきりに撃ち抜いてくる。
「あぁぁっ、あぁぁっ、あっ、あぁぁ……! んぅっ、んぁぁぁ……!」
 頭を肩に乗せたまま、天井に向かって顔をビクビクと跳ね上げる。
「あふっ、んぅぅ……! んあっ、あぁぁ……!」
 もう先生による支配は始まっている。
 スイッチが一つずつ入っていくように、体の興奮度合いが段階的に上がっていき、最後のスイッチが入った瞬間、もう自分が自分ではなくなる。淫乱な一面を解き明かされ、堕ちた自分を引きずり出される。
 拒むことは出来ない。
 先生が上手すぎるせいで、我慢が意味を成した試しがない。
(でも……それはもう…………)
 夢音は許しを請うことにした。
「せ、先生……お願いがあります……」
 愛撫に忙しい手を掴み、指遣いを中断だせる。
「どうした? 夢音」
 先生はもう、馴れ馴れしく下の名前を呼び捨てしてくる。
「あのっ、先生とするのは、どうしても気持ち良くて、最後には必ず夢中になってしまって……」
「それはいいことじゃないか」
 何がまずいんだと言わんばかりの口ぶりに、夢音は激しく首を振る。
「よくないです! ああいう風になるのはもう嫌です! お願いします! 私のことをあそこまで感じさせるのはやめて下さい! じゃないと、どうしても淫らになっちゃうんです!」
「どうして嫌なんだ?」
「だって、先生は彼氏ってわけじゃなくて……。やっぱり、あんな風におかしくなってもいいのは、付き合っている相手の前だけだと思います。俊樹に申し訳なくて、だからあそこまで気持ち良くなるのは、もう嫌です……」
 夢音は思いきって伝えていた。
 目上にものを言ったり、逆らったりするのが苦手なせいと、意思を伝えればいいのだという簡単なことを思いつかなかったせいもあり、今までこんな風には言わずにいた。
 しかし、ふとした瞬間、そう伝えてみようと思いついたからには、言い出せるように勇気を溜め込み、今になってようやく思い切ったことを口にした。
「なかなか感動的なことを言うじゃないか。今のを本人が聞いたら感動するんじゃないか?」
「感動って……」
「だが、駄目だ」
 無情な答えに、せっかく出した勇気が無駄だった悲しみが溢れてくる。マスクの内側には涙が浮かび、布が吸い込んでくれなければ、きっと頬には筋が流れていた。
「どうしてですか……」
 だって、そうではないか。
 何もあそこまで堕とさなくても、夢音はそれなりに感じて喘いでいる。女の子の気持ちよさそうな姿なら、十分に見ることは出来る。それに奉仕だってしているのだから、先生は楽しめているはずだ。
「心因性の不妊症かも、って可能性について話しただろう?」
「え、はい……」
 意外な点を持ち出された。
「原因をわかりやすく考えると、夢音は彼氏のことが大好きすぎて、他の男の精子を受け入れられない。それが心因性の不妊を招いているとしたらどうだ?」
「どうって、だとしても、私のお願いくらい…………」
「いいや、気持ちの問題で言ってだ。理性が緩んでないと、他の男の精子なんて受け入れる気にはならないだろ?」
「…………」
 そう言われると、夢音には返す言葉がなくなる。
 現に今も、腹の底では先生を拒んでいる。
「ま、そうだとは限らない。心の問題なんてわからないからな。単に何かストレスがあって、そのせいって可能性もあるが、まあだからこそ、こうして新しい刺激を試しているわけだ」
 そのための目隠しプレイとは言うが、成果は出てくれるのだろうか。
 出てくれなければ、また一回、次も一回、セックスの回数が増え続ける。どうあれ成果は出て欲しかった。
「夢音、今からお前をあの状態まで追い詰める」
 体中が強張った。
 先生がその気になれば、夢音はもう快感への屈服から逃れられない。
「ま、嫌ならせいぜい我慢してみろ。その我慢こそが、不妊の可能性の一つなんだけどな」
(そんな……)
 一体、どうすればいいというのか。
 心の問題は夢音自身にもわからない。
 もしも先生の言う通り、先生のことを拒む気持ちに問題があるとしたら、では愛情でも抱いて受け入れろとでもいうのだろうか。たとえフリだとしても、そんなことを思う真似はしたくない。
(嫌だよ! 心くらい……心の中しか、もう守る貞操なんて残ってないのに!)
 原因の可能性を突きつけられて、なおも操を守りたい気持ちはあった。
 心に浮かぶ罪悪感、申し訳なく思う気持ち、それらを捨てないように抱えておき、俊樹だけにこそ心まで捧げること。肉体の操を守りようがない今、そんな心の操くらいしか立てられない。
 それすら許されない運命など受け入れられない。
 いいや、だからといって、それでもし妊娠できなければ、元も子もなくなるようでは……。
(どうすればいいの……)
 頭の中では必死に悩む。
「あふっ、ぬぅっ、ぬぁぁ……! あぁぁ…………!」
 それなのに声が出ている状況は、本当に何とも言えない。
(違う! きっと違うよ!)
 夢音はこう考えた。
 原因はそうじゃない。たとえそうだとしても、こうして新しい刺激を試している。この目隠しプレイが問題を吹き飛ばし、心因性の不妊を取り除くかもしれない。
 自分に都合の良い理論構築をして、心の操だけは守って良いのだと思い込む。
「んぁぁっ、あっ、あぁぁぁ……! あぁぁぁ! あぁぁ…………!」
 感度が増し、体温が上がってきた。
 股のあいだはぐっしょり濡れ、シーツの奥まで染み込んでいる。
(どうせ我慢しても……だから我慢する……だって…………)
 たとえ無意味だとしても、試みるだけは試みて、堕ちた状態にならないように努めてみる。それが心の操の守り方だ。快楽で理性をやられれば、もう我慢も何もなくなるが、せめて平静さが残っている時だけは、先生のことを嫌がる自分は捨てない。
 毛虫だって、ナメクジだって、百回触れば平気になる。
 先生とのセックスが平気なのは、それと同じ理屈に過ぎない。
「あぁぁ……! あぁっ、あぁぁ…………!」
 もう、理性は溶かされ始めている。
 固形物が微妙に形を変化させ、表面が水気を帯びてみえるかのように、夢音の理性には火が通り、溶け始めている。
(だめ……イクまで、もう時間が…………)
 指はアソコに出入りして、クリトリスもくすぐられている。
 先生のテクニックでこれをやられて、あと何分持つだろう。
 我慢の意思だけはきちんと抱え、心の中では耐えよう耐えようとしてみるが、感度はどんどん上昇している。我慢の意思も溶け始め、消えてなくなるまで時間の問題だ。一度そうなれば、しばらく元には戻らない。

 イク…………!

 アソコの中で、見えない何かが膨らんで、弾け飛ぶ瞬間を夢音は悟った。
 同時に、指が止まる。

「はぁ……はぁ……また、この前みたいに…………」

 先生のいかにも嬉しそうな顔が目に浮かぶ。
「わかってるじゃないか」
 頬ずりしてくる先生の、得意げな様子など、アイマスクの内側からでもはっきりわかる。
「んぅっ、んふぁ……」
 指の動きが再開する。
 膣口を丁寧にほじくりながら、クリトリスには愛液の滑りを活かしたタッチが行われる。
「前もっておねだりしとくか?」
「い、いえ……まだっ、理性がある時には……言えないです…………」
「そうか。なら、我慢をやめるか?」
「我慢は……あぁっ、んぅぅ………します………我慢も、理性がある時しか、できないので……んんんっ! んっ、んぅぅ……!」
 また、絶頂が近づく。
 ぴたりと、愛撫は止まる。
「惜しかったなぁ? イケそうだったのに……」
(うぅ……イキたい……我慢、やめたい…………けど…………)
 我慢の意思さえ捨てれば、先生の寸止めよりも一瞬早くイってしまい、絶頂できる予感はしていた。だからといって、我慢の意思を捨てることは出来ない。
 我慢はもうクセなのだ。
「んぁぁっ、あぁ……! い、うぅ…………!」
 だから、つい堪えてしまう。
 今のは一瞬イけそうで、我慢しなければ脳が弾け飛んだはずなのに、下腹部や脚にぐっと力を込めてしまった。押し潰すような気持ちで抑え込み、絶頂のチャンスを自らの手で捨ててしまった。
(我慢しちゃった……)
 小さな後悔を抱く。
(でも、我慢できた……)
 心の操を守れた満足感の方がいささか大きい。
「――んぃぃぃ! あぁ………」
 しかし、不意打ちのように弾けかけ、そこで寸止めを喰らう。
「これで何回イキ我慢をしたのかなぁ? そろそろ、理性がトロトロになってきて、エロくて下品な台詞を言えそうな頃合いじゃないのか?」
(無理……まだ無理…………)
 この前の言わされた台詞を思い出し、それをもう一度口にすることを思っただけで、顔が引き攣る。

「んぅぅぅぅ――――――――!」
 ぴたり。


「んぁぁぁぁ――――――――!」
 ぴたり。

 先生の肩に乗せた頭が、天井に向かって痙攣しそうになる瞬間、ちょうど良く愛撫が止まって手は離れる。
 こんなことが何回も、何回も繰り返されるのだ。

(今度こそ――――!)

 次こそイケるかのように思っていた。
 理性が崩れ、我慢の心が薄れていた。

 ぴたり、

 と、なおも寸止めが行われる。

「いぃぃぃ…………!」
 ぴたり。

「んぁぁぁ…………!」
 ぴたり。

 巧みにタイミングを読み当てて、指のピストンは停止する。
 これが十分、二十分と続けられ、とうとう夢音の理性は陥落した。
 アイマスクの内側で目がとろけ、ぽーっとした表情でよだれを垂らし、いかにもみっともない顔になっている。

 イキたい……イキたい……イキたい……イキたい……。

 夢音自身も気づかないうちに、頭の中はそれで染まった。
(ごめん……俊樹、限界……でも、毎回我慢してるから……)
 そんな状態で、改めて行う寸止めがトドメとなった。

「お、おねだり……します……先生の好きな台詞……言いますから…………イカせて下さい………………」

 セックスを楽しむ時の夢音の顔が、ようやく現れているのだった。
「フェラチオしろ。オチンポ大好き宣言をしながらしゃぶったらセックスしてやる」
「は、はい……」
 夢音は美味しい餌を求めるように床に下り、膝を突いてペニスを握る。
 そして…………。



 
 
 

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