次の二人目の客は、ジェーンが戦士と交わり始めた際に見学して、途中で席を外した人物である。五人の仲間同士で鑑賞を楽しんでいたものの、ジェーンの容姿が彼にとってはあまりにも好みだったため、やはり自分も彼女を抱きたいと感じて立ち上がった。
仲間四人を残して席を去り、受付人のところへ空きはあるかと尋ねに行き、奇跡的にもまだ二人目の客が決まっていなかったという幸運にありつけた。
もっとも、美貌の臨時娼婦には、ルックスばかりかごく限られた期間しかいないという限定要素に付加価値を与えられ、値段がやけに吊り上げられていた。あれほどの美女に二人目の客がついていないなど、到底考えられる話でなく、奇跡にありつけたのはほとんどそれのおかげなのだろう。
ともかく、数いる商人の一人である彼は、貯金を崩してでもジェーンを抱こうと支払いを済ませ、戦士と入れ替わりで馬車へと入る。
どこの娼館でもそうだが、客が入れ替わる際、娼婦には身体の清掃や小休憩といった時間が与えられる。だから戦士が馬車を出てから、彼が中に入るまで、いくらかの間隔こそ空けたわけだが、ともかく次の客として彼は馬車内のベッドに上がった。
ごくりと、彼は息を呑む。
まだ先ほどまでの快感の余韻を残したような、火照りきった頬に浮かんだ赤色と、長い長い金髪から漂う香りに頭がくらっと揺れてくる。汗ばんだ肌は、それが先ほど戦士とまぐわっていた際のものだとわかっていても、彼には官能的なものとして映っていた。
汗の具合がキラキラとした反射を広め、肌中に光る砂粒を散りばめたような輝きを帯びているのは、実に美しい姿に見えた。
「じぇ、ジェニーさん……!」
彼は緊張しながら服を脱ぐ。
「よろしくっ」
「ええ、よろしく。緊張しているのね」
ジェーンの色香に誘われて、たどたどしく裸となった彼は、その近くへ迫っていく。ベッドに上がり、魅了の魔力にでも当てられたようにぼーっと、無意識のうちに伸ばした手で、いつの間にか乳房を揉んでしまっていた。
「あっ……」
やってしまったような顔を彼はしていた。
「あたし、お客さんはまだ全部で三人目なの。でも昨日の人も、さっきの人も慣れっこみたいで、お客さんにも緊張する人がいるってわかって、少し安心したかも」
ジェーンは実に親しみやすい笑みを浮かべてくる。
当然のように、胸を揉んだことについての、なんの咎める言葉も出て来ない。そういう場である以上、女体に手を触れるなどあまりにも当たり前だ。
「なんていうか、俺も初めてってわけじゃないんだけど、久々なもんで……」
「そうなの?」
「普段は町とか村の娼婦を当てにしてるんだ。隊商の娼婦は何か違うっていうか、別に嫌なわけじゃなかったんだけどね。ジェニーさんがあんまり好みだったもんで、今日はつい来ちゃったんだ」
「嬉しいわ」
「話してたら、緊張も抜けたみたいだ。そろそろ、色々と頼んでもいいかな」
「もちろんよ? 短いあいだだけど、あたしも今は娼婦なんだし」
それはどこか、自分に言い聞かせているように聞こえた。
(ま、そうか……)
娼婦になってでも稼ごうとする女には、それぞれ事情があったりする。普段は特に詮索せず、ジェーンに対してもそのつもりはないのだが、彼はそこに素人らしさを感じたのだ。
プロとして慣れきった女の雰囲気ばかり見てきたせいか、迷いや葛藤を抱えたままに男の相手を開始して、作り笑いがぎこちないようなその感じは、彼にとってあまり見ないタイプの表情で、何となく新鮮だった。
(別に、楽しませてもらうまでだけどね)
ジェーンにどんな事情があったとしても、やはり金は払ったのだ。
そして、何割かの取り分を差し引いた金額が、彼女の手元に残されることになる。その金は何のために必要なのか、それとも金とは別の事情でここにいるのか。それらの疑問を最初から抱きもせず、彼はもう既に楽しむことだけを考えていた。
「パイズリはやったことある?」
「ごめんなさい。ないわ……して欲しいなら、やってみるけど……」
ジェーンは申し訳なさそうにそう答える。
「初めてでも構わないよ。やってもらおうかな」
彼は仰向けに寝そべると、膝だけを立てて腰を浮かせた。勃起した逸物を天に向け、立派にそそり立てたものをジェーンの胸の高さに合わせて持ち上げたのだ。
「下手だったらごめんね?」
ジェーンはぎこちなく股のあいだに入っていき、彼の逸物を乳房に挟む。知識の中にしか存在しない、絵や写真といった形では見たことすらない行為を始め、ジェーンはどうにか肉棒をしごいてみる。
自分が一体、彼をどこまで気持ち良くできているのか。
その感触をまったく掴めずにいるままにしごいていた。どこまで出来ているのか、いないのか、それがわからない不安のままに、たどたどしい奉仕によって乳圧をかけ続けた。
もっとも、しかし続けていれば体が慣れて、しだいにコツを掴み始める。
乳房を駆使した奉仕は少しずつ活発となり、谷間の中から亀頭は見え隠れするようになっていた。
「ねえ、どうなの?」
ジェーンは尋ねてくる。
その頃にはもう、肉棒に少しでも刺激を与えるため、上半身が微妙な浮き沈みを繰り返していた。身体もろとも駆使することで、肉棒に対して乳房が上下する。肉棒が動くというよりも、棒を包んだ側の方が動くことで、結果的にピストンを成立させる形によって、とろけるような快感を与えていた。
「とっても良いよ。汗ばんだ肌が良い具合に……」
彼はゴムボールのような感触を幸せに感じ取り、幸福の表情で快感に浸っていた。
「あ、汗って……」
「失礼。でも、すごく気持ちいいよ」
「そう? それならいいんだけど」
ジェーンはそのまま黙って奉仕を続ける。
彼が感じている快感は、肉棒に乳房の弾力が触れてくる感覚については言うまでもない。胸に棒を挟んだ女のエロティックさは、視覚的にも魅力なのだが、そこには汗ばみによる少しばかりのぬるっとした感じも合わさっていた。
しっとりとした皮膚に挟まれ、少しだけ滑りの良くなった乳房によってしごかれる。
その感覚が実にたまらず、彼は射精感に達したことを告げて放出した。乳房の狭間に白濁を打ち込んで、そのままジェーンに肌に己の子種を擦り込むのだった。
当然、それのみで済ませはしない。
正常位での結合を求め、コンドームを装着した彼は、ジェーンの中へと入ってさらなる快感を味わうのだった。
*
ジェーンにとって、二人目の男は随分良かった。
快楽だけを言うなら一人目の戦士なのだが、二人目の客として出て来た商人は、昨晩の商人と比べて主張が控え目で、ただパイズリが初めてだったことだけが、まるで心残りのようになっていた。
無論、娼婦を続ける予定はない。
仕事に必要なスキルの習得という意味では、続ける気もないのに不要なわけで、そう気に病んでも仕方のないことだった。
最悪なのは三人目だ。
何が最悪かと言えば、暴言を吐くわけでも、性交中に暴力を振るってきたわけでもないものの、思わぬ形で肉棒を咥えさせられたのだ。
「口で頼むよ」
そう言われ、てっきりフェラチオと思って開始する。
仁王立ちする男に対しての、膝をついての奉仕となれば、やはり幌にはわかりやすいシルエットが出ていることだろう。外側にも奉仕の様子が覗けて見えるも同然に、明確な影の形が動いているはずだった。
それを気にして恥じらいつつ、薄らと赤らんだ顔で咥えていた時、男はおもむろに角を掴んできたのだ。
ヴィーヴルという種族の持つ角を両手で握り、男は腰を振り始めた。
「んっ! んぐっ、んごぉっ!」
ジェーンの知識にある奉仕には、こんな風に男が口腔にピストンしてくる方法などないはずだった。
「んっ! んん!」
イラマチオというものを知らなかった。
急に乱暴に扱われ、驚きながら苦しむのだが、抵抗しようと思った瞬間に、ジェーンの脳裏には仲間達の身の上が掠めていく。まだ、ここで降ろされてしまうわけにはいかず、クレームを入れられる可能性を減らすべくして、ジェーンは辛抱強く耐え忍んだ。
そのうち、男は口内に放出してくる。
根元まで押し込んで、亀頭が喉を塞がんばかりの状態での、窒息しそうなところへの射精にいよいよジェーンは反射的に押し退けて、顔を力強く引っ込めていた。それでも口内に出された精液は、下顎の内側に溜まった上に、その半分以上は食道に流れ込んでいた。
「飲め」
男は無情に命じてくる。
「……ごくっ、の、飲んだわ。だけど、今のは乱暴だと思うの」
あまりの扱いに、そう言わずにはいられなかった。
クレームの恐れを感じはしつつ、言っておきたい衝動の方が今は上回ってしまっていた。
「こういうやり方もあるし、そういう客もいる」
男は悪びれもしない。
「でも……」
「ま、安心しろ。今のは一回やればいい。次は対面座位で繋がってもらおうか」
そう言いながら、男はコンドームの包装を突きつけてくる。
きっと、ジェーンの手で装着しろということだ。
そう受け取り、ジェーンは包装を破いて中身を取り出し、リング状のゴムを亀頭に被せる。装着を済ませる瞬間に思い出すのは、手コキという方法での奉仕であった。幌に浮かんだ影から見れば、きっと今のは手コキに見えたはずだった。
「よし、するぞ」
男が胡座をかく。
「そこに座ればいいのね?」
「そうだ。密着し合いながら、そしてお前が動くんだ」
(できるかな……)
初めて行う行為には、その都度上手くできるかの不安が湧く。それに一度乱暴に扱われれば、次はまたいつどのタイミングでそうして来るのだろうかと、心の奥底では警戒心を抱かずにはいられなくなってくる。
ジェーンは男の身体にしがみつき、抱き締め合う形で膣内に受け入れた。
結合を済ませると、すぐに上下運動を開始して、ジェーンは男に刺激を与える。これだけ体を近づけて、背中にも男の両手が回って来ているだけあって、ただ肉棒を慰めるだけでなく、乳房を胸板に押しつけて、さらには擦りつけるかのようにもなっていた。
「あぁ……んっ、んぁ……あっ、あぁ……あぁぁ…………」
口を道具のように使われた直後でも、そういうやり方をしてきた相手でも、こうして結合しながら動いていれば、感じるべきものは感じてしまう。
「あっ、んぅ……んっ、んぅぅ…………んっ、んぁ…………」
ジェーンは息を淫らに荒っぽく、熱い呼吸を吐き出しながら、上下運動を繰り返していた。
こうして密着していれば、この体位なら影に形は反映されない。何をしているか、外からわかりにくいはずだと、ただその一点だけには安心しつつ、かといって口を乱暴にされたのは、軽いトラウマとして残っていた。
「ジェニー」
その時、男は耳元に囁いてくる。
「外でずっと見ていたぞ」
「え……」
「影がくっきり、はっきりしていたぞ」
「えっ、いや……!」
何を言われているのかを悟った瞬間、またしても羞恥を呷られて、ジェーンは立派に赤らんでいた。今まさに肉棒が入っている最中だというのに、それよりも恥ずかしいことでも起きたかのようにして、慌てたような恥じらいの表情を浮かべていた。
「止まるな」
「う、うん……続けるけど……そんな変なこと…………」
つい止めてしまった腰の動きを再開させ、ジェーンは上下し続ける。
「フェラをしている時の影は、なかなかエロかったな。あれは最高だった」
「やっ、やだ……あっ、んぅ……」
「バック挿入も良かったが、あとはパイズリもしていたな? あれも浮き出た影でわかりやすくてよかったぞ」
この男は外にいたのだ。
馬車の中に入って来るまで、影を鑑賞している観客の一人だったのだ。
「やだ……やだってば……あっ、あっ……あぁ…………」
ジェーンに向かって、男は外で見ていたものの感想を告げてくる。
「一番は騎乗位だな」
「あっ、んぅ……んぅっ、んぁっ、あぁぁ…………」
止まるなと言われている手前、上下運動を続けながらの、途切れ途切れに喘ぎながらに聞かされている男の言葉は、ジェーンに対して立派な一種の攻めだった。
「お前自身の動きで馬車が揺れていた」
「いやっ、やっ、あぁ……言わない……でっ、んぅぅ…………」
「騎乗位だからな。背中の方は、その長い髪がかかっていたが、前側のスタイルははっきりと見てわかった。乳房の形も、大きさにも見当がついたぞ?」
「やっ、やぁ……!」
「みんな盛り上がっていた。あの乳房がぷるぷると揺れる影の動きに、カメラを向けている奴もいっぱいいた」
「かっ、カメラって……!」
ジェーンは戦慄する。
いくら影だけとはいえ、自分の性行為を撮られていたとわかっては、安心できるはずがないのだった。
「止まるな。動け」
「あっ、あぁ……あっ、んぅぅ……まっ、まさか……あなたも…………」
「俺も撮った。見るか?」
「いや……! い、いい……! いいわっ、見せなくて…………!」
「嫌か?」
「いやっ、いやぁぁ…………!」
ジェーンは喘ぐ。
身体は上下しつつも、首の方は左右に振り、写真など見たくはないと、喘ぎ声もそれに染まった。
「なら、こうしてやる」
その時、男は立ち上がる。
「え……!」
急に自分の身体が宙に浮かんで、ジェーンはまず困惑していた。
それもまた、ジェーンの知識にはない体位であった。対面座位のような繋がりを保ったまま、しかし男の方は立ち上がり、その立ったままの姿勢で腰を振り付けてくる方法など、かつて想像したことさえなかったのだ。
「やっ、嘘っ、あぁ……! あっ、あぁん! あん! あん! あん! あん!」
ジェーンはすぐに激しく動いた。
身体が浮かされていることで、反射的に落下を恐れ、ジェーンは両腕に力を込める。しがみつこうとする力を強め、股の力でも男の胴を締め上げて、腰の後ろ側へと足首を交差する。自分の身体を空中に維持しようとする必死さが手足に現れ、そこへ男は腰振りを行ってきているのだ。
「ああっ、あん! あぁん! あぁん!」
「これも外からわかりやすい体位だ」
「あん! あぁっ、いやぁぁ!」
「撮られているだろうな」
「やだ! やだ! と、撮らない……でぇ……! お願いっ、んぅぅ……!」
「無理な相談だ」
「そんなっ、あぁ……あぁっ、ああぁぁ…………!」
ピストンの衝撃を受けるたび、腰をぶつけられたジェーンの股は、数センチの距離まで後ろへ遠のく。その一瞬だけ股は密着から外れるも、重力の落下であるようにして、直ちに男の股へ戻っていくのだ。
垂れ下がった尻尾は振り子となり、尻の弾みに合わせて揺れ続ける。
「あっ、あぁ! あん! あぁん!」
肉棒が見え隠れを繰り返す。
この棒もまた、露出の瞬間だけは影として幌に映って、外の観客に存在が見えているのかもしれなかった。
*
さらに次の男は小太りだった。
手始めに求めてきたのは、正面から抱き締め合ってのディープキスで、男女の密着し合った影が幌には形成されていることだろう。小太りから舌が差し込まれてきた際に、それを拒むわけにもいかずに受け入れて、ジェーンの方からも舌を出す。
お互いの舌を絡め合わせて舐め合っての、深いキスの時間をひとしきり過ごした後で、次は早速正常位での挿入を求めて来る。
これでまた一人、経験人数が増えてしまった。
たった一日のうちに、こう何人も受け入れてしまっていることへの悲しみと、無念でならない気持ちが表情の裏側には漂っていた。
小太りの逸物が膣に収まり、そのピストンが始まった時である。
「これ、なーんだ」
小太りは電子端末の画面を突きつけてきた。
「いや……! ちょ、ちょっと……!」
そこに映っているのは影の写真だった。
外から見れば、幌に映った影はどんな風に見えているのか。それを実際に撮った写真が、急に目の前に突き出されて、ジェーンは焦ったような困惑したような表情に赤らみを浮かべていた。
それは先ほどの男と過ごした時の、立った姿勢でまぐわった写真であった。
最初は対面座位だったところから、男だけが立ち上がり、そしてジェーンは男に対して密着を維持していた。その時のピストンにより、少しだけ尻が弾んで、アソコとのあいだに棒が見えた場面の影がくっきりと、綺麗に写し撮られていた。
「いやぁ、他にもあるよ? ほら、パイズリ写真」
小太りはタップ操作で画面を変え、別の画像を表示する。
「やっ……! やだってば……!」
ジェーンは咄嗟に目を背けた。
そこに映ったパイズリ写真はもちろん影で、幌を撮影したものとはいえ、男の姿勢がはっきりとわかったのだ。仰向けの姿勢から、膝だけを立てて腰を浮かせて、そうして浮き上がった股間を乳房で挟む。
ジェーンはその時、自分自身の胸を両手で持って、どうにか乳圧をかけながらこなしていたが、その様子が影であろうとよくわかる、影だからこそ、男の足とジェーンの身体が一体化して見えてはいても、その実際の形はいとも簡単に想像しうるものだった。
「君はね? こういう写真をいっぱい撮られてるんだよ?」
「いや……聞きたくない……」
「僕もいっぱい撮ったねぇ? あ、これは僕がまだいなかった時の写真だけど、お裾分けをしてもらったんだ」
次に画面を突きつけてきた時に、映っていたのはフェラチオの影だった。
戦士の肉棒を咥えた時の、仁王立ちに対して頭を前後させていた際の影の形は、その奉仕の動作を明確に表していた。口に咥えているために、棒の影と顔の影が一体化しているものの、角を生やしたジェーン自身の、髪型も含めた頭部の形は、シルエットだろうとよくわかる。
ついでのように乳房もぷるんと、くっきりと形状をあらわにして、これがいかに大勢に見られていたかと想像するに、ジェーンは苦悶しきっていた。
「いい顔をするねぇ?」
「だ、だって……! なんでこんな……! 見せたの……!」
「ふふっ、大丈夫。僕が慰めてあげるから」
小太りは腰を動かし始める。
「あぁ……!」
感じてしまった。
写真を見せられ、嫌な言葉を聞かされて、恥辱を味わった直後だろうと、そんなことは体には関係ない。肉棒が動けば気持ち良く、反応を示す肉体からは声が出る。ジェーンはそのまま髪を振り乱し、小太りの行うピストンに翻弄された。
「あっ、あん! あん! あん! あん! あん!」
大きな声が出てしまう。
そんな頭の片隅では、この声が外に聞こえていないか。今こうして交わっている影の形も、幌にしっかりと浮かんでいないか。心配でならない気持ちが漂いながら、ジェーンはそれでも喘ぐ一方だった。
「あっんぅ! んっ、んんん! んあっ、あん! いやぁっ!」
しかも、ジェーンは薄らと気づいていた。
今までのセックスは、誰に挿入されても声が出ている。太さや形状の個人差で、膣穴を押し広げてくる間隔も、どれだけ奥に届いてくるかも異なるが、いずれも声が出るだけの快感を与えられ、全ての男に対して喘ぎ声を披露している。
「んっ、いやぁっ、あん! あぁん」
もしかして、自分は淫乱ではないか。
そう心配したくなるほど、必ずといっていいほどジェーンは反応してきていた。
「ほら、気持ちいいね? 感じちゃうね?」
「あっあん! あぁん!」
「今はどんな影になっているかな?」
「あぁっ、あん! あぁいやぁぁ!」
「乳房が山みたく映っているだろうね? それで、こうやって揺れてるんだ!」
「あっあっ、あぁん! あぁっ、くあっ、くぅっ、んぅ!」
小太りが指摘している通り、ジェーンの乳房はピストンの衝撃を受けることでぷるぷると、前後に揺れ動いている。その有様を上から眺め、両足に手を添えながら動いてくる小太りとの結合はL字に近い。
寝そべったジェーンに対して、小太りはおよそ背中を真っ直ぐ立てていた。
その上での腰振りは、だから身体の密着によって乳房を隠す余地もなく、言葉通りに幌に明確に浮かび上がってもおかしくはないのだった。
それもまた、やはり撮られているのだろうか。
「さて」
不意に小太りはピストンを停止する。
「んぅ……あぁ…………」
ジェーンも息を落ち着けて、膣内にあるゴム越しの白濁を感じ取る。まずは一度目の射精が終わり、そして今までの傾向から、きっとまだ二回目や三回目が残っている。複数回の射精を済ませて、やっと一人の相手が終わるのだ。
「これは見せていなかったね? 動画を見てごらん」
小太りは枕元に置いていた電子端末を広い上げ、またしても画面を見せつけてきた。
「やだぁ…………」
正常位の影だった。
たった今、小太りと交わっていた際と同じくして、L字に近い形の繋がりだった。そんな黒い影による腰振りで、確かに乳房が揺れ動き、上下にぷるぷると弾けている。感じるあまりに足まで弾け、天井目掛けたキックを反射的に放ってしまう反応にも覚えがあった。
動画だからだろう。
画像であれば、ぶれることなく綺麗に撮れたものを残すだろうが、動画であればこそ馬車の揺れている様子も映っている。外から見ても傾いて、浮き上がった車輪が元の位置へ戻ろうと落下する。
ガタッ、ガタッ、となり続けていた音や衝撃は、こうして確かな確信を得た。
しかし、ジェーンとしては、馬車ばかりを気にしてはいられなかった。
『あん! あん! あん! あん!』
ジェーンの顔は真っ赤であった。
顔面蒼白になりたい心境でありながら、顔中に広がる色は赤だった。
「声、外に聞こえているねぇ?」
恥ずかしくてたまらない、最悪の真実をわざわざ証拠つきで伝えられ、もうたまらなくなってしまった。
「も、もういいでしょう!?」
「どうしようかなー?」
「ねえ、まだするの? お願いだから、意地悪しないで……普通にして……」
「うーん」
「お願いってば……」
「じゃあ、次は口で抜いてもらうよ」
「わかったわ……」
そして行うフェラチオは、仰向けになった小太りに対しての、顔を上下に動かしてのものとなる。それによる射精を口内に受け止めて、それを最後に小太りは馬車の中から降りていくが、今晩の男はまだ一人残っていた。
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