その後は一勝も出来ず、さらに二杯の水を飲まされ、いよいよ膀胱は膨らんでいた。妊婦というわけではないが、微妙に腹が大きくなりそうな、凹凸ができようとしているような、山なりの気配が出来上がっていた。
「ニニム、お腹は大丈夫か?」
ウェインがわざとらしく、嬉しそうな顔で心配してきた。
(平気なわけ――)
「ちょっと大きくなってるな。孕んで見えるぞ?」
「……っ!?」
あまりの言葉に、ニニムは唇を噛み締める。
その瞬間、相手が突進の勢いで迫って来た。
(やば……!)
こうしている今も、試合中だったのだ。
正面衝突のようにぶつかり合い、剣と剣を介した衝撃で、ニニムはバランスを崩してしまう。尻を突いた勢いで、尿が弾け出ないかと危機感に晒されるが、どうにか漏れずには済んだらしい。
済んだらしいが、ニニムはしかし笑われていた。
「はははっ」
ストラングの声だ。
「丸見えだぞ?」
グレンの声だ。
「少し中身が見えるな」
ウェインもまた笑っている。
尻を突いた瞬間の、M字開脚の披露に視線が集まっている上に、しかもワレメが微妙に開けている。プラグの刺さったアソコを押さえ、それを上から手で押さえていた関係なのか、ワレメの隙間はもう少しだけ広がっていた。
「さっきよりも見えるね」
「確かに、感じが変わってるよ」
その二つの声は美術部員のもので、つまり観察の上の言葉である。実際によく見て、キャンバスに描いてみて、その上での発言である。二人の頭の中では、美術室の時のワレメと、今現在のワレメが比較できているのかもしれない。
「ぷっくりしてない?」
「オシッコでああなるの?」
「まあ、少しならなるんじゃないか?」
「現になってるもんね」
という喋り声が指摘するのは、膀胱に尿が溜まるあまりの、微妙にぷっくりとした腹についてである。
「これで決着だな」
さらに対戦相手の男子は、隙だらけというどころではない、ただ敗北を待つだけの体勢とすら化したニニムに軽くコツンと当てて来る。またしても負けが重なり、利尿成分入りを飲まされることとなり、その上で次が来た。
「よし、俺がやろうか。ニニム」
「ウェイン……」
とうとう、ウェインが出て来た。
そのニヤニヤした顔さえ見ていれば、何が目的で出て来たかは丸わかりで、試合が始まるなりセクハラは始まった。まずは押し合った状態から衝撃で突き飛ばされ、先ほどとまったく同じ形で尻を突き、今のでてっきり漏れたかと思うような、やはり同じ危機感で背筋が凍りついていた。
幸い、今回も漏れていない。
ただ、開け気味のアソコへと、ウェインの視線が今度は真正面から突き刺さってくる上に、しかもずかずかと迫って来る。
「や……!」
指で性器に触られた。
開脚しているニニムの前で、片膝をついて腕をやり、ワレメを撫で上げてきた。
「なんだ? 湿ってないか?」
「ち、ちが……!」
その指摘に戦慄した。
湿り具合がウェインに知られ、あまつさえ周りにもバラされる恐怖に縮み上がって、ニニムはこれ以上ない戦慄を表情に滲ませながら、顔中を発熱させていた。恥ずかしさに耐えきれず、羞恥心によって事切れそうに、くらっと頭を揺らしていた。
「ああ、オシッコか」
ウェインが発表してしまう。
「え?」
「聞いたか?」
「もう漏れかけなんだな」
「そっかー。あのニニム・ラーレイがねぇ」
「俺達、かなり凄いものを見てるんじゃないか?」
頭が沸騰しそうであった。
脳が沸騰のあまりに蒸発して、みるみるうちに消えていきそうな勢いだった。
「だ、駄目…………」
「なーんですかぁ? 聞こえませんなぁ?」
「許して…………」
「聞こえませんなぁぁぁ?」
ウェインは人を許すどころか、もう片方の手では乳首まで触り始める。その刺激に体は疼き、肩がビクッと弾むのだが、性的な刺激を気にするところの問題ではない。アソコをやられ、乳首を愛撫される感覚以上に、そのせいで膀胱まで刺激を受け、尿意が極限に迫っていることの方が問題だった。
「無理無理! も、漏れる……!」
ニニムはとうとう、白状のようにそう言った。
「え? なんだって?」
それに対するウェインの答えは、わざとらしい聞こえないフリだ。
「だ、だから……漏れるって……!」
「んー?」
「お願い! 限界!」
「何が限界かなぁ?」
「オシッコが! オシッコ漏れるの!」
本当に極限状態だった。
いつものニニムなら、絶対に言わないようなことを言ってしまっていた。
「オシッコが! 漏れちゃう! 漏れちゃうから!」
そんなことを言いながら、激しく髪を振り乱している。
子供が駄々を捏ねているように、あるいは意地でも何かを拒絶しようとするように、髪を激しく振り乱す。
「駄目! 駄目!」
ニニムの無我夢中な訴えだった。
もうすぐそこまで危険が迫っており、とても冷静ではいられない狂いようで、振りたくった髪が激しくニニム自身の頬を殴りつけ、ウェインの衣服にもぶつかっている。自分の中で膨らむ感覚に、尿意の限界という危機感に振り回され、ニニム自身にも今の自分がわかっていない。
「びんみょーに漏れたオシッコで、汗ばんだみたいな濡れ方をしてまーす!」
だが、ウェインは大声で発表を始めていた。
「漏れる! 漏れるっていってるのに!」
悲痛な訴えも、ほとんど無意識に行っていた。
漏れるという訴え自体が、もはや条件反射の一種であった。
「で、感じちゃってまーす! オシッコと愛液が混ざってまーす!」
「駄目! もう無理よ! このままじゃ出ちゃうわ! 本当に! 本当にだから――だからだから――――!」
痛みすら出て来ていた。
栓で尿道口を閉ざしたために、隙間から漏れる以上に尿は大概には出ていけない。しかし、外に出ようとする勢いは、膀胱の尿量に合わせて強まる一方だった。体の内側で風船が破裂して、体内で飛沫が散る。いっそグロテスクなイメージすら脳裏を掠め、そして本当に破裂が迫っているせいか、ニニムの尿道口が、膀胱が、痛みすら発し始めていた。
愛液でも塗れている。
ウェインの指先は先ほどからクリトリスを弄り抜き、植物の種ほどはある丸っこい突起は、くねくねと捏ねられている。捏ねる指遣いに合わせて四方八方に角度を倒し、表面にまとった粘膜の層を、愛液によって厚くしている。
さらには乳首も硬くなり、すっかり性感帯のスイッチが入ったようにビンビンに、触れれば何かが弾け飛びそうなほどに発達していた。極限まで突起した乳首は、その上で先ほどから延々と、指に捏ねられ続けていた。
だが、どんなに体は感じていても、失禁の危機感でニニムにその自覚はない。
「オシッコ漏れるわ! 本当に漏れるわ!」
ニニムは本気で叫んでいた。
そうでもしなければ、もはや助かる見込みなどないような絶叫は、命乞いの一種とすら化しているのだった。
涙さえこぼれている。
「あの……そろそろ許してあげては……」
そんなロワの声さえ上がっていた。
◆◇◆
さすがに、ここまでか。
楽しむだけ楽しんだウェインだが、これでもニニムを自分の心臓と思っている。虐待がしたかったり、心を打ちのめしたくてやったわけではない。
(暴走しすぎたかな)
性的衝動のままに動いてしまい、結果として一連の楽しい時間を過ごしたのが、正直なところである。
楽しんだ証拠のように、ズボンの内側は固いままだ。
この固いペニスを取り出して、いざ本番とはいかない自制心は、ウェインや士官学校の生徒だからこそ守られていた。
「ウェイン」
まだ時間的には酒に含まれた成分は残っているはずだが、それでも気が咎めてのことだろう。後ろからグレンの声がかかってきて、肩に手が置かれていた。大柄なグレンに見下ろされると、本人にその気がなくても、意外と圧がかかってくる。
「切り上げどころだと思うな」
と、振り向けばストラングも、グレンの隣に立っていた。
「それもそうだな」
ウェインは立ち上がる。
だが、どうせここまでやってしまったのなら、あと少しだけという思いもある。かといって、グレンやストラングにはそろそろ止められかねない空気である。それにニニムが憎いからこんなことをしているわけでなく、むしろニニムのことは大切だ。
ここまでの扱いとは矛盾するが、しかし大事に思う相手だからこそ、その酷い扱われようの姿を見てみたかった。そんな相反する気持ちもあって、これだけのことを強要してきた。
(どうすっかなー)
事後処理のことは何とかなる。
ロワやニニムの裸が大勢に見られた上、絵という形で裸の記録まで残しているが、ウェインの手腕にかかればもろもろは処理できる。それどころか、秘蔵の隠しコレクションをナトラに送り、密かに楽しむこともできるだろう。
(忙しくなければな)
などと、ウェインは思う。
せっかく、娯楽の用意をしてあっても、楽しむ時間がなければ意味がない。あまり忙しい日々を送らずに済めばいいな、ダラダラしていたいな、とウェインは考えていた。こっそり楽しもうと執務室を抜け出して、廊下を歩いたあたりでニニムに見つかる未来が頭を掠め、どうすれば上手くサボれるか、という知恵を今のうちから回しておきたくなっていた。
「ウェイン、名残惜しいなら次で最後っていうのはどうかな」
(お?)
ストラングがありがたい申し出をしてくれる。
見ればズボンが微妙に膨らんでいて、つまり勃起しているようだ。
「それもそうだ。ウェイン、次で最後だ」
グレンも勃起しているようだ。
(とかいって、二人とも。どうせ俺と同じで名残惜しいんだろ?)
よし、いいだろう。
次で本当に最後の悪巧みだ。
「ニニム、もう我慢できないな」
「で、できないわよ! もう……もう……!」
早くトイレに行かせろと、目が必死で訴えてきている。
「ここでしよう」
と、ウェインはそう提案した。
「――え?」
かつて、ニニムがここまで凍った表情を見せたことがあっただろうか。目玉が飛び出る勢いで大きく見開き、瞳を小さくしながらポカンと口を開けたまま、氷結でもしたように固まっている。
こうしている今にも、ニニムの膀胱は膨らんでいる。
この腹の変わりようは、妊娠何日、何週間目のものだっただろうかと、ウェインの脳裏に本の知識が掠めていく。ここまで膀胱が膨らむほど、尿道プラグはしっかりと栓の働きをして、今の今まで放尿を阻止してくれていたらしい。
ただし、漏れていた。
はっきりとした漏れ方ではないが、栓の刺さった隙間から、どうにかして微妙に湧き出た尿の香りと、皮膚の湿り気は見るからに強まっている。はっきりと流れ出て来ているわけではないが、触りさえすれば、肉貝や内股の皮膚の濡れ具合がわかるはずだ。
「だって、もう間に合わなくね?」
と言っているウェインの後ろで、グレンとストラングは微妙に天を仰いでいる。
そして、この光景を遠巻きにしているロワの微妙な顔といったらない。
「で、でも――――」
「間に合わないものは間に合わない。だったら、この現状を一体どう打破するか。答えは一つしかないんじゃないか?」
「でも、でも………………」
「でもといっても、間に合わないものは間に合わない。もうやるしかないだろう!」
ウェインはそして宣言する。
「ニニムの放尿ショーだ!」
両手を広げ、舞台に立つ司会者のようにして、皆に向かって宣言をするのだった。
◆◇◆
ニニムの背後には今、ウェインが座り込んでいた。
背中がウェインの身体に密着して、こんな状況でなければ心臓が爆発したり、破裂したり、もう大変なことになっていただろうが、今のニニムはそれどころではない。尿意のあまりパニック寸前、といった状況で、しかも羞恥心の津波にまで襲われている。
男子という男子の数々の、群れの中にぽつりとロワを交えた形で、みんながニニムに注目している。
ニニムの、M字開脚に注目している。
しかも、この両脚はグレンやストラングに掴まれていて、だからニニム自身の力では、もう閉じることができないのだ。
これから、ニニムの性器からピンが抜かれる。
その瞬間に起きることは、誰もがわかりきっているはずなのに、意外にも好奇心でいっぱいに、ニニムのことを見よう見ようとしてくる群れは、微妙に距離を縮めてきていた。自分の尿の飛距離など、知りもしないニニムなのだが、実に一メートル以内の距離にまで詰められると、一体何人に尿を引っかけ汚すことになるのかが怖くなる。
さすがに尿が引っ込みそうだった。
じぃぃぃ……じぃっ、じぃぃ…………
じっ、じぃ……じぃぃ……じぃぃ……
じぃ……じっ……じっ……じっ………
目という目の数々が向けられている。
ニニムを中心に弧が縮み、前列がしゃがんだ後ろで、後列もまた同じ弧を成している。二列によって形成された弧からロワは外れて、ロワだけはもう少し遠巻きにしているが、何ともいえない顔で人の運命を見守ろうとしている。
開脚に引っ張られ、アソコの狭間はもう少しだけ隙間を広げている。ほっそりと見える桃色のラインが、多少なりとも太さを増し、尿道口から生えたプラグの表面は、とっくに水分を纏いきっていた。
ワレメの微妙な隙間から、少しだけ豆の先端が飛び出ている。その先端は粘液と尿の香りを纏って輝いていた。
尿も漏れている。
栓と穴との微妙な隙間から、今にも内側から蓋を突き破ろうとしている気配と共に、まるで汗をかくようにして、尿の水気を流している。尿道口からその下へ、ワレメの閉じた桃色の隙間を通り、さらに下へと、肛門にまで届いていく。
もしこれから、向こう数時間は我慢を続けることができたとして、それでもなお、ニニムの股の周囲には、いつかは必ずお漏らしの円ができるだろう。
ウェインの右手が後ろから回って来る。
そして、プラグの先をつまんで、あとは引っ張るだけとなる。その瞬間を前にして、ニニムの背中が硬く強張るのが、密着のおかげでウェインにしっかりと伝わっていた。
ごくりと、息を呑んだ。
(限界だけど――限界だけど…………)
ニニムの心境は移り変わっていた。
これだけの視線をアソコに浴びて、こんな状況で尿を出すなど、やっぱり恥ずかしくて恥ずかしくてたまらない。羞恥地獄を前にしたせいで、心理的には尿が引っ込むが、魔法によって本当に引っ込んだり、消えてくれるわけではない。
しかし、しかしである。
(限界だけど……でも、なんとか……)
それがニニムの気持ちであった。
本当は限界だけど、まだ可能性を信じたい。きちんとトイレに行くだけの時間は、実は残されているのではないかと思いたい。
今更なのはわかっている。
今ここにきて、急にトイレへ行かせてもらえるわけがない。行けたとしても、本当に間に合うわけではない。実は余裕があるかもなど、ただの願望に過ぎないことをニニムは理解しているが、最後の最後になって気持ちとしては、大きく沸き立っていた。
(本当はやっぱり……ちゃんとトイレで…………)
まるで人生を賭けた願いが叶わなかったような、悲しい気持ちにすらなっていた。
そして、そんな時、引っ込んだと思っていた尿意は復活していた。少しだけ、破裂しそうな痛みは引いたと思ったのに、また改めて押し寄せていた。
「引っ張るぞ」
ウェインがプラグを引き抜き始める。
「やぁぁ……!」
とうとう見られてしまう。
乳房やアソコが、肛門が、ただ恥ずかしい部分が見られるだけでなく、尿道口から中身が噴き出ている瞬間を見られてしまう。
(いや……)
猛烈な拒絶感が湧いてきた。
(いや! いや! いや!)
しかし、ウェインの手は止まらない。ゆっくり、ゆっくりとプラグは引かれ、やがて数ミリほど外へ出た時、それは起こるのだった。
尿の噴水が巻き上がった。
栓が緩んでいくことで、それまで押し上げようとしていた圧が噴き出て、一気に放出されていた。かえって解放感が湧く勢いで、黄色いものは勢いよく噴射され、周りの何人を汚すかもわからない飛沫を広げていた。
ウェインの手など、真っ先に汚れていた。
そのつまんで引き抜こうとしていたものを、ニニムの尿が吹き飛ばしたのだ。抜け出て行く途中で水圧をかけ、発射でもしたようにウェインの指から弾き飛ばして、その際にもちろん手は汚している。
ウェインの手に尿を引っかけてしまったショックもやまないうちに、周囲の男子達が揃いも揃って驚いていた。ぎょっとした顔で一歩引き、しかしもうその時には、何人かの制服が少しばかり汚れたり、顔にかかるなどして、尿で汚された事実に引き攣り笑いを浮かべいてた。
「は、はは…………」
ニニムは半ば壊れていた
そして、自分自身の作り出す光景を、かえって他人事のように眺めていた。
「ははは………………」
噴水のように高らかに、真上を目指そうとした黄色い線は、しかし実際には角度がついて、綺麗な真上には向いていない。急降下のアーチとなって、自らの手前に降り注いでいる。ドバドバと、ジョボジョボと、容赦のない勢いで上がる尿の出口に、男子達の視線は集まっていた。
心なしか、尿で汚されたことを起こるより、目の前の光景の方に夢中になって、こんな変わったものを見るのは今しかないと、脳裏に焼き付けようとして見えた。
ニニムの膨らんでいた膀胱は、少しずつ萎んでいる。
妊婦でも目指さんばかりに、微妙に膨らんでいた下腹部も、山が小さくなっている。
「はは……ははは…………」
まだまだ、尿は止まらない。
ジョロロロロロロロロ――――――
と、水の弾け続ける音は、主に床から鳴っている。
自分の座高を超えるまでに巻き上がり、頭よりも高い位置で折り返して、アーチとなっているニニムの尿は、着弾地点で飛沫を散らす。最初は床から跳ね返っていたものが、水溜まりを広げることで、水面を打ち鳴らし、そこから滴を飛ばす形となっていた。
水面に放水を打ちつける音が続いていた。
ジョロロロロロロロロ――――――
あとどれくらい、この音は続くのか。
ニニムの尻の下にも、とっくに尿は広がっている。温かなものが床と尻の隙間に入り込み、水溜まりの上に座ったようになっている。もしかしたら、ウェインのズボンにも汚れがいってはいないかと思ったが、壊れた笑いばかりのニニムには、それを本気で気にする余裕はなかった。
ジョロロロロロロロロ――――――
やっと、勢いは緩み始める。
高らかだったアーチが縮み、その高度も下がったことで、弧となっている男子達は、再び顔を近づける。足元の水溜まりに気をつけつつ、最後の最後までニニムの放尿を観察しようと、目に熱意がこもっていた。
ジョロ…………
と、途切れる。
本当に、やっとのことで、ニニムの尿意は収まっていた。
肉体はすっきりしていた。
そう、肉体は――限界だったものを出し切り、負担の取れた膀胱は軽くなり、体だけの話を言うなら、リフレッシュさえ出来た気分だ。
しかし、ニニムは心を取り戻す。
「ふぅ…………」
と、ため息をつき、落ち着いて、それからの話であった。
「あ、あぁぁ…………」
もちろん、ずっとさっきからわかっていた。
自分が一体何をしていて、どんなに激しく飛沫を広げているか。
「あぁぁ…………!」
だが、先ほどまで壊れた笑みで引き攣っていたニニムの、放尿に一段落がつくことで、ある意味で落ち着いた表情には、取り返しのつかないことをしてしまった絶望と、水溜まりを見られているという、新しい恥ずかしさに染まり上がった。
ニニムは悲鳴を上げていた。
ここまでずっと裸で過ごし、多少なりとも慣れてしまったせいもあり、だから胸やアソコを見られるより、今だけは水溜まりの方が恥ずかしい。自分が今ここで何をしたのか、その証拠が湯気を上げながら広がって、みんなに見られていることが恥ずかしい。
男子達にも、ロワにも、グレンにも、ストラングにも、
――ウェインにも。
もう生きていけない。
こんなの、もう駄目!
ニニムは必死の感情で、両手で顔を覆い隠した。
そして、手で視界にある景色を拒み、現実を受けつけまいとしてみても、今度は鼻孔へと流れ込み、自分自身の撒き散らした香りが伝わるのだ。
もう……もう…………!
本当に頭がくらくらした。
生きた心地がせず、もはやこのまま失神できそうな勢いだった。
◆◇◆
正直、翌日からはもう学校には通いたくなくなって、足が重いばかりのニニムだったが、ウェインは一体どんな魔法を使ったのか。ニニムやロワについては誰一人言及せず、何の噂も流れていない。
何事もなかったような空気に、かえってニニムの方が困惑した。
「あれは夢だったんじゃないか?」
その後、しゃあしゃあと、ウェインは言っていた。
「あんな出来事があるわけがない。悪い夢だった。二人とも、それから醒めたんだ」
ロワも含めて、そんな都合のいい言葉を聞かされて、しかし実際に何事もない。それから何日経ってみたところで、放尿を見られた男子と出会っても、イジメのようなことはなく、フラム人だからという差別も、あの出来事による侮蔑もない。
きっと、本当に夢だったのだ。
それがウェインにとって都合の良い口車だとわかっていながら、それでもニニムの心はそれに乗る。
そうでもなければ、そもそも生きていられない。
思い出すだけで本当に……。
本当に、本当に恥ずかしくてたまらない。
今でもたまに、自分自身の広げた水溜まりの景色を思い出し、ニニムは一人で勝手に赤らんでしまうのだった。
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