声が聞こえる……。
「お兄ちゃん! お兄ちゃん!」
必死に呼びかけてくるのはユリンの声か?
まどろみに落ちていた俺はしだいに意識を覚醒させ、妹の悲痛な叫びに目を覚ました。
「お、俺は……」
気がつけば、ユリンが俺の顔を泣きながら覗き込んでいた。
「良かった! お兄ちゃん!」
俺が目を覚ましたことがわかると、勢い良くしがみついて離れない。
この状況は……。
ああ、そうか。俺はサキュりんにたっぷりと搾り取られ、生命エネルギーを搾り取られて意識を失っていたんだ。てっきり、自分はあのまま死ぬものだと――セックスで死ぬなら本望だと魂で叫んでいたくらいなんだけど、しかしどうやら俺は無事らしい。ミイラのように干からびていたはずの肉体も、いつの間にか元の若々しいものに戻っている。
「俺は助かったのか? どうして……」
「精力剤を飲ませたんだよ? お兄ちゃんの部屋にあったから、飲ませたら効くかもって」
「なるほどな」
俺は森で手に入れた素材を使って色んな魔法薬を調合しているが、精液を無限に射出できるための魔法の精力剤も開発していた。おかげで奪われた精力を回復できたということか。やれやれ、エロスの追及を目的とした研究でまさか命が助かるとは思わなかったぜ。
「アンタを運んできたのは私なんだぞ?」
ミリアが壁にもたれかかり、文句ありげな顔を向けてきた。
「お前が?」
「たまたまミイラを見かけたと思ったら、なーんかアンタに似てるじゃん? さすがに死んでるかなーと思ったけど、一応運んどいてやったんだよ。生き返るとは思わなかったけど」
「そういうことか。二人ともありがとうな」
あのまま放置されていたら、蟻のエサにされるか野鳥に肉を啄ばまれるかで、かなりグロテスクな有様になって終わりを迎えていたことだろう。
「お兄ちゃんが助かってよかったよ」
ユリンはそのまま俺の胸元で泣きぐしゃっていた。
あー……助かった。
サキュりんとのセックスは気持ち良かったが、またミイラにされるのはまっぴらだ。何か悪魔対策の魔法があればいいんだが、悪魔退治はそうそう簡単にはいかないからな。できれば二度と会わずに済ませるのが懸命な判断だろう。
「でさぁ、お前なんでミイラになんかなってたんだよ。だいたい、あんだけ干からびてたのに元通りとか、本当にただの精力剤かよ」
「ただのじゃない。魔法の精力剤だぜ? 生命エネルギーが回復できる。俺がミイラになっていたのはそうだな……森に悪魔が出た。人間には敵わない相手だ。そいつに生気を吸い取られたせいで俺はあんな有様になっちまったってわけだ」
「ふーん? 本当にそんだけか?」
ミリアは疑わしいものを見るような目を向けてくる。
「どういう意味かね」
「お前さぁ、なんか変態やらかしたツケであんな目に遭ったんじゃねーのかなー……って」
ギク。
「そ、そんなわけないだろ?」
「なーんで目が泳いでるんだよ。怪しいじゃん?」
「怪しくない怪しくない」
俺はただ懸命な思いでアイリスにチンポを捧げようとして、そしたら使い魔として使役されていたサキュりんとやらに邪魔され、こってり絞り上げられたという真相だが、別にそこまでかけ離れた説明はしていまい。悪魔が出た。人間には敵わない相手。そいつに生気を吸い取られた。ほーら、一個も嘘はない!
「お兄ちゃん……。私やミリアさん以外ともしたんだ……」
ユリンまでもが俺を疑い、酷く悲しそうな目を向けてきた。なんかこう、ミリアは蔑むような目つきを、ユリンは息子が悪事に走ったことを悲しむ母親のような目を、それぞれ俺に向けて来ているわけで……。
見るな! そんな目で俺を見るな! ――と、叫びたくなるほどの気持ちに俺は陥っていた。
「俺はな、お前達が本命だぜ。他の女なんてオマケだぜ」
「そっか。したんだな……」
「お兄ちゃんの馬鹿……」
ああ、なんて扱いだろう。
散々な目に遭った挙句に、全ての女性に平等にチンポを捧げたいとしているフェミニストの鏡みたいな男であるこの俺が、どうしてこんなにも蔑まれなければいけないんだろう。俺が何か悪いことをしただろうか。人間の自然な営みにふけっただけではないか。
その時だった。
ドンドン!
ドアを激しくノックする音。
「誰か! 誰かいないか! 私だ! ミレーヌだ!」
まさかこんなタイミングでミレーヌが現れるだなんて、俺は女騎士のことを未だに二人には話していないんだぞ? これじゃあ修羅場突入じゃないか。
「お兄ちゃん。ミレーヌさんって誰?」
「そーだぞ? 何で他にも女がいるんだよ」
いつの間にか仲良くなったのか? こいつら。二人はやけに結託して俺を問い詰め、ミレーヌとは何者なのかを問い詰めようと迫ってくる。
「おい、いないのか! 貴様に大事な話があるんだ! 入らせてもらうぞ!」
え? 入ってきちゃうの? ミレーヌさん。
ドアのキィィィと開く音から、どしどし床を踏み鳴らす音。本当に入ってきた上に、マジで遠慮なく俺の家を徘徊しているのが響く足音で良くわかった。
「っていうか、ミレーヌって町の女騎士じゃなかったっけ?」
「おう、よく知ってるなミリア」
「私が盗賊を名乗って色々やってた時さ、しつこく追ってきた奴なんだよ」
ということはミリアとミレーヌは既に知り合いか。
「じゃあ、そのミレーヌさんがうちに何の用事なの? ねえ、お兄ちゃん町で何かしてきたんじゃないよね?」
どうしてこう信用がないのかなぁ……。
「何もシてないよ? 何も」
町に繰り出して女をイかせて回るのはまだ先の予定だし、俺は本当に何もしていない。心当たりがあるとしたら、性奴隷となったミレーヌは俺のチンポが恋しいあまりにうちまで押しかけて来てしまったということだ。
いやもう、それしかないと俺は確信していたんだけどね。
「本当にいないのか? 戸締りもせずに無用心だぞ! 留守ならば仕方がないが、町が魔物に襲撃されたんだ! 我々だけでは太刀打ちできない。貴様の力がどうしても必要だ!」
町に魔物――?
え、ちょっと待てよ。
この辺は野蛮な生物の少ない比較的平和な区域だったはず。一体どこから魔物が現れ、しかも町を襲撃したっていうんだ? 一匹や二匹なら、騎士団を抱えておきながら太刀打ちできないなんてありえない。よっぽど強力なのが出てきたか、あるいは相応の数がいるかのどちらかだっていうことになる。
これはまずい。
何がまずいって、魔物って人間を殺したりするじゃん? 町の人口が減ってみろ、可愛い女の子の数が減って俺のセックス相手が減っちまうかもしれないだろ!
――た、大変だ! こうしちゃいられない!
「二人とも、ちゃんと説明はするから少し待ってろ。俺はミレーヌと話をしてくる」
俺は部屋を飛び出して、ちょうと廊下を歩んでいたミレーヌとばったり顔を合わせることとなった。
「……なんだ。いたのなら返事くらいしたらどうだ」
「悪いな。ちょっと立てこんでいたから……。それより、魔物が出たとか言っていたのは本当か? どんな連中が出たっていうんだ」
「数は大したことないが、一匹一匹が強力すぎて刃が立たぬ。悔しいことだが、この私も奴らの前では逃げ延びるのがせいぜいだった……」
ミレーヌは悔いるように顔を伏せる。
「だいたい想像できるぜ? 高潔な騎士が逃げ出すということは、さしずめ全滅の危機に陥ってやむを得ずだ。誰かが生き残って、どこかに事態を知らせて助けを求める必要があった」
「……察しがいいな。その通りだ。私は……我々騎士団は、町の人々を守ることができずにむざむざ町を明け渡すという醜態を晒してしまった」
「町は占拠されたってことだよな。騎士団が手も足もだせなかったら、あの町はそれ以上の戦力を保持していない」
「そうだ。だから私は事態を貴様に知らせることにした」
ミレーヌは真っ直ぐに俺を見据える。
「どうして俺なわけかな」
「それは貴様がマジカルチン……の持ち主だからだ」
恥らって最後まで言えないか。
「え? なんだって?」
俺はわざと聞き返す。
「……ま、マジカルチンポの持ち主だからだ!」
ミレーヌは恥を堪えるように、顔を赤くしながら思い切って声を発した。
マジカルチンポ、か。悪くねぇぜ。
「確かに俺は魔法でチンポを自在に操る。しかし、魔物ねぇ? 俺の精子を魔物相手にぶっ放せとでも言うつもりか? 俺は女相手にしか射精できないし、したくない。そんな俺を頼ろうなんて、ちょいと相手を間違ってるぜ」
「いや、間違いはない」
ミレーヌはきっぱりと断言する。
「え、そうなの?」
俺今さ、結構クールな喋り方を意識していたわけよ。ドスを効かせた低めの声で重々しく、しかしどこか軽快さを残したどっかの大物的な気分で喋ってたのに、もうちょっと乗ってくれないもんなのかなぁ……。
「町を襲撃し、騎士団を殲滅し、住民を脅かしている魔物達は全て女性型だ。敵ながら容姿には優れていたからな。きっと、男なら彼女達を美人だと思うはずだ」
女……だと!?
「それは本当か!」
俺はミレーヌにぐっと顔を押し寄せた。
「……あ、ああ。人数は大していない。襲撃時はたった一匹のダークエルフが騎士を殲滅し、その後は仲間と思われる女性型の仲間と接触していた。おそらくはダークエルフが殲滅を担当し、別の仲間が住民の支配を担当したということなのだろう」
「ふむふむ」
熱心に耳を傾ける俺に対してミレーヌは何故か引き気味だが、気にしない。
「町一つを占領するなら、オークやゴブリンといった兵を引き連れていても良いはすだが、町の様子を見る限り雑兵はいない。ただ邪悪な魔力が霧のように立ち込めて、大気が黒く霞んでいた。これが敵は数人だと推測する理由だ」
ほほう、美人が数人。
あくまで推測でしかないわけだから、少数の敵といっても軍隊単位でみた少数という意味だろう。五人や六人ということもありえるが、十人かもしれないし二十人ということも期待できる。もし十人以上の美人がいたらと考えるだけで気分はウハウハ!
「手下の兵士がいないんじゃあ、なるほど人数的には少ないって思うよな。そのダークエルフとやらがたった一匹で騎士団をぶっ飛ばしたって事実からも、敵は一人で兵士何十人分もの強さを備えているってことになる」
ダークエルフっていうのも期待できる。
エルフ族は古くから魔法的な体質を兼ね備えており、身体のいたるところをまるで血液が流れるかのように魔力がめぐっている種族だ。もちろん俺みたく修行した魔法使いにもめぐっているんだけど、エルフっていうのは生まれつきそれがある。ま、それを使いこなせるかどうかはまた別の話なんだけどね。例えるなら筋トレする前から筋肉がついているような、ちょっと恵まれた連中だ。おまけに身体能力も高いときているので、波の人間では太刀打ちできない。
んで、エルフは誰もが心優しい。
お国柄というか、種族で性格が固まっているとでもいうか、基本的に他社に慈しみを持った人々ばっかりいる。そりゃもう、野党に襲われている女性がいたら絶対に助けるし、落し物を見つけたら落とした人に届けるし、仲間が怪我や病気で倒れたらこまめに看病してくれるくらい優しいって話だ。
ところが、ダークエルフは違う。
優しいはずのエルフの中でも極めて異端者、他人は平気で踏み台にするし、襲われている人がいても助けないし、落し物を拾ったら自分のものにしてしまう。おまけに魔法に関しても邪悪な修行に明け暮れるのだ。
要するにエルフ族の中でも問題児をダークエルフと呼称する風潮があるだけで、元々は同じ種族ということだ。ま、ところによって設定はまちまちで、他所の世界ではまた違う特徴を神から与えられていることだろうな。
「そう、強敵の少数精鋭――雑兵が束になっても勝てない相手だ。本来なら国軍を頼るところだが、連絡をつけるあいだにも住民は奴らに蹂躙され続けるだろう。できる限り、素早い反撃を行えればと思っている」
「それで俺か」
つまりミレーヌの意図はこういうことだ。
ちょうど近所に強い奴がいたんで、王国軍へ連絡をつけに行くついでに寄ってみました。
以上!
「どうか私と共に戦ってはくれないだろうk」
「あれ、ミレーヌも戦うの?」
「当然だ! 負けたままでは――ましてや逃げたままでいるなど騎士として許されない! 私は私のケジメをつける!」
騎士っていうのも色々大変なんだな……。
「でもさぁ、王国軍に連絡すれば相応の戦士を送ってくれるんだろ? 俺とミレーヌで乗り込むよりも、その方が確実じゃあないか? だってお前が死にでもしたら町を救う人間がいなくなっちまうし」
「もちろん連絡は頼んである。私以外にも生き残った騎士が一人いてな、今頃は王国へ向かっていることだろう。私は先行して町の奪還に移るべくしてここに残り、こうして貴様の元にやってきた」
「ふーん? んで、もちろん俺のところへ来たからには……わかってるよな?」
俺は遠まわしに体を催促する。
「……もちろんだ。その……したいのだろう? させてやる。町のためだ。私の体などいくらでも使わせてやる」
さすがは俺の精液を飲んだだけあって、俺への忠誠が芽生えている。性格こそ変わりないが、無意識のうちに俺に体を捧げなくてはいけないものと考えてしまっている。
「いい心がけだな。女の魔物がいるっていうなら、俺もいくらでも協力してやるよ」
俺はミレーヌの甲冑から胸の部分の留め金を外し、乳房を露出してもらう。プルンと揺れる大きな乳房を揉みしだき、ミレーヌは黙々と俺の手を受け入れていた。本来なら「恥れ者め!」とでも喚いて剣を抜き出しいるところだろうが、こうしておっぱいマッサージを受けるのも任務のうちだと言わんばかりの表情で俺に胸を差し出していた。
うーん、こいつもまぜて4Pでもしてみよっかな。
どうせユリンやミリアにも事情を説明する必要があるし、そのためにはミレーヌのことも離す必要がある。確かミレーヌはミリアの身柄を狙っていたが、俺の精液を飲んでいるので俺の意見には逆らえない。
よし、4Pしてみっか!
「ミレーヌ、こっちの部屋に来てくれ」
そして俺はミレーヌを二人のいる部屋へ案内した。
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