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 普段は演劇を行うための舞台だが、今はロウェルミナを立たせるために使われていた。
(あ、あ、あ、あ、ありえない……ありえない…………)
 ただ一人立たされて、客席に集まる男、男、男という男の数々を目の当たりに、ロウェルミナはすっかり固まっていた。
 全身の硬直で、筋肉が固まるあまりにプルプルと震えている。
 そんな状態でも、胸とアソコはがっちりと覆い隠して、やはり腰はくの字気味に、肩も内側に丸まっている。体を少しでも隠したがる思いが体中からまんべんなく放出され、見る者全てにロウェルミナの恥じらいぶりを伝えて来る。
「お集まりの諸君!」
 ウェインは司会進行役となって、大きく声を張り上げていた。
「今日は特別なゲストにお越し頂いている! なんと! 帝国のロウェルミナ皇女だ!」
 その瞬間だ。
「すげぇぇぇ!」
「マジかよ!」
 瞬く間にざわめきは広がり、会場は大盛り上がりだ。
「さあ、早速だが我々紳士の目を楽しませて頂こう。ロウェルミナ皇女、まずはそのように手で隠す行為はやめて頂きたい」
「そんな……ですが、恥ずかしくて…………」
「何を仰いますか。既に私には全裸を見せているはずでしょう?」
 ウェインがそんな真実を告白する。
 すると、それがまたざわめきを広げていた。
「マジか? 乳首も見たってことだよな?」
「馬鹿! 乳首どころじゃねぇ! アソコだって見てるんだよ!」
「そいつはやべぇ!」
 会場の熱はますます上がり、食い入るように見つめる男達の視線には、これ以上ないほどの熱気に満ち溢れている。視線だけでロウェルミナのことを焼き尽くさんばかりとなり、こうなればロウェルミナはますます小さく縮こまる。
「さあ、いかがしたかロウェルミナ皇女!」
「できませんってば! こんな大勢の前で!」
「ほう? できないと申しますか! お集まりの諸君もご察しのように、かの皇女がこのような辱めを受けるからには、その裏にはそれ相応の理由があって然るべきところ。さて、本当によいのですかな?」
「ですが……しかし……」
 ロウェルミナは必死の目で懇願の思いを訴えかける。
「私の前ではあれほど強気に啖呵を切り、見たければ見れば良いとまで言ってのけたのに、さしもの皇女殿下も大勢の前では身動き一つ取れないようだ」
 ウェインは大胆に肩を竦める。
「だが、そうなるとあの話は……」
 それを言われると、ロウェルミナは黙っているわけにはいかなくなる。
「わ、わかりました! やればいいのでしょう!? やりますとも! ただ手を下ろすだけですものね! 余裕ですよ! そんなの!」
 ロウェルミナは投げやりとなって、まずは背筋をピンと真っ直ぐに伸ばしていた。
 手始めに右腕を下ろし、今まで腕力で押し潰していたものが、プルっと視線に曝け出される。マイクロビキニで乳首だけを隠した豊満な果実は、会場に集まる視線という視線の数々を一身に受け止めていた。
(あぁぁぁぁ……! 胸が焼かれるみたい……! なんですかこの感覚は!)
 視線が集まり、大勢に視姦されている。
 気にせずケロっとしていることができたなら、物理的にはただそれだけの話になるが、皮膚が炙られるかのように熱い。その上、蟻よりも細かい何かが無数に這い回り、皮膚の表面でぞわぞわとするような感覚までしてくるのだ。
(あぁぁ……! あぁぁぁ……! だめっ、なにか駄目!)
 とにかく恥ずかしい、これに尽きる。
 羞恥心がために表情には苦悶が浮かび、ロウェルミナは頭を沸騰させていた。
「もう片方の手も下ろしてみては?」
「そうですね――ええ、ええ…………!」
 ロウェルミナはアソコから左手をどかす。
 その瞬間、顔中に広まる熱が上がって、見るからに肩が大きく持ち上がる。耳まで染まりきった様子は客席の奥にまで伝わっていた。
「ではオッパイをプルプルさせてもらおう」
「は!? なんですかそれは!」
「飛び跳ねてプルプル揺らすんだ」
「意味がわかりませんけどぉ!」
「いやいやいやいや、わかる。大いにわかる。プルプルのオッパイは男のロマンだ」
「私にはわかりませんが?」
「だがやるしかあるまい?」
「うくぅぅ……!」
 ロウェルミナは乳房を揺らした。
 背伸びを何度も繰り返し、かかとを上げ下げすることによっての乳揺れの披露で、ロウェルミナの胸はまさしく上下に弾む。大胆で瑞々しい球体のバウンドは、会場の熱気をさらに高めて、理性的だった目がだんだんとギラついたものに変わっていく。
 客席をまともに見ていられない。
 ロウェルミナは観客から目を逸らし、ひたすらに揺らし続けた。

 ぷるん! ぷるん! ぷるん! ぷるん! ぷるん! ぷるん!

 大胆に大きく弾む。
「ところで、乳首が突起していますなぁ?」
「なっ!? そんなこと、ないと思いますけどぉ?」
「そんなことあるんだなー! これが!」
 遠目からはわからない事実を発表して、ウェインはまだまだ客席を盛り上げる。
「いえいえそんな……」
 ロウェルミナは必死に否定しようとした。
 しかし、言われればどうしても気になって、自分自身の乳首をさりげなく確認してしまう。
(なっ!? なっ、なっ、なっ!)
 突起していた。
 しっかり尖り、最初に着用した時に比べても、見るからにくっきりと形が浮かび上がっていた。
「さて、乳首が元気になったところで、ビキニを脱いで頂こう!」
 ウェインがそう言った瞬間だ。
「うおおおお!」
「見てぇ! 見てぇ!」
「目に焼き付けてやるぜぇ!」
「一体どんな色なんだァ!?」
 荒ぶった大きな声まで届いてくる。
 それがロウェルミナの気持ちを煽り、こうも興奮されては脱ぎにくい。
「さあ! ロウェルミナ皇女!」
「脱げば……いいのですねっ、脱げば…………!」
 ロウェルミナは後ろに手を回し、首と背中にある二つのリボン結びをそれぞれ引っ張る。急に落ちないように手で押さえ、ぎゅっと抱くようにしながらほどいていく。腕と胸の隙間から引き抜く形で一枚を脱ぎ去った。
「ぬ、ぬ、ぬぎっ、脱ぎましたよ?」
 声が完全に上擦っていた。
 手で隠し、上手いこと乳首を見せないようにしながら脱いでみせ、これで許してもらおうとする魂胆が通るか否か、ロウェルミナは内心でビクビクしていた。
「おや、肝心なものは見えないなぁ?」
「ですが脱ぎましたよ!」
「ふむ、それは確かだが、皆はどう思う!」
 ウェインが客席に呼びかけた途端だ。
「見せろぉぉぉぉぉ!」
「皇女殿下といえど、そのような小細工は許されない!」
「我ら下々の民に乳房の恵みを!」
「あなたのオッパイを見ることができるなら、斬首系になってもいい!」
「乳首ぃぃぃぃぃ!」
 客席のいたるところから、乳房への執着の声が上がっていた。
「さて、この様子では、その腕をどかして頂かない限りは収まるまい?」
「で、ですけど…………」
「もっとも、簡単に見せてしまってはつまらないのも事実! ロウェルミナ皇女がどこまで隠しきれるかを試すため、ここでもう一つの使命を与えようと思う!」
 ウェインの高らかな声が響き渡ると、客席は嘘のように静まった。
 しかし、決して熱気は途絶えていない。
 ただ声が沈んだだけで、男達の目に宿ったギラつきはむしろ増している。一人一人が期待を膨らませ、とある言葉を待っていた。
 ビキニのうち、ブラジャーの方を脱いでいる。
 ならば、次はどんな使命をロウェルミナに課すべきか。

「ショーツを脱いで下さい!」

 予想通りで、期待通りの言葉が出て来た途端、客席は改めて活気に溢れ、王子を称える声が数多く上がっていた。
「さすがはウェイン殿下!」
「最高だぜぇ!」
 期待に応えてくれる王子への称賛に加え、脱衣への期待感も過熱する。
「アソコが見えちまうのかぁ!?」
「バーカ! 簡単にいくかよ!」
「そうそう。ロウェルミナ皇女様だもんなぁ!」
「簡単に見えちゃあつまらねぇ!」
(なんでこんなに盛り上がるんですか? 馬鹿なんですか!?)
 ロウェルミナは本気で引き攣っていた。
 同時に、ショーツを脱ごうと左手だけを腰へ運んで躊躇った。
 腕は二本しかない。
 まともに脱げば、どう足掻いてもアソコか胸のどちらかは晒してしまう。すぐさま両手で隠せばいいが、一瞬の隙を突くように、わずかな瞬間だけ見えてしまうだろう。
 ロウェルミナはそれを嫌い、客席に背中を向けた。
「お尻プリプリだなぁ?」
「そうかそうか。そうすれば、急に見えないように出来ますなぁ?」
「期待してますぜ! 皇女殿下ー!」
 野次なのか応援なのかもわからない声が飛ぶ。
 そんな声の数々に、頭に熱を注がれ続け、脳が沸騰して消えてしまいそうな感覚さえも覚えながら、ロウェルミナはリボン結びの紐を引っ張る。
 はらりと、またからショーツが落ちていく。
「おおおおお!」
「こっちを向いてくれぇぇぇ!」
 客席の熱気に際限などなく、まだまだ上がりかねなかった。
「では皆の期待に応え、前を向いて頂きたい」
 ウェインが命じる。
 応じて振り向くロウェルミナは、もちろんのように両手でしっかり覆い隠して、恥ずかしさから深々と俯ききっていた。
「さあ、これで正真正銘の丸裸だ。皇女殿下、あとは両手を下ろすだけでは?」
 ウェインの言葉に、ロウェルミナの頭がピクっと弾む。
「それは……それはその……」
「ほう? できないと?」
 その言葉には「できなければどうなるか、わかっているな?」という言外の脅迫の意図が宿されている。
 それがわからないロウェルミナではない。
「下ろせばいいのですよね…………や、やりますよ………………」
 ロウェルミナは完全に下を向ききり、床だけに視線を注ぎながら、両手をゆっくりと下ろしていく。
「うおっ」
「おおっ!?」
 腕が、手の平がどいていき、見える面積が増えただけで、盛り上がりの声が届いてくる。それにピクっと反応して、ロウェルミナは胸とアソコを反射的に隠し直す。
「おや?」
「どうしました?」
 すると、煽る声が客席から投げかけられた。
(最悪です……地獄です…………)
 肩から指先にかけて、緊張や恥辱感が満ち溢れ、筋肉は硬化していく。固まりきった腕の動きはぎこちなく、ただどかすだけで動きが不自然にカクカクとしていた。
 今度こそ両手を下ろしきる。
 桃色の乳房があらわとなり、金色の陰毛が見えた瞬間、客席の熱狂がロウェルミナの全身に伝わった。
「すげぇぇぇぇ!」
「皇女殿下! ばんざーい!」
「ここからでも毛が見えるぜー!」
「乳首の色が素晴らしい!」
「芸術的なボディ!」
 ありとあらゆる声を聞かされ、その全てがロウェルミナに苦悶をもたらす。
 手で隠すことすら許されず、丸裸で視線を浴びる。
 たったこれだけでも、視線だけで肌中を焼き尽くされ、火炙りの刑にでも処されているほどの苦悶を味わっていた。
 それなのに、これだけでは留まらない。

「さて、ここでオナニーを披露して頂こう」

 ロウェルミナにはさらなる絶望が待っていた。
「お、オナニーって…………」
「いかに皇女殿下といえど、年頃の娘には変わりない。思春期特有の好奇心から、己の性器に触れるくらいのことはありえるはず!」
 ウェインはまくしたてる。
「まして王宮育ち! 自慰行為、性技の数々! そうしたことを学ぶ書物などいくらでも手に入ることだろう! さあ、ロウェルミナ皇女! 尊い血を持つあなたの、尊いオナニーを見せて頂きたい!」
(なんですか尊いオナニーって!)
 いくら血縁を重視する価値観が普及して、大陸全土で一般化しているからといって、血筋が尊いからそのオナニーも尊いなど、逆に辱めを煽る言葉である。
「尊いオナニー!」
「皇女殿下の尊いオナニー!」
 しかし、観客のツボにハマってしまい、尊いオナニーを見たがる声が溢れ始める。
「や、やれと? どうしてもやれと?」
 ロウェルミナは涙目になって、許しを請う目でウェインを見た。
「無論だ」
(ウェイン! この恨み一生忘れませんからね!)
 打って変わって恨めしさを抱く。
 ロウェルミナはそしてアソコに指をやり、恐る恐るといった具合に触り始めた。
「おおっ!」
「始まったぞ!」
「皇女殿下の繊細な指遣い!」
「なんという見応えであろうか!」
(やりにくいんですけどぉ!?)
 それでなくとも、人に見せるような行為ではない。
 ただでさえ、本当にやりにくいことをやっているのに、こんな声の数々があるから、尚のことやりにくい。
 居心地さえ悪くて落ち着かない、そんな状態でロウェルミナはワレメをなぞって指を動かし、自分自身に淡々と摩擦を与えていく。
 徐々に甘い痺れが生じていた。
(こんな状況でも、私って感じてしまうんですか?)
 人前で乱れるほど、自分は卑猥な女ではない。
 心のどこかでそう思っていたのに、ロウェルミナは軽くショックを受けていた。
「さあ? どうです? 気持ち良さは」
「ええ、な、なにも……感じません……こんな見られながらでは、感じにくいですから……」
「とはいいますが、どうも愛液の気配を感じてならないのですよ」
(は!? バレてる!? いえ、そんなはず――)
 いくら近くにいるからといって、そこまではっきりと濡れているわけではない。多少は気配がある程度の、微妙な濡れ具合でしかないのに、本当に気づくはずはない。
 つまり、揺さぶりをかけられている。
 そうとわかったところで、裸でオナニーしているロウェルミナは、心理的にも守備が弱まり、普段なら通用しないような揺さぶりで心がぐらつく。
「いえいえ、まだ始めたばかりですから、濡れてなど……」
 そう返すものの、声色に震えが宿り、図星だったことを晒してしまう。
「どうやら本当に濡れているそうだ!」
 ウェインはすかさずそれを事実として発表した。
「濡れてる!? 皇女殿下が濡れてる!?」
「血筋が尊いなら愛液も尊い!」
(尊くなくていいですから!)
 あらゆる言葉が責め苦となり、ロウェルミナは苦悩する。
「うーん! 愛液の気配が強まっている!」
 ウェインの言うように、それでも指を使っていれば、どうしても生理的な反応は出てきてしまう。擦れば擦るだけ指の滑りは良くなって、クリトリスも突起する。隠したい心理が働き、自然と内股を擦り合わせるが、アソコを直接見るまでもなく、男達はロウェルミナがオナニーしている事実だけで盛り上がるのだ。
「ひゅー!」
「いいぜ! いいぜ!」
 これだけの野次を浴び、好奇の視線や欲望のギラつきを一身に受けながら、体はそれに反応してしまう。
(どうして……こんな状況で感じるだなんて……!)
 その時だった。

「んぅぅぅぅぅぅ………………!」

 前触れはなく、突然だった。
 急に雷に打たれたような感覚がして、一瞬だけ頭が真っ白に、太ももを力強く引き締めて、膝をカクカクと震わせていた。気づけば手の平でアソコを覆っていて、その手の内側には今まで以上のたくさんの愛液が広がっていた。
(なっ……! なっ、ななな! 私っ、イったんですか!?)
「イったようだ! ロウェルミナ皇女はオナニーで絶頂したぞ!」
 自分でも驚愕している横で、ウェインは絶頂の事実を声高に発表する。
「おおおおおお!」
「イったのか! 皇女殿下は!」
「すっげぇ!」
「みんなに見られながらイクとは!」
「さすがは尊いオナニー!」
「絶頂も尊い!」
「愛液も尊い!」
 信じられない熱狂ぶりだった。
 恐ろしいほどのざわめきぶりが信じられない。
(好きでイったわけじゃないのに…………)
 好きで舞台に立っているわけですらなく、それなのに観客が喜ぶことをしてしまった。その屈辱感が耐えがたいほどに大きく広がり、どこかに頭でも打ちつけたくなってくる。
「では皇女殿下の絶頂を称え、これより媚薬を塗って差し上げようと思う!」
「はぁ?」
「ロウェルミナ皇女! あなたにより大きな快楽を与えよう!」
「え? いや、あの……!」
 遠慮したい、実に遠慮したい。
 しかし、ウェインは問答無用で迫って来て、小型の小さな土器から軟膏を指に取る。一歩ずつ近づくウェインに対し、ロウェルミナは一歩ずつ後ずさるが、ニヤニヤしたウェインの顔から盗賊の件を思い出す。
 途端に足が動かなくなり、そしてウェインは目の前まで迫って来た。
「では塗って差し上げよう」
 軟膏の乗った人差し指が、まずは乳首に近づいて来る。
「んぅ……!」
 刺激が走った。
 まずは押し込むかのようにされ、指と乳肌のあいだに潰れ広がる軟膏は、ぐるぐると乳輪をなぞるタッチによって塗られていく。もう片方の乳首も同じくされ、ぐるぐるとなぞられることで刺激を感じ、息は乱れた。
 二箇所に媚薬が浸透すれば、残るもう一箇所はアソコしかない。
「もしかして……」
 ロウェルミナは恐る恐るウェインを見る。
「そのもしかしてだな」
 次の瞬間、ウェインはしゃがんだ。
「…………っ!!!」
 激しく引き攣り、頭を噴火させる勢いで恥じらった。
(アソコの近くに……いやぁぁぁ…………!)
 性器をただ露出するだけでも恥ずかしいのに、至近距離にウェインの顔があるのだ。間近でジロジロと見られるばかりか、視姦されている光景をまた、客席からも視姦されている。二重の視姦が責め苦となって、羞恥の熱で顔が溶けそうにすらなっていた。
 指が来る。
 軟膏は指とクリトリスのあいだに潰れ、ウェインはそのまま指先で塗り始める。クリトリスやその周辺だけでなく、ワレメにさえも塗り伸ばし、その激しい痺れにロウェルミナは腰を活発にモゾつかせた。



 
 
 

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