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  いくらなんでも、どうなんだろう。
 効率のためなのはわかるけど、これはやっぱり恥ずかしい。
 身長計で背筋を伸ばした長谷川絵乃は、下半身の心もとなさに頬を赤く染めていた。白い体操着を来たその下には、ブルマはおろかパンツも履いていない。下腹部が丸出しなのだ。横に下ろした手でなんとか体操着の裾を伸ばし、隠そう隠そうと試みていた。
「はい、動かないで」
 その行動を注意され、ガードの試みも許されまいまま頭にバーが下ろされる。身長の数字を読み上げられ、ようやく身長計から解放された。
(これで後はお尻だけだね)
 いよいよ来る恥ずかしい検査に、絵乃はしっかりと腹をくくった。
(よし、頑張ろう!)
 絵乃の中学校では身体測定は体操着で行われる。廊下移動を行いながら各検査を済ませていき、既に内科検診や視力検査を終えたあとだ。残るは身長体重といった体格測定と、そしてお尻の検査となっている。
 身長体重、お尻の検査は全て体育館で行われる。広いスペースをまんべんなく利用して、各検査場所を各自まわっていくシステムになっている。
 要するに各検査で女の子はお尻を見せてまわらなくてはいけないのだ。

 まずは測定コーナーの列に並び、順番がまわって担当者の前へ出た。

「長谷川絵乃です。よろしくお願いします」
 書類に間違いが出ないよう名乗ってから、覚悟を決めたように体操着の裾をたくし上げ、下腹部を曝け出す。
 この身体測定のあいだは、女子生徒はパンツを履くことが許されていない。各お尻の検査を効率良く済ませるため、体育館に入る前にブルマとパンツは脱がなくてはならない。アソコとお尻が丸出しになるから、みんな裾を伸ばして前を隠そうとしながら体育館を歩き回って、それぞれの場所で検査を受けている。
「ヒップを測ります」
 測定コーナーではお尻にメジャーを巻き付けられ、大きさを測られる。巻き付けたメジャーを固定するかのように、男の担当者は必ず手をべったりと貼り付けてくる。わざわざ触ってくるのだから嫌な気持ちがしてくるし、とっても恥ずかしくて堪らない。
「割れ目の長さを測るので、腰をくの字に折ってください」
「はい」
 絵乃が微妙にお尻を付き出すと、担当者はメジャーを尾てい骨のあたりに押し当て、伸ばした紐を割れ目に食い込ませた。尾てい骨からアソコの貝の部分までを尻の割れ目の長さとされていて、ぺったり貼り付くようにメジャーを伸ばしてくる。隙間なくしっかり伸ばすためか、メジャーの上から指でなぞってくるからたまらない。
(うぅ――いっそ死にたくなっちゃうよ)
 恥ずかしさを堪えるうちに数字が読まれ、測定コーナーから解放される。

 次はギョウ虫検査コーナーだ。

 例のシートを肛門に当てるアレ、そんなものは自分でやれば済むものだけど……。
 せっかくお尻の検査があるのだから、それも医師の手でやってしまおうということらしい。何がせっかくなのかはわからないけども、そういう決まりなのだから仕方ない。
 列に並んで順番がまわると、絵乃は丸椅子の前に出た。
 白衣の医師と丸椅子の組み合わせは、それだけ見れば普通の診察でも始まりそうな雰囲気に思えるが、この椅子は座るために用意されているわけじゃない。事前にあった説明のプリントによれば、椅子はお尻を付き出すために置かれているのだ。
「長谷川絵乃です」
 名乗って、絵乃は椅子に両手を置く。
(ちょっと屈辱だけど……)
 恥を飲み込むように息を呑み、思い切ってお尻を差し出した。パンツすら履かないアソコまで見られてしまう姿勢の心もとなさといったらないが、みんな同じ検査を受けているのだ。自分もきちんとしなくては。
「はい、貼りますよー」
 尻たぶの片側を鷲掴みにされ、ギョウ虫検査シートが当てられる。
 そっとビニール状のシートが触れてきたかと思うと、人差し指で突き込まれ、肛門をぐりぐりと指で揉みほぐされた。
(うぅぅっ、やっぱり死にたくなるよぉ……)
 堪えるように唇を丸め込み、絵乃は必死に目を瞑って耐えていた。押し込んでくるかのような人差し指がぐりぐり動き、菊皺をほじくられる。皺を一つ一つなぞるようにされ、さらに両の尻たぶを鷲掴みに、親指二本を同時に押し込んできた。
(……揉まれてる! 揉まれてるし!)
 押し込むように動く親指に合わせ、鷲掴みの指も食い込んでくる。力を出しいれするような尻揉みをひとしきり受けてからの解放となった。

 今度は肛門のサイズと皺の本数だ。

 同じように白衣の医師と丸椅子の置かれたコーナーで、絵乃は恥を忍んでお尻を付き出す。途端に指で割れ目を開かれ、肛門をじっくりと観察された。
(ひぃぃぃ、見られてるぅ!)
 視線を注がれ、今にも肛門が痺れるかのようだ。
 硬いプラスチックの感触で、定規が当てられるのがわかる。穴に合わせるようにして数字を読まれ、皺を一本一本数えられた。
「いち、に、さん、し……」
 医師はぶつぶつつぶやきながら、大きく広げた尻たぶをじっくりと覗きながら目で数える。ここで尻を力ませ肛門をヒクヒクさせてしまうと注意されるので、絵乃は出来る限り力を抜こうと意識し続けていた。
「十五本です」
(じゅ、十五本て! そんな情報いらないよォ……)
 検査がまだいくらか残っているのを考えると、部屋の隅にでもうずくまって一人でいじけたくなってくる。お尻を揉まれたり測られたり、肛門を弄くられても平気な女の子なんて、どこにもいないのではないだろか。
 少なくとも、絵乃はそういう気持ちだった。




 
 
 

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