そして、今日は練習が休みの日。
日頃から酷使している肉体に休息を与えるのも、コンディションの管理の上では重要なことなのだが、その大事な休みに校長からの連絡が入ってきた。
といっても、校長とは何の連絡先の交換もしていない。
メッセージを送るにしても、後輩を利用して、後輩を介して唯華やコニーに送ってくる。決して自分自身の端末を介した連絡はしないので、そういった意味でも形に残る証拠はない。
後輩に対しては、校長とは二人きりにならないように、それが避けられない状況でも、なるべく唯華に相談するように言ってはいる。できることならスマートフォンを録音状態にしておいたり、どうにか証拠を残す努力をするようにも言ってはある。
だが、何を録音したとも、どんな写真を撮ったとも伝えてこないので、今のところ何ら成果は上がってこない。
成果どころか、校長に呼び出しを受けても、なかなか相談しに来ない始末だ。
下手な相談をしたらバラ撒くと、そう脅されてもしているのかもしれない。気の弱い性格を相手に弱みを握り、高圧的に押し切れば、そういった行動が取れないように萎縮させることは可能というわけだった。
そんな後輩を介しての呼び出しにしても、文面には直接的なことがかかれていない。
『あのことで、ユニフォームで集まって欲しいそうです』
あのこと、という言い方だけで伝わるのは、事情を知っている唯華とコニーだけであり、他の誰がこの書き方を見たとしても、部活関係の話としか思わないことだろう。校長の指示で、とは書かれないあたりにも、校長の慎重さと、後輩がいかにコントロール下に置かれているかが伝わってくる。
「ま、行ってみようか」
「今度は録音できるかな」
コニーは不安そうにしていた。
先日の失敗も引きずっていることだろう。
「ユニフォームでスマホ持ってたら気づかれるからね。たぶん、何も持っていないことがわかるまで、下手な発言はしてこないよ」
気は進まないものの、唯華とコニーはユニフォームに着替えていた。
練習着として使うポロシャツでなく、試合に出場する際のそれを着て、練習もないのにコートへ向かう。寮内ですれ違うほとんどが、休みの日にも練習をしようとしている真面目な強豪選手としてしか見てこなかった。
唯華の置かれている状況など、まして校長が大量の盗撮動画を握っている状況など、大半の部員は知りもせず、想像もしていないのだ。
コートに着いた時、唯華とコニーは戦慄した。
そこに立っている後輩は一人ではなかった。
気が弱い、自己主張の控え目な性格が、揃いも揃って三人も並んでいる。
それを見た瞬間から、もう唯華は確信していた。校長が手を出していた相手は、やはり一人だけではなく、本当に複数だった。
部員のことはよくわかっている唯華である。
その顔ぶれを見ることで、なら他にはどんな子なら狙われるか。脅迫で押し切られれば、その恐怖から言うことを聞いてしまうのか。いくつかの顔が即座に浮かび、その子達のことも守らなければと、使命感のようなものが湧いてくる。
「おはよう、みんな。休みの日にも練習なんて熱心だね」
自分で呼び集めておきながら、白々しい。
熱心な部員が今日も練習をやろうとして、その様子に関心している自分というシチュエーション設定でいるのだろう。未だ何の録音も撮影もできていない中、下手に被害を訴え出ても、校長はそういう主張で押し通すというわけである。
「どうしたの? 練習だよ? 練習。そのために集まっているんじゃないのかな?」
なるほど、自分は練習現場に居合わせて、たまたま見学しているだけという設定をどこまでも貫く気だ。
盗撮は、盗聴はないか。
注意深く気にしてもいるわけなのか。
それだけ慎重な脅迫で、体ではなく練習を強要する。ストレートにセックスを要求するのに比べて、それでバラ撒かれずに済むのなら、という気にさせられる控え目の強要は、しかし校長にとって次に繋がる伏線に過ぎないはずだ。
「ま、やろうか」
唯華は軽い指示を出し、遊び程度のラリーを行う。
酷使した肉体に、本来ならば休息を与えるべきタイミングで、ハードなメニューを人にさせる気もなければ、自分自身で行うつもりも今日はなかった。
その最中だった。
順番に打ち合うように促して、唯華がラケットを握る後ろでコニーが順番待ちとなっている。その隙を窺って、またしても校長がコニーに近づいていた。何を話しているのかが気になって、後ろばかりに意識がいって、唯華らしからぬミスまでしてしまった。
「ごめん、変わってくれる?」
後輩に順番を譲り、後輩同士で打たせつつ、唯華はすぐさまコニーと校長のあいだに割り入りに突き進む。
唯華は校長と対峙して、その目を真正面から捉えていた。
「コニーに何か用事?」
「ああ、唯華ちゃん。あの事で色々と、また『相談』ができないかと思ってね」
言い方を濁していても、二人きりになった途端に脅迫めいた言葉を並べ、言うことを聞かせようという魂胆だろう。
「その手の相談なら私が聞きますが」
パパ呼びや口調の指示は、今の唯華は無視していた。
「でも唯華ばかり……」
コニーの気に病んだ声が背中にかかるが、かといって負担を分担というわけにもいかない。口を使わされたような、あんな被害は少ない方がいいに決まっている。まだ何もされていないコニーには、何も手出しはさせられない。
「じゃあ、唯華ちゃん。実はここに集まっている子達、みんな副顧問からセクハラを受けたことがあるそうなんだ」
またしても白々しい。
手ぶらである確信が持てない限り、録音されても困らないように言葉を選ぶ校長の、設定に即した喋り方は、もういちいち面倒だった。
それでも、やはり遠回しであって直接的だ。
副顧問の部分をそのまま校長と置き換えて捉えるだけなのだから。
「本当にこれだけですか」
「まあね? そうらしい。そこで色々と、処分の参考になる話を聞きたいから、みんなを向こうに集めてくれないかな?」
この練習場の適当な壁を校長は指しているが、そこは荷物からは随分と離れた箇所で、そして唯華とコニーはユニフォームだ。他の後輩達が身に着けている短パンも、ポケットに物を入れれば、その形がくっきりと浮き出かねないほどには太ももと密着している。
何の機器も持たない状態である確信を持つために、荷物から離れたポジションを指定しようというわけだ。
「…………」
唯華が渋っていると、校長はそんな唯華の表情を覗き込み、おぞましく目を細める。
「ああ、そうそう。他にも被害に遭っていないか、様子の気になる子がいるらしい。その子が本当に被害者じゃないか、ちょっと気になるところだよね」
この校長の言葉を訳すとすれば、つまり他にも目をつけている部員がいて、その子にも手を出すぞと言ってきている。今はまだ被害者ではない、しかしこれから脅すことの可能な、人質のストックは残っているというわけだ。
「……わかりました。ですが、『相談』は基本的に私にお願いします」
「じゃあ、任せたよ?」
校長の言う通りにするのは業腹だった。
他に何か手はないのか、もっと巧妙な知恵は浮かんで来ないのか。何のアイディアも出て来ない苛立ちもあるが、校長の思惑通りに動いてしまう自分自身にも本当に腹が立つ。
しかし、唯華は部員達を呼び集めた。
校長から話があると告げた途端の、何かに怯えたような暗い表情を見ただけで、一体何があったのかと察せられるところである。
(……絶対、校長は止めるから)
部活や大会出場には影響を出させない。
だが、部員も守る。
それこそが唯華の目標だった。
*
以前の校長室と、どこか似たような空気が流れていた。
あの時との違いといえば、まずは練習場というこの場所と、唯華が背にしている部員達の人数だった。最初はコニーと後輩一人であったが、その後輩の数は三人に増え、後ろに並ぶのは計四人となっている。
そして、校長と向かい合い、唯華が手に持っているものはスマートフォンだ。
校長から手渡されたものである。
一体、何を目的に渡してきたのかと思いきや、何故だか副顧問と電話をするように言われたのだ。だから唯華が手に持って、こうして耳に近づけているものは、まずは校長が電話をかけた後、生徒に代わると副顧問に告げながら、唯華に渡してきたものなのだ。
「お久しぶりですね」
校長の意図がわからないまま、唯華は電話に応じていた。
『志波姫か。お望み通り、まだ謹慎中の身だよ。満足か?』
「あとは退職後に自首してくれれば完璧です」
『……ふん』
副顧問にとって、唯華は面白くない相手だろう。
いいように支配できていると思いきや、しかし途中で反旗を翻され、謹慎処分にまで追い込まれたのだ。そのために唯華が取った方法は、長期的に従わされる状況を利用して、録音や撮影を繰り返すものだった。
副顧問にも、もちろんそういう警戒心はあったのだが、回数をこなすほどに油断していき、そして唯華もチャンスを探り続けていた。時間が味方となり、とうとう決定的な証拠が取れたわけだった。
それを元に警察沙汰か謹慎か、あるいは唯華が学校を卒業してから、数年後に裁判所で会うか。
そういった選択を迫った結果として、今は謹慎という形で学校を離れている。
もっとも、気に入らないのは唯華の方だ。
相手を思い通りにできなかった加害者が、それで機嫌を悪くするなど、唯華にしてみればこちらの方がよほど面白くない話である。
「で、パパ? 何のためにこの電話を?」
あまりにも意図が読めないので、唯華はもはや直接尋ねた。
『ぱ、パパ?』
通話の向こうから、困惑が伝わってくる。
なるほど、校長が生徒に要求しているものを知らなければ、驚き引き攣るのも無理はない。きっと、今頃はかなり微妙な表情をしている最中だろう。
「そうだねぇ? その元副顧問に、一番気持ち良かった思い出を打ち明けてごらん?」
という、その声が副顧問にも聞こえたらしい。
『あーあー。せっかく教師を謹慎に追いやったのに、なかなか大変だな』
副顧問が唯華の状況を察するには、それだけで十分だったらしい。
「そうですね」
『で、どうせ今は黙って従っているんだろう? 何か企んでいるにしても、まだ反撃ができないんだろう?』
だんだんと、面白くてたまらないような声色に変わっている。
自分を謹慎に追い込んだ元凶が、また別の誰かに追い詰められている状況は、副顧問の立場からすれば、溜飲が下がって楽しいもののようだった。
「ユニフォームをずらして、アソコを出して、そこを弄られてイカされた時が一番気持ち良かったと思います」
背後に並ぶ四人の、ぎょっとした気配が伝わってきた。
だが、それにしてもさらりと答えた唯華である。暗い顔でもして、屈辱に震えながら答えていれば、後ろをもっと動揺させていただろう。
主将が辱めを受けていた事実を聞いて、そのショックを完全に打ち消せるはずもないだろうが、最小限にはなっているはずだ。
『ほーう? それが良かったか』
「ええ、そうです。それで、パパの言った通りにしたけど? これが何だっていうの?」
今のやり取りを強要してきた意味がわからない。
いや、もちろん屈辱を煽ったり、辱めようと思って考えたアイディアなのだろうが、その憤りを表に出してやる気はない。校長を楽しませるくらいなら、ぐっと堪えて平静を装って、わざとらしく首を傾げることを唯華は選んでいた。
『尻にも綿棒を入れたっけな。肛門でも感じるってわけだ』
瞬間、校長の口角が吊り上がる。
この通話の音声は、周囲にも聞こえるように音量を拡大していた。
「じゃあ唯華ちゃん? その時の思い出に浸りながら、アナルオナニーをしてごらん?」
「……は?」
唯華が引き攣る一方で、通話の向こうにいる副顧問は笑い転げていた。
『本当にっ、本当に大変だなっ! ははっ、いい気味だ! ま、せいぜい気持ち良くオナニーしてやれよ!』
「パパ? 切っていい?」
「いいよ?」
『あ、おい!』
唯華は構わず通話を切り、校長にスマートフォンを突き返す。
「唯華ちゃん。これを使うといいよ」
校長はアナルパールを持っていた。
わざわざ荷物を持ってきて、カバンの中に詰め込んであるらしい。ご丁寧にローションまでセットにして、快感を楽しむための玩具を校長は唯華に押しつける。
「こんなの、使ったことがないんだけどな」
「だったら貴重な体験じゃないか。さあ、唯華ちゃん?」
「…………」
後ろから、部員達が壮絶な眼差しを向けてくる。
肩越しに振り向いた瞬間の、コニーと目が合った際の気まずさはかなりのもので、しかし唯華が四人に対して示せるものは、せいぜい余裕を気取る心の強さぐらいであった。
こんなことは何でもない。
ちっとも問題ないから、黙って見守っていればいい。
そのくらいの気概でもって、唯華はユニフォームをずらし始めた。レオタードか競泳水着のような形状の、上下一体となったユニフォームの下半身は、片側には短パンのような丈がついていながら、もう片方は生足を剥き出しにしている。
まるでショーツをずらすようにして、唯華はお尻の上から布をずらした。
後ろで見えにくい部分のやりにくさを感じつつ、ローションをまぶしたアナルパールを突き立てる。すぐには挿入できなかったが、刺そう刺そうと何度も狙いをずらしているうちに、ようやく肛門が先端を捉え、唯華の中に数珠状の連なりは収まっていく。
唯華は道具のピストンを開始した。
後ろに回した右手によって、アナルパールを出し入れしていた。
「ゆ、唯華……」
「先輩…………」
部員達から向けられる眼差しは、およそ正常なものではない。コニーには手は出ていないにしても、三人の後輩達からしてみれば、自分のせいで主将も巻き込まれている形だ。その上でこの状況は、目の前で唯華が見世物のようにオナニーを披露する状況は、とても平然と受け止められるものではないだろう。
(前は優勝カップだったね)
放尿の強要で、優勝カップを穢された。
それが副顧問の時のプレイであったが、今度は部員の前で主将を穢す。言ってみるなら、これは『部活』というものに対する陵辱なのかもしれなかった。
見た目も滑稽に違いない。
後ろに手を回し、肛門に物を出し入れする姿など、間違っても格好の良いものではない。それを人前で行うなど、実に惨めもいいところだ。唯華自身にどんな鋼の精神があったところで、見ている部員達の方がショックかもしれなかった。
「……平気、とまでは言わないけどさ」
唯華は皆にこう告げる。
「大丈夫、みんなのせいじゃないから……」
ただそれだけは伝えておき、唯華はそのままピストンの方に集中した。好きで感じる快楽などではないが、校長が見ている手前、どうせ始めてしまった行為の手は止められない。ローションという活性油で、ぬるっとあっさり出入りして、肛門に対するその摩擦は、繰り返すたびに発する刺激を激しくしていく。
そのうちに息が乱れてきた。
顔が火照り、いつ感じた表情を晒してしまうかもわからない。
「おや? 気持ちよさそうだね?」
唯華の様子を眺め倒して、校長は実に満足そうだ。
「そうかな? あまり、言うほど感じていないつもりだけど」
「荒っぽい呼吸が聞こえてくるよ? 体も汗ばんできていないかな? さっきまでラリーで体が動いてたもんね? 血の巡りがますます良くなってきたんじゃないかな?」
「お喋りなパパ……はぁ……んぅ…………」
「もっとよく見えやすいように、横になってもらえるかな?」
校長はポーズの変更を言い渡す。
それにより、唯華が取った姿勢はM字開脚なのだった。仰向けとなって足を広げて、まるで性器を使った普通のオナニーでもするように、右手を下に伸ばしてピストンする。しかし、そのピストンしているものは、やはりアナルパールなのだった。
「あっ、くぅ…………」
はしたないポーズによって、惨めさがますます膨らむ。
校長の前で卑猥さをアピールするのもそうだが、三人の後輩達やコニーに見られている状況も、余計な恥辱を煽ってくる。こんな場面を見られてしまい、次からどんな顔をして会えばいいのか。どんな気持ちで後輩に指導をして、フォームや試合運びの駄目出しなりをすればいいのか。
しかし、唯華はオナニーを続けていった。
「んっ、くっ、くぅぅ…………! くぅぅぅ…………!」
だんだんと、快楽は強まっていく。
続ける分だけ、アソコの疼きさえもが増してきて、温まったワレメの奥から愛液が染み出て来そうだ。このユニフォームの下にもショーツはあるので、二重の布ですぐに濡れた気配は出ないだろうが、続けさえしていれば、股間が水気を帯びるまで時間の問題だ。
「んぅ……んぁぁ…………」
唯華は喘ぎを抑えていた。
あからさまに感じた素振りは、決して見せたくはないのであった。
*
それでも、いつかは濡れてくる。
ショーツが濡れてくることで、布の皮膚に張りつく感じが出てくると、むわりとした熱い湿気で、アソコの周囲は蒸しっぽくなりつつある。
そんな時、校長は言い出したのだ。
「みんなで一人一人、唯華ちゃんのアソコをチェックしに来てよ」
また何か、おかしな思いつきをしたらしい。
当然のように誰もが躊躇い、一人として前に出ようとはしなかったが、校長が繰り返し指示を出し、そこに脅迫を重ねることで、いかにも躊躇いがちに一人が一歩を踏み出した。後輩三人の中から出て来た一人は、実にたどたどしく申し訳なさそうに、肩を小さくしながら唯華の真正面にしゃがみ込む。
「し、失礼……します…………」
布越しのまま、軽く顔を近づけてくる。
「はーい。見たね?」
「は、はい。パパ……」
後輩にも、パパ呼びを強要している。
「いいよ? じゃあ、次の子は君かな?」
といった具合に、一人ずつ順番に唯華の前までやって来て、アソコに少し顔を近づけた後、元の位置へと戻っていく。後輩三人のそれが済んだら、最後にはコニーがやって来て、何とも言えない悔しげな、歯を食い縛った表情で同じく数秒ほど観察した。
そして、元のポジションに四人は並び直していた。
仰向けの頭上ともいうべき位置で、それぞれが俯きながら立ち尽くしていた。
「唯華ちゃんのアソコが濡れていたと思う人は、手を挙げてね?」
趣味の悪い多数決だった。
しかし、念には念をか、校長はそこに改めて脅迫の言葉を重ねて、正直な回答を皆に迫っていた。
果たして、何人が手を挙げたか。
唯華の体勢からでは、四人の様子は意識的に見ようとしなければ見えはしない。ただ、アソコの濡れ具合はきっと確かだ。あえて目で見て確認などはしていないが、皮膚に感じる粘液の感触から、きっともう染みが浮かんでいる気はしていた。
そうであって欲しくはない。
こんな形でアソコが濡れて、感じてしまった証拠が見えていたなど、あまり思いたくはない話だ。
「全員の手が上がったね?」
無念に打ちのめされた。
主将はこんな形で濡れていない。侮辱するのもいい加減にしろ。などと、具体的に言って欲しいとまでは言わないが、もう少し何か……。少しでも、唯華を庇おうとする気持ちがあって欲しかった。
そんな寂しさのような何かが胸に湧き、それを唯華は振り払う。
校長は人質を握ったも当然の立場にいるのだ。
「あ、あーあ、さすがにそうなっちゃってたかぁ……」
唯華はおちゃらけてみせようとしていた。
余裕を保とうとしていた。
「では唯華ちゃん。パパが答えを確認してあげるからね?」
四人続けてアソコに顔を近づけてきたように、今度は校長がM字開脚の手前にしゃがみ、ぐっと顔を迫らせる。それどころか手まで近づけ、アソコの布を指でずらした。その手で唯華のワレメを開き、中身を目視で確認してくるのだった。
肉ヒダを直接拝まれる。
その羞恥に赤らみつつ、歯を食い縛って恥辱を堪える。
(……負けないよ)
こんなことで、折れたりはしない。
見たければ見ればいいと、唯華は睨み返すような目つきで校長を見据えていた。
「そうだね? ぐっしょりだよ? 手に取ったらいっぱい糸が引いちゃうね?」
校長は答えを発表していた。
みんなはそれをどんな気持ちで聞いているのか。一体どんな顔をしているのか。唯華はそれをあえて確かめる真似はせず、ただただ校長の趣味の悪さに憤っていた。
*
そして、校長は脇の匂いを嗅ぐ。
四人が並び立つ前で、唯華の身体を起こすなり、腋窩に鼻を押しつけんばかりにして吸い上げる。あからさまに呼吸の音を鳴らしての、荒っぽい息遣いで臭気の堪能をしたと思えば、さらにベルトを外し始めて、脇にペニスを挟んできた。
「パパ、脇コキがしてみたくってねぇ?」
膝立ちの唯華に対して、校長も腰の高さを合わせての、脇の締め付けに対するピストンに、唯華は始終顔を顰めていた。
こんな方法を唯華は知らなかった。
「あぁ、ユニフォームの感触があるよぉ? 汗のしっとりした感じもあるよぉ?」
きっと特殊な性癖だった。
口に咥えたり、ましてアソコに挿入されることと比べれば、脇に挟んで済む方がマシといえばマシなのか。三つの中から選ばなくてはいけないなら、唯華としても脇を選ぶとは思うのだが、かといって酷い変態性を感じてならない。
変態チックで、理解し難い性癖に付き合わされることでの歪んだ顔は、これ以上なく微妙なものとなっていた。
(なんだっていうの……)
こんな光景を見せられる四人の心境も、一体どんなものなのか。
もう想像がつかなくなってきていた。
「はぁ……はぁ……!」
校長の興奮につれて、ピストンのペースが早まっていく。その腰振りによって、唯華の肩や肩甲骨のあたりに校長の腰が絶えずぶつかり、上半身は揺らされ続ける。
やがて、放出の瞬間はやってきた。
「うぅ……!」
腋窩にちょうど収まるように、青臭いものは放出された。
こんな部位に射精されては、皮膚に染み込んでくるのはもちろんのこと、大事なユニフォームまで汚れてしまう。その生理的な拒否感に震え上がって、瞬く間に全身に鳥肌が広がっていた。
まだ、何の証拠も集まっていない。
これから先、校長との関係はあとどれくらい続くのか。
あるいは卒業まで続く羽目になってしまうのか。
先が見えずに薄らと、唯華の心に暗い影が差し込んでいた。
コメント投稿