千斗いすずはスーツを着こなし、タイトスカートの下には黒のストッキングを穿いたスタイルで待ち合わせ場所に立っていた。
待っていた相手は男だが、ビジネス用の服装で待ち合わせたのだ。
それでデートぼはずもなく、これは仕事だ。
(わたしでいいのかしら)
いすずは未だに疑問でいる。
何はともあれ、引き受けてしまった以上、きちんとやってみせるのしかないのだが、自分が適任だとは思っていない。
甘城ブリリアントパークが閉園を免れたはいいものの、今はまだ寿命が延びただけであり、今度は三〇円という赤字覚悟のサービスで溜まった負債を解消しなければならない。
激安キャンペーンを終了しても、なお来場者数を維持する必要がある。
宣伝を欠かすことが出来ないのは当たり前で、その一環で西也がインタビューの仕事を引っ張ってきた。昔の伝手と言いながら、甘ブリについて記事にしたがるライターを見つけ出したので、そのインタビューを受ける誰かが必要になった。
それはいい。
どこかの雑誌、どこかのネット記事に甘ブリの名前が載ればささやかな宣伝となる。本当にささやかな効果であり、たった一人でも増えれば良い程度の期待しかしていないようだったが、一人でも増やす努力をするのはいい。
問題は人手であった。
「人が足りない!」
などと、まさに西也が人員不足を訴え、バイトの募集をかけている真っ最中の話だ。
「いちおう、どのスタッフもそろってるはずだけど……」
その時の千斗いすずは呟いたが、西也が指摘した通り、どこの部署にも人員が少なく、警備部なども四人である。人手不足の穴埋めをオンステージのキャストがやって、その負担がパフォーマンスに悪影響を及ぼしているのはその通りだ。
となると、インタビューに人をやるのはいいが、まだ新しいバイトも雇っていないのに、一体誰に受けてもらうかとなるわけだ。
そんな話になった時、西也の視線はいすずに向けられていた。
わざわざ初対面の男と待ち合わせをして、一緒にカフェに入っていくのも、デートなどの浮ついた理由ではない。
(だいたい、デートで行くとしたら――)
その相手は一体誰がいいのか。
思わず浮かべてしまった顔をいすずは頭から振り払う。
ともかく、ライターといすずの二人でテーブルに着き、まずはココアでも注文してから、インタビューは開始となる。
いつから甘ブリで働いているのか、急に活気が出て来たのはどうしてか。
様々な質問に答えていき、インタビューは滞りなく進んでいく。この分なら、特に問題なく終わりそうだ。
(……良かったわ)
自分はずっと空回りし続けてきた。
高圧的な軍人のように振る舞まうことで、キャストのみんなから嫌われてしまったし、実績をあげることもできなかった。いわゆる対人関係に不向きないすずでは、インタビューに向かないのではと不安だったが、実際に受けてみれば、出て来た質問に答えていくだけで済んでいる。
これなら、大丈夫だろう。
(でも、この違和感は何かしら)
いすずは何故か、不信感を抱いていた。
何が怪しいのかと言われても、ライターの男性は人当たりがよく、特に嫌味は感じない。人の胸をジロジロと見ることも、セクハラな質問をしてくることもない。
(なのに、どうしてわたしはこの人を警戒しているの?)
実のところ、この店に入ってからというもの、いすずは警戒心を抱いていた。
最初は何も感じていなかったのに、店に入った時から警戒心は湧いてきた。妙に胸がざわついて、ここから早く出て行きたい焦燥に駆られる理由が、いすず自身にもさっぱりわからずにいた。
だが、ふと気づいた。
(他の客は?)
それなりに広い店で、外観もオシャレであった。
立地も良いので、いくら平日とはいっても、無人というのはいささか妙だ。少しくらい賑やかでも良さそうなのに、まるで本当は閉まっている店に特別に入れてもらい、貸し切りの中で静かに過ごしている気分である。
「さて、そろそろかな」
「そろそろ?」
「ええ、そろそろです」
一体何を急に言い出しているのかと一瞬思うが、インタビューも終わりに差し掛かっている。そのことを言っているのだと、いすずは当たり前に捉えていた。
しかし、その眼差しを見た瞬間、もっと別の意味合いがあると感じた。
(な、なに……!?)
目がギラついていた。
まるで猛獣が獰猛な声を上げ、牙のあいだからヨダレを垂らして獲物でも狙うような眼差しに豹変していた。
まずい、何かまずい。
身の危険を感じて、いすずは咄嗟にマスケット銃を出そうとするが、体が思うように動かなかった。
「……っ!」
腕が、指が動かない。必要以上に動きが鈍い。
手足の可動にスローモーションでもかけられているように、時間の感覚が狂っているわけでもないのに、腕の動きがあまりにも遅い。タイトスカートに手をやるだけで、何十秒かかるかもわからないほど、必要以上にのろのろと動いていた。
咄嗟に素早くやろうとした動きが、それだけ遅くなっていた。
「いやぁ、良かった良かった」
男はおもむろに立ち上がる。
「あ、あなた……一体……!」
「いやね。インタビューの相手が女性だったらいいなーって、ずっと思っていたんだけど、本当に綺麗な人に来てもらえてよかったよ」
表情が戻っていた。
元のごく普通の、ただの常識ある社会人にしか見えない面持ちで、それも親切そうなにこやかな笑顔で迫って来る。
「どういうことなの?」
「ああ、簡単だよ。君達にテーマパークが必要なように、俺には陵辱が必要でね」
男はいすずの肩に手を触れる。
不快なセクハラだと感じたが、それどころではない。今、陵辱と言っていた。ならば不快な思いをするだけでは済まされない。これから、もっと酷いことが起きようとしている。
「ま、わかってもらうつもりはないよ。こっちはやることをやるだけだからね」
「や……!」
腕を強引に引っ張られ、次の瞬間には床に引きずり倒されていた。
「助けは来ないよ? この店はね、今日は俺達以外の客は来ないし、店主には薬を混ぜてもらってある。ははっ、試しに悲鳴を上げてみろよ? 外には届かないぜ?」
「あなた! どこの国の――」
「どこだっていいだろう? 陵辱が必要な種族だっている。それだけの話なんだから」
男はいすずの胴に馬乗りとなっていた。
スーツのボタンを外していき、手探りでタイトスカートの留め具も探す。服を脱がそうとしてくる男の行為に、いすずは慌てて抵抗しようとしているが、体の動きがあまりにも悪い。
抵抗の意思を持ち、手を払い退けようと思っているのに、体がモゾモゾとしか動かない。ボタンが一つずつ外されていくのを見ていることしかできいまま、スーツのボタンが外れきり、ブラウスの中身まで露出していく。
全裸にされてしまうまで、そう時間はかからなかった。
誰の助けも来ない、抵抗も出来ない状態で、いすずは全ての衣服を失った。
*
千斗いすずは天井を見ていた。
男の――いや、レイプ魔のニヤけた顔など、わざわざ見ていたくはない。どうせ体はまともに動かず、マスケット銃を出すこともできないので、ことが済むまでじーっと、天井の柄を観察して過ごそうとしていた。
(冗談じゃないわ……)
嫌で嫌で仕方ない。
こんなところで、名前すら知らない男に何もかもされてしまうなど真っ平だが、どんなに嫌でも指の動きすら鈍いのだ。
いすずは全裸であった。
脱がされた衣類は周囲に散乱して、椅子に目をやれば、無造作に放り投げたスーツやタイトスカートが床に垂れ落ちそうになっている。反対側に顔をやれば、床にショーツとブラジャーが落ちている。
ストッキングとブラウスは、男が後ろの方に投げ飛ばしてしまった。
「へへっ」
男は胸を揉んでくる。
痛いほどに指を深く食い込ませ、揉みしだいてくる手つきを受けて、いすずは顔色を変えていなかった。少し頬をピクッと弾ませ、微妙に顰めているだけで、それ以上の反応は示していなかった。
決して平気なわけではない。
乳房どころか、服の上から肩に触れられた時点で、ぞわぁぁぁっと、ひどく鳥肌が広がっていた。肌に直接触られて、しかも胸を揉まれているなど、もう鳥肌というレベルでなく、皮膚に腐食が広がっているおぞましさすら感じている。
だが、表情は変わらなかった。
少し眉間に皺が寄り、嫌悪が見え隠れしているだけだった。
自分はどうも、非常事態の時ほど冷静に振る舞える気質のようだ。
だから、表面的には顔色ひとつ変えていない。男にとっては、無反応の人形に見えたりするのかもしれない。
「無表情ってか? 我慢してんのか知らないけどま。わかるぜ? お前、十分嫌がってるよな」
「……重いわ。どいて」
いすずはそう答えた。
男は腹に馬乗りになってきているので、体重が腹部を圧迫してくる。
「どくわけないだろ?」
「こんなことをしても、感じないわ」
「それは残念だ。まあ俺が気持ち良ければいい」
「薬の効果が切れたら、覚えておきなさい」
「ああ、覚えてる覚えてる。いつまで持つか、目安も知ってる。ちょうどいいところでトンズラするまでの話だよな」
「……そう」
「んじゃ、おっぱいおっぱい」
男はいすずの巨乳を楽しむ。
目一杯に指を沈め、痛いほどに食い込んできたところで、急にぱっと手を離す。それからまた食い込ませ、またしても手を離す。食い込ませ、手を離す。その繰り返しの何が面白いのか、いすずにはわからなかった。
いすずにはわからなくても、五指が深く食い込むことで変形して、すっかり形を変えた乳房が、離した途端にぷるっと元の形状に立ち戻る。その微妙な乳揺れを見ることが、どうやら彼には面白いらしい。
(最低だわ)
心の中で侮蔑しながら、そして自分の乳房が玩具として扱われている感覚に、たまらない屈辱を感じていた。
(気持ち悪い……こんな奴、体さえ動けば……)
マスケット銃さえ出せていれば、決して無抵抗でやられはあしない。
抵抗する能力を持っていながら、それを発揮すらさせてもらえない歯がゆさに、いすずは頬の内側で密かに歯を食い縛る。その分だけ頬は微妙に固くなり、いすずの無表情に見える顔付きに、ほんの些細な変化が現れていた。
「お? 乳首が立つみたいだな。この状況でも感じるってか?」
揉みしだいていた男の手は、急に乳首に集中する。
「感じないわ」
「なら、これはなんだ? 明らかに突起してるみたいだが?」
「知らないわ」
「ま、せっかくだ。お前も感じるだけ感じてみろよ」
男は乳首を乱暴につまみ、雑に引っ張る。指先をピンと伸ばして上下左右に弾くのはまだマシでも、指圧してくる時の加減が悪く、今にも痛みを感じそうでならなかった。
「…………」
いすずは何も反応を示さない。
(……感じるわけないわ)
調子に乗って、人を気持ち良くさせようとしてくる男への憤りは感じても、まさか快楽など感じはしない。
「まあいい。せっかくの巨乳だし、ちょいと使わせてもらうか」
男はズボンを脱ぎ始めた。
そのベルトが外れていく様子を目にして、いすずは一気に不安に駆られた。ここまで受けた仕打ちも冗談でなく、全て最悪そのものだが、より最悪な展開はまだ先に残っている。
このままでは処女を奪われる。
その危機感に心臓は激しく高鳴り、いすずは内心で必死になるが、どう足掻いても指の動きすら鈍いまま、まともな抵抗などできそうにはなかった。
「パイズリパイズリっと」
男はズボンを脱ぎ散らかし、大きな肉棒を惜しげもなく露出しながら、いすずの胴体に跨がり直す。気をつけのように腕を伸ばして、だらりと下にしていたために、両腕とも男の脚のあいだに挟まれて、ただでさえ身動きが取れないのに、より抵抗力を奪われてしまった。
乳房のあいだに、熱気を纏う固い逸物が挟まれる。
そして、男は乳房を使い始めた。
使うという表現こそが相応しく、両手で掴んだ乳房を中央に寄せ上げて、その手で乳圧をかけながら、好きなように腰を振っている。いすずに対する何の経緯もあるはずもなく、男は存分に快楽を味わっていた。
「気持ちいい気持ちいい」
谷間の中から、亀頭が見え隠れを繰り返す。
(最低……気持ち悪い……早く終わって……)
せめて、一分一秒でも早く済んでくれることだけを願い、いすずは拳を握り締めていた。まともに力が入っていれば、その拳はより固く、力んで震えているはずだった。
「おら、出るぜ?」
それは数分後のことだった。
パイズリが始まって、何分もかけて乳房が使われ続けた果てに、噴き上がる精液によって顎や口周りが汚される。鎖骨にも滴り落ちる白濁に、いすずはこれ以上なく震え上がった。ムカデやナメクジを触る程度では済まないほどの、激しい戦慄が全身を駆け巡っていた。
*
青臭い香りが顔の周りに漂って、鼻孔に流れ込んで来る。
その臭気に対する不快感に、いすずは眉間を固くしていた。
「へへっ」
精液をかけられて、体を汚された屈辱だけに留まらない。
男の遊びはさらに進んで、今度は脚を持ち上げられていた。無理にでも開脚をさせられて、その上で性器を触られる。
もはや全身に拒否反応が満ち溢れていた。
プライベートゾーンに踏み込まれ、肩や腰に触られただけでさえ、ぞわぁぁぁぁ……っと、鳥肌が広がって、体が震えることはあるものだが、それが性器への接触によって起こっているのだ。
(許せない……こんな人、絶対に生かしておけないわ……!)
頭のてっぺんから爪先まで、指先にかけてまで戦慄に満たされる。
(最低……最低よ……!)
憤りでならなかった。
どんなに表情には出ておらず、ポーカーフェイスに見えたとしても、心の中身は男を呪いたい気持ちでいっぱいだった。
「くっ……」
いすずの口から、久々に出て来た声はそれだった。
「おおっ、見えた見えた」
クリトリスを触られたのだ。
性器のワレメを乱暴に開かれて、雑な扱いに負荷を感じている中で、包皮に包まれた敏感な部分まで指で擦られ始めたのだ。力任せの愛撫は加減が適当で、生理的な反応が出てしまう瞬間もあれば、ただ痛いだけの瞬間もあった。
「おらおら、ここは弄ったことあんのか? オナニーくらいすんだろ?」
「うるさいわ……」
「へえ、図星か? 週何回だよ」
「……黙って」
「つーか、処女か? 処女だよなぁ?」
男は楽しげに、満足そうにクリトリスを押し潰す。指を強く押し込んでの刺激に潰されたり、包皮の中身を出そうとしてくる数々のタッチによって、クリトリスはしだいに突起して、膣口からは汁気の気配が滲み出る。
ただの生理的な反応だ。
こんな男に、こんな形でされて、嬉しいはずなどないのだった。
「んじゃ、行くか」
男はとうとう、いすずの股に肉棒を押し当てる。
「やめて……」
「無理無理、やめるわけないだろ」
「絶対、後悔させるわ」
「やってみろ。俺は済んだらさっさとトンズラするけどな」
男は腰を押し込んできた。
「んぐぅ……!」
いすずはその痛みに声をあげ、額からは脂汗を滲ませる。
指よりも太いものには慣れていない、いすずの処女の性器には、彼のサイズは負担が強かった。みちみちと音を立て、引き裂かんばかりに穴を押し広げてくる感覚に、いすずは苦悶しきっていた。
(いや……いや……!)
このままでは完全に奪われる。
もう切っ先が埋まり始めて、数センチは入ってしまった状況では、処女の完全な喪失はもはや数秒先の未来に過ぎない。その避けようのない未来に対して、未だに手足の動きが鈍いまま、マスケット銃を出すこともできず、抵抗不能のままに焦燥だけが膨らんでいた。
焦ったり、恐怖を感じることしかできなかった。
お願いだからやめて欲しいと、懇願の思いが膨らんだり、猛烈な拒否感で体中に鳥肌が広がったり、心身での反応を滲み出すこと以外、何一つできることはなかった。
「あ……がぁ……!」
とうとう、肉棒が収まってしまった。
活性油となるものは、粘膜を保護するために自然と分泌された膣液と、申し訳程度のカウパーと、破瓜の出血だけだった。
「あぐっ、ぐぅ……!」
ピストンが始まると、より多くの脂汗を噴き出しながら、苦悶の顔でいすずは喘ぐ。
「あ……ぐっ、ぐぅ……!」
気持ちいいはずもなかった。
心理的な辛さは言うまでもなく、肉体的にも生理的な快楽は僅かなもので、それ以上に初体験による性交痛の方が酷かった。肉棒が出入りすることでの、裂けた部分への摩擦が何より辛く、快感による声などまさか上げてもいなかった。
「んっ、ぐぅ……ぐぅ…………!」
いすずはぎゅっと、目を瞑っていた。
頬を固く震わせながら、苦悶に満ちた表情でまぶたを固くする反応は、やっとのことでポーカーフェイスが崩れ去り、感情らしい感情が表に吹き荒れている瞬間だった。
「さーて、記念撮影といきますか」
男は挿入だけに留まらず、カメラまで用意していた。
パシャ! パシャ!
目を瞑ったいすずに向けて、シャッター音声が鳴り響く。
いすずは即座に顔を背けていた。
ろくな抵抗もできない体で、せめてできることといったら、顔を真横にすることで、正面顔だけは撮らせまいとすることだけだった。横顔だけでも、それがいすずの写真であることは明白になるにせよ、せめてもの行為を体が反射的に行っていた。
パシャ! パシャ!
撮影の音が聞こえる一方で、いすずが股に感じる肉棒は、ゴムなど付けていなかった。避妊のことなど考えもせずに奥まで押し込み、根元まで入ったものを後退させて、また一気に素早く貫く。
大胆なストロークがいすずの身体に衝撃を与え続けて、正常位のために起こる振動は、乳房を小刻みに揺らし続けていた。
「出すぜ?」
射精宣言にいすずは焦る。
焦ることしかできない。
射精の阻止も、外に出させることもできず、いすずが辛うじて見せたものは、抵抗しようとする素振りだけだった。男の身体を蹴飛ばすことで、中出しだけでも阻止しようとする動きが反射的に現れて、しかしあまりにも脚の動きが鈍いため、実現には程遠かった。
ドクゥ――ビュルッ、ドクン、ビュクン――――。
熱気に満ちた白濁が放出され、注ぎ込まれる。
(そんな……中になんて……)
いすずの顔が絶望に染まる。
対する男は、ヤってやった満足感でたまらない表情で、勝ち誇った目つきで肉棒を引き抜いて、ドロっと溢れる精液を眺めていた。
パシャ! パシャ!
男は事後も撮影を繰り返す。
乳房を取り、精液のこぼれ出るアソコを取り、汚れた顔面も写真に収め、犯してやった記念の記録を思う存分にカメラの中に取り込んでいた。
ひとしきりの撮影を済ませると、用事は済んだとばかりにトランクスとズボンを穿き、未だ身動きもままならないいすずを放置して、店の外へと去っていく。
薬の効果が切れるまで、まだ時間が残っていた。
一体、いつになったら自由に動けるのかもわからないまま、放心しきった顔でぼーっと天井を見つめていた。
やっと、指が動く。
試しに身体を起こそうとして、すると上半身が持ち上がる。
いすずは死んだような生気のない顔で、黙々と脱がされた服を拾い集めて、元のスーツとタイトスカートのスタイルへ戻って行く。股に痛みを感じながら出て行って、パークへ戻るためのバス停を目指していくが、どんな顔をしてみんなに遭えばいいのかがわからない。
*
その後、無事にインタビュー記事が掲載され、いすずも犯された事実を黙っていたことで、西也は何の疑問もなくその掲載ページを確認していた。
「思ったよりはアクセス数が多いようだな」
まさか、想像もしていないだろう。
想像しろというのが無理なはずだ。
西也はただ仕事の指示をしただけで、それが犯されて帰ってくるなどと、普通は誰が思うだろうか。
「ところで、何かあったか?」
顔や態度には出さずにいたつもりだが、何かを気取られてしまったらしい。
「いいえ」
「そうか。ならいいんだが」
もっとも、やり取りはそれだけで済んだ。
表情の変化が元から乏しいことに救われて、何が何でも絶対におかしいとまでは思われず、だから追求もされなかった。
しかし、体には確実に刻み込まれた。
レイプ魔などの肉棒が入り込み、それが好きなように動いてきた感覚は、トラウマのように深々と擦り込まれ、今でも簡単に思い出せる。夢にまで出て来るほど、アソコの中には如実な感覚が延々と、消えることなく残り続けた。
消したくてたまらない記憶を抱え、密かな影を胸にしながら、いすずはいつも通りの仕事へ戻っていった。
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