それから、明日美は栗木の奴隷となったことを宣言させられた。
翌朝の教室でみんなの前に立ち、「この度、四ノ宮明日美は……」と、まるで委員会の報告か授業の発表会のような具合で、葉山に用意された台詞をつらつらと述べていく。クラスは衝撃に包まれて、しかし昨日の犬の散歩を目撃していた男子達はすぐに事態を納得していた。
女子もヒソヒソ話している。
「やっぱり、あれって本当だったんだ……」
「明日美さんがお散歩してたって」
「イジメってよくないね」
明日美の一例を見る事で、イジメがどんな取り返しのつかない事態を引き起こすか、みんながじっくり飲み込んでいた。
ある意味での注意喚起はできていた。加害者をこうして吊るし上げ、晒し者のように扱うことで、イジメにどんなリスクが伴うものかを示してやる。明日美の扱いを見た上で、それでも誰かを苛めたい人など普通はいないだろう。
教室の様子を、後ろでひっそり見ていた葉山はほくそ笑んだ。
(成功、ですね)
一人の加害者を生け贄にすることで、悪行にはそれなりのしっぺ返しが来るということを啓蒙できた。このやり方に疑問を抱く人間は出るだろう。今でも多くの反対者が声を上げ、この制度を変えようとしている。
考えは色々だが、しかし……。
例えどんなやり方だとしても、目的は確実に達せられていた。
そして……。
「ぐふふぅっ。エサをあげまちゅからね? 明日美ちゃーん」
おぞましい笑いを浮かべ、栗木はズボンの金具をカチャカチャ鳴らす。ベルトを外しチャックを下げた中から出たのは、太く発起した色黒の肉棒だ。既にはち切れんばかりに膨れて固くなり、血管をピクピクいわせている。
明日美は跪くしかなかった。
「……やればいいんだろ? やればよォ」
屈辱に震えながら手に握り、ゆっくり口を近づける。いやらしい牡香が鼻をついた。
こんなものをしゃぶるなど、考えるだけでも気持ち悪い。恋人でも何でもない男の一物というのもそうだが、豚がニヤけたような顔の栗木のものというのが、さらに嫌悪感を増幅させている。明日美の中に沸く拒否反応は壮絶なものだった。
それを押さえ込んでまで、明日美は従わざるを得ない。
明日美は今にも泣き崩れんばかりの震えた表情で、しかしどこか栗木を睨み上げるような鋭い目つきで、大きな肉棒を飲み込んだ。
「んんっ、じゅるっ……」
明日美は顔を推し進め、口内に含める限りまでの肉茎を頬の内側へ咥えていく。熱い肉棒の温度が舌に伝わり、口内は嫌な生温かさで満たされた。
「さあ、ミルクを出してあげまちゅからね? しっかりご奉仕するんでちゅよ?」
栗木の猫なで声が肌全体をざわつかせた。
こんな男は人間じゃない。しかし、では豚ごときに隷属する自分は何なのだろう。自分は豚以下に過ぎないのか。明日美は自問しながら舐め回し、心を閉ざして無言のまま口奉仕に徹していた。
慣れない口技で、不器用な舌遣いで肉棒を磨いてやる。舌を左右に振るように舐めつつ頭を動かし、大口を開けているために丸い輪となっている唇を擦り付ける。経験が無く、不本意な口淫なのもあり、明日美はかなり遠慮がちな小さな動作でそれらをこなしていた。
「真面目にやらないと長引いちゃうよ?」
そんな明日美の挙動に気づいてか、栗木はにんまり笑って言った。
「ま、いいけどね。その方が長く長ーく奉仕をしてもらえるわけだし、しなよ」
栗木は明日美の頭をポンポン叩いた。
一体、何様のつもりだろうか。
こんな栗木ごとき男など、きっかけがなければ将来風俗に行く勇気も出せないだろう。イジメ撲滅委員会が存在し、なおかつ明日美が栗木を虐め、条件が重なることによって栗木は良い思いができている。
ならば、栗木はもっと、自分を虐めて下さった明日美に感謝するべきではないだろうか。それが明日美の考えだが、栗木は明らかに感謝の欠片も抱いていない。それがまた気に入らない点であった。
「うーん。気持ちいいねぇ」
栗木はうっとりと快楽に浸る。
射精に繋がるまでかなりの時間がかかった。どうせ経験はないくせに、十分や二十分では先走りの透明汁しか出て来ない。その苦味が舌に広がり、不快な気分でフェラを続ける。口にものを入れているおかげで自然と唾液が分泌され、溜まっていくおかげで水音が鳴るようになっていき、明日美にそんな気がなくとも、ジュルジュル音が立つようになっていた。
「じゅっ、じゅぷぅっ、じゅじゅぅぅぅ……」
最小限に抑えたかったが、栗木がなるべく音を出すようにと要求してきた。
「――じゅっ、じゅじゅっ、じゅぷっ」
途中から、ほとんど無心になって頭を振り、心ない目で舐め上げる。やり方を指示されたおかげで舌遣いにバリエーションが増えてき、茎だけでなく亀頭やその付け根に至るまでをまんべんなく舐めていた。
そして……。
――ドクゥ! ビュルッ――ビッルル!
熱いザーメンが弾き出され、口内から溢れんばかりの量で頬の内側はコーティングされる。むせるような精液の味が下に広がり、その青臭さに明日美は顔を歪めた。
「しっかり飲んでね?」
「ごくん……」
そんな不快な汚液を飲み下し、食道や胃袋が汚染されていく心地がした。
「さてあとは、処女でももらおうかな」
明日美は既に奴隷に過ぎない。
イジメ撲滅委員会が下した判決はこうだった。両者の和解が認められず、このままでは今後もイジメと見られる行為が続行される恐れがあるため、また、これまで与えた精神的被害を保障する意味合いも含め、四ノ宮明日美はおよそ一年間にわたり栗木の要求に従うこと。この際、被害者だった人物は相手に性的行為を求めても一切咎められない。
こんな刑が下られて、違反すれば明日美本人だけでなく、家族その他に罰則がいくというのだ。もはや逆らう手段はない。セックスをさせろと言われれば、させる以外に道などありはしないのだった。
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