チェンは尻を突き出していた。
それから、ポーズを変えられて、蓋の閉じた便座の上へと上半身を置いた姿勢で、四つん這いに近い形で尻を出し、さながらバック挿入のように突かれている。
無論、突いているのはディルドである。
腕を使ったピストンで、貫く刺激がその都度その都度、チェンの生やした種族特有の尻尾をビクっと跳ね上げさせている。溢れる愛液は明らかに増えており、ピストンによって引きずり出されでもするように、内股を伝って滴が流れ落ちていた。
「あっ、あぁ……あっ、ぐぅっ、くぅぅ………………!」
チェンは握り拳を固くしていた。
されるがままに喘がされ、感じていることしかできない悔しさに、表情にはいくらでも苦悶や屈辱を浮かべていながら、その口からは色気に満ちた声を吐き出している。
「んっ、んぁっ、あっ、あぁ……あぁ……!」
「いい声」
「あっ、あぁぁ……あっ、んぅぅ…………!」
「お尻の穴もヒクヒク反応しちゃってて、とっても可愛いわぁ?」
実に嬉しそうに、幸福に満ち溢れた顔をして、フェリーン女はディルドを出し入れさせ続け、チェンの全身に現れている反応を一つ一つ視姦している。肛門がピクっと蠢き、皺が収縮している様子から、手錠の両手がよがるように反り返り、髪を振りたくっているところまで、あらゆる反応を見て楽しみ、興奮に息を荒げていた。
そのうち、カメラまで撮り出していた。
パシャ! パシャ!
シャッター音声が鳴り響き、チェンはより一層のこと引き攣っていた。
「やめろ! と、撮るな……!」
その叫びを聞き入れるはずもなく、むしろ反応が喜ばしいようにして、フェリーン女はニヤニヤとシャッターを押し続ける。
パシャ! パシャ!
何枚も何枚も、執拗に盗り続け、さらにはポーズまで変えさせる。チェンの胴体を抱き上げて、向きを変えるばかりでなく、バッグの中からロープまで取り出して、ポーズを固定しようとまでしているのだ。
もちろん、チェンは抗った。
身を捩り、胴体を必死にくねらせたが、フェリーン女の力は案外強く、加えて敏感になりきった肉体は、少しの刺激でビクっと反応してしまう。ロクな抵抗にはならず、どんなに手こずらせてみたところで、最後にはフェリーン女の思うポーズを取らされていた。
M字開脚だった。
それも、折り畳んだ膝の上からロープが巻かれ、脚を伸ばすことができないようにした上で、便器の貯水タンクに丁度良いパイプを見つけ、そこに結びつけている。開けた股を閉じ合わせることすらできず、アソコを決して隠せない状態で、フェリーン女の撮影は改めて始まっていた。
パシャ! パシャ!
アソコにディルドを咥えた状態で、カメラは向けられていた。
電動式のスイッチが今更になって押された結果、膣に収まった状態のものが無機質な駆動音を鳴らし続けて、ブィィィィ……と、延々と聞こえる中で、シャッター音声もまた幾度となく繰り返されていた。
パシャ! パシャ!
チェンは顔を背けていた。
女からも、カメラからも逃げられず、せめてもの抵抗として、チェンは必死になって顔を背けて、フェリーン女に対して横顔だけを向けていた。
そして、それは途中から、動画撮影へと変わっていた。
折り畳み式の、かつ伸縮式の三脚台まで持っていて、それをチェンの目の前に立てたフェリーン女は、カメラを動画撮影モードに切り替える。自分自身の身体が撮影の妨げにならないように、ポジションに気をつけながら、改めてチェンの身体を弄り始める。
「ちゅぅぅぅ…………」
と、乳首を吸う。
「くあぁぁ…………!」
チェンは首で大きく仰け反り、その勢いから天井を見上げていた。
「ほら、こっちも」
フェリーン女は改めてディルドを握る。
「あっ、あ! あん! あん! あぁん! あぁぁぁ――――――」
その時、チェンの身体はこれまで以上の大きな反応を示してビクっと、見るからに背中を弾み上げ、足首も大胆に反り返していた。痙攣のようにそこかしこの筋肉を震わせながら、急に脱力したように、緊張の緩んだ全身をだらけさせていた。
「あらぁ? イっちゃった?」
嬉々とした顔でフェリーン女は問う。
「黙れ……」
「イったのね? いい顔だわぁ?」
「黙れと言って――んぅぅ………………!」
チェンは激しく歯を食い縛り、たまらない悔しさで壁に頭でも打ちつけたいような、自傷の衝動にさえ駆られていた。ディルドをピストンされるだけで、こんな風に言葉すら遮られ、まともに喋ることすらままならない屈辱に、泣きたい思いすらしてきていた。
クチュ、クチュリ――なおもディルドを動かし続けてくるせいで、そのピストンが愛液をかき混ぜて、粘性の水音を鳴らしている。
しかもスイッチが入ったままだ。
駆動付きのピストンは、最初に挿入された時よりも、遥かに刺激が強まっている。脳天まで届かんばかりの激しい痺れがいくらでもせり上がり、それが脳内にひしめいて、しだいしだいに電気の量は溜まっていく。
いつしか脳がそれに満たされ、溢れてしまうような勢いで、みるみるうちに急速に電流が流れ込み、やがてチェンは再び弾けた。
「あぁぁぁぁ――」
今度は軽く潮を噴いていた。
「またイったのね?」
そんなチェンが愛おしいかのように、優しく愛でんばかりの指先で、フェリーン女は頬を指先で撫でていく。
そして、またピストンを再開する。
一体、いつになったら終わるのか。この辱めはどれほど長く続くのか。
フェリーン女自身にすら、そんなことはわからない。
ただただ、満足がいくまで延々と、彼女はチェンを辱める。
*
二人の女が多目的トイレの前まで辿り着く。
青い髪のサンクタ、赤髪のリーベリ――モスティマとフィアメッタという取り合わせで、彼女達はそれぞれドアに視線を向ける。
「ここね」
フィアメッタは訝しげに目を細める。
「まあ、確定ではないけどね」
モスティマは連絡にあった情報を思い出す。
数十分以上前に貰っていたのは、チェンがいつものルートに現れない、おそらくこの駅で消えたという内容に過ぎなかったが、そのしばらく後に届いたのは、多目的トイレから喘ぎ声が聞こえるというものだった。
しかも、長時間にわたって使用中が続いていることが確認され、中でどういったことが行われているかは明白だ。
ならば、そんなところにチェンがいた場合を想像して、二人してこれ以上は何も余計な言葉は出さず、ただ早く確認を済ませようという空気だけを醸し出していた。
「今は空いているようだけど」
見たところ、二人が来た頃には、もう使用者は出て行っている。
となると、関わっている案件からしても、誘拐失踪といった展開は想定しなくてはならないもので、チェンが違法組織に拉致されて、入れ違いで既に消えてしまっている可能性が頭を掠める。
チェンが簡単に捕まるとは思えないが、何か上手い作戦を使ったか、よほどの腕の持ち主がいるかしたのだろうと、今のところの二人は想像していた。
「それじゃあ、入ってみようか」
モスティマがドアに手をかける。
「いいわよ」
フィアメッタも警戒心をあらわにして、開いた瞬間に猛獣が飛び出してきても構わないかのような、すぐにでも銃器型のアーツを向ける体勢を整えていた。頭の中では敵の待ち伏せも想定して、戦闘になっても構わないつもりでドアを見据えていた。
がらっと、スライド式の戸は開く。
レールの上でタイヤが転がり、開くドアの向こうから、多目的トイレの内装が見えた時、二人はぎょっと目を剥きだしにしていた。
「どういうことよ……」
フィアメッタはそれっきり、言葉を失っていた。
「ま、とにかく保護しないとね」
モスティマはそう言って、トイレの中へと足を進める。
二人が見たのは、まさしくチェンの姿であった。
まともに服を着ていない、ブラウスのボタンは外れきり、ショーツも脱がされた状態で、ぼんやりと虚空を見つめる姿から連想するのは、性的な暴力をおいて他にはない。
そして、二人が入っていく頃には、フェリーン女はとっくに姿を消していた。
ついでのように手錠やロープも消えており、拘束こそ解かれていたものの、複数回にわたる絶頂で気力と体力を削り取られて、フェリーン女が満足をする頃には、もう立って追いかける力も残らない状態だった。
「ああ、お前達か……これはみっともないところを……見せてしまったな…………」
二人の存在に気づいた時、チェンは弱り切った声を絞り出し、情けなくてたまらない、とても顔など見せられないような表情で、目を背けてしまっていた。
*
数日後。
チェンは無事に使命を果たし、違法組織の摘発に成功する。大元に辿りつき、芋ずる式に幹部達を拘束して、組織は事実上の解体となる。
地元治安維持部隊、及び各企業からは感謝状が贈られた他、チェンが示した成果を元に、ドクターもまた有意義な取引を結んでみせたという。
結果だけを見るのなら、何ら非の打ち所はないわけだが……。
「ちっ」
チェンは一人、舌打ちする。
ロドス本艦に戻り、自室で休息を取っている最中、不意に思い出してしまうのだ。休憩中に限った話でなく、休暇時のリフレッシュの最中や任務中など、時を選ぶことなく、ふとした拍子にフラッシュバックは発生して、あのフェリーン女の顔が頭に浮かぶ。
そして、顔が浮かんでしまえば、次に思い出すのは快楽だった。
すっかり、刻み込まれたのだ。
ディルドで処女を奪われた事実、イカされた事実を体の方が思い出し、悔しくてならない感情が抑えようもなく溢れ出す。
何よりも最悪なのは、フェリーン女がそのまま移動都市の外に出て、どこかへ消えてしまっていることだった。元より、どこか別の場所へと移り住む予定があったため、チェンを置いて多目的トイレを出てからは、その足ですぐさま荷物を整えて、都市から行方を眩ませたのだ。
任務とは関係のない人物で、いわば単なる性犯罪者だ。
それを取り逃がすことは、今回においては失態となるわけではない――表向きは。
その時の仕事とは関係がなかっただけで、あれだけの目に遭いながら、あの女を犯人として摘発できていない。チェンの個人的な悔しさはやり場のないものとなっていた。
続け様に別の任務が入っており、たった一日の休暇を終えれば、もうそちらに向かわなくてはいけなくなる。それもまた重要な使命であり、言ってみるなら個人的な復讐にこだわっている状況ではない。
だが、だからといって……。
チェンの胸に漂うその気持ちは、いつまでもいつまでも晴れることはないものだった。
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